群馬県と長野県の境には『渋峠(しぶとうげ)』という峠があります。
関東の坂好きヒルクライマーの間では”聖地”とも呼ばれているほど有名。森林限界を超えた先にある景色はとても美しく、上り切ったところには”日本国道の最高地点”があります。
僕は2018年の夏にクロスバイクで渋峠にチャレンジしました。

長野県側から走りはじめたのですが、結果は惨敗!
真夏の炎天下で軽い熱中症になりながら、意地と根性でクロスバイクを押しながら渋峠を”踏破”したのは、今となってはいい思い出です。
それから3年の月日が流れた2021年9月。成長した…であろう僕が、今度はロードバイクで渋峠と対峙します。
ついにこの時がやってきたか…!今度は自転車に乗ったまま”走破”してみせるぜ!
再チャレンジ!渋峠に至る軌跡
実に3年越しの渋峠への再チャレンジ!
本当はもっと早く走りたかったのですが、2018年1月に発生した白根山噴火の影響により、国道292号・志賀草津高原道路が交通規制されており、群馬県側から上れなかったんですよね。
前回は長野県の『道の駅 北信州やまのうち』を起点にしたのですが、まったく同じ道のりではつまらない。なので、是が非でも草津経由で走りたかったのです。
じっくり牙を研ぎながら待ち続け、待ち続け…牙が爪楊枝くらい細くなった2021年4月、めでたく交通規制が解除されることになりました。
とはいえ、日頃から渋峠のアクセス情報に目を光らせているわけでもなかったので、解除されたのを知ったのは同年9月となりました。
きっかけとなったのは、富士ヒルの前日受付の会場で出会った『志賀高原ヒルクライム』でした。

渋峠を走るイベントなんておもしろそう!…と思い、自宅に帰ってからいろいろ調べていると、ひとつのトピックを発見したのです。
「日本国道最高地点到達証明『ろんぐらいだぁすとーりーず!』Ver.発売…だと…!?」
志賀高原ヒルクライム、通称・志賀ヒルに関連した催し物のようでした。
ちなみに、日本国道最高地点到達証明とはこちらです。
峠を上り切ったところ、群馬県と長野県の県境ど真ん中に建っている『渋峠ホテル』で購入することができる証明書です。
絵柄の違う5種が存在するのですが、この証明書の『ろんぐらいだぁすとーりーずver.』が発売されるということ。なかなか粋な計らいですね。
正直なところ、アニメ『ろんぐらいだぁす』は全話見たのですが、その…すとーりーず?がなんなのか、まったくわかっていませんでした。
「まぁ、いいや!なんにせよ、おもしろそうじゃないの!」
偶然の出会いを大切にするタイプなので、これもなにかの縁と思い、渋峠に再チャレンジする動機のひとつにさせてもらいました。
決して”限定2,000部”の響きに釣られたわけではありませんよ。
販売開始は9月12日(日)からだったので、善は急げとその翌週平日に休みをとり、群馬県まで足を運ぶことにしました。
やると決めたら即行動!そんな自分、嫌いじゃないぜ。
出発の地、草津温泉をめざして
今回、渋峠を走る起点とさせていただいたのは『道の駅 八ッ場ふるさと館』でした。
昨夜23時頃に自宅を出発し、夜のドライブを楽しみながらここまでやってきました。到着したのは朝方だったので車の中で仮眠をとり、今に至ります。
山々に囲まれた道の駅。標高が高いせいか、9月も中旬になると朝方は涼しいですね。
渋峠の入口、スタート地点はどこか?調べてもいまいちわからなかったので、群馬県有数の温泉街である『草津』の交差点を目印にすることにしました。
道の駅から交差点『草津』まで約16km、そこから渋峠ホテルまで約20kmを走る計画です。
長野県側から上ったときより10kmも長いルートを選んでしまいましたが、真夏というわけでもないし、今度は天下のロードバイクに乗っているんだ。問題なかろう!
もう少しライトに渋峠を楽しみたいときは『天狗山第一駐車場(西の河原公園駐車場)』を起点にするといいそうです。
ここからなら渋峠ホテルまで約19kmなので、気軽に行って帰ってくるには最適な距離ですね。
時刻は7時30分。出発の時がやってきました。
青空が広がる最高のサイクリング日和。
最初の目的地である交差点『草津』までは、基本的に道のりなので迷う心配はありません。八ッ場ふるさと館の真ん前を通る国道145号に沿って、走っていきます。
吾妻川を渡っていると、前方に特徴的な見た目の岩山があらわれました。
長野原町のシンボルである『丸岩』です。
ふもとには『八ッ場湖の駅 丸岩』という施設があり、食事処やお土産コーナー、八ッ場ダムを巡る遊覧船の発着場となっているそうです。
おもしろそう!ここは普通に観光で来たい。今回はスルーしますが、自転車で走っているとさまざまな情報をキャッチできていいですよね。
橋の上からは不思議な風景を見ることができました。吾妻川に至る謎の道。
もしかして、前述した遊覧船…正確には”水陸両用車”らしいんですが、その車が川に入るための道なのかな?
詳細はわかりませんが、朝日を浴びて輝く川面と相まって、なんだか幻想的でした。
国道145号は平日だからか交通量はさほど多くなく、とても走りやすい。草津温泉が近づくにつれて増えていくのかな?
道の駅をスタートしてから30分くらいほとんど平坦な道を快走していたのですが、次第に勾配がキツくなってきました。
ペダルに重みを感じるようになります。
サイコンを見ると、走行距離は10kmにも達していません。このあたりから、ざっと30km弱の上り坂が続いていくのか…。
しばらく進んだところに、大きな交差点がありました。名称の書いてあるプレートを見ると、どうやら『大津』というらしいです。
交差点を直進すると国道145号から”国道292号”に乗り換えることになり、この道路が渋峠を上った先にある”国道最高地点”に続いているわけです。
とにかく道なりに、上り坂を進んでいきます。
勾配はあまり気にしていなかったのですが、「めちゃくちキツかった!」という記憶が残っていないため、おそらく3~5%くらいだったように思います。
それでも、ところによっては”登板車線”が整備されているくらいの勾配はありました。
地味にあらわれる『標高1,000m』の看板。
目的地の日本国道最高地点は2,172mです。まだまだ1,000m以上も上っていくことになるので、ここで疲れるわけにはいかない。
ゆっくりでもマイペースを維持して走っていきましょう。
走っていて地味にしんどかったのが、こちらの区間でした。
メロディーラインとは、車が一定の速度で通過すると、走る音がメロディーとして聞こえるように作られた道路です。
ドライブ時に遭遇するとワクワクするこの道路ですが、自転車で走るのはかなり怖い!
音楽が鳴るように道路上の一定間隔に”溝”が入っているため、細いタイヤのロードバイクでは単純に走りにくい。ガタガタとした振動が続きます。
そして、メロディーラインの魅力である”音楽”は、真横を通り過ぎるすべての車たちが鳴らしていくことになります。かなり響くし、音が重なり合って少し不気味でした。
そんな『草津節』に出迎えられた先にある『道の駅 草津運動茶屋公園』でトイレ休憩。
道の駅には、観光案内所やお土産屋さんをはじめ、ロマンチック街道資料館、特産ワインショップなんかもあるようで見応え十分。
この美しい造形の建造物は、道路を安全に渡るための展望歩道橋です。道の駅のシンボルといっても大げさではないくらい、存在感を放っています。
時間があれば、上ってみるのも一興でしょう。今回は先を急ぎます。
そして、出発してから1時間30分走り続け、ようやく交差点『草津』にたどり着きました!
距離は約17kmありました。正直なところ、ここまでの道のりで結構疲れてしまったのですが、今回の渋峠ライドはここからが本番です。
気持ちを切り替えて、楽しんで走っていこう!
約20kmの渋峠ヒルクライム開始
交差点『草津』を右折すると、有名な湯畑や遊もみショーをおこなっている熱乃湯がある草津温泉の中心街に向かうことができるのですが、渋峠は左です。
喉かな町並みの先には、温泉の川が流れる『西の河原公園』の脇を走ることになります。
昔、観光で来たことがあるので懐かしい気持ちです。この公園内には『西の河原露天風呂』という広大な温泉があるので、興味がある人はぜひ入ってみてください。
公園を過ぎると少しずつ勾配が急になり、ヒルクライムが本格化してきました。
太陽光が木々の間を通過して、地面に複雑な影を落としています。木漏れ日の中を走るのは、本当に気持ちがいい。
日頃の走りこみが足りていないせいか、思うように進まない。今日にかぎって、地球の重力が強まっているように感じます。
道中、サイクリストのグループに余裕で追い抜かれるも、まったく気にしません。これは自分と渋峠の戦い。第三者は関係ないぜ!
そんな言い訳をしながら4kmほど進むと、なにやら不穏な看板が立っていました。
『駐停車厳禁』
立ち止まるな…ということか?そういえば、群馬県側からのルートを調べていたら、そんなような情報を目にしたのを今になって思い出しました。
ドキドキ、ワクワクしながら約1km入ると、本命の看板がありました。
『この先五〇〇メートル区間 硫化水素ガス発生地区につき 道路上に立ち止まらないで通過して下さい。』
硫化水素ガス!?なんだそれ!辺り一面に立ち込めるのは、これまでに嗅いだことのないような強烈な硫黄臭。
ブログ記事を書くにあたり『硫化水素』について調べてみたのですが、「学生時代、化学の授業が苦手だったっけな…」という思い出を振り返ることができました。
さて、硫化水素とはなにか?硫黄と水素が結合してできる化合物質だそうです。
そもそも硫黄は無臭で、鼻をつく”卵が腐ったような刺激臭”の正体は、硫化水素の匂いとのこと。知らなかった。
僕が誤用したように”温泉の匂い=硫黄臭”というのが一般に浸透していますが、温泉街を訪れたときには、「わー!すごい硫化水素の匂いだなぁ!」なんて言うと玄人ぶれるわけですね。
詳しく書くともの凄い文量になってしまうので割愛しますが、硫化水素ガスを吸い続けると”命にかかわるような中毒症状”を引き起こすことがあるみたいです。
当時の僕はこういう情報を知りませんでした。ダメですね。自らの健康を害するだけでなく、万が一なにかあったら他の人にも迷惑をかけてしまう。
サイクリストとして、最大限の安全に気を配れるようにならなければいけませんね。
とにかく、わざわざ看板で警告するくらいですから人体に影響があるのは明白。全速前進!速やかにこのエリアを離脱する!
気合いを入れたはいいものの、当然のことながら上り坂なのでスピードが出せません。
急ごうとすると息が上がり、体が酸素を欲するようになりますが、硫化水素ガスが立ち込めるこの場所であまり深く呼吸をしたくない。
だからといって、ゆっくり時間をかけて走るには耐え難い刺激臭。ネックゲイターを鼻まで覆い、臭気の遮断を試みますが、余裕で貫通してきます。
「なんだ、この負の連鎖は!」
嘆きながらも辛抱してペダルを回し、ようやく硫化水素ガス発生地区を抜けました。
高いところまでやってきた
勢いで進んでいくと、ずいぶん高いところまでやってきました。
素晴らしい眺め。
右の方に白っぽく見えるエリアが、硫化水素ガス発生地区ですね。こうしてみると、草木が茂っていないので一目瞭然。それだけ有害なガスだった…ということなんだろうか?
時刻は10時ちょうど。出発から約2時間半が経ちました。
うーん、すごい坂だ。
時々こうして立ち止まり、記念に写真こそ撮っていますが長くは休んでいません。歩かずに、きちんとロードバイクに乗車しながら渋峠を攻略しています。
「ふん!3年前とは違うのだよ!」
偉そうに言いたいところですが、クロスバイクで走ったときの方が圧倒的に過酷でした。自転車の性能はもちろん、大きかったのは当日の天候。
炎天下でのヒルクライムは本当にキツかった。今回のように涼しいくらいが適温ですね。
前方に目をやると、土砂が崩れているところがありました。
むき出しの岩肌はなかなかに迫力があります。
ネットや緑色のシートで覆われてはいるものの、なんだか怖い。おそるおそる走っていると、小石にも満たない細かい石の粒がパラパラと落ちてきました。
妙な緊張感を抱きつつ、無事に通過。渋峠、随所に刺激が用意されているぜ。
出発から約3時間経過したところで、道中に駐車場があるのを発見。どうやら見晴台のようになっているようです。
交差点『草津』からちょうど10kmくらい走ってきて、すでに疲労困憊。
下手に立ち止まって気持ちが切れるのも嫌だったので素通りしようと思いましたが、「絶景が見られるスポットを通過するとは何事か!」と自分を一括し、駐車場内にイン。
おお!凄まじい景観だ!
とにかく広大で、見る者を圧倒する美しい景色。
さらには”自分の足で上ってきた”というプラス要素も加味されて、自分の中に感動と気力が充実するのがわかります。
これだよ。これこそ、ヒルクライムの醍醐味でしょう!
たたずみながら山並みを見ていると、日本語の上手な外国人の方に声をかけていただきました。
自身もロードバイクを趣味にしているとのこと。しかし、ヒルクライムは苦手でもっぱら平坦道をサイクリングしていると教えてくれました。
偶然にも同じ趣味を持つ人とお話しすることができ、楽しいひと時を過ごすことができました。別れ際には激励の言葉までちょうだいし、気合いが入った!
そろそろ出発しよう!…と思ったときに、今度はおばちゃんが、「どこから来たの?」と物珍しそうに質問してきてくれました。
群馬県側、草津から走ってきたと伝えると、とても驚いたご様子です。長野県側から来たらしく、目的地の渋峠ホテルまでは、まだまだ上り坂が続くと教えてくれました。
おばちゃんは、「すごいね。大したもんだ」としきりに褒めてくれましたが、「ゆっくり走ってますし、もうヘトヘトですよ…」と謙遜ではなく、事実を説明しました。
そんな、一期一会があった見晴台。こういう出会いも自転車で走る楽しさですよね。
心身ともにリフレッシュしたいい休憩になりました!さぁ、もうひと頑張り。ヒルクライムを再開していきましょう。
工事中のため一時停止。
工事用信号の指示に従い、青になるまでのカウントダウンを待ちます。自転車でこういう状況に出くわすと、少しソワソワするのは自分だけかな?
青信号になりました。
うしろに並んでいる車に合図を送り、先に進んでもらいます。平地ならまだしも、上り坂で車からのプレッシャーを受けながら先頭を走る自信はありません。
それにしても、雲が広がってきたな!
山の天気は変わりやすいといいますが、まさか雨なんて降らないよね?レインウェアなんて持ってきていないぞ。
立ち止まるとよくわかりますが、だいぶ涼しくなってきました。渋峠を下るときに雨が降っていたら、極寒…とまではいかずとも、かなりツラいことになりそうです。
くねくねと続く峠道を走っていると、先ほどの見晴台をはるか眼下に眺めることができました。
視界の中心、灰色になっているところがそうです。時間にしてわずか15分くらい走っただけで、結構な距離を走れるものですね。
少し先には『退避壕』が設置されていました。
中を覗いてみると、2脚のベンチが並んでいます。万が一、なにかあった場合にはここに逃げ込めばいいわけですね。
退避壕を見ていると、「自分が走っているのは数年前に噴火した活火山なんだよな…」なんてことを改めて自覚します。
ひさしぶりにあらわれた建造物『草津白根レストハウス』は閉業している様子です。
道路にはロープが張られていますが、建物の入口には『緊急退避所』と赤字で書かれた看板が立てかけられていました。
先ほどの退避壕と同じように、緊急事態には身の安全を確保するため中に入っていいのかな?
雄大な自然は見る者、触れる者に代えがたい感動を与えてくれるものですが、時として抗えない力となって押し寄せてくることもあります。
そんな二面性をもった自然の中で楽しむ”サイクリング”という趣味。奥が深い。
森林限界を超えて、日本国道最高地点へ
渋峠を上りはじめて約2時間が経過しました。
道端に『白根山』と書かれた大きな標識があったので記念撮影。
ここまでの距離は約13kmなので、「それにしても体力の消耗が激しいな」と自分をふがいなく思ったのですが、考えたら道の駅を出発してから延々30kmも上ってきたんだった。
そりゃ疲れるはずだ!勾配も結構キツいですしね。
「ああ、ラクをしたい…」
そんな想いが通じたのか、長めの下り坂があらわれました。
ヒルクライムの最中に出現する下り坂は、本当に気持ちがいいですよね。それまで敵対していた重力を、その瞬間だけ味方につける快感。
あまりスピードを出すと危ないので注意が必要ですが、制御できる範囲で駆け下りていきます。
しかし、喜んでいたのも束の間。眼前には、山肌を添うように進む一本の上り坂が映りました。
下ったら、その分だけ上らなければいけない。まさに”峠”という漢字が表す通りですね。
その坂道で事件は起きました。
もうひと踏ん張り!…と、やっとの思いで急勾配を上り切った瞬間、気が抜けて注意力が散漫になってしまい、道路のひび割れにタイヤをとられたのです。
疲労のためビンディングを外す気力もなく、なし崩し的にバタン。まさかの”立ちゴケ”をやらかしてしまいました。
立ちゴケはビンディングペダルの宿命とはいえ、最大限の努力で回避しなければいけません。
その話をすると長くなりそうなので、僕のブログ記事をご参照ください。


駆動系が集中する右側から倒れてしまいましたが、自転車は無事のようです。問題なくペダルも回りますし、ギアもスムーズに切り替わりました。
怪我もなかったので、気を取り直して進んでいきましょう!
渋峠ホテルまで、走行距離から逆算するともう少しなはず。中之条町というところに入りました。
ふもとで生い茂っていた草木は激減し、物悲しくも美しい景色が広がっています。
山頂をかすめるように覆う雲を見て、高いところまで走ってきたことを実感。雨が懸念されますが、大丈夫だろう。
遠方に建物らしきものが見えました。豆粒くらいの大きさですが確かにある。
渋峠ホテル?いや、おそらくその先にある『横手山ドライブイン』でしょう。ゴール付近を目視できたことにより元気は出ますが、こうして見るとまだまだ距離を感じますね。
どんなに疲れていても、ゆっくりでも、ペダルを回しさえすれば前に進むのが自転車。
最後の難関であるつづら折りをクリア!渋峠攻略も近い!
ガードレールの外、眼下には絶景が広がっています。
こんなに高いところまで自分の力だけで上ってきたと考えると、感慨深いものがあります。体はヘトヘトですが、風が心地いい。
そして、ささやかな人だかりを発見!
『日本国道最高地点の碑』
ようやく、標高2,172mの頂きに到達することができました!しんどかった!
目的地は渋峠ホテルですが、渋峠ヒルクライムのゴールは間違いなくこの場所でしょう。実に清々しい最高の気分です。
平日にもかかわらず、車やオートバイ、ロードバイクに乗った人たちがいて、記念撮影をしたり、景色を眺めたり、みんな思い思いの時間を過ごしているようでした。
なんだか、いいですね。僕もすぐにはその場を離れる気になれなかったので、上ってきた道のりに思いを馳せながらこの瞬間を堪能します。
この先はゆるやかな下り坂になっていて、スイスイと進みます。あっという間に渋峠ホテルに到着しましたー!
クロスバイクで訪れたときも同じ構図で写真を撮りましたが、お約束なのでやっておきます。
さてさて、お目当ての『日本国道最高地点到達証明』をもらいに行きましょうか!
おお、これだ。
主人公である”亜美ちゃん”が、高らかにロードバイクを持ち上げていますね。こういうの少し憧れますが、ソロライダーである僕には無縁かな。
『本日休業 Today’s closure』
「ちょっ…休業!?えええー!!うそでしょ…?」
ここまで来て休業?目の前が真っ暗になる中で、「まぁ、ブログのネタにはなるか」なんてブログ脳な発想が浮かんだところで、隣にあった張り紙を発見。
『証明書 購入の方は声をかけて下さい』
ホテルとしては休業しているようですが、どうやら証明書の購入はできるらしい!心の底から安心しました。
そんなわけで、無事にゲットすることができたー!
通し番号が『332』と印字されています。販売開始から3日間でこの数字はどうなんだろう?331人中、何人が自転車でやってきたんだろう?
とにかく、目的は達した!お疲れさまでした。
【往路のライドデータ】
走行距離 36.62km
所要時間 4時間24分
走行時間 4時間9分(-0時間15分)
交差点『草津』から『日本国道最高地点の碑』までは、大体ですが距離20km、走行時間は2時間50分といったところでした。
クロスバイクのときは約26kmを5時間かけて走ったので、まずまずの結果といえるでしょう!
無事に完結、最高の1日
本当だったら、渋峠ホテル内にある喫茶店で昼ご飯を食べる予定でした。しかし、休業ならば仕方がありません。
雲も広がってきたし、なにより気温12度と結構寒い。心拍数が上がっているヒルクライム中ならまだしも、立ち止まっていると冷えますね。
速やかに下山しよう!
道の駅から延々上ってきた分、帰路は楽ちん。
「我ながら、よくこんな道を上ってきたな」
思わず口に出してしまうほど、凄まじい眺め。今度はこの道を駆け下りていく。
もちろん100%すべて下っているわけではありませんが、時々ある上り坂は微々たるもの。勾配もそんなに急ではないし、距離も短い。
行きの大変さに比べれば、楽勝です。気持ちよく進んでいくことができます。
空一面に広がっていた雲が晴れて、青い空が見えてきました。走っている分には感じませんが、上空の風は強いのかな?
青い案内標識を右折した道は、標高1,800mにある高原温泉郷『万座温泉』に続くようですね。
おそらく白根山噴火で起きた土砂災害の影響でしょう。
写真だと伝わりにくいかもしれませんが、生で見ると圧倒的な迫力があり、噴火の恐ろしさを目の当たりにします。
火山の噴火といえば、三宅島を走ったときも衝撃を受けたっけ。

そんなこんなで、渋峠を駆け下りていきます。
ブレーキレバーを握る手が少し痺れてきた。下ハンドルを握り直し、無理なくブレーキングできるポジションを模索します。
万が一のアクシデントで大怪我に繋がりやすいのは、断然スピードが出るダウンヒルのときでしょうし、風を切る気持ちよさにかまけて油断しないよう慎重に走ろう。
苦しめられた『硫化水素ガス発生地区』も下りならほんの一瞬でクリア。
標高が低くなると、木々も復活してきます。タイミングよく太陽が顔を出し、再び木漏れ日の中を走ることができました。
そして、無事に渋峠を下り切りました。交差点『草津』に到着です。
ガーミンの表示を見ると、距離は19.65km、所要時間は53分49秒でした。下りの方が速いとはいえ、小一時間もかかる道のりでした。
あとは、ゆっくりと車をとめた『道の駅 八ッ場ふるさと館』の駐車場まで戻るだけですね。
草津温泉を出発した直後は、路面状態があまりよくない上に路側帯も狭く、さらには観光客で交通量も多い。少しばかり危険地帯なので注意が必要です。
そこさえ抜ければ、あとは快適。ヒルクライムで疲れた体を癒す余裕さえあります。
雄大に流れる『白砂川』です。山や河川敷の緑が相まって、さらに美しさを増しています。
別角度からもう1枚激写。
穏やかな天気の中で見ると、本当に心が洗われます。
渋峠を上っている最中は、「もっと近い駐車場から走りはじめればよかった…」と泣き言を漏らす場面もありましたが、そんな考えは霧散していました。
時刻は13時50分、ついに『道の駅 八ッ場ふるさと館』にたどり着いた!走り切ったぞー!
走行データはこんな感じです。
【復路のライドデータ】
走行距離 36.61km
所要時間 1時間53分
走行時間 1時間44分(-0時間9分)
かなり疲れた!このままベンチに横たわりたい気分ですが、寝たら起き上がれなくなりそう。急いで車に戻り、ロードバイクを荷台に載せます。
身支度を整えて一息つくと、急に疲れが押し寄せてきました。
早朝に食べた切りほとんどなにも口にしていなかったので、疲労の蓄積というよりも、軽い”ハンガーノック”かもしれない。つまり、エネルギー切れ。
食べ物を求めて食堂までやってくると、素敵なメニューがありました。
『八ッ場ダムカレー』
どうです!こういうのに弱く、ついつい注文しちゃうんですよね。
さらに、食堂を利用すると『道の駅 八ッ場ふるさと館』オリジナルのダムカードがもらえました。これは嬉しいサプライズ。
カレーもおいしく、大満足。それでも、まだまだ消費したカロリーには追いつかないのか、体が甘いものを欲しています。
締めくくりに、夏季限定『北軽井沢高原 とうもろこしソフト』をいただきます。
とうもろこしの風味とほどよい甘さが絶妙にマッチして、疲れた体に染みわたる!おいしい!
そのあと、お土産屋さんを物色してから帰路につきました。
ヒルクライムでは絶景を、ダウンヒルでは爽快感を、そして道の駅では美味なものを食べることができ、最高に充実した1日となりました!
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