サイクリストであり、自転車ブロガーである僕ですが、同時に『kindle作家』でもあります。
作家というと大げさですが、Amazonで”自転車旅の紀行文”を2か月に1冊のペースで出版しています。趣味の一環ですね。
そんな僕ですが、このたび『蚊と緑と自転車と 飛蚊症と緑内障を抱えるサイクリストの話』という電子書籍を書きあげました。
これまでは『初心者にしきの自転車旅』として、自転車で旅をしたブログ記事に加筆修正をした”完全版”のような形を電子書籍にしていたのですが、今回は新規から執筆しました。
タイトルからもわかるように、僕は目の病気を患っています。
幼少時代からの体験談が赤裸々に語られていますが、別に重い話ではないので興味ある人はぜひ読んでみてください。
「マイナスエネルギーは、自転車で走り出す原動力に変えられる」
これが、この電子書籍で伝えたいメッセージです。
今回は『蚊と緑と自転車と』の簡単な紹介と共に、自分の人生に降りかかる嫌なこと”マイナス”をエネルギーに変える…という話をさせていただきます。
思い悩んでいるときこそ、自転車にまたがりペダルを回していきましょう!
目次
電子書籍『蚊と緑と自転車と』紹介
まずは、電子書籍『蚊と緑と自転車と 飛蚊症と緑内障を抱えるサイクリストの話』についてお話しさせていただきます。
僕が患う目の病
タイトルにもある通り、2022年5月現在で36歳の僕は『飛蚊症』と『緑内障』という目の病気を患っています。
せっかくなので、それぞれ簡単に説明していきましょう。
視界に”黒い物体”が常に飛んでいる病気。
黒い物体の大きさや形はさまざまで、ゴミ、糸くず、アメーバ、カエルの卵、モヤ、蚊…など、見え方は人によって違います。
病気といいましたが、僕が患う飛蚊症は”強度の近視”が原因の生理的なもの。そのため、正確には病気ではなく一種の”目の状態”なのですが、当事者からしたらどっちでも同じです。
黒い物体、僕はストレートに”蚊”と呼んでいますが、常に視界をフワフワと漂うように浮遊していて、視線に追従するように動くのでうっとおしい!
真っ白な壁紙、白紙のノート、青空や海など、淡白な色が背景になると存在がより目立ちます。
視野が欠けていく病気。
見えている部分が少しずつ欠けていき、治療せずに放置していると”失明”の危険性もあります。目の成人病とも呼ばれており、40歳以上の20人に1人が緑内障だともいわれています。
多少視野が欠けても、もう一方の目がうまく補ってくれるため”盲点”があることに気づきにくく、自覚症状が現れたときには病気がかなり進行していた…なんてこともあるようです。
その性質上、途中失明の原因で不動の1位を獲得しているようです。
なんとなく、どんな病気かわかりましたか?
眼科医でも専門家でもないのであまり詳しい説明はできないですし、間違ったことを言ってしまうかもしれないので、病気の説明は以上とします。
気になる人は調べてみてください。自身に病気の疑いがある場合は、速やかに眼科クリニックを訪れることをオススメします!何事も”早期発見・早期治療”です。
病気の原因のひとつに、前述しましたが”強度の近視”が挙げられます。
僕はとにかく目が悪く、視力0.01を余裕で切っています。そのため、日常生活ではもちろん、サイクリングでもメガネは欠かせません。
電子書籍『蚊と緑と自転車と』では、目の悪い僕の半生を赤裸々に語っていますので、興味ある人は読んでみてください。ここでは多くを語りません。
もうひとつ、これらの病気には大きな共通点があります。
それは”治療方法がない”ということ。つまり、治らないのです。現状維持が精一杯で、少なくとも現状ではよくなる見込みはありません。
これが悩みの種なんです!少し僕の視界を想像してみてください。
目に映る世界には、常にフワフワと”蚊”が飛び回っており、「お慕い申しております…!」と言わんばかりに、けなげに僕の視線のあとを追ってきます。
緑内障の”視野欠け”はまだ軽度なので現状では自覚症状は一切ありませんが、この先どうなるかわかりません。
もちろん、目薬点眼と視野検査をおこない悪化しないように努めてはいますが、「いずれ失明するのではないか?」という不安はつきまといます。
自分自身の一流選手
これだけ聞くと大変に思えるかもしれませんが、ここで”自転車”の登場です。
疲れ果てるくらい長い距離を走ったり、急な坂道を必死になって上っているとき、はるか彼方の目的地をめざして自転車と共に旅に出ているとき。
飛蚊症も緑内障も、気にしている暇なんてありません!
視界を飛び回る”蚊”がうっとおしくても、100km…150km…と自転車で走っていくうちに、「それどころじゃない!」と、頭の中から追い出すことができます。
万が一にでも失明する可能性があるのなら、心の中に”やりたい”という衝動が生まれた瞬間に行動する必要があります。
そうでないと、行きたい場所、見たい景色をこの目にすることが叶わなくなるかもしれません。
考え方、捉え方によっては、目の病気は僕をサイクリングや自転車旅に駆り立てる、いわばペダルを回す”原動力”になっているといえます。
目の病気があったからこそ、走れた道、訪れることができた場所、見えた景色が間違いなくあると思います。
大好きな自転車漫画『かもめ☆チャンス』の登場人物のセリフです。
人生の負(マイナス)すら推進力に変える。それが一流選手だ。
エミール・クリスト(かもめ☆チャンス)
僕はこの言葉に深い感銘を受けました。
ここでいう”一流選手”とは、もちろんロードバイクの…です。
しかし、そんなことは関係ありません。みんながみんな、生まれたときから自分と付き合い続けている、いわば”自分自身の一流選手”です。
人生で起きたマイナスなんてものは、上手にプラスに転換し、ペダルを回すエネルギーとして活用してあげなければもったいない!
このようなことを、つらつらと約2万文字、70ページにわたり書き綴ったのが電子書籍『蚊と緑と自転車と』です。自分の人生を振り返れたので、書いていて楽しかった!
興味がある人はぜひお手に取って…じゃないか。ダウンロードして、読んでみてください。
同じような悩みを持つ人の”励み”になれば幸いです。
マイナスを推進力に変える自転車の魅力
自転車にはマイナスをプラスに変える力がある。
そんなわけで僕は自転車に乗っているのですが、「いったいどんなところが?」と疑問に思う人もいるかと思います。
改めて自転車の魅力を見つめ直してみましょう。
スタートとゴールがはっきりしている
目的地を決めてそこまで走る。100kmを超えたロングライドをする。峠を走り切る。島や湖を一周する。美味しいものを食べて帰ってくる。
このように、自転車趣味は目的や目標をわかりやすく決めることができます。
開始と終了がはっきりしているということは、趣味としての時間、気持ちに”区切り”をつけやすいということでもあり、僕はこれを魅力だと感じています。
僕は掃除が好きです。つまり、自分の行動に対して、すみやかにリアクションや結果が起きるようなことが気持ちよくて好きなんですよね。
余談ですが、逆に『筋肉を鍛えるトレーニング』みたいに、体に”変化”という結果が現れるまで数か月単位でかかることは苦手。筋トレ、長続きしないタイプです。
生活圏内を自分の力で脱出できる
「遠くに行きたい」
嫌なことがあったとき、僕はそんな風に考えてしまうタイプの人間なのですが、皆さんはいかがですか?多分、一時でも逃げ出したくなるんでしょう。
気持ちが落ち込んだときこそ、自転車の出番です。
自分の力でペダルを回し、普段生活している空間を物理的に離れる。はじめて訪れる場所で、目に映る景色を眺めたり、名物を食べたり、安宿に一泊したり。
そんなことをしていると、自然と心も解放されて、嫌なことも吹き飛ぶというもんです。
たとえ1回のライドで解消されなくても、「少しは気分転換になった。また走ろう」という気持ちが芽生え、それが活力になり、嫌なことにも負けずに対峙できるようになるはずです。
車でも電車でも生活圏内を離れることはできるのですが、自分の体力を使って抜け出た方が、間違いなく気持ちがいいのでオススメです。
運動強度が高い
サイクリングって意外と体への負荷、いわゆる”運動強度”が高いスポーツなんですよね。
自転車、とくにロードバイクはスイスイと軽い足取りで走っているように見えますが、足だけではなく、下半身全体、腕や胴体、体のすべてを使っているので、もの凄い”運動量”なのです。
長距離を走るロングライド、峠を上るヒルクライムでは、さらに運動強度は高くなり、汗がたれ、心拍数も上がっていくことでしょう。
体には疲労が蓄積されていき、腕やお尻が痛くなったり、ペダルを回す足が重くなったりするかもしれませんが、むしろそれがいいんです。
嫌なこと、人生のマイナスは時としてもの凄いエネルギーを生み出すことになります。
このエネルギーを自分の中に溜め込んでいては、持て余してしまい、それは心身に”悪い影響”として現れるでしょう。
マイナスから生まれたエネルギーはすべて、ペダルを回す原動力にするのです。それを”前に進む力”に変えたとき、自分の体と自転車1台でどこまででも走っていけます。
僕もそうして、日本各地を走りました。
さまざまな景色を見たり、経験を積むことができたので、人生のマイナスが結果としてはプラスになった瞬間ですよね。
動的な瞑想をおこなえる
自転車の楽しみ方はとてもシンプルです。
目的地や距離を決めて走る。島や湖を一周する。峠を上りタイムを競う。アプローチの仕方はたくさんありますが、やることは突き詰めれば”ペダルを回す”ことだけ。
小難しいことは頭の中から追い出して、楽しむことができると思っています。
『自転車は動的な瞑想である』
このような言葉がありますが、まさにその通りだと思います。
自転車…とくに長距離を走るロングライドは、やることがシンプルな分、走っている最中に自分自身と向き合い、気持ちを整理することができるのです。
悩んでいることがすぐに解決するわけではありませんが、そういう時間も必要です。
そして、長距離を走って疲労が蓄積されていけば、余計なことを考える余裕すらなくなる。ただひたすら前に進む…という感情だけが残り、ほんのひと時かもしれませんが頭が空っぽになります。
無我の境地…なんていえばカッコいいですが、まさに”瞑想状態”ですよね。
達成感を味わうことができる
自転車で走るのは本当に気持ちがよく、目的を達成したときは代えがたい感動を味わうことができます。こればかりは他人の言葉ではなく、実際に体験しないとわからないでしょう。
サイクリングの内容がいい意味で”過酷”な方が、目的を達成したときに強烈な達成感を味わえると思います。
僕も自転車旅において、もの凄い疲れた、足が痛い、ライトも切れて道路は真っ暗。そんな状況になりながら、宿泊するビジネスホテルをめざしたことがあります。
もうね、本当に大変だった!今でも脳内で鮮明に思い返すことができるくらいです。
そんな過酷な状況だったからこそ、たどり着いたときの達成感は凄まじく、「この瞬間の感動のために今まで走ってきたんだ」と心の底から思うことができました。
そんな達成感を日常で味わう機会は、あまりないんじゃないかな?
感情の動きが不足している人は、今すぐにでも自転車で走り出した方がいい!…とはいえ、自分の体力と相談して、安全に走れる範囲で計画を練ってくださいね。
失恋はパワーだ!
冒頭では目の病気が”自転車で走る原動力”になっていると話しましたが、人生のマイナスはそれだけではありません。
誰しもが一度は経験のある”失恋”も、ペダルを回す大きな力になりました。
あんまり詳しく語ると赤裸々すぎるのでシークレットにしておきますが、僕は失恋をきっかけに自転車に深くのめり込んだといっても過言ではありません。
恋人と別れた悲しみ、喪失感というマイナス。そこから生まれる感情を自分の中で持て余し、どこか解放させる場を求めていました。
そこで、自転車旅に出たのです。
悶々とした負の感情をなかば強引にエネルギーに転換して、走行計画を練り、旅立ちました。
とにかく余計なことを考えたくなかった。頭を整理し、気持ちを切り替えたかった。ほんの一瞬でも失恋の喪失感を忘れたかった。
そんな想いが、自転車旅という”新しいチャレンジの原動力”になったわけです。
いろいろなところを走りました。挙句の果てには、「さらに遠くへ…」という気持ちからロードバイクにまで手を出し、今現在に至るのです。
失恋で得たマイナスエネルギーは走る距離、訪れる場所が増えると共に減少していき、今ではすっかり自分の中で消化することができました。
たった1回の失恋でこれだけ多くの自転車旅ができ、人生の財産となる経験を積むことができたのです。これはもはや、失恋に感謝してもしきれません。
おわりに
サイクリストの皆さんなら、少なからず共感してもらえるのではないでしょうか?
自転車が好きだ、走るのが好きだ、だからペダルを回す。それは王道です。しかし、ペダルを回す原動力ってなにも前向きなエネルギーだけではないんですよね。
マイナスも…いや、むしろマイナスの方が爆発的な力を秘めているとさえ思います。
だからこそ、自分の中で消化しようと思うとツラいし、思い悩むし、健康的ではない。解決に時間がかかってしまうこともしばしばです。
僕のように目の病気でも失恋でも、なんでもかまいません。
人間関係に疲れた。ひとりになりたい。仕事が嫌だ。将来が不安だ。人生の意味がみえない。そんな感情を持っていたら、ペダルに乗せて、走り、道路の上で発散させましょう!
そうすることで、ほんの少し前に進める、進みやすくなると思います。
ペダルをくるりと一周させれば、自転車は必ず前に進みますからね。その場で止まっていたり、ましてや後退するなんてことはないんです。
最後にマイナスのエネルギーを使うときの注意点。
上手に利用してくださいね。無茶で無鉄砲でヤケクソな走りは絶対にダメですよ!それでは、なにも生み出しません。
静かに、自分自身と向き合いながら、近くても遠くてもいいので自分なりの目的地をめざしてみてください。
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