2022年3月、太平洋岸自転車道を走る自転車旅の2日目です。
財布を失くしてしまったため、予定していた3泊4日を早々に切り上げることになりました。本日は出発地点である神奈川県の『久里浜港』まで帰ります。
残念ですが、わずか100kmでも太平洋岸自転車道を進めたのでよしとしよう!
そんなわけで、朝イチから準備をおこない帰路につくことにしました。
~前回のライドはこちら~

行きとは違う山ルート
朝は7時に起床。
昨夜買っていた朝ご飯をしっかり食べて、100km走るエネルギーを体に蓄えます。
時刻は8時ちょうど。お世話になった『東横イン熱海駅前』で記念撮影。
昨日の朝方はとても肌寒く、気温は6℃程度しかなかったのですが今日は暖かい。
UNIQLOのウルトラライトダウンをリュックサックにしまい、代わりに蛍光イエローが目を引くウインドブレーカーを着用。
これで十分に快適なサイクリングができそう。
それでは、走っていきましょうか!
とてもいい天気。国道135号を青い矢羽根マークに沿って走っていきます。
進んでいくと、上り坂があらわれました。
朝のウォーミングアップにはちょどいいくらいの勾配です。
サクッと走り切り、すぐに快適なダウンヒルに突入。そして、出発から30分も経たずに『湯河原』までやってきました。
『人を癒して、1200年』
小さく書かれたそのワンフレーズに興味を抱いたので、調べてみました。
湯河原温泉はとても長い歴史を持ち、約1200年前の奈良時代につくられた日本最古の歌集『万葉集』で唯一謳われた温泉地だそうです。
すごいですね。自転車とは関係なく、いずれ訪れてみたいと思います。
国道135号を進んでいきます……が、走った記憶のない場所にやってきました。
太平洋岸自転車道のロゴがあるのでルートは間違いないはず。
往復で同じ道を走るのかと思いきや、どうやらそういうわけでもなさそうです。
矢羽根マークの指示を受けてコーナリング。
東海道本線の線路と並走し真鶴駅を越えて、神奈川県道740号・小田原湯河原線を走ります。
交通量が少なくて走りやすい道!
上り坂になっていますが、急勾配ではないので自分のペースで進んでいけます。
しかし、昨日の疲れが残っていて全身が軽い筋肉痛。
新年一発目の”冬眠あけライド”だったから仕方ないとはいえ、体のなまりを感じます。いや、もともとこんなもんだったか?
行きに訪れた『漁港の駅 TOTOCO小田原』まで残り10kmという案内看板を発見。
そのあたりでルートが統合されるのかな?
ひたすら坂道を上る。上る。
大通りを走った昨日とはまったく違う自然豊かなルートに大興奮。気温が高いことも、快適なサイクリングを後押ししてくれます。
春の息吹を感じて走る
ヒルクライムに突入してから約20分。
海が見えた!
山を走っていたので忘れていましたが、太平洋の海岸線を進むルートにいるんですよね。
山頂にたどり着いたので記念撮影。
カッコいい構図を模索していたら迷走してしまった。いや、これはこれでいいかもしれない。
出発から約1時間、神奈川県小田原市までやってきました。
海の向こうに広がるのが小田原の町かな?
ここまで交通量が少ない道をゆるゆると走ることができ、とても楽しかったです。序盤のヒルクライムは大歓迎!中盤以降の登場は……控えめでお願いします。
上りから一転、ダウンヒルに突入です。ペダルを回さずとも前に進んでいくのは、怖くもあり、快感でもあります。
スピードを出しすぎると万が一のとき大事故につながってしまうので、気持ちよく走れるほどほどをキープ。
菜の花がとても美しく咲いていました。
野山の一角を彩る鮮やかなピンク、桜の木にも花がついています。
寒い冬を越えて、生命が躍動しはじめるのを感じられますね。
寒すぎず、暑すぎず、草花が芽吹き、美しい景色を楽しませてくれる春。サイクリストにとっては至福の季節!……なのですが、一点だけどうしても許容できないことがあります。
その一点とは、春の忌むべき風物詩となっている”花粉”です!
例年年明けから悩まされるのですが、「今年は大丈夫そう!」と完全に油断していました。急に暖かくなったせいか、今日きた。
ヒルクライムの最中からムズムズと違和感を抱き、気がつけばくしゃみが止まりません。
ポケットに忍ばせたハンドタオルで鼻水を拭き、なんとか耐えます。これさえなければ、春は本当に最高の季節なんだけどなぁ……。
閑話休題。
めちゃくちゃ海がきれいです。
他に自転車も車も走っていないため、道路と景色を独占です。我ながら贅沢しています。
海へと突き当たるT字路を左折。
これまで県道740号を進んできましたが、交差点『根府川』にて国道135号に合流。昨日走っていた道に戻ってくる形になりました。
出発から1時間半が経過し、時刻は9時30分。
想定よりも早く小田原市にたどり着いたので、少しだけ寄り道をしていきます。
『小田原城址公園』
歴史や城に詳しくないので説明は割愛。
外堀の先に見えるのが天守閣かな?案内図を見ると結構距離がありそうだったので、とりあえずここからの眺めで満足しておきます。
まだまだ先は長いので、早々に出発。
国道1号を走っていると、路面から青い矢羽根マークが消えていることに気がつきます。
「あれ?もしかしてルート間違えた?」
戻ってみると正しい道を発見。
小田原市民会館前にある大きな交差点を、直進せずに右折しなければいけなかったみたいです。早い段階でリカバリーできてよかった。
パンク発生!空気の抜けた後輪
二級河川『酒匂川(さかわがわ)』です。
白い鳥の群れが川で水浴びをしています。いや、餌になる魚でも探しているのかな?
地名『酒匂(さかわ)』の由来は、日本武尊が東征するときにこの川に神酒を注いで龍神に祈念したところ、お酒の匂いがしばらく止まらなかったという伝承からだそうです。
お酒好きというわけではありませんが、そう聞くとなんだかおいしそうに見えてきますね。
視線を上げると、山脈の向こうから富士山が顔を覗かせていました。
もうすぐ4月になるのに、山頂は白い雪で覆われています。
日本に生まれたからには一度くらい”富士山登山”を経験した方がいいのかな?
そう思うこともありますが、当面は6月に開催される『Mt.富士ヒルクライム』だけで勘弁しておきましょう。
小田原市の街中を軽快にサイクリング。
行きで走った道そのままなので、よほどのことがないかぎり立ち止まりません。写真に納めたくなるような撮影スポットも少なそうですし、こういうところは先を急ぎます。
鼻歌まじりで走っている中、本当に何気なく後方をちらりと振り返ります。
「うおっ!」
思わず飛び出そうになった驚きの声をグッと飲み込み、何事もなかったようにペダルを回し続けます。なにに驚いたのか?僕の真後ろをひとりのサイクリストが走っていたのです。
ピッタリ張りつくほどではありませんが、多少の風よけにはなるかな?くらいの距離感。
まったく気配を感じなかった。鼻歌とか独り言とか聞かれただろうか。恥ずかしい。
赤信号で停車したときに、横目で観察。僕と似たような服装で荷物もたくさん積んでおり、どちらかといえばサイクリングというよりも”自転車旅”をしている風貌でした。
せっかくだから話しかけてみよう。
そう思った瞬間に信号機が青に変わり、走り出すことになります。よし、次の赤信号で……そう決心した瞬間、スムーズだったタイヤの回転に違和感を抱きました。
感覚で、「これはパンクだな」と悟り、道路脇に逸れて自転車から降ります。
颯爽と遠ざかる旅人サイクリストの背中。交流の機会が失われたことを残念に思う反面、縁がないのもまた縁だろうと考えることにしました。
最近、なんだか恒例になりつつあるパンク。
見渡してみるとちょうどいいところに駐車場があったため、お家の住人のおじいさんに事情を説明して許可をいただき、作業させてもらうことにしました。
新品のチューブに交換し、携帯ポンプで空気を入れます。あいかわらずの重労働です。
とりあえず、走れる状態に復帰。
もたもたしていたら30分近く経っていました。もっと手際よくできればいいのですが、どうにも慣れない作業。慣れるほどパンクを経験するのも嫌ですが……。
いろんな道を往きましょう
さあ、再出発だ。
国道1号・東海道を『横浜・平塚』方面に向かってひた走ります。
時刻は11時。熱海市のビジネスホテルからスタートし、実に3時間が経過しました。
大磯町までやってきたところで、国道1号に別れを告げます。
正面には『大磯プリンスホテル』がそびえ立ちます。
下からはこんな風に見えるのか。わりといい勾配の坂道にさしかかりますが、距離は短いので気合いを入れてひと息で駆け上がります。
西湘バイパス沿いの道路には、行きで惑わされた分帰路がありました。
せっかくの機会だし寄り道してみよう。
矢印の示すとおり鋭角にカーブして、坂を下ります。
ゆるゆると続く坂道を上り切った先には……あれ?大通りにぶつかったぞ。
どうやら国道1号のようです。
青い矢羽根マークが途切れていたので、引き返すことにします。
いったいなんだったんだろう。太平洋岸自転車道とは関係ないルートなのかな?
気を取り直して先に進みましょう。
ここも行きの道中で少し迷ったところですね。
左に曲がると『大磯町役場』の脇を通る細道があり、国道1号にぶつかります。しかし、それは不正解なルートでした。
この道をまっすぐやってくるのが正しいようなので、今回は直進します。
市街地を抜けるように続くブルーラインに沿って走ります。
そして、やってきたのは見覚えのあるところ。
よく見ると過剰なくらい太平洋岸自転車道に誘導してくれていますね。
もう少し引いて見てみましょう。
行きはこんな感じの風景でした。
大きな交差点を矢羽根マークに従い右折したところ、真正面にブルーラインが続いていたので立体道路の下をくぐるように直進してしまったんですね。
正解はその手前、横断歩道の先にある道路を進むルートだったようです。
ここは結構トラップだと思いますが、僕が注意力散漫なだけかもしれない。
国道134号を走ります。
江の島まで残り15km。
だいぶ進んできたように感じますが、ゴールの久里浜港まではまだ60km以上あります。気温も上がってきたので油断せずにいこう。
橋を渡り、振り返ったところの景色を撮影。
橋に記された名前からすると、どうやら『花水川』というらしい。
少し進んだところにコンビニがあったので、立ち寄ることにしました。
ドリンクが枯渇しそうだったので補給します。
交換したチューブも問題なさそうですね。もちろん空気圧はベストではありませんが、久里浜港まで走るくらいは大丈夫でしょう。
いまだかつて1日に2回以上のパンクは未経験。心が折れそうなので絶対にしたくない。
過去に、「宿まで残り1km!」という地点でパンクしたことがありますが、あれも精神的ダメージが大きかったです。
一期一会の声援をうけて
休憩も十分とりました。
それでは、ひたすらに走っていきますよ!
国道134号、海は見えませんが茅ケ崎海岸線を進んでいきます。
まっすぐに伸びた道。行きと同様に交通量が多くて気をつかいます。とにかくペダルを回しまくり、最高速の維持に努めます。
道なりに行くと、交差点『浜須賀』で県道30号に入ってしまいました。
少し走った先で矢羽根マークがなくなったことに気がつき、事なきを得たので助かった。ちょっと油断するとこれです。危ない危ない。
江の島を越えて鎌倉市に入り、江ノ島電鉄と並走。葉山マリーナを過ぎて、三浦半島に入るという行きとは真逆のルートをたどります。
そして、目的地である『久里浜』の文字が見えてきました。
このT字路を左折すれば久里浜港に到着します……が、それでは太平洋岸自転車道から外れることになってしまいます。
遠回りになろうともルートを順守して走ろう!直進!県道26号を行きます。
三浦市の三崎漁港までやってきました。
ここまで来ると、だいぶ”戻ってきた感”がありますね。
県道215号を走り、久里浜港はもうすぐそこ。
畑に囲まれた坂道を必死になって上っていると小さい男の子兄弟から、「がんばれー!」と声援をもらいました。
ちょうど走行距離100kmを越えたあたりでの上り坂。
体に蓄積された疲労が爆発していたところだったので、応援の声で元気が出ました!
こちらも手を振りながらお礼をいいます。
すれ違いの一期一会は自転車旅の醍醐味ですよね。偶然の出会いに感謝しよう。
県道212号・北下浦海岸通りをラストラン!
今回の自転車旅で最初に見た海岸。
ふたたびここを走ることになるとは思いませんでしたが、これもなにかの縁。嚙みしめながらペダルを踏み込みます。
そして、無事に久里浜港に到着しました!
偶然、フェリーも同じタイミングで入港。記念に撮影しておこう。
船体の側面に描かれて赤色の犬、千葉県のマスコットキャラクター『チーバくん』も帰還を歓迎してくれているような微笑みを浮かべています。
出発地点である『東京湾フェリー久里浜港乗り場』まで行き、ゴールとしましょう。
よし!これにて、久里浜港と熱海駅の往復ライド、無事に完結です!
【本日のライドデータ】
走行距離 115.14km(トータル230.95km)
所要時間 7時間56分
走行時間 6時間57分(-0時間59分)
おわりに
新年一発目の自転車旅を無事に走り遂げることができ、とても楽しい2日間だった!
財布紛失トラブルのせいで当初の目的地『静岡県浜松市』までのライドは断念せざるを得なかったですが、風の噂によればそっち方面の天気がかなり荒れたそうです。
なので、ある意味では結果オーライかな?と前向きに捉えることにしました。
最初は、「行きと帰りで同じ道を走るのってどうなんだろう?」とある種のもったいなさを感じていたのですが、まったく心配する必要ありませんでした。
その道のことをより深く理解することができましたし、新しい発見もありました。やはり同じ道でも往復で”見える景色”は違うものですね。
途中、別ルートを走る区間もあり、新鮮に楽しむことができました。
財布は無事に車の中にあったので、心の底から胸をなでおろしました。
「もしも道中で落としていたら?」
クレジットカードの利用を止めて、運転免許証や健康保険証を再発行して……など、いろいろと面倒になるところでした。本当によかった。
今回で、太平洋岸自転車道を『千葉県銚子市』から『静岡県熱海市』まで走ったことになります。約100kmくらい進みましたね。
次は熱海市を拠点として先に進んでいこう。そうして何回もチャレンジして和歌山県加太まで走りたいと思います。
いつになるかわかりませんが、終着点にロードバイクと共に立つことを夢見て……!
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