寒いのが苦手なため、温かい地方にでも行かないかぎり冬は自転車に乗れません。
そんな僕がついに冬眠から目覚めた。
2022年、春の到来を感じる3月下旬。今年初の自転車旅にでかけようじゃありませんか!
さて、目的地はどうしよう?
いろいろ吟味した結果、延長1,400kmの『太平洋岸自転車道』を走ることにしました。
太平洋岸自転車道とは?
まずは、今回の自転車旅の舞台である『太平洋岸自転車道』についてお話します。
●起点:千葉県銚子市の銚子駅
●終点:和歌山県和歌山市の加太港
●延長1,487km
●現在日本で6か所しかない『ナシュナルサイクルルート』の認定を受けている
最低限だけ知りたい人は、ここまで読んでいただければOKです。とにかく、長い距離を整備された日本有数のサイクリングロードということです。
ここから先はプラスαの補足情報となります。
太平洋岸自転車道が構想されはじめたのは、さかのぼること1973年。
急激な自動車の普及による交通事故の多発、同時期に巻き起こった”サイクリングブーム”に後押しされる形で事業が発足されました。
しかし、スケールが大きすぎたのか整備は難航、長期の中断を余儀なくされます。そして、太平洋岸自転車道は各地に点在するだけにとどまり、全線開通にはいたりませんでした。
時は流れ2018年に『2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに太平洋岸自転車道をつなぐ取り組み』と題して、推進協議会が開催されることになったのです。
そこから整備が再開・加速します。
多くの関係者の方の尽力により2021年3月、昭和・平和・令和と3つの元号をまたにかけ、念願の『太平洋岸自転車道』が完成。
終点である和歌山市加太では、記念モニュメント除幕式がおこなわれました。
また、同年5月には『ナショナルサイクルルート』に指定され、日本の美しい景観を有し、統一的に整備された”世界に誇る自転車道”となったのです。
いかがでしょうか?なかなかに胸が熱くなるような話ですよね。
約50年の歳月を経て完成したサイクリングロードをひた走る。今回はそんな企画なのです。
ナショナルサイクルルート
こちらも補足しておきましょう。
ナショナルサイクルルート制度は、優れた観光資源を走行環境や休憩・宿泊機能、情報発信など様々な取組を連携させたサイクルツーリズムの推進により、日本における新たな観光価値を創造し、地域の創生を図るため、ソフト・ハード両面から一定の水準を満たすルートを国が指定することで、日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングルートとして国内外にPRを行い、サイクルツーリズムを強力に推進していくものです。
※公式HPより一部抜粋
つまり、要件を満たし評価基準をクリアすることで日本国政府・国土交通省より”指定”される、魅力的で安心した走れる環境が整えられているサイクリングロードのことです。
2023年現在までに、全国で6か所が指定されています。
②つくば霞ヶ浦りんりんロード(茨城県)
③太平洋岸自転車道(千葉県・神奈川県・静岡県・愛知県・三重県・和歌山県)
④ビワイチ(滋賀県)
⑤富山湾岸サイクリングコース(富山県)
⑥しまなみ海道サイクリングロード(広島県・愛媛県)
僕が走った経験のあるところは2か所です。
どちらも路面に青い矢羽根マークや矢印があり、さらには看板や標識でていねいにルート案内をしてくれたので地図を見なくても迷わず走れたのが印象的でした。
最近までナショナルサイクルルートの存在を知りませんでしたが、「なるほど、そういうことか」と納得させられますね。素晴らしいです。
走行計画を立てる
1,400km走破という野望が生まれた
僕が太平洋岸自転車道の存在をしったのは、ロードバイクで千葉県一周しているときでした。
千葉県銚子市あたりから、路面や道端の看板に妙なロゴマークを見るようになり、気になり調べたところ、それが”太平洋の海岸線を往くサイクリングロード”の目印だったのです。
これがそのロゴマークです。
自転車と日本の伝統文様『青海波(せいがいは)』を組み合わせており、海岸線を走る自転車道にピッタリですね。
銚子市からはじまり、和歌山市加太まで1,400km以上続く道。
公式HPでルートを確認すると、千葉県内の終点は富津市にある『金谷港』でした。そこから東京湾フェリーで海を越えて、神奈川県横須賀市の『久里浜港』から再スタートになるようです。
なるほど。
千葉県一周の完走は、同時に”千葉県内の太平洋岸自転車道の完走”も意味しているのか。
これまでの旅路を振り返ってみましょう。
2021年5月に銚子市から南房総市を走りました。
1回のチャレンジで千葉県一周を成し遂げられなかったため、同年9月に再トライ。
千葉市蘇我駅を出発して、前回のリタイア地点まで走りました。
うん、千葉県内の太平洋岸自転車道はバッチリ走破していますね。
これに気をよくした僕の中に「何回に分けてもいい。この道を走破したい!」という野望が生まれるようになりました。
そうして今回、久里浜港から続く太平洋岸自転車道をひたすら走ることにしたのです。
走行計画
僕の自転車旅は、自称・綿密な走行計画を立てるところからはじまります。
使える日数の範囲内で行ける目的地を決めて、1日の走行距離を割り出す。そして、泊まる宿は事前に確保して、その日のチェックポイントにしてメリハリをつけます。
往路はもちろん、復路でも飛行機や新幹線などを利用する場合はそちらの手配もしておきます。
そんな風に計画していくのですが、今回は”あえて”やめてみました。
帰路のことを考えると実質3日間。この日数を使って、できるだけ遠くまで走ろう。そのくらいアバウトに旅立ってみようと思ったのです。
「できるだけ遠くへ……ひたすら走ろう!」
そんな風に妄想しても、約300km地点にある『静岡県浜松市』あたりまでが現実的かな?
太平洋岸自転車道では、地図の中央、太平洋に約60km伸びている『伊豆半島』をぐるりと一周するルートと『亀石峠』を抜けてショートカットするルートの2パターンが用意されています。
いろいろ考えた結果、今回は省略して先を急ぐことにしました。
太平洋岸自転車道の”完走”をめざすなら当然走るべきなのですが、伊豆半島は単体でも十二分にサイクリングを楽しめる環境が整っているようです。
あえてスルーして、また改めて一周をめざすことにしましょう。
自転車旅のマンネリ防止と”臨機応変”な旅をする……という狙いのもと、綿密な走行計画を立てずに旅立ちの日を迎えます。
この取り組み、吉と出るか?凶と出るか?こうご期待。
0日目!最大の難関は”布団峠”
2023年3月23日、来たる自転車旅の出発日。
まずは、スタート地点になる横須賀市の『久里浜港』まで車で移動しなければなりません。深夜に旅立ち、朝方に到着する予定……だったのですが、まさかの寝坊!やらかした。
幸いにも”取り返しがつかない”というほどは遅れていなかったので、即起きて準備をすればリカバリーできる。できるのですが、布団が僕を離してくれない。
ここ数日、もうすぐ4月だというのに気温が低く、朝は身震いするほどに寒い。例年こんなにも寒かったっけ?
これは、布団から出られないよ……。無理。
サイクリストが冬の時期に遭遇するというわれる難所”布団峠”の餌食になってしまいました。
峠を越えられず、まさかの出発見送り!
走行計画を立て事前に宿を確保するというのは、泊まる場所がある安心感をもたらすと同時に、「行かなければならない!」という意識を高めるのに一役買っていたわけですね。
前代未聞の事態……といいたいところですが、ご安心ください。想定の範囲内です。
日々の疲れもあり、連休に突入してノータイムで旅立つよりも、1日くらいゆっくり休んだ方がいいのではないか?と考えていたので、出発は朝のテンションにゆだねていたのです。
寒くて布団から出れなかったのは事実ですが、明日からのために英気を養うことにしよう!
そんなわけで、引き延ばしのような形になりましたが次回出発です。
~次回のライドはこちら~

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