SPD-SLを1年間使ってみた感想!初心者体験談と共に徹底紹介します

ロングライドやヒルクライムなど、自転車にスポーティーな楽しみを求めている人の多くはビンディングペダルを使っていることでしょう。

僕もはじめて買ったスポーツ自転車のクロスバイクには、シマノの『SPD』というビンディングペダルを装着しています。

今回はロードバイクに付けているビンディングペダル『SPD-SL』についての話です。

「SPD-SLってなに?」「SPDとの違いは?」

そんな疑問に答えると共に、初心者がSPD-SLを使った体験談や感想、メリット・デメリットなどをお伝えしていきますので、装着を検討している人は参考にしてください。

ビンディングペダル『SPD-SL』とは?

まずは『ビンディング』について、簡単におさらいしていきましょう。

ビンディングとは?

専用シューズの靴底にあるクリートと呼ばれる留め具を使って、足(シューズ)とペダルを固定するシステムのことをビンディングといいます。

コンポーネントメーカーのシマノから出ているビンディングペダルは『SPD』と『SPD-SL』の2種類です。

SPD
マウンテンバイク向けのビンディングペダル。SPD-SLに比べて固定力は弱いが、着脱がしやすい。クリートを靴底のヘコみに付けるため、地面に接地せず歩きやすい。

SPD-SL
ロードバイク向けのビンディングペダル。固定力が強いので踏み込みが安定し、パワー伝達率が高いのが特徴。クリートが出っ張っているのでとても歩きにくい。

こんなところでしょうか?SPDについては過去記事を参照してください。

クロスバイクにビンディングペダルを取り付けてみました。恐る恐る大都会・新宿を走るも、いきなりの立ちゴケ。にしきのクロスバイク人生のターニングポイントになりそうな予感です。

SPD初心者がいきなり”日本横断の旅”に出た経験をもとに書いた記事もあります。振り返ると、なかなか無茶をしたもんだ。よくぞ無事で帰ってきた…。

クロスバイクにビンディングペダルを付けて約500kmを走った感想をお話します。30km走ったときには感じなかったメリットをご紹介。また世界が広がった気分です!

前置きが長くなりましたが、いよいよSPD-SLの話に入ります。まずは、百聞は一見に如かずということで、実物を見てみましょう。

シマノのSPD-SL

これがSPD-SLです。

「なにこれ?変な形だけどペダルなの?」

知らない人が見たら、そう思うことでしょう。僕自身も実際に使うまでは、「なにをどうするの?」と頭にハテナマークがつきまくりでした。

シューズを取り付けてみました。

シマノのSPD-SL

SPD-SLを裏側から見たところです。

ペダルの大きな穴の部分にクリートと呼ばれる留め具の青い部分が入り、返しのついた手前部分を踏み込んではめる…という感じなのですが、言葉での説明が難しい!

SPD-SLを使うには、専用のシューズが必要になります。

シマノのSPD-SLシューズ

汚れていますが、愛用のビンディングシューズです。

靴紐ではなく、ワイヤーが内蔵されたタイプです。2か所に設けられたBOAダイヤルを回すことによってワイヤーが巻き取られ、シューズのフィッティングが調整されます。

これ、めちゃくちゃ便利です。

靴紐がほどける心配もないですし、微妙な調整も簡単。極端に言えば、自転車を乗りながらでも容易に調整することができるのです。

靴底はこのようになっています。

シマノのSPD-SLシューズ

カーボン製の靴底です。たくさんの傷がついていますが、道路を歩くとこのくらい普通に傷ついていくので気にしない。

つま先部分に付いているのがクリートと呼ばれる留め具です。アップで見てみましょう。

シマノのSPD-SLシューズのクリート

SPD-SLのクリートは『黄色』『青色』『赤色』の3種類があり、色によってシューズとペダルの固定力が違います。黄色が弱、青色は中間、赤色は強、となっています。

僕のクリートは青色ですね。

SPD-SL初心者だったので、固定力が弱い黄色にしたかったのですが、デュラエースのSPD-SLに最初から付属しているクリートは青色でした…。

写真を見ると、かなりボロボロですよね?SPDの金属製クリートとは違い、プラスチックなので歩けば靴底以上に削れていきます。

店員さんに聞くと、この状態でも「まだいける」とのこと。交換時期の目安は、青い部分がなくなったら…らしい。

クリートが削れていくと、どうしても新品時よりも固定力は落ちてしまいます。これは仕方のないことなので諦めましょう。

初心者のSPD-SL体験談

僕はロードバイク納車と同時に、はじめてのSPD-SLで約30kmの道を走って帰宅しました。

ロードバイクの納車日を迎え、自宅まで30kmの道のりを初ライド!慣れないロードバイクとSPD-SLペダルに四苦八苦しながらも恐怖に打ち勝ち、なんとか無事に帰宅することができました。

思い出の日を振り返り、ファーストインプレッションをお話していきます。

SPD-SLシューズを履いた感想ですが、想像していた以上に歩きにくい!これで動き回るのは無理だと瞬時に悟り、観光をともなうライドでは履き替えシューズを持参しようと決意。

そして、ビアンキバイクストア店内にてローラー台による初乗車。SPD-SLにバチンとクリートをはめ込み、足をひねってはずす。それを何度も繰り返します。

SPDとは勝手が違うので最初はうまくいきませんでしたが、慣れてくるとむしろ楽かも?

インターネットでは『SPD-SLは固定力が強いためはずしにくい』という情報を目にしましたが、そんなことはありません。足をひねれば、きちんとはずれます。

「なんだ、意外と楽勝だな」

この余裕が道路に出たら一変することになりました。

ロードバイクにはじめて乗る、SPDは経験がある、この2つの要因が重なって、はじめてのSPD-SLによるライドは恐怖と困難を極めました。

まず、焦るとまったくはまらない。

ローラー台ではバチンバチンと難なく着脱できていたのですが、道路に出ると緊張しているのかうまくはめることができない。さっき、どうやってたんだっけ?

そして、SPDとの違いはペダルよりもシューズの方にありました。

SPDシューズが歩きやすいゴム製の靴底なのに対して、SPD-SLシューズは軽さを追求しているためカーボン製です。

靴底が固いこと、そしてSPD-SLが小さいことも相まって、ビンディングをはめないと滑ってしまいペダルを回すことができません。

この点が、僕にとってはとても大きな問題でした。

と言うのも、僕はSPDでの立ちゴケを恐れるあまり、停車するときは両足のビンディングをはずしていました。

そして、スタート時はとりあえずペダルを回して走りながら、落ち着いた状況の中で右足→左足とビンディングをはめていたのです。

立ちゴケの危険性が少なくなりますが、SPD-SLはその方法でスタートできないので、その違いに慣れるまで苦戦することになりました。

しかし、そんな中でも30kmほど走っていると、王道である『停車時は左足のビンディングのみはずす』というスタイルに落ち着きました。

ノールックで着脱できればカッコいいのですが、最初のうちは前方に注意しながら目視で確認をしながらはめていました。

そうしながら少しずつ慣れていき、ロングライドや自転車旅などを経て、SPD-SLにかなり慣れてきたところで、今に至ります。

使ってみた感想

良いところ

なんと言っても、ペダルとシューズの固定力の強さが魅力でしょう!

ガッチリと固定されるので、走行中に誤ってはずれることはないと思います。逆にはずそうと思ったときは、足をひねれば簡単にはずせます。

体感しないとわかりにくいかもしれませんが、『固定されている』というのはとても大きなメリットなのです。

ロングライドで遭遇したガタガタ道、突然の雨天ライド、ダウンヒルなど、路面状況が悪いときやスピードが出ているときに、足がペダルからずり落ちないので走りに集中できます。

SPDと比べると、ペダルとシューズが固定されている接地面積が大きくて、ペダルを踏み込みやすいというのもメリットです。

説明が難しいですが、『SPDは点で固定、SPD-SLは面で固定』されている感じです。このような表現はよくされていて、実際に体験して「なるほど」と納得しました。

踏み込んだときに安定していて、自転車との一体感をより強く感じることができます。僕レベルではあまり実感としてはありませんが、なにやらパワー伝達率もいいみたい。

フラットペダルと比較したときのメリットとしては、やはり引き足が使えることでしょう。

引き足と言っても、『踏む力に引く力を加わってパワー2倍!』という単純な話ではありませんが、太ももを上げるようにペダリングすることで、おのずと恩恵を受けると思います。

よくわかるのはロングライド。フラットペダルとビンディングペダルだと、走行距離に対する筋肉の疲労度、消耗に大きな差が生まれます。

気になったところ

SPD-SLに限らず、まずはビンディングペダルで基本的なことを2つ。

①ビンディングの着脱に慣れがいる。

②立ちごけのリスクがある。

もう、本当にド定番なものですね。

これに関しては、慣れるしかない。SPDからSPD-SLに移行した場合は、”着脱”するということが頭に刻まれていると思うので、立ちゴケの心配は少ないでしょう。

SPD-SLならでは…なのかはわかりませんが、千葉県から岩手県までの自転車旅では、その固定力の強さがアダとなったか?と思われるところがありました。

街から街にかけて長距離を移動する自転車旅では、信号の多い街中も走ります。

止まる回数が増えれば、当然ビンディングを着脱する回数も増えるのですが、特に多くなるのが左足です。信号待ちでは、基本的に左足しかはずしませんからね。

固定力が強いということは、はずすときに可動する膝へのダメージも大きいようで、僕の自転車旅は左膝の負傷のため途中リタイアとなりました。

2019年ゴールデンウィークは本州最北端である青森県の大間崎まで超ロングライドの自転車旅に出かけます!

先の自転車旅はかなり無茶な走りを続けていたので、さまざまな要因が重なって起きたことだと思っています。すべてがSPD-SLのせいではないでしょう。

しかし、着脱を繰り返すライドを長時間おこなうのであれば、固定力がもっとも弱い黄色いクリートがいいのかな?と考えているところです。

最後はSPD-SLシューズの話です。

とにかく歩きにくい!平坦な道はもちろん、階段の上り下りが本当に危なく、転げ落ちそうになったことがあります。

SPD-SLシューズは歩きにくい上に、歩くとクリートがガリガリ削れていきますので、観光や見学などでガッツリ歩くことはオススメできません。

場所によっては、床面を傷つけてしまう恐れもありますからね。

クリートおよび床面を保護するカバーがあるようですが、僕は使ったことがありません。

僕は履き替え用として、マリンシューズを持参するようにしています。

安いですし、水陸両用なので自転車とは関係ありませんが、海でのアクティビティにも役立ちます。かなりオススメの一品。

そもそも、SPD-SLシューズは歩くために作られていないので、歩きにくいのは仕方のないことです。歩きにくい!という意見そのものが的外れなのかもしれません。

ロードバイクにSPD-SLはオススメ?

体験談、そしてそれに基づく”良かったところ”と”気になったところ”をお話してきました。

「結局、SPD-SLはオススメなの?」

「ロードバイクのペダルはSPD-SLにした方がいいの?」

難しい質問ですが、個人的には『全員が全員、付ける必要はない。ロードバイクの楽しみ方による』というのが模範解答だと思っています。

SPD-SLのメリットは、ロングライド、ヒルクライム、エンデューロやクリテリウムなどのレース系イベントで真価を発揮します。

これらのような、スポーティーな楽しみ方をしたい人はSPD-SLが断然オススメ。

と言うか、そのような意識でロードバイクに向き合っている人は、「SPD-SLにしたら走りがどう変わるんだろう?」という好奇心が勝つと思います。

そして、遅かれ早かれSPD-SLを付けることになるでしょう。僕がそうでした。

一方で、走行距離は100km以内、速く走ることよりも観光やグルメ、御朱印をもらいに行ったりするまったりしたライドを楽しみたい人には、まったく必要のないアイテムです。

SPD-SLは歩きにくいですし、着脱の手間があるので不向きです。求める能力が違いますね。

そのようなライドでは、履く靴を選ばずに楽しめるフラットペダルが最強。もしくは、比較的歩きやすいSPDがオススメです。

なんとなく、「ロードバイクにはSPD-SLだ!」というイメージがありますが、それは固定概念。僕は違うと思います。

ペダルそれぞれに優劣はなく、あるのはただ、そのペダルが自分のライドにとって”適材”かどうかということです!

SPD-SLにするのが不安という人もいると思います。ビンディングペダルがはじめてという人はなおさら怖いでしょう。

乗っているときに、『停車時はビンディングをはずす』ということを忘れずに”意識”していれば大丈夫!…と言うのは簡単ですが、これ、確実に忘れます。そしてコケます。

それでもめげずに”意識”しながら乗っていれば、いつしか”無意識”に昇華し、息を吸うかの如くビンディングの着脱ができるようになると思います。

まだまだその域には達していない僕から、SPD-SLに慣れるアドバイス!

『とにかく、焦らないこと』

これに尽きますね!

人間、正常時は”意識”を忘れることなく行動できるのですが、いざ異常事態が発生すると普通にできていたことができない。それは、その動きがまだ体に染みついていないからです。

焦らないためには、異常事態を発生させなければいい!

視野を広げて、周囲に気を配ってみてください。前方の信号の色はもちろん、さらにその先の信号も確認する。車や歩行者の挙動に注意を払い、動きを想像して予測する。

そうすることで、「これがこうなったら停車しよう」という気持ちの余裕と行動の準備ができるはずです。

SPD-SLを十分に楽しむためには必要なことなので、ぜひ身に付けてください。

おわりに

ロードバイクをこれから買おうと思っている人、フラットペダルやSPDを使っている人、おそらく多くの人がSPD-SLに興味を持っていると思います。

そのような人たちの疑問や不安を少しでも解消できる内容になっていたら嬉しいです。

僕はロードバイクに対して、かなりスポーティーな楽しみを求めています。

ロングライドや自転車旅はもちろん、ハルヒルや富士ヒルのリベンジもしたいですし、来年からはブルベにも挑戦したいと思っています。

そんな僕には、やっぱりSPD-SLがベストなペダルだと思っています。

逆に言えば、まったりとしたサイクリングやキャリアーを取り付けてキャンプツーリングで使おうと思っているクロスバイクにはビンディングペダルは不要かな?

近々、フラットペダルに戻すかもしれません。

このように、ライドの趣味趣向は時と共に変わっていきます。ペダルはいくらでも付け替えができるものなので、興味のある人はとりあえず試してみるのも手だと思います。

何事も挑戦!ただし、安全第一を心がける!

そんな感じで、いい意味で気軽に、スポーツ自転車を、SPD-SLを楽しんでいきましょう!

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コメント

  1. 通りすがりのランドヌール より:

    こんにちわ。

    ビンディングの固定力による膝の痛みとありましたので少しばかり気になりました。
    にしきのさんの負傷の原因はおそらく複数あると愚考します。

    私はSPDを長く愛用しておりますが、その理由の一つが膝の自由度です。
    ショップスタッフさんの中にはクリートの色の違いを固定力だけだと教える方がいますが正確には違います。
    正確には固定する角度の遊びの大きさです。
    要するに膝から足首にかけての動きの横向きの振り幅の大きさです。
    この幅の差異は個人差があるのでガッチガチのレース出ている人でもレッドを使用するとまったく走れなくなるといったことになります。
    SPDペダルはこの幅の遊びが大きいのこういうことになりづらいと思います。
    但し、SPD、SPD-SL共通していえますがクリート自体のシューズの取り付け位置や角度によっても痛みが発生します。
    又、ビンディングを使用するようになると、ご自身で体感されていると思いますが変に意識して普段しないような脚を使い方、例えば引き足を強く意識するとやはり痛みが発生します。
    確かに慣れの部分もあると思いますが一定の距離を走ったら突然痛みが出たとかになると取り付け位置などの原因によるものがほとんどです。
    (因みにロード納車直後に身体がロードバイクに慣れていない状態で100km以上走る旅にでるとかものすごくチャレンジャーなことしてて面白い方だな~とおもってたり。。)

    ビンディングを使用し行動範囲が広がるようになると突発の怪我のリスクがどうしても大きくなります。
    もし、ブルベに挑戦されるのであれば『フィッティング』を検索してみてください。
    様々な身体の痛みから解放の一助になると思います。

    • にしき より:

      貴重なアドバイス、ありがとうございます!
      クリートの色の違いによる”遊び”の件、ひざの痛みの直接的な原因はSPD-SL自体ではなくて取り付け位置や角度なのでは?・・・というご指摘、とても参考になりました。
      よくよく思い返せば、ロードバイクではじめておこなった日光東照宮までの130kmロングライドで、すでに左ひざにダメージを受けていました。慣れもありますが、そもそも体にフィットしていなかった?
      つい最近、偶然ですがショップでフィッティングをおこなってもらったところ、5mmほどサドルを上げることになりました。これが吉と出るか凶とでるか・・。クリートの方は相談すらしなかったので今度見てもらうことにします。
      チャレンジャーで面白い方!ありがとうございます。これはもう誉め言葉として受け取らせていただきます(笑)
      来月、再来月とまた無茶なチャレンジ企画をぶっこんでいますので、また読んでいただき、アドバイスいただければ幸いです。