初心者が渋峠をヒルクライム!国道最高地点をめざして走る(from長野県側)後編

日本国道最高地点の碑 自転車ライド

満天の星空を眺めるために、ヒルクライムの聖地『渋峠』を走りはじめました2018年の夏。

体調管理の甘さが原因で、開始早々に軽い熱中症になってしまいました。

 

出発地点である長野県の『道の駅 北信州やまのうち』から、目的地『渋峠ホテル』までは約26kmで、その道のりは、当然ですがほぼすべて勾配のあるヒルクライム。

体調不良に加えて、足がつりそうになることから。クロスバイクを押してひたすら歩きます。

サイクリングではなく”山登り修行”のようになってしまいましたが、なんとか標高2,000m地点に到達すると、つづら折りの先に渋峠ホテルらしき建物を発見!

最後の力を振り絞り、ペダルを回していきます。

 

~前回のライドはこちら~

初心者が渋峠をヒルクライム!国道最高地点をめざして走る(from長野県側)前編
夏真っ盛りの7月、満天の星空が見たい!という理由で、ヒルクライムの聖地・渋峠を訪れてみることにしました。長野県側から上り、渋峠ホテルに一泊して天体観測。翌日に下山という計画でしたが、スタート直後に熱中症?過酷な旅が今はじまる。

 

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過酷な道のりを越えて

気合いを入れてクロスバイクに飛び乗りましたが、渋峠のつづら折りは勾配が急な難敵です。

国道292号の渋峠

ペダルを踏み込んだ瞬間、足がつりそうになったのですぐさま降りることになりました。

うーん、キツイよぉ…

嘆きながら歩いていると、嬉しいことにオートバイに乗ったご夫婦から、「もうちょっとだぞ!がんばれ!」という激励と共に、ガッツポーズまでいただきました。

 

疲れすぎていて、十分なリアクションを取ることはできませんでしたが、かろうじて片手をあげて返事をします。

本日2回目の励ましの言葉。単純な僕は、見知らぬ人からの一言でこんなにも力が湧くのか!というくらい元気が出ました。

目的地まで残りわずかですが、焦らず、一歩一歩確実に上っていこう。

 

渋峠最後の難関を越えて、ついに渋峠ホテルにたどり着いたー!

横手山ドライブイン

…と思ったら違った!早とちりだったみたいです。まだ先なのか、渋峠ホテル!

 

調べてみると、ここは標高2,100mの展望が楽しめるレストランが有名な『横手山ドライブイン』という施設だそうです。

残念ながら営業時間は過ぎていたので、立ち寄らずに素通りします。

横手山ドライブイン

立派な看板があったので、記念撮影しておこう。

 

進行方向は雲がかかっていて視界が不良。いかに高い場所を走っているのかがよくわかります。

国道292号の渋峠の温度計

標高2,100m地点で気温は20℃くらい。走りはじめたところが35℃くらいだったので、驚くべき寒暖の差です。真夏とは思えないくらい涼しくて快適だ。

 

しばらく走ると、見晴らしのいい場所に出ました。

渋峠からの景色

疲れが吹き飛ぶくらいの絶景!こういう景色をずっと待ち望んでいたのです。

もちろん道中でも素晴らしい景色が見られることはあったのですが、長野県側からの道路は両脇に草木が生い茂っているところが多く、基本的には見通しがあまりよくない。

そのせいで”高いところを走っている感”があまりしないのが、玉にきずでしょうか。

 

横手山ドライブインから約1.5kmを走り、今度こそ間違いなく渋峠ホテルに到着しました!

渋峠ホテル

長野県と群馬県のちょうど県境に建っているホテル。わかりやすく色分けされているその様子が、なんともおもしろいですね。

地面にも県境を示す案内がペイントされていたので、県をまたいでクロスバイクを寝かせるというベタなことをやっておきましょう。

 

到着時刻は17時30分。約26kmの道のりを5時間かけて走りました。計算すると時速は約5.2kmなので、ほとんど徒歩のスピードですね。

実際に歩いていたので仕方ありませんが、体調が万全だったら倍くらいの速度は出せたのかな?

検証する余地も気力も今はないので、次回走る機会を楽しみにしておこう。

 

炎天下の山道と5時間に渡る格闘を繰り広げたせいで、疲労困憊。疲れた体を癒すべく渋峠ホテルの中に入ると、宿の人がていねいに出迎えてくれます。

メンタルにもダメージが入っていたので、親切が身に染みる。

 

ちなみに、長野県側が食堂に、群馬県側が喫茶店になっています。

渋峠ホテルの内部

おもしろいですよね。残念ながら営業時間は過ぎてしまっていますが、本来だったらたくさんのお客さんで賑わうのでしょう。

その中にはサイクリストの方もいるのかな?そんなことを想像してみます。

 

18時から夕ご飯ということなので、お風呂に入りたいのを我慢して食堂に直行。ちなみに、自転車はホテル内に入れさせてもらえました。

渋峠ホテルの夕食

ボリュームがあり、とても美味しかった!

朝からほとんどなにも食べずにここまで来たので、お腹がペコペコでした。胃袋が満たされると、不思議と体に蓄積された疲労も発散していくような気がします。

 

食休みにひと息と外の空気を吸っていたら、「今の時間帯だったら夕日がきれいに見えますよ」と、宿の人から声をかけていただきました。

お風呂に入ってゆっくり休もうと思っていた矢先だったので、正直なところ迷いましたが、ここでしか見れない景色を見ないでなにしに来たんだ!と己を奮い立たせます。

今日、またクロスバイクに乗るとは思わなかったぜ。日が落ちる方向に走り出しました。

 

標高2,100mに落ちていく夕日

宿の人の話では、「横手山ドライブインの駐車場からきれいに見えるよ」ということなので、下り坂をすいすいと走っていきます。

首を横にひねると、そこには息をのむような絶景が広がっていました。

渋峠からの景色

青い空、山を覆うモクモクとした雲が夕日を受けて、複雑な色合いを見せています。美しいと感動するのと同時に、改めて高いところまで走ってきたことを実感しました。

 

道中では、早くも夕日を見ることができました。

渋峠の夕日

めちゃくちゃきれい。空気の影響か、雲の具合かわかりませんが、太陽がユラユラしているのも幻想的です。

すでに満足しそうでしたが、せっかくなので横手山ドライブインまで行ってみよう。

 

到着すると、真っ赤に燃える太陽が山の向こうに落ちるのを、視界一面に眺めることができました。青空と夕日のグラデーションが見事です。

渋峠の夕日

諦めずに、自分の足で上ってきたからこその感動でしょう。しっかり目に焼きつけます。

 

熱中症でフラフラしていたときは、引き返そうかと思いましたが、「車で上ったらサイクリングプランじゃなくなる?宿泊代高くなる!?」と考えた結果、今、ここにいます。

ケチ根性万歳!…冗談です。

振り返ると本当に危険なことをしました。次回、このようなことがあったら迷わず引き返す!サイクリングが楽しめるのも、健康な体があってこそですからね。

 

ゆっくりと沈んでいく太陽、それに伴って変わっていく空の色、雲の形。ずっと見ていても飽きない。飽きないのですが…とにかく、虫が多い!

なんだこれ!蚊か?コバエか?

謎の飛行生命体が駐車場を飛び回っていて、僕の周りにも20匹くらいが旋回。体格差をものともせず、猛烈なアタックを仕掛けてきます。

 

手を振り回して追い払いますが焼け石に水。あたりを見回すと、夕日を見ている人の大半が手を振り回しています。

カッコつけてたそがれたかったのですが、こうも虫が多いとそれもかなわぬ夢。早々に退散しよう。

 

さあ、あの大きな雲の下にある渋峠ホテルまで、クロスバイクで全力ダッシュだ!

渋峠の景色

上り坂なので足にきますが、追撃してくる虫から逃れるために一生懸命ペダルを回します。

 

夕ご飯を食べて休憩もしたので、つるようなことはありませんでしたが、虫を払うために手を振り回していたらバランスを崩して転倒しそうになりました。

危なかった。ここまで来て、そんなしょうもない理由で怪我をしたら笑うに笑えません。

つまらんダジャレのようになってしまいますが、その後は虫を無視して安全運転。無事に渋峠ホテルまで帰ることができました。

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天体観測、実行

渋峠ホテルに戻り、いよいよお風呂に入ります。この瞬間がサイクリングの醍醐味ともいえます。

とくに今回はもの凄い量の汗をかき、疲労困憊で走ってきました。気持ちよくないわけがない!癒しを求めてゆっくりと湯船につかります。

明日はほぼ下り坂なので心配する必要はないかもしれませんが、つってしまった足をマッサージして少しでもベストな状態にしておこう。

 

お風呂からあがり、布団の上にダイブ!横になると、全身から疲れが噴き出るのを感じます。速攻で寝れる。本日もお疲れさまでした。おやすみなさい。

…って違うでしょ!星空を見にきたんでしょ!

自分にツッコミを入れつつ、iPhoneをポチポチし”星がきれいに見える時間帯”を調べてみました。

 

太陽光の影響がなくなる深夜0時から3時くらいまでが、星空の観測に適しているみたいです。

まだまだ時間はあるし、とりあえずアラームをセットして仮眠をとろう。寝過ごしました!はシャレにならないですが大丈夫だろう。

 

深夜0時に鳴り響くアラームでしたが、深い眠りについた僕を完全に起こすことは叶わず、布団の中でまどろみます。そして、午前1時半起床。

めちゃくちゃ眠いですが、起きれてよかった。むしろベストタイミングなのではなかろうか?

星空の撮影に必要なiPhoneと重たい三脚、iPhoneカメラ用のリモコンを手に持ち、忍び足で部屋を出ます。

 

渋峠ホテルは時間に関係なく出入り自由。

ホテルと外の間にある通路には、渋峠のアイドル犬・インディー君とマーカス君が寝ているので起こさないように注意します。

さて、どうだ!満天の星空は見えるのか!?

 

うそだろ…!?なにも見えない!

なにも見えないというのはそのまんまの意味で、星はおろか、空すらも見えません。

雲なのか?霧なのか?わかりませんが、周囲は白いモヤに覆われていて数メートル先も見通せない状態。視界不良もいいところです。

 

ベンチに座りながらモヤが晴れる瞬間まで待機しようか?とも考えたのですが、ホラーな雰囲気に若干怖くなり、星空をあきらめてそそくさと退散しました。

部屋に戻り再び就寝。残念でしたが、天体観測の気象条件は努力ではどうにもなりませんからね。

 

その代わりに”朝焼け”でも見てみるか…と、朝4時に起きて外に出てみたのですが、相変わらずモヤに覆われた渋峠の山頂。

今回は縁がなかったということで、三度就寝。おやすみなさい。長い1日だった。

 

日本国道最高地点の碑と渋峠の絶景

朝は7時前に起床します。

旅人の朝は早い…と言いたいところですが、1時半に起きて、4時に起きてを繰り返したせいで眠りが浅く、自然と目が覚めてしまいました。

顔を洗ったあと、すぐさまクロスバイクにまたがり、朝の渋峠を走り出します。

 

目的地はもちろん、あの有名な場所です。

渋峠ホテルを出発して、上ってきた長野県側とは逆方向の群馬県側に750mくらい進むと、それは見えてきました。

日本国道最高地点の碑

日本国道最高地点の碑

これを拝まなければ、渋峠を訪れた意味がない!

日本国道最高地点の碑

標高2,172mの文字がしっかりと刻まれています。

ここまで自分の力で走って…きてはないな。ほとんど自転車から降りて歩いていたので”走破”というより”踏破”といった感じに近いですね。

 

記念撮影はするものの、今回はクロスバイクで標高2,172mを制覇したとは到底いえません。渋峠に完全敗北です。

石碑を見ながら、群馬県側からの道路の交通規制が解除されたら、必ずまた走りにこよう!そう決意を新たにしました。

 

それにしても、群馬県側の景色がめちゃくちゃに美しい。

渋峠からの景色

まさに絶景。新緑が生い茂る様子は本当にきれいで、早朝の清らかな空気と相まって、とても心地いい感覚を味わうことができました。

 

ほんの少しだけ進んでみると『芳ヶ平湿地群ビューポイント』と書かれた看板があり、矢印の指し示す方向に首をひねると、これまた素晴らしい景色。

芳ヶ平湿地群ビューポイントからの景色

思わず見とれてしまうほどの眺めです。やはり、群馬県側から上った方がきれいな景色を堪能できそうですね。

渋峠ホテルにたどり着くより先に『日本国道最高地点の碑』もあるので、「よっしゃー!渋峠を上り切ったぞー!」という感覚も強くなると思います。

 

朝ご飯の時間なので渋峠ホテルに戻ると、アイドル犬がまったりとしていました。

渋峠のアイドル犬

散歩がおわったところかな?なかなかこっちを見てくれないのが残念ですが、休憩の邪魔をしちゃ悪いのでそっとしておこう。

そういえば、アニメ『ろんぐらいだぁす!』でも渋峠が舞台になった話があって、アイドル犬が出演していましたよね。さすがの人気です。

アニメ『ろんぐらいだぁす!』の感想
アニメ『ろんぐらいだぁす!』を全話観た感想をお話しします。一目惚れした折り畳み自転車をキッカケに、スポーツ自転車の世界にどっぷりとハマっていく主人公。ほほのぼのとした日常と成長を楽しめる作品でした。

 

帰る準備を済ませて、渋峠ホテルをチェックアウトしました。お世話になりました!

日本国道最高地点到達証明

そして、忘れずに『日本国道最高地点到達証明』をゲット!これは、渋峠ホテルにて100円で購入できる到達証明書です。

日付や時間、ロット番号が刻まれているので、ヒルクライムの思い出になること間違いなし。全部で5種類の絵柄があるので、コンプリートをめざすのも楽しそうですね。

 

がんばった、昨日の自分の影を見る

時刻は8時30分。少し早いですが、帰路につくことにしましょう!

クロスバイクと渋峠

クロスバイクにまたがり『道の駅 北信州やまのうち』をめざして走り出します。

ペダルを回したのは最初のほんの少しで、残りはずっと下り坂。あれだけ苦労して上ってきた渋峠を一気に駆け下りるのは爽快の一言!

 

スピードが出過ぎないように注意しながら走っていると、昨日の思い出がよみがえってきました。

ここで座り込んで休んだなぁ…

ライダーさんの激励をもらったのはここだったっけ

足つって痛かったな、ほんと

反対車線に、汗をかきながら必死になって自転車を押している昨日の自分の影を見た気がします。この気持ちをなんていうんだろう?

過去にさかのぼり、自分自身を応援したくなる…そんな不思議な感情が芽生えます。

 

そして、5時間かけて上ってきた渋峠をわずか1時間足らずで下ることができました。

長野県下高井郡山ノ内町の景色

長野県山ノ内町の素朴な景色を堪能しながら走ります。

ほとんど下り基調ですし、丸1日休みしっかりエネルギー補給もしたので、今日は足をつる心配はなさそうですね。

 

道の駅に着く前に、立ち止まって来た道を振り返ってみました。

長野県下高井郡山ノ内町の景色

雄大な広がり、連なる山脈。先ほどまでいた場所がはるか遠く、小さくなっています。

今度は”踏破”ではない。自転車に乗って”走破”するぞ!

心の中で誓いを立てて再び走り出し、9時30分に道の駅に無事到着。はじめての渋峠ライドはここで終了となりました!

 

おわりに

1泊2日の渋峠ヒルクライム自転車旅、なかなか大変でしたね。

今回は”長野県側”から走りはじめましたが、景色的にはあまり変わり映えしなかったのが少し残念。やはり、景色を楽しむのであれば”群馬県側”から上った方がよさそう。

交通規制の解除が待ち遠しいですね。

 

景色云々も大切ですが『走るときは体調管理をしっかり!』ということを、今回のライドで改めて痛感させられました。本当にキツかった。

ただでさえ体調を崩しやすい真夏の炎天下でヒルクライムに挑戦するときは、コンディションを整えてから望まないといけませんね。反省しています。

 

そして、今回の重要な目的である満天の星空を観る”天体観測”は、天候不良のため叶いませんでしたが、こればかりは仕方ない。

渋峠ホテルのロビーにも撮影された星空の写真が飾ってありましたが、本当に美しかった。今度は写真ではなく自分の目で見たい!と強く思います。

そのときは、最初から最後まで自転車に乗ったまま”走破”してみせる!

 

それにしても、クロスバイクに乗っている人って、こういう本格的な峠だとあまり見かけないですよね。今回すれ違ったサイクリストは全員がロードバイクでした。

こうなると、「ロードバイクで走ってみたい…」という好奇心が湧きあがってきますね。

 

また、どこかを走りに行ったらお話しさせていただきます!

コメント

  1. PALCOM より:

    渋峠踏破お疲れさまでした。

    小田原・熱海方面に輪行しました。小田急新型ロマンスカー(GSE70000形)は、スペースが広くて輪行に打ってつけでした。関東近郊では、輪行しやすさでこれを上回る列車は少ないと思います。

    秋のライド、リクエストです。ご検討ください。
    ①富士南麓道路(国道469号線)から田子の浦
    ②埼玉県日高市の巾着田

    星空ライド、リクエストです。こちらもご検討ください。
    ニュージーランド南島のテカポ湖

    • にしき にしき より:

      ありがとうございます!次は走破します!
      熱海方面に行くときの参考にさせていただきます。アップダウンが激しいと噂ですが、伊豆半島も走りたいですね~。
      リクエストありがとうございます。
      巾着田の曼珠沙華は昔から見たいと思っていたので、今年は確実に行きます!
      デカポ湖とか最っ高じゃないですか(p゚∀゚q)とりあえず、その前に国内で飛行機輪行を経験しておきます。

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