沖縄自転車旅!本島最北端の地・辺戸岬を走破せよ(2日目)前編

辺戸岬 自転車ライド

沖縄自転車旅の2日目は、行程の中で間違いなく最大の難関コースを走る日。

しかし、初日に見舞われた変速機の故障。それにより、フロントに付いている大きな歯車と小さな歯車の切り替えができなくなってしまいました。

 

上ったり、下ったりを繰り返す”緩急”の多い道のりでこそ、フロントギアは真価を発揮します。

それを封じられて、やんばるを走れるのだろうか?

不安が胸をよぎりますが、壊れてしまったものは仕方ない。直せないものは諦めるしかない。

なにが起きようとも、それが””というもの。よっしゃ、楽しんでいこう!

 

~前回のライドはこちら~

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止まるか?進むか?決断の下方修正

朝6時、起床。疲れていたのか深い眠りにつくことができ、気持ちのいい目覚めです。

今日は沖縄自転車旅の2日目。

北部『やんばる』をぐるりと約150kmを走る予定でしたが、変速機の故障に伴い、気持ち的に二の足を踏んでいます。どうしたものか。

 

自転車をレンタルするとき、お店の人に『やんばる』について尋ねてみました。

辺戸岬までは平坦。しかし、行きも帰りも風が強い区間が続くよ

そこから先はアップダウンが多く、携帯の電波が入らないエリアもあるので要注意

競輪選手やプロ選手が練習で走るようなところだよ

なかなか走りごたえのありそうなコースだな!燃えてくるぜ!

 

昨日はそんな風に考えていましたが、フロントギアが切り替わらない状況では話が違います。

素っ裸で魔王に挑む勇者の気分。

ベッドで横になりながら悶々としていると、「無謀だ…」という負の感情に心が支配されてしまいました。実際、身の危険も感じますしね。無理は禁物です。

 

そんなわけで、目標を下方修正。辺戸岬まで走り、戻ってきたら適当に名護市内をサイクリングすることにしました。

一周に比べたら”下方”なだけであって、ホテルから辺戸岬まで50kmありますからね。往復で100kmを超えるので、そこそこのロングライドといえるでしょう?

そんな具合に言い訳しつつ、出発の準備を整えます。

 

話は変わりますが、生まれてはじめて『浴室乾燥機』を使いました。すさまじく便利で驚きです。

連泊を伴う自転車旅では、「洗濯物をどうするか?」という問題が常につきまといます。

洗濯乾燥機が宿に備え付けられていれば、まだいい方です。ない場合は近隣のコインランドリーまで足を運ばなければいけません。時間もお金も余計にかかってしまいます。

 

そんな”旅先の洗濯事情”において、浴室乾燥機は最高でした。

洗濯機も含めてすべて自室にあるので、移動する必要なし、他の利用者の事情を考慮する必要なし、追加料金の必要なし…と、いいことばかり。

まさに無敵の神設備。いい宿に泊まることができて、幸せな気分です。

 

時刻は6時45分。きれいになったサイクルウェアに身を包み、外に出ます。

明るいですが、まだまだ太陽が昇り切っていない早朝の空。薄い水色と朝焼けの赤がブレンドされて、幻想的な光景となっています。

これはテンションが上がる!

 

しかし、ロードバイクを見ると一転、「そういえばフロントギアが壊れていたんだよな…」とせっかく上がったテンションほんの少しだけダウン。

気をとりなおして、沖縄自転車旅の2日目!楽しんで走っていきましょう!

 

昨日走ってきた道を引き返すように、進みます。

沖縄フルーツランド

トロピカル王国 OKINAWAフルーツらんど

いかにも”沖縄”といった感じの風貌が好ましい。カラフルな鳥と触れ合えたり、熱帯果樹園で南国のフルーツを見ることができる施設のようです。

地産料理やトロピカルなスイーツも楽しめるようなので、観光で来たら立ち寄りたいスポット。

 

高いところにいるため、少しずつ太陽が昇っていく様子を見ることができます。

名護市の朝日

11月中旬、関東ではめっきり寒さが強まるこの時期ですが、沖縄県では涼しいくらい。気温にすると17℃くらいでしょうか。

アンダーウェアの上に羽織ったサイクルジャージでちょうどいい感じ。

 

優しい朝日を浴びながら、坂道を駆け下りていきます。

名護市、国道58号

そして、国道58号に到着です。目的地である辺戸岬までは、ひたすらこの道を進めばいい。わかりやすくて助かりますね。

ここまでの約2kmで、ウォーミングアップは終了。今日は天気もいいし、風も少なそうだ。平坦基調と聞いているので、ガンガン飛ばしていこう!

先にはどんな風景が待っているのか?夢にまで見た『やんばる』に突入していきます。

 

国道58号、海岸線を往く

国道なだけあって朝から交通量は多いですが、段差の多い歩道は避けて車道を走ります。

路側帯に青い矢羽根マークがあるだけで、僕のような小心者サイクリストは市民権を得たような気になります。いや、自転車は車道を走るのが交通ルールなんですけどね?

 

少し進むと、左手側になにやらレトロなたたずまいの看板が見えてきました。

ネオパークオキナワの看板

ネオパークオキナワ 名護自然動植物公園

かなり色あせていますが、ここ営業しているのだろうか?なんて失礼なことを考えてしまいましたが、調べてみるとバリバリ現役でした。

初代園長の、「人と動植物の共存を体験してほしい」という基本理念に基づき作られた、他に類を見ないと称されている動植物公園だそうです。

名護市には僕の知らない素敵な観光名所がたくさんあり、ワクワクしてきますね。

 

スイスイと走っていると、青い案内標識に『辺戸岬』の文字があらわれました。

名護市、国道58号

残り46km!いつもの自転車旅で走る距離に比べたら、大したことはない。

 

走りはじめて30分ほど経ったところで、さっそく美しい景色に出会うことができました。

国道58号から見た羽地内海

本部半島と屋我地島に囲まれた『羽地内海』です。穏やかな海面はまるで鏡のように、空の風景を映しています。なんとも幻想的で見とれてしまう。

このあたりは前回の沖縄自転車旅で走っていますね。懐かしい。

沖縄を走ろう!本部半島&古宇利島を一周サイクリング(2日目)
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そこを過ぎると、グッと海が近くなる海岸線を走っていくことになります。

国道58号、海岸線

波の音が耳に心地いいぜ…

なんてカッコつけたいところですが、路側帯は狭く、交通量も多いのであまり呑気にしているわけにもいけません。集中していこう。

 

情報どおり、平坦な道が続きます。

行きも帰りも向かい風…と聞いていましたが、よほど運に恵まれたのか強い風は感じません。これは嬉しい誤算です。

とても快適で、フロントギアが故障しているのも忘れてしまいます。そもそも高低差の少ない道でのギアチェンジは、リアのギアさえ使えれば問題ありませんからね。

 

大宜味村に入ります。なんて読むか?これで”おおぎみそん”です。

大宜味村、入口

シークワーサーの里と書かれているとおり、沖縄県内で1番の生産量を誇るそうです。

 

しばらく進んでいくと、広い駐車場があらわれました。

道の駅おおぎみ やんばるの森ビジターセンター

逆光で見えにくいですが、看板には”道の駅”と書いてあります。

正式名称を『道の駅おおぎみ やんばるの森ビジターセンター』といい、大宜味村を中心とした北部の名産物の直売所、食堂、やんばるの魅力を伝える映像ホールなどがあるようです。

 

めちゃくちゃおもしろそう!

なのですが、時刻はまだ朝の8時にもなっていません。さすがに施設はオープンしておらず、駐車場に数台の車が止まっているだけで閑散としています。

道の駅が始動するのは何時からなんだろう?早くても9時か、10時でしょう。ただ待つには長すぎますし、現状では小一時間のロスも痛い。先を急ぐべし。

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突入!やんばる国立公園

順調なライドが続いています。

100mくらいの短い橋を渡り、大宜味村の『宮城島』という離島に渡りました。地図で見なければわからないような小さな島を、一瞬だけ走ることになるのです。

大宜味村宮城島、やんばる国立公園の看板

そこには『やんばる国立公園』の案内板が掲げられていました。

 

日本最大級の亜熱帯樹林が広がり、ヤンバルクイナをはじめとする多種多様な動植物が生息し、マングローブ林のような固有の自然環境を有する国立公園。

その規模は広大で、北部の一帯が公園といっても過言ではありません。

ついに、やんばるにやってきたんだな…!

そんな想いが胸に湧きあがり、にわかに高揚します。

 

ひたすらに海岸線を走ります。

沖縄県国頭村、国道58号

右手側にある山にまだ上り切っていない太陽の光が遮られ、車道に影を落とします。

水平線のむこうに見えるのは『赤丸岬』だろうか?立ち止まったついでに地図アプリを開いてみると、ニョキっと突出した岬にそのような名前が付いていました。

 

そして、北部の半分以上を占める『国頭村』の入口にやってきました。

国頭村、入口

国の頭の村と書いて、読み方は”くにがみそん”です。字面もあいまって、なにやらスピリチュアルな気配を感じますね。

看板の上に鎮座しているのは、山原(やんばる)地域の固有種『ヤンバルクイナ』です。実際の全長は30~35cm程度で、鳥ですがほとんど飛べないそうです。

運がよければ路上でお目にかかれるのかな?

 

走っていると、ひさしぶりにコンビニを見つけました。

おそらくこの先、気軽に補給食やドリンクを買えるお店は激減するだろう。もしかしたら、ゼロかもしれない。そんなわけで『ローソン国頭浜店』で休憩します。

ここまでの走行距離は約27.5km。辺戸岬まではちょうど50kmの道のりなので、もう半分を越えていたんですね。なんやかんやであっという間だ。

 

少し進んだところに『道の駅ゆいゆい国頭』を発見。

道の駅ゆいゆい国頭

例によって時間が早すぎてオープンしていませんが、雰囲気だけでも感じていこう。そんなわけで、閑散とした駐車場に侵入していきます。

 

立派な建物が並んでいて、魅力的な道の駅だということが伝わって…ん?なんだあれ?

道の駅ゆいゆい国頭、ウエイトリフティングをするヤンバルクイナ像

正面玄関前に妙な生き物の像があったので、思わず立ち止まります。これはもしかして…ヤンバルクイナなのか?

調べてみると、1987年に沖縄でおこなわれた国体(国民体育大会)の公式マスコットキャラクター『クイクイ』だそうです。

国頭村はウエイトリフティングの会場になり、それを記念してバーベルを持ち上げようしているクイクイの像が作られたんですね。

 

道の駅に隣接して建てられている『やんばる3村観光案内所』も凄い。

やんばる3村観光案内所

沖縄本島の北部を占める大宜味村、国頭村、東村。3つの村が連携した観光の拠点。

観光スポットの案内だけではなく、食事を楽しめるフードコートや自転車のレンタルなんかもおこなっているようです。

 

辺戸岬までのサイクリングも、いよいよ佳境をむかえます。

新与那トンネル

新与那トンネル

全長559mのトンネル。距離は短いですが、サイクリングのいい刺激になります。

なんて言ってられるのは、交通量が少なく、幅のある歩道が整備されているからです。自転車目線で見るともっと悪環境のトンネルはいくらでもあり、そういうところを走るのは本当にこわい。

 

トンネルを抜けると、青い空が広がっていました。

新与那トンネルを出たところ

これまで当たり前のように見ていた、見えていた青空。トンネルに入っていたほんの数分で、その”ありがたみ”を改めて感じられるようになりました。

 

沖縄本島・最北端の地『辺戸岬』に立つ

時刻は9時ちょうど。出発してから約2時間が経ちました。

辺戸岬まで残り13kmの青い交通標識

辺戸岬まで残り13km。その上に『東 69km』と書かれているのは東村のことかな?

 

ひたすらに海岸線を走ります。

国頭村、国道58号

フロントギアこそ変わらないものの、ロードバイクの調子も悪くない。平坦に続く道が気持ちよく、ついついペダルを踏み込む足に力が入ります。

 

そして、ついに国道58号を離れるときがきました。

国道58号から辺戸岬への看板

もうすぐ目的地にたどり着けるぞ。期待で胸がドキドキします。

 

ちなみに、反対方向には『茅打バンダ』があります。バンダとは、沖縄県の方言で””を意味するそうで、絶壁から青い海と森林をいっぺんに眺めることのできる国頭村の景勝地です。

ここでも相当にきれいな景色と対面することができそう。

辺戸岬に気をとられて”立ち寄る”という選択肢が浮かびませんでしたが、いつかの楽しみにとっておきましょう。

 

左折した交差点から1kmくらいで、辺戸岬に到着しました。

辺戸岬

時刻は9時40分。出発から2時間40分で約50kmを走り切り、たどり着くことができました。

うおー!ここが、沖縄本島の最北端か!

思わず叫んでしまうほど、素晴らしい絶景が広がっていました。

辺戸岬の断崖絶壁

すんごい断崖絶壁。風は強くないものの、波が打ちつけて白く泡立っています。

 

11月の関東では木々は葉を落としはじめ、少しずつ冬に近づいていく時期。しかし、辺戸岬からはたくさんの””を見ることができました。

辺戸岬

荒々しく切り立つ崖、それを覆うように生えている植物たち。

どこかワイルドというか、原生的な自然の様相に圧倒されてしまいます。これは、「さすが、やんばる!」と思わざるをえません。

 

視線を左に移動させると、やんばる一周の”続き”が視界に飛び込んできました。

辺戸岬

沖縄本島の東側。国頭村を抜けて東村を走るルートは、ここまで走ってきた平坦道とは違い、アップダウンがの多い過酷な道のり。

走った先で得られるものは?まだ見ぬ景色と、「一周を走り切った!」という唯一無二の達成感。

 

せっかく来たのだから余すことなく堪能したいということで、辺戸岬をウロウロします。

あ、凄いの発見した。

ヨロン島・国頭村友好のきずな記念碑

海風で茶色くさびついたプレートには『ヨロン島・国頭村友好のきずな』と刻まれています。

おお!走ったことのある島の名前が出てきて驚き。鹿児島県最南端の島ですね。

2019年走り納め!鹿児島県最南端の与論島を一周サイクリング
鹿児島県の最南端にある与論島をサイクリングしてきました!島一周は約20kmと小さい島ですが、エーゲ海のような美しい海を見ながら走れるのは至福の極み。独特な文化を感じることができる与論島を思う存分楽しみます。

 

与論島と国頭村は戦前から交流があり、沖縄県と本土が分断されていた当時は、北緯27度の”見えない境界線”で本土復帰を願う海上集会がおこなわれていたそうです。

そんな歴史的背景を持つ与論島と国頭村では、2022年の沖縄県・本土復帰50周年を記念し、姉妹都市の提携が結ばれました。

 

羽ばたく白鳥の記念碑の先、水平線に目を凝らしてみます。

辺戸岬から約20kmの距離にある与論島を、うっすらとですが眺めることができました。なんとも感慨深い気持ちになりますね。

 

本来であれば最初に見るべきものだったのか?と思うような看板があったので撮影。

辺戸岬

沖縄島最北端の地 辺戸岬

素晴らしい!

これにて、辺戸岬までのサイクリングは無事に完走です。お疲れさまでした!

 

歩みを止めるな!続く、北部一周の旅

2日目の走行計画は”フロントギアの故障”により、やんばる一周から辺戸岬往復ライドに下方修正せざるをえませんでした。

目標は達成した。あとは来た道を引き返し、名護市をまったり観光するのみ。

 

そのはずだったのですが、素直に戻る気になれません。

国道58号の海岸線を快調で走り、沖縄本島最北端の絶景を眺めた。この上がり切ったテンションのまま、帰路につく?そんなの無理だ!

先に進もうか?

頭の中で自問自答をはじめたころには、すでに答えは出ていたように思います。

 

今回の自転車旅、最大の目的は”やんばるの地”を走ること。楽しみにして、飛行機に乗って海を渡ってきたんだ。

当初の計画どおり、やんばる一周をめざす!

フロントギアが切り替わらない?そんなもん、なんとかなる!なんとかする!

 

そんなわけで、下方修正した目標を再び戻して、沖縄本島『やんばる』を走っていきます。

結構…いや、かなりの苦労が見込まれますが、走りたい気持ちには正直にならないとね。

後編に続く!

 

~次回のライドはこちら~

沖縄自転車旅!本島北部・やんばるのアップダウンをひた走る(2日目)後編
辺戸岬を越えて、そのまま北部『やんばる』に足を踏み入れました。噂どおりアップダウンに激しい難関コース。故障した変速機を手動で切り替えるなど、工夫しながら先へと進みます。海岸線や山の中を走ったり、とても刺激的でした。

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