千葉県一周自転車旅の最終日がやってきました。
本来であれば”3日目”で、旅はまだまだ続くはずだったのですが、急きょ予定を変更して輪行で帰ることにしたのです。
疲労や体調面の不安から、「必ずチバイチを達成するぞ!」というテンションを維持することができなくなってしまったのがその理由。
最近の自転車旅は、見通しが甘いのか、計画がずさんなのか、途中リタイアが多い気がする。
まぁ、それはそれでいいか!最高のコンディションでチバイチを楽しむため、今は無理して先に進まないだけ。1回のチャレンジで”完結”させちゃもったいないぜ。
そんなわけで、最終日の様子をごらんください。
~前回のライドはこちら~
夜に音声配信アプリ『stand.fm』で旅の備忘録を兼ねて、ライブ配信をおこないました。
リアルな体験談を話していますので、ぜひご視聴ください。
チバイチ、リタイアの朝
朝5時に起床。
早起きをしました!…と言いたいところですが、深く眠れず、まどろんでいた時間が長かったため、結果的に”起きてしまった”という感じです。
ゴロゴロしていても仕方ないので、出発するか。
身支度を整えて外に出てみると、雨が降ったのか?というくらい夜露で地面が濡れていました。ロードバイクも例外ではなく、しっかりビショビショ。
オーナーさんには、「部屋の中に入れてもいいよ」と許可をもらっていたのですが、雨も降らないだろうし、盗まれる心配もなかろう!なんて横着した結果です。
走っていればそのうち乾くでしょう。気にしない。
リュックサックを背負い、ロードバイクを押して入口まで歩きます。
道中、扉が開いているログキャビンがあったので、「他のところはどんな内装なんだろう…?」と興味を持ち、ちらりと視線を送ると宿泊者の方と目が合いました。
「おはようございます!」
見るからに”サーファー”といった風貌のその方は、気持ちのいい挨拶をしてくれました。僕も元気に挨拶を返します。
内装はほとんど変わりませんでしたが、気になったのは室内にウェットスーツを干していたこと。そして、小型犬が走り回っていたこと。
なるほど!こういう使い方をしてもいい宿なのか!なんだか、もの凄く納得しました。
房総半島はサーファーのメッカですからね。こういう、いい意味で”気楽に利用できる宿”はアウトドアを趣味とする人から重宝されるのかもしれません。
そんなこんなで、ラピュタ風のログキャビンが立ち並ぶ集落をあとにしました。強烈な印象と刺激的な一晩を体験させてくれた宿に、心から感謝です。
早朝の空は晴れ渡っていました。穏やかに流れる小川も、のどかな風景を演出してくれています。
せっかくなので記念にロードバイク『Bianchi OltreXR3』も撮っておこう。
2019年モデルでフレームカラーはマットブラック。近年のモデルだとマット系の色味は廃止されていて、この”オルトレシリーズ”もツヤのあるグロスカラーのみとなっているようです。
朝焼けに佇む姿は、なかなか様になりますね!
輪行で帰ろう
最終日となる今日の予定は、とにかく電車で帰る。それだけです。
最寄り駅を調べたところ、南房総市千倉町の『千歳駅』が約2.3kmと最短のようです。ここから内房線を利用して『蘇我駅』まで行き、自宅方面の電車に乗り換えることにします。
朝の海岸線は本当に気持ちがいい!景色も最高です。
昨日はあんなに苦戦させられた向かい風も、今は感じることがありません。もしかしたら3日間通して、今日が一番のサイクリング日和なんじゃないか?
途中リタイアの最終日に”最高”を引き当てるあたり、自分らしいというか、なんというか。
走りながら体の調子を確認します。節々は痛むものの、「走れないくらい痛い!」という部分はありません。スムーズにペダルを回せて、いい感じ。
強風の中を長時間走ったことによる”ドライアイ”も、一晩でかなりよくなったみたいです。少しお高い目薬を小まめにさしてた効果かな?
1日目は極寒の雷雨ライド、2日目は向かい風ライドで、肉体と同じくらいメンタルにダメージを受けていて、その結果としてとリタイアを選択したのですが、全然走れそうだ。
「このまま、千歳駅を通過して一周を再開するか?」
当初の走行計画では、チーバくんのつま先にある『洲崎灯台』に立ち寄り、おへそあたりの『富津岬』を経由して、みぞおちの袖ヶ浦市まで走る135kmのライドでした。
いけなくもなさそうですが、袖ヶ浦市くらいから工業地帯、都市部に入るのでどうしても交通量が多くなります。情報収集をしたときに、そんなブログ記事を見かけた記憶もあります。
体調が万全ではない今、大型トラックと並走するのは少し怖い。ここは大事をとって、またの機会に再チャレンジしよう。
あんまりコロコロと予定を変更するのもなんだかな…って感じですしね。
そして、南房総市の海風にあたりながら『千歳駅』に到着しました!
到着時刻は6時10分。あっという間でしたね。
なんというか雰囲気のある駅です。ロードバイクを立てかけたまま中に入ってみると、どうやら無人駅のようです。それどころか券売機も見当たりません。
ウロウロしていると壁に貼られた案内を発見。
どうやらSuicaなどのICカードは普通に使えるようですね。持っていない人は『乗車駅証明書』なるものをもらい、降りるときに駅員さんに渡す…のかな?
おお、これか。僕は幸いにもICカードを持っていたのでお世話にはならずに済みそう。
いいですね!僕は電車には疎いですが、こういうレトロな感じの駅は嫌いじゃありませんよ。
「さて、次の電車はいつ来るのかな?」
時刻表を見てみると、約30分後に到着するようです。その次になると…1時間後!?うそだろ!路線によってはこういうことも起こりえると、まったく考えていなかったです。
ここで1時間半も待つくらいなら、それこそ旅の続きができてしまう。とにかく、急いでロードバイクを輪行袋に入れていきます。
なんとか電車が来る前に作業完了。油で汚れた手を近くにあった公衆トイレの水道をお借りして、きれいに洗い流します。これで準備はバッチリでしょう!
改札を通ります。僕以外にも利用者がいたので、なんだか安心しました。
1本の線路が続いでます。チーバくんのアキレス腱である『南房総市』から、喉あたりにある『蘇我駅』までの電車輪行。
乗っているだけとはいえ、約2時間かかりますからね。なかなかの長旅ですよ。
【本日のライドデータ】
走行距離 2.44km(トータル330.61km)
所要時間 0時間12分
走行時間 0時間12分(-0時間00分)
再開!蘇我駅からのサイクリング
時刻は9時過ぎ。無事に蘇我駅に到着しました。
「よっしゃ!行くか!」
蘇我駅東口を出た僕は、邪魔にならないスペースを確保して輪行を解除。すぐ近くにあったデイリーヤマザキで朝ご飯を食べてから走り出しました。
自宅の最寄り駅まで電車で帰る予定だったのですが、「それではあまりにもあっけない!」と思い、蘇我駅からは自走することにしたのです。
たっぷり時間があったので電車に揺られながら調べてみると、チバイチの出発地点までは大体ですが60~70kmくらい。
本来走る予定だった距離の半分程度ですし、なんとかなりそう。早朝の海沿いを走る心地よさが、僕のメンタルを回復させてくれたようです。
電車輪行ですっ飛ばした区間は、また後日”チバイチ第2弾”ということでチャレンジしよう!
9時20分、チバイチ再開。
まずは線路沿いをゆるゆると走っていきます。チバイチなので、なるべく外側を走りきれいに一周の線を描きたいところですが、道路事情にもよるので大まかでもいいでしょう。
ある程度走ったら、東京湾沿いに出るために左折。国道14号を越えて”京葉線通り”に出ます。
しばらくはモノレールと並走ですね。
交通量は多いですが『自転車専用』と書かれた青いレーンが幅広く設けられているので、安心して走れます。路面の状態もいいのでかなり快適です。
僕は『都会は交通量が多くて走りにくい』という印象を持っていて、これまではなるべく避けてサイクリングを楽しんでいたのですが、少し考え方が変わりました。
交通量が多く危険なところを多くの人が利用する都会の道だからこそ、行政も”自転車専用レーン”や”青い矢羽根マーク”を設置して、より安全な道路を整備してくれるのではないか?
房総半島の一部では、路側帯もない上に道幅が狭くて神経をすり減らす区間がありましたからね。そこに比べたら、今走っている京葉線通りはとても走りやすい!
しばらく走り、黒砂橋東側という交差点を左折して、今度は”海浜大通り”という道路を進みます。
左側には『稲毛海浜公園』という長さ約3kmの大きな公園が広がっており、ランニングやサイクリングのコースになっているのか、運動を楽しんでいる人が目立ちました。
稲毛海浜公園を通り過ぎた先にある『美浜大橋』からは東京湾を眺めることができました。
いいですね。しばらく海を眺めながらぼんやりします。
蘇我駅を出発して約1時間が経過し、進んだ距離は約13kmとペースとしては少し遅めですが、急ぐ旅でもないのでじっくり進んでいきましょう。
そのまま千葉県道15号・千葉船橋海浜線を走っていくと、南船橋駅のすぐ近くで、国道357号・湾岸道路にぶつかりました。チーバくんのアゴあたりです。
そこからしばらく湾岸道路に沿って進んでいくのですが、とにかく走りにくい。
普通車のみならず、貨物輸送を目的とした大型トラックの往来も多い車道には、恐ろしくて出ることができません。
そもそも走っていいのか?自転車通行禁止の交通標識は見当たりませんでしたが、歩道が整備されているので素直にそちらを利用することにします。
幅が狭く、路面状態がよろしくない道路に苦戦しながらも、必死にペダルを回します。しかし、なんだろう。思ったように距離を稼ぐことができません。
サイクルコンピューターの走行距離を見ては、「まだ1kmしか進んでいない…」を繰り返し、目的地までの遠さに絶望します。
やっぱり疲労が抜けていないのかな?いつもより体が重い気がする。
絶好のサイクリング日和なのですが、僕を応援するかの如く太陽もギラギラと輝いており、1秒ごとに皮膚が焼けていきます。
日焼けも体力を奪られる大きな原因になりますからね。コンビニで買い物をするついでに、休憩をしながら日焼け止めクリームをぬりぬり。
そんな感じで走っていると、ついに市川市に入りました!
江戸川に到着。相変わらず、雄大に流れていますね。
千葉県一周自転車旅の出発地点であり、本日のゴールでもある『流山駅』までは、江戸川沿いに整備されているサイクリングロードを使って向かうつもりです。
しかし、きれいにチバイチを達成するためには立ち寄らなければならない場所があるので、今はスルー。市川大橋を渡って、江戸川を越えていきます。
走りにくい道をひたすら進んでいくと、浦安市の『舞浜駅』にたどり着きました。
ここまで来れば、目的地の『東京ディズニーリゾート』までもう少し!
どうやって駅の向こう側に行けばいいんだろう?道を見つけられずにウロウロする羽目になりましたが、なんとか通過。疲れで判断力が鈍っている。そういうことにしておこう。
夢の国の片りんを感じながら走っていると、人が集まっているスポットを発見。もしや!と思って近づいてみると、そこにお目当ての場所がありました。
東京ディズニーリゾートの屋外にある噴水。ここに来たかったんですよね。
写真撮影している人がたくさんいて真正面から撮ることはできませんでしたが、なんとか粘ってロードバイクとのツーショットを激写。とても満足です。
それにしても、子供のときはディズニーランドが本当に”夢の国”だと思っていました。
時が経ち、車に乗るようになって車窓からランド内の建造物を見たときは、「そうだよな。夢の中じゃなくて地続きにあるんだよな…」と、妙にしんみりしてしまったのを覚えています。
そんな思い出の場所に、今、自転車で来た。なんだか不思議な感覚ですね。
川沿いの景色に魅了されながら
走りはじめて約3時間が経過、時刻は12時30分です。
チーバくんの舌先にある浦安市ですが、ここからはひたすら川沿いを走るだけなので道のりはとても簡単。迷うことはないでしょう!…多分。
まずは、旧江戸川を目印にしながら進みます。
土手には歩道なのか?サイクリングロードなのか?わかりませんが、道路が整備されているのでとても走りやすい。
しかし、当然ですが歩行者やママチャリライダーさんも利用しているので、あまり一生懸命にペダルを回すわけにもいきません。
右に首をひねると一段低いところに車道がありました。車の往来もほとんどなさそうなので、こちらの方が走りやすそうだ。思う存分、かっ飛ばしていきます。
おもしろい地形を発見したので、思わず立ち止まりパシャリ。
旧江戸川が二俣に分かれていて、そこに中州があるのですが、これが東京23区唯一の自然島『妙見島(みょうけんじま)』なんだそうです。
コンクリートによる護岸工事がおこなわれるまでは”流れる島”と呼ばれ、川の流れと共に少しずつ島自体が移動していたらしい。
川を取り巻く話は本当におもしろいですね。
旧利根川沿いを走っていて、イタリアにある”水の都ベニス”を思い出しました。なんというか、街の中に川があり、川の中に街がある…という感じ?
ベニスなんて行ったことないですからテレビでの記憶ですが、生活する上で川や水路などの”水”が密接になっていて、共存関係を結んでいるような雰囲気がイメージとして結びついたのです。
いいですね!すごく好きですよ、こういう街並みや風景。とても癒されます。
気分よくペダルを回していましたが、気がつけば行き止まり。
川の水をなんやらかんやらする施設かな?
引き返して、正規ルートである県道6号に出ました。ここら辺の右往左往ぶりは、ぜひガーミンコネクトでご確認くださいませ。
旧江戸川とお別れし、行徳橋を渡ります。
ここまでの走行距離は約47kmでした。結構疲れましたが、自転車旅1日目や2日目と比較すると、まだまだ3分の1くらいしか走っていないんですよね。
振り返ると、「我ながらよく走ったな…」と感心してしまいます。
さて、ここからは江戸川サイクリングロードを走りますよ!
東京スカイツリーがそびえ立っているのが見えます。高さ634mは伊達じゃない。
河川敷にはテントを張って、ピクニックを楽しんでいる人たちが見受けられました。コロナ禍でアウトドアの需要が増えているという話は聞きましたが、その一環かな?
屋外だったら密にもなりませんし、家族単位で楽しむのであれば問題は少ないように思います。
あっという間に市川橋までやってきました。
東京ディズニーリゾートに行くために渡った橋は、市川”大”橋でしたね。
日本横断自転車旅をしたときの出発地点である『葛西臨海公園』に向かうときに、この市川橋を利用して江戸川を渡り、東京都内に入っていきました。懐かしい。
市川橋手前の道路を横断するのに少し手間取りましたが、無事クリア。残り約15km!ここからは、何回も走ったことのある道だ。ひたすらペダルを回すのみ。
そして、ついに!千葉県一周自転車旅のゴール地点である流山駅に到着しました!
ただいま、戻ってきました!
出発のときにも見たレトロな風貌の駅舎がお出迎えしてくれます。癒される。自動販売機がたくさん置いてあったので、ドリンクを購入してガブ飲み。生き返る。
これにて千葉県一周自転車旅は終了となりますが、家に帰るまでが遠足です。
油断せずに帰路に就くとしましょう!
【本日のライドデータ】
走行距離 68.65km(トータル399.26km)
所要時間 5時間2分
走行時間 4時間20分(-0時間42分)
千葉県一周自転車旅・未完!
長きにわたりお伝えしてきました『千葉県一周自転車旅』ですが、今回でいったん完結です。
なかなかに過酷な旅でした。
とくに極寒雷雨の中を走った1日目は、サイクリスト人生の中でも1位・2位を争うくらい大変でした。2日目は向かい風とドライアイに苦しめられました。
総じて、自分の能力を過信した上で走行計画を立ててしまったな…という印象。
でも、無事に走り切れたので後悔はしていません。このくらい無茶な計画立てた方が、おわってから思い出になるものです。
それでも、心身の健康と安全はきちんと確保して!今回の教訓にします。
完全に一周したわけではないですが、千葉県を走ってみた感想を軽く語っていきましょう!
走行計画をお話ししたときに使った地図を加工したものです。
3日目でチーバくんのおへそまで走り、4日目で胸、アゴ、口を経て、ゴールする予定でしたが南房総市でまさかのリタイア。
黒い線は電車輪行ですっ飛ばした区間になります。
千葉県サイクリング、とくに一周するチバイチの良いところは、ほとんど”平坦な道”で構成されているところでしょう。
上りで苦労した記憶がほとんどありません。思い返せるのは、2日目で走った”屛風ヶ浦”ですが、距離もさほど長くありませんし、細かいアップダウンが連続しているというイメージ。
とにかく坂道の少ない平らな道が続いているので、「ヒルクライムが嫌い!」という人には最適かもしれませんね。
1日目はほとんどサイクリングロードの上を走っていたので快適でしたが、房総半島に入ってからは幅の狭い道路が続く印象で、あまり走りやすいとは感じない。
歩道もなく、路側帯も狭いなんて道も結構あり、車との距離が近いので気を遣いました。
ただ、銚子市から和歌山県まではるばる1,400km続く『太平洋岸自転車』のロゴが道路に刻まれているおかげで、道に迷う心配は少ないです。素晴らしい取り組みですよね!
景色については、海沿いの美しい景色を見られたので満足です!…が、デジカメを見ながら思い出を振り返っていると、「絶景に出会えた~!」という写真は意外と少なかった。
自然の中よりも”街の中”を走っている感覚の方が強く、そういう意味で千葉県は全域が都会なのかもしれませんね。
いろいろ書きましたが、こんな感じです。
なかなかストイックな道のりでしたが、走っている最中の過酷さとは裏腹に、とても思い出深く、楽しい自転車旅になりました。
無茶な計画を立てて途中リタイアする…ってのが常習化されつつあるのが今後の課題かな?前述したとおり、それはそれでいい気もするんですけどね。
輪行で走っていない区間に関しては、改めて走りますのでご安心ください。
剛脚サイクリストだと1日足らずで走り切ってしまうとウワサのチバイチですが、僕はこんなもんでしょう。2回に分けで千葉県を回る。楽しみは先延ばしにしときましょ!
そんなわけで、千葉県一周自転車旅の話をおわりにします。
次回もお楽しみに~!
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