太平洋岸自転車道・完走チャレンジ!神奈川県の海岸線をひた走る(1日目)前編

鎌倉市、由比ガ浜 自転車ライド

連休の初日はゆっくり療養し、英気を養うことに成功。

翌3月24日、万全の状態で『太平洋岸自転車道』を走る自転車旅の開幕です。

 

走行計画をあえて練り込まず、臨機応変に旅をする。

いつもと違うスタイルは、良くも悪くも緊張感を与えてくれます。太平洋の海岸線はどんなサイクリングを楽しませてくれるのか?

スマホのアラームで飛び起き、ワクワクしながら出発の身支度を整えます。

 

~準備編はこちら~

太平洋岸自転車道・完走チャレンジ!1,400kmを超える旅路を往く(準備編&0日目)
国土交通省が指定したナショナルサイクルルートのひとつ『太平洋岸自転車道』をひた走る今回の企画。過去にチバイチで千葉県内ルートは走っていたので、今回はその続き、神奈川県久里浜港からスタート。分割チャレンジで完走をめざします!

 

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出発の地・久里浜港へ

深夜、ロードバイクを車に積み込み、久里浜港に向けて出発します。

めざすは近隣にあるコインパーキング『タイムズ久里浜第6』です。基本ですが、駐車場は”駐車後24時間最大料金”が設定されているところを選びましょう。

調べると駐車は”最長48時間”と出てくることがありますが、タイムズに問い合わせたところ「30日間連続で駐車可能、7日以内だったら申請の必要なし」との回答をもらえました。

すべての駐車場がそうとは限らないので要確認ですが、ありがたいですね!

 

タイムズ久里浜第6は”最大料金880円”と非常に安価。

最低3日間は駐車する予定なので大助かり!逆にいえば、ここにとめられないと他を探す必要が出てきてしまいます。それはめんどうだ。

スペースが埋まらないように、早めの到着を心がけましょう。

 

自宅から久里浜港は100km以上も離れているので、約2時間の深夜ドライブを楽しめます。

早朝5時ごろ、無事に到着&駐車することができました。サイクリングをスタートするにはあまりにも早すぎるので、車の中で少しだけ仮眠をとることにします。

 

そして、1時間後。

……寒い!

冷え切った車内で目を覚まします。昨日に引き続き、とくに朝方は本当に寒い。薄いひざ掛け1枚ではとても寝ていられないぞ。

車窓から眺める外は、顔を出しはじめた太陽の光で明るくなりつつありました。寒いから外に出たくないという気持ちを奮い立たせ、ドアを開きます。

 

いよいよ、出発のときだ。ロードバイクを荷台から降ろします。

浜松市に着いたらウナギでも食べよう

そんなことを考えながらサドルにまたがり、ペダルを踏み込みます。冷たい風が頬を撫でるのを感じて一気に目が覚めました。

まずは、出発地点まで数百メートルを移動しましょう。

 

ででん!久里浜港のフェリー乗り場に到着!

久里浜港フェリー乗り場

なんだかいいですね。せっかくなので施設内に入ってみます。

千葉県富津市の金谷港とを繋ぐフェリーは1時間に1本のペースで運行しているようです。ちなみに自転車+大人の料金は片道1,400円・往復2,530円でした(2022年時点)。

それぞれの港ではクロスバイクや電動アシスト付き自転車がレンタルでき、体ひとつで訪れてもサイクリングを楽しめるそうです。すばらしい取り組みですね。

 

外に出ると、タイミングよくフェリーが入港してきました。

東京湾フェリー

差し色の赤がなんだか千葉県ぽい。約40分の東京湾横断クルージング、お疲れ様でした。

いつか機会があれば乗ってみたいものです。

 

神奈川県の海岸線をサイクリング

時刻は7時を過ぎたところ。久里浜港を背に走り出しました。

太平洋岸自転車道サイクリング、久里浜港

神奈川県道212号を三崎方面に進みます。

太平洋岸自転車道サイクリング、千葉県道211号

いきなりの上り坂に面食らいながらも、「朝の準備運動にはちょうどいいぜ!」といわんばかりの全力ダンシング。

早々から筋肉が悲鳴を……いや、喜びの声をあげています。

 

坂を上り切ると、さっそくきれいな海を眺めることができました。

北下浦海岸

看板によると『北下浦海岸』というらしい。

この海岸線のお世話になりながら、自転車半島宣言で有名な『三浦半島』をぐるりと走り、鎌倉市や江の島を抜けていくのが前半戦ですね。

 

ルートは太平洋岸自転車道のロゴマーク頼り。

太平洋岸自転車道のロゴマーク

基本的にはこの矢印の案内に従えば、迷わずに走ることができそうです。

道を曲がるときは数十メートル手前から知らせてくれますし、路面ペイントだけではなく看板も点在しているので安心感は抜群。さすがナショナルサイクルルート。

 

交差点『野比』を左折して国道134号に入ると、有名な三浦海岸にやってきました。

三浦海岸、金田湾

広がる海は『金田湾』というらしい。

時刻は7時30分。薄い青空には輝く朝日が浮かんでおり、絶好のサイクリング日和を演出してくれています。雨男疑惑のある僕ですが、最近は天候に恵まれている気がします。

 

見慣れたところを発見。金田漁港です。

金田漁港

以前、ブログ読者の方と三浦半島をサイクリングしたことがあり、このあたりのルートは一度走ったことがありました。

 

ほぼ100%単独走をしている僕にとって、誰かと一緒に走るのはとても刺激的な体験でした。

 

スイスイ走っていると、三浦半島に残った貴重な干潟『江奈湾』にやってきました。

江奈湾の干潟

干潟とは、潮の満ち引きにより陸地と海面下になることを繰り返す地形。独自の植物が茂っていたり、水鳥などのさまざまな生物が棲んでいるそうです。

この時間帯は満潮だったのかな?干上がった陸地は見れませんでしたが、きれいな海を眺めることができました。

 

さらに先に進むと、道路に面した広場に妙なオブジェがあらわれました。

三浦半島マイルストーン、宮川公園『マグロと大根』

マグロと大根

これは、サイクリング活性化のために三浦半島8か所に設置された『マイルストーン』と呼ばれる記念撮影用モニュメントです。

隣接する場所にはサイクルラックや展望デッキ、東屋などが設置されたサイクルステーションがあり、チェックポイントとしてだけでなく休憩所としても利用できるそうです。

さすが”自転車半島宣言”をしているだけのことはありますね。いつか、8か所すべてのモニュメントをこの目にしよう!という新たな決意が生まれました。

 

青い矢羽根マークに沿って、どんどん走っていきましょう。

三崎市、千葉県道215号

突き当たったところには、マグロの水揚げで有名な『三崎漁港』がありました。

三崎漁港

たくさんの船が停泊しており、港町の雰囲気を感じるすてきな場所です。

タイミングがあえば海鮮丼でも食べたかったのですが、時刻は8時を過ぎたばかり。お店は閉まっており、朝から食べられそうなところはありませんでした。

 

なにやら、ひときわ目立つ建造物がそびえ立っています。

三崎フィッシャリーナ・ウォーフうらり

ここは『三崎フィッシャリーナ・ウォーフうらり』という複合施設。

採れたての野菜とマグロの産直センター『うらりマルシェ』や手ぶらバーベキュー場、レンタサイクルの受付場所がありました。

他にも、海を散歩できる”水中観光船”や城ヶ島への”渡船”を楽しむことができるようです。

いろいろなお店が並ぶ三崎の下町とあわせて、丸一日遊べそうですね。

 

西海岸線と呼ばれる道路を走ります。

天気がよくて最高のサイクリング日和!……ですが、やはり気温は低めです。本当に寒いのが苦手なので、UNIQLOのウルトラライトダウンを羽織ってのライド。

これを着ながら走っているロードバイク乗りはまず見かけませんが、暖かいですし、軽くてかさばらないし、値段も安価なので冷える時期の自転車旅では重宝しています。

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観光名所!鎌倉&江の島を越えて

T字路にぶつかりました。

三浦市三崎町、県道216号と県道26号のT字路

右に行くと戻ってしまうので、左折して『鎌倉・横須賀』方面をめざします。

 

すぐに、黒船来航の地として有名な『横須賀市』に入ります。

三浦市と横須賀市の境

市の境目にある看板はいつも写真におさめたくなります。なりません?

なんとなく、「またひとつ、町を越えてきたんだな……」と達成感を得ることができるのです。長距離を走る自転車旅の”ちょっとした楽しみ”とでもいいましょうか。

 

ゆるい坂道を上り切ると、ふたたび平坦な道が続きます。海岸線はアップダウンが少なくて助かりますね。走りやすいです。

まっすぐ伸びる道路は、看板によると国道134号のようです。

陸上自衛隊 武山駐屯地の脇の国道134号

交通量もそこそこですし、路面がきれいに整備されていました。こういうところは、なるべく加速して少しでも時間に余裕を作れるように意識します。

 

時刻は9時15分。久里浜港を出発してから2時間以上が過ぎました。走行距離は約36kmと、まずまず順調な滑り出しでしょうか?

朝からなにも食べていないため腹ペコだ。ここらで少し休憩しよう。

横須賀市秋谷の公園

マンションに隣接した公園のベンチにお邪魔します。ちょうど木陰になっていて、ひと休みするにはもってこいの場所ですね。ありがたい。

リュックサックから潰れたサンドイッチをひっぱり出し、ほおばります。さらに”エネルギー補給”と称してブラックサンダーを口に入れ、チョコの甘さを堪能。うまい。

質素ですが、これはこれで悪くないのです。

 

胃袋は満たされ、体力も回復。進みましょう。

めちゃくちゃ美しい海岸。目の前に広がるのは『相模湾』のようですね。

横須賀市秋谷、国道134号からの相模湾

彼方には、青い空と海の間に浮かぶように鎮座する『富士山』を眺めることができました。さすが日本一の山は存在感バツグンです。

 

県道207号・森戸海岸線は『葉山御用邸』や『神奈川県立近代美術館』などがあり、とても走りやすい道……だったのですが、進むにつれて車のすれ違いも大変なほど狭くなります。

車や歩行者に注意しながら進んでいくと、近代日本ヨット発祥の地・葉山に建つ『葉山マリーナ』にやってきました。

葉山マリーナ

クルーズ船が出ていたり、ファッションや雑貨などのショップや飲食店が入っている施設。

ここにある『MARLOWE(マーロウ)』のプリンが絶品らしく、前回のライドで連れてきてもらったのですが混雑していて食べることができませんでした。

今回は?時間が早くて開店前。楽しみは次に持ち越しですね。

 

そして、県道207号で走った経験があるのはここまで。この先は未知の領域です。

逗子市、県道207号から江の島・鎌倉方面

めざすは『江の島・鎌倉』方面。

仮に太平洋岸自転車道の案内がなかったとしても青い交通標識がありますし、海沿いを走ればいいので、迷う心配の少ない安心ライド。楽しんでいきましょう!

 

時刻は10時。出発してからもうすぐ3時間が経とうとしています。

逗子湾

逗子海岸では船上から釣りをしている人、ウインドサーフィンやSUPを楽しむ人がチラホラおり、マリンアクティビティの賑わいを感じることができました。

 

あれはなんだろう?

逗子海岸、不如帰の碑

海に浮かぶ石碑を発見。調べてみると『不如帰(ほととぎす)の碑』というらしい。

明治・大正時代の作家である徳富蘆花(とくとみろか)のベストセラー小説『不如帰』で有名になったのがこのあたりらしく、その記念碑……なのかな?

よく見ると、石碑の上でひと休みしている鳥が一羽。なんだか癒されます。

 

それはそうと、この道は結構こわいぞ。

逗子海岸線、国道134号

路側帯が狭いうえにデコボコしているし、車の往来も激しい。

こういうときは堂々としていないと逆に危険。車に気をつかって、本来は歩行者のために設けられた路側帯を走ろうとせず、少し邪魔になるかもしれませんが車道を利用します。

 

鎌倉市に入ったー!

鎌倉市、国道134号

小高いところにいるので、海岸を一望できます。いいですね。

 

自転車旅をしている証明というわけではないですが、海をバックに愛車を撮っておこう。

鎌倉市、由比ガ浜

後方に広がるのは『由比ガ浜海水浴場』です。

さすがに泳いでいる人はいませんでしたが、人はたくさんいました。天気も穏やかなので、波音を聞きながら砂浜を歩いているだけでもリフレッシュになりそう。

 

そして、前方には超有名な観光スポット『江の島』が見えてきました!

国道134号からの江の島

このあたりになると交通量も跳ね上がり、歩行している観光客も増えてくるので賑やかで楽し気な反面、走行にはいっそうの注意が必要となります。

車や電車でしか来たことのないところに”自転車”で訪れる。

こんなに遠くまでやってきたんだという感動と、世界は地続きなんだという当たり前のことを深く実感するから不思議です。

 

サーファーに人気の海岸『七里ヶ浜』あたりから江ノ島電鉄、通称『江ノ電』と並走。

おお!なんかいい雰囲気!

七里ヶ浜駅と鎌倉高校前駅の間にある踏切が、バスケットボール漫画『スラムダンク』の聖地になっていることは有名ですよね。

あとは、アニメ『南鎌倉高校女子自転車部』の舞台もここらへん?話題性のある土地です。

 

そんなこんなで、無事に江の島に到着&通過。

江の島

周囲3kmの小さな島ながらも、見どころやグルメが充実しています。立ち寄っているといくら時間があっても足りないので、写真におさめるだけで我慢しておこう。

 

青い矢羽根マークに導かれる旅

ゴーゴー!一直線に続く国道134号を飛ばしていきます。

国道134号、辻堂海浜公園付近

整備された道路がまっすぐ続いているという意味では走りやすいのですが、それは車も同じようで、僕の真横を結構なスピードで通過していきます。

 

湘南大橋を越えて、西湘バイパスの入口までやってきました。

西湘バイパス入口

もちろん自転車での走行は禁止ですが、看板もありますし、なにより矢羽根マークをたどっていけば間違える心配はありません。ありがたいですね。

 

しかし、大磯町にて全面的に頼りにしていた矢羽根マークを見失います。

あれ?間違えた?

迷いようがない!という豪語もこうなってしまうと空しい。ずっと道路にペイントされた””を追っていたはずなのに、どこでどう見落としたんだろうか?

 

来た道を戻らないようにだけ注意して進んでいると、大きな看板を発見しました。

大磯町役場付近の太平洋岸自転車道看板

おお!太平洋岸自転車道という文字を見て、ひと安心。

やはりどこかで間違えて130mもずれていたのか。とりあえず、左折すればいいのかな?

 

大磯町役場の脇にある小道を抜けていきます。

大磯町役場の脇にある細い小道

無事に戻ってきました!

大磯港IC付近、太平洋岸自転車道

目線の先には青い海、その手前には国道1号・西湘バイパスが通っています。

このエリアは車道と完全に切り離されているので、安全にサイクリングが楽しめます。しかし、良くも悪くもまったりしすぎて飛ばせません。自然とスローペースになってしまう。

 

2kmくらい走ると、道を外れて坂道を下るルートがあらわれました。

太平洋岸自転車道(大磯区間)

看板には『太平洋岸自転車道(大磯区間)』と書かれていますが、こっちでいいのかな?

矢羽根マークに沿って進んでいくと、今度は坂道を上らされて大きく本筋の道から外れるような気がします。なんか違う。引き返そう。

 

来た道を戻っている最中、新たな看板を発見。

太平洋岸自転車道、案内看板

これを見るかぎり、やはりまっすぐ進むのが正解みたいですね。太平洋岸自転車道は”一本道”ではなく、途中でどこかを迂回させるルートがあるかもしれません。

 

すさまじく親切な案内。

太平洋岸自転車道(大磯区間)

絶対に迷わせない!という意志を感じます。

 

上り坂を駆け上がると、巨大ホテル『大磯プリンスホテル』が目に飛び込んできます。

大磯プリンスホテル脇の太平洋岸自転車道

その脇の……ホテルの敷地なのか?公道なのか?よくわからない道を、駐車場を横目に見ながら進んでいきます。不思議な感覚です。

 

たかーい!短い距離でボチボチな勾配を上ってきましたからね。

大磯プリンスホテルからの大磯町の眺め

大磯町を眺めながら物思いにふけります。

大磯プリンスホテルの桜

桜もきれいに咲いていました。満開ではありませんが、薄いピンクと緑が入り混じっていてこれはこれで美しい。

草花が茂りはじめる春のライドは色鮮やかでいいですね。

 

丘を越えて大磯町に降り立ちました。

お世話になる道路は国道1号、五街道のひとつ『東海道』です。東京都の日本橋を起点とし、京都府の三条大橋まで伸びる約492kmの道。

江戸時代の宿場町を巡りながら、「五街道を制覇!」なんていうチャレンジもおもしろそう。

 

時刻は12時30分を過ぎたところ。小田原市までやってきて走行距離はもうすぐ90kmです。

真上にある太陽がギラギラ輝いて、ヘルメットをかぶる頭を熱してきます。

UVカット加工されたサイクルキャップを身に着けていなければ、頭皮に深刻なダメージを受けてしまうでしょう。

 

このまま国道1号を進めば、東海道最大の難所、天下の険『箱根山』があります。

小田原市、国道1号・東海道

挑戦してみたい!

そんな気持ちが湧きあがらないこともないですが、それは今ではない。素直に左折して国道135号を『熱海・湯河原』方面に走っていきます。

 

小田原市早川、国道135号沿いに『漁港の駅』と大きく書かれた看板を発見。道を逸れて立ち寄ってみよう。

漁港付近の広場にはトイレもあったため、少し休憩しておきます。

小田原市早川、小田原漁港周辺

案内図にはおもしろそうな観光スポットが掲載されていました。

走行距離を60~70kmくらいに抑えれば、観光とサイクリングを両立できそう。しかし、僕は脇目も振らず”より遠く”をめざしてしまうため”見て回る”こととは相性に難ありなのです。

 

そして、少し走ると看板の示す施設『漁港の駅 TOTOCO小田原』がありました。

漁港の駅 TOTOCO小田原

地場物産やお土産が販売されていたり、海鮮を楽しめる食事処が設けられています。

当然のようにスルーですが、こういう施設があることを知れるのは今後の人生で大きなアドバンテージとなるでしょう。走らなければ、知らなかったことですしね。

この先の道路は抜けられず、ぐるりと180度ターンする形になっていました。

 

財布紛失?熱海市を終着点に

国道135号に戻ります。

国道135号、小田原市根府川

当たり前ですが海沿いを走る機会が多く、優しい青色に癒されます。

しかし、ここも路側帯の狭さと交通量の多さが相まってなかなかにこわい道。ナショナルサイクルルートとはいえ、当然ですがすべて走りやすいわけではありません。

 

出発してから6時間が経過し、時刻は13時15分をまわったところ。

走行距離は95kmと、もうひと踏ん張りで3桁の大台に乗ります。よし、気合いを入れるために補給食でも食べようか!

国道135号、財布を忘れたことに気づく

道路脇にちょうどいいスペースがあったので、停車しましょう。

 

リュックサックを開けて補給食を取りだ……あれ?ここで異変に気がつき、背筋が凍ります。

ちょっとまって、財布がない?

僕はカバン類に物を入れるときは必ず”定位置”を決めるタイプなのですが、いつも財布を入れているところがすっからかん。影も形もありません。

 

血の気が引き、道端にもかかわらずリュックサックをひっくり返しての大捜索。しかし、数分後には落胆して天を仰ぐことになります。なんだろう、太陽がやけに眩しい。

自転車旅をする中でいろいろありましたが、この手のトラブルははじめてだな。

 

ここまで財布紛失に気がつかなかったのは、補給食やドリンクを事前に用意していたため道中で買い物をする機会がなかったことに加えて、最近はキャッシュレス決済を多用していたからです。

文明の利器があだとなったか。それにしても、財布はどこに?

ここまででリュックサックを開いたのは公園で休憩した1回のみ。そのときも財布を入れるポケットには触れていないので、道端で落とした可能性は低い……と思いたい。

そうなると車の中が濃厚か?

 

財布の所在も大いに気になりますが、それよりも先に考えなければいけないのは自転車旅のこれからです。現金ゼロでは続行は難しい。引き返す?

いや、来た道を100km近く戻るのは時間的にも、体力・精神力的にもかなり厳しい。

 

迷った挙句、15km先にある『熱海市』まで進むことにしました。

観光地なのでキャッシュレス決済できるビジネスホテルもあるだろう……と、調べてみます。よさそうなところがあったので電話してみると、運よく空室を予約できました。

今日の寝床が確保できた安心感は大きい。

 

自分のマヌケさに呆れつつも、「まぁ、こんなこともあるよね」と開き直っていきます。

起きてしまったことを後悔しても仕方ない。次回に反省し、今は熱海市までのサイクリングを存分に楽しもう!財布もきっと車内から見つかるはずさ!

 

気を取り直して、国道135号を直進。

国道135号、真鶴道路入口

有料道路の真鶴道路、通称『真鶴ブルーライン』は当然のことながら自転車は走行禁止。一般道路を使います。

 

ここが真鶴半島ですね。

真鶴半島

約3kmの小さな半島ですが、岬からは”しめ縄”が結われた大きな3つの巨石『三ツ石』を眺めることができるなど、地球科学的に貴重で意義のあるジオサイトとしても有名。

また、真鶴半島の先端と三浦半島の先端で結んだ海域を『相模湾』というらしい。知らなかった。またひとつ、脳みそにシワが刻まれたぜ。

 

温泉街で知られている『湯河原』を越えて、いよいよ熱海市に入りました。

静岡県熱海市、熱海ビーチライン入口

熱海駅まで残り7.5km地点で、時刻は13時50分。想定以上に早く到着しそう。

 

最後の試練とばかりにあらわれたのは、勾配6~8%ほどの上り坂。これはキツい。

国道135号からの真鶴半島

歯を食いしばってペダルを回し、懸命に上っていきます。

振り返ると、さっきまでいた真鶴半島があっという間に小さくなっていました。美しい。

ロードバイク、ガーミンの画面

えっちらおっちら進んでいこう。

 

なんとか山を上り切り、目的地まで目と鼻の先まで来ました。

熱海駅の入口

長い距離をお世話になった国道135号に別れを告げて、熱海駅方面に道を折れます。

最後に短いながらも急勾配な坂道を制し、無事に熱海駅に到着しました!

熱海駅

よし、とりあえずの目的は達したぞ。

 

道中で予約したビジネスホテルのチェックインは16時と、まだまだ時間があります。偶然とはいえ観光地である熱海市に来たのだから、周辺を散策してみようか。

そんなわけで次回は”熱海サイクリング”の様子をお伝えします。後半に続く!

 

【本日のライドデータ】
走行距離 111.35km
所要時間 7時間17分

走行時間 6時間35分(-0時間42分)

 

~次回のライドはこちら~

太平洋岸自転車道・完走チャレンジ!熱海七湯を巡るサイクリング(1日目)後編
太平洋岸自転車道を走る旅の終着点、熱海市を観光サイクリングしていきます。どこを巡ろうか?と地図を見ると『熱海七湯』と呼ばれるモニュメントがあることを発見。いいね!ここを見て回ろう。熱海温泉の歴史に詳しくなった日です。

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