ヒルクライムチャレンジ第3弾ということで、埼玉県秩父郡皆野町にある『美の山(みのやま)』まで走りに行ってきました!
美の山を選んだ理由は、ずばり”雲海”です。
雲海とは、高い位置から見下ろしたときに雲が海のように広がって見える現象のことで、美の山は雲海が観測できることでも有名なのです。
山を上り切ったあとに雲海という絶景を見る。最高じゃないですか!
ただし、幻想的な雲海が姿を現すのは一定の気象条件があるようで、必ずしも毎日見られるというものではないらしい。
しかし!わずかにでも可能性があるならば、走らずにはいられない!…ということで、クロスバイクと共に美の山を訪れてみました。
雲海観測者の朝は早い
まずは、雲海が発生しやすい条件を簡単にまとめてみました。
②時間:日の出から数時間程度
③前日の天気:雨
④当日の天気:晴れていて、風が強くない
⑤気温:最低気温と最高気温の寒暖の差が大きい
あくまで”発生しやすい条件”であって、すべてを満たしていないと雲海が発生しないわけではありませんが、少しでも可能性を上げるためにできることはしておこう。
この中で、僕の努力でどうにかなりそうなものは『②時間』くらいなものでしょうか。
そんなわけで、今回のヒルクライムチャレンジは日の出前にスタートすることにしました!
11月上旬の早朝。
クロスバイク歴1年未満の僕にとって寒い冬の時期に走るのは初めての経験なので、冬用ウェアなどの防寒装備は一切持っていません。
急いで買おうかとも思いましたが時間もなかったので、いつもの服装にちょっと上着を追加するだけで準備完了。走っていれば暖かくなるでしょう。
この時期の日の出は6時過ぎくらいなので、それまでに美の山を走り切らなければなりません。美の山までのアクセスを考えて逆算してみます。
2時半に起床、車にクロスバイクを積み込んで3時に自宅を出発。5時に美の山周辺に到着して駐車場に車をとめる。そして、小1時間をかけて走り、6時過ぎに雲海を観測…となりました。
自分で言うのもなんですが、なかなかストイックなライド計画ですね。早起きにもほどがある。
なにが自分を突き動かしているのか?わかりません。ただ、見たことのない景色を見るために、人生初を体験するために走ります!
美の山にチャレンジ!
車は『道の駅 みなの』にとめさせていただき、美の山まで約1.5kmの道のりを走ります。夜中の国道140号は車の往来が皆無で、道路を独占しているようで気持ちがいい。
それにしても、とにかく寒い!じっとしていたら凍えてしまうので、とにかくペダルをぐるぐる回して体を温めます。完全に服装を間違えましたが、ここまで来たら覚悟を決めるしかない。
美の山への入口は、国道140号にある信号『皆野町役場入口』を左折したところにあります。
頂上にある美の山公園をめざして走りますが、クロスバイクの先は真っ暗でなにも見えない!山道に入ったら外灯すらないんじゃないか?普通に恐怖です。
調べた情報によると、頂上までは距離6.8km、平均勾配は5.8%です。勾配はそこまでキツくないようですが、これまで走った峠に比べると距離は長めです。
止まっていても体が冷えるだけなので、サクッと走っちゃおう。美の山ヒルクライム開始!
山道に入ると予想通り外灯は一切なく、真っ暗な山の中を走ることになります。光源はクロスバイクのフロントライトだけ。上り坂がキツいというより怖い。
道路の両脇には木々が生い茂っているので余計に暗く、不気味な雰囲気を演出しています。
走りはじめて数分、暗闇から「ガサ…ガサッ!」と草木をかき分けるような物音が聞こえてきて、めちゃくちゃビビりました。
そのときは”野生の動物”という選択肢が頭に浮かばず、「こんな時間に山を徘徊している怪しい人間がいるのか!?」と戦慄。
引き返そうと思いましたが、そこは勇気を出して踏みとどまり、物音から逃げるように全力でペダルを回しました。能力の限界を超えて走れている気がする。火事場の馬鹿力!
冷静に考えると、日も出ていない早朝に自転車で山を走っているお前も十分怪しいだろうに…。
その後、何度か「ガサ…ガサッ!」という物音が聞こえてきたものの、幸か不幸か、結局その正体を掴むことはできませんでした。
物音の大きさ的に、おそらく猫かタヌキくらいの野生動物だと思われます。熊だったら完全にアウトですが、タヌキくらいなら襲われてもギリギリ勝てる…か?
そんな調子で最初は暗闇に恐怖しながら走っていましたが、ヒルクライムがツラくなってくると余計なことを考える余裕がなくなってきました。
心拍数が上がり、体も暖かくなってきたのでようやく走りに集中できます。
路面状態はとてもよく、走りやすい道が続きます。しかし、段差になっているところもあり、下りでスピードが出ているときに通過したらかなり危険だと思います。
上り坂自体はそこまでキツくありません。ダンシングに頼らずに、座りながらペダルを回すことで十分に登坂していくことができます。
交通量はゼロ…ではないんですよね。
上ってくる車はいませんでしたが、頂上方面から下りてくる車が2~3台。美の山はきれいな夜景が見えることでも有名なので、その人たちでしょう。そうに違いない。
距離は長かったものの、36分かけて美の山を走り切りました!道中、木々の間から一瞬だけ見えた皆野町はとてもきれいでした。
眼下に広がる雲海を見よ
頂上の美の山公園には、夜景や雲海を見るための展望台があります。せっかくなのでそこから雲海を観測しようと行ってみると、大きなカメラを構えた撮影隊が何人もいました。
さて、雲海はどんなもんだろう?
「おー!めちゃくちゃきれい!」
思わず、声を出して喜んでしまいました。
日の出直前の空の青色と皆野町を覆いつくす雲が合わさって、本当に海のように見えます。まさに雲海。ずっと見ていても飽きません。
自分は今、雲より高い場所にいる。クロスバイク1台で上ってきたんだ!感動と共に達成感が沸き上がります。これだからヒルクライムはやめられない。
記念撮影しておこう。後方に見えるのが展望台です。
時間が経つにつれて霧が晴れるように雲は薄くなっていき、少しずつ皆野町が姿を現します。そんな中、目を凝らすと虹が出ていることに気がつきました。
雲海と朝虹。
幻想的な光景を見ることができ、夜中から行動を開始した自分を褒めてあげたい気分です。よくぞ暗闇の恐怖に打ち勝ってここまで走ってきた!
しばらくすると、朝日が昇ってきました。美しい。
ヒルクライムで温まった体ですが、動かずにじっとしていたらさすがに寒くなってきた。太陽光は暖かくて気持ちがいいのですが、そろそろ美の山を下りることにします。
のんびり下って帰るか~!なんて吞気に構えていたのも束の間。冬のダウンヒルがこんなに寒いものだとは知らなかった!
本当に”極寒”という言葉がしっくりくる。
下りはペダルを回さないので体が温まることもありません。冷たい風を切りながら走るので、体温をどんどん奪われる。ある意味、ヒルクライムより過酷かもしれない。
しかし、日が出ているおかげできれいな景色を眺めることができました。
暗くてわからなかったけど、こういうところを走っていたのか。
上り以上に6.8kmという距離が長く感じましたが、なんとか下山。冬のダウンヒルでは防寒具が必須だと身を持って体験しました。
それでは、今回のヒルクライムチャレンジは終了!お疲れ様でした!
ただ、せっかく秩父まで来たので、皆野町周辺をもう少し散策してみたいと思います。
秩父郡皆野町を散策
美の山の近くにある『道の駅 みなの』を拠点として皆野町周辺を調べてみると、約7km走ったところに『秩父華厳の滝』という観光名所があるようです。
手ごろな距離だったので訪れてみることにします。この時期だと紅葉もきれいに見れそう。
青空が映えるとてもよい天気。
美の山から戻ってきて車の中で1時間ほど仮眠したので体調はばっちりです。時刻もまだまだ9時を過ぎたところ。好き放題できる時間ですね。
埼玉県道37号線を走り、栗谷瀬橋という大きな青い橋から荒川を眺めます。雄大に流れていて、めちゃくちゃいい景色。川は癒しです。
クロスバイクで走ること約40分。目的地の秩父華厳の滝に到着しました。
滝までは自転車で入っていけないので、近くに止めておきます。しっかり地球ロック。万が一にも盗まれたら、ヒッチハイクでもしないと帰れませんからね。
そして、こちらが秩父華厳の滝でございます!
僕の撮影技術が低いため迫力不足に見えるかもしれませんが、実際に見ると結構すごい。水がとても澄んでいて、思わず靴を脱ぎ捨てて足をつけてみました。めっちゃ冷たい。
見上げると木々の葉が色づきはじめていました。
他に観光客もいなかったので、秩父華厳の滝を独占状態。
聞こえるのは滝が落ちる音と野鳥のさえずり。大きな岩の上で横になり、しばらくぼーっと耳を傾けていると、何ともいえない充実感が沸き上がります。贅沢なひと時。
帰り道は、早朝から冷え切った体を温めるために『秩父温泉 満願の湯』という天然温泉に立ち寄りました。露天風呂からは紅葉を眺めることができて、本当に心地のいい温泉です。
お昼ご飯は秩父名物『わらじカツ丼』です!
履物の”わらじ”に見立てられた大きなカツが2枚。味噌で味付けされていて、甘辛く、食べれば食べるほど食欲が増進されます。ボリュームがあるのにぺろりと食べちゃいました。
秩父方面に訪れた際は、ぜひ食べていただきたい一品!僕は大好きです。
深夜のドライブ、早朝のサイクリング、暗闇のヒルクライム、雲海、日の出、滝、紅葉、そして温泉とわらじカツ丼。本当に濃厚な1日だった。心も体も満たされました!
美の山を走った感想
今回のヒルクライムチャレンジは、上り坂との闘いというよりも恐怖との闘いでした。夜の暗闇と謎の物音、本当に怖かった!
熊はいないにしろ、イノシシくらいなら現れそうな雰囲気でした。突進されたら命の保証はありませんし、今後は獣除け対策も考えた方がいいのかな?
とにかく、それでも恐怖に打ち勝ち、頂上で雲海を目にしたときは本当に感動しました。
「クロスバイクをはじめていなかったら、この景色を見ることもなかったんだな」
そう考えると、人生ってのは本当になにがキッカケで変わるかわかりません。どんどん積極的な人間になっている気がします。自転車に出会えてよかったぜ!
そして、美の山を走ったのには、実はもうひとつ大きな目的があったんです。
2017年11月19日に、美の山を舞台に『第1回秩父美の山チャレンジヒルクライム』というイベントが開催されるのですが、ワタクシ、無謀にもエントリーしてしまいました!
今回はその試走も兼ねていたわけです。
次回は、初心者がヒルクライムイベントにはじめて参加した様子をお伝えします。初参加ってなにかと緊張するし、同じような立場の人を後押しできる内容になればいいですね!
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