2020年12月。
プライベートで宮城県仙台市を訪れる機会があり、半日ほどですが自由に動ける時間もありました。
こうなると、もうサイクリングをするしかないでしょう!
使える時間的に仙台市周辺をウロウロと散策する感じになりますが、それはそれで楽しそう。
自転車旅に出かけるといつも過酷なライドになってしまうので、たまにはまったりとした空気の中で自転車を走らせていくのも悪くない。
そんなわけで、仙台市サイクリング紀行文をお楽しみください。
目次
ROMA3と共に仙台市に向けてドライブ
仙台市までどのように行くか?諸々の都合もあって、車で向かうよう計画を立てました。
住んでいるところから仙台市までは300km以上あるので、どんなに早くても4時間くらいかかる道のりです。
なかなかの長距離ですが、過去に広島県尾道市まで780㎞をドライブした僕にとっては近所のようなもの。お盆休み渋滞に巻き込まれて、たどり着くまでに18時間半もかかったっけ…。
そんなこんなで出発の朝を迎えました。
今回のように、長距離は移動せず街中を散策するようなサイクリングのときは、ロードバイクよりクロスバイクが適しているであろう!
そんな判断から、車の荷台には愛車『Bianchi ROMA3』を載せてあります。
このような状況を見越して、クロスバイクを街乗りに特化させてカスタマイズしたわけです。存分に活躍してもらうことにしましょう。
出発時間は夜明け前。お日様も上っていない早朝です。12月ともなるとさすがに寒く、しっかり着込んでから車に乗り込みます。
2019年のゴールデンウィークに『本州最北端・青森県大間崎をめざす旅』と称して、ロードバイクで走り出しましたが、そのときに仙台市を通過した経験があります。
冷静に考えると、「よくぞ自転車であそこまで走ったな…」なんて、自分のことながら少し呆れてしまいます。
通過するだけだった仙台市を今度はじっくり観光しながら走る。こんなにワクワクすることは、他にないですよね!楽しみだぜ!
長期休暇とは違い普通の土日休みだったので、高速道路はほとんど混んでいません。渋滞に巻き込まれることなく、スムーズなドライブを楽しみます。
適度に休憩を挟みつつ、目的地まで車を走らせます。深夜や早朝に立ち寄る高速道路のサービスエリアの雰囲気、好きなんですよね。
冬晴れのサイクリング
約4時間の道のりを越えて、体感的にはあっという間に仙台市に到着。太陽はすっかり昇り、気持ちのいい冬の空が頭上に広がっていました。
腹が減ってはライドはできず…ということで、カフェで朝ご飯をいただきます。そして、今回の仙台市サイクリングのスタート地点となるコインパーキングに車をとめます。
ほとんどノープランで自由にブラブラ走ろうと思っているのですが、唯一、仙台市のマンホールカードだけはもらいに行こうと計画していました。
マンホールカード収集の趣味って、こういうときに輝きますよね。
はじめて訪れる場所を走るときの一種の”目標”にもなりますし、その土地のことを深く知ることができる情報が記載されているので一石二鳥なのです。
クロスバイクを車の荷台から引っ張りだし、身支度を整えて準備完了!
12月の仙台市は予想通り寒いですが、予想以上ではない。今回は街を散策するのが目的なので、ガッツリ私服で走り回ります。
愛用しているUNIQLOのウルトラライトダウンを羽織り、ネックウォーマーと冬用グローブでしっかり防寒。
走っていれば温まる…いや、熱くなると思うので、そのあたりは上手に対応していこう。さて、前置きが長くなりましたが、いよいよ仙台市サイクリングに出発です!
最初に向かったのは仙台駅です。
さすがに立派なたたずまいをしていますね。駅ビルのテナントも非常に充実しているので、ウロウロしているだけでも楽しそう。
時刻は10時30分。よく晴れた冬空は青々しく、気持ちのいいサイクリング日和です。
東北地方最大の都市なだけあって、仙台市はとても栄えています。歩行者や車の往来は多いですが、幅の広い道路がしっかりと整備されているので走りやすい。
次に訪れたのは『せんだいメディアテーク』という公共施設です。
向かい側からの撮影で、葉を落とした木々に遮られてしまいましたが、この近代的なガラス張りの建物が目的地です。駐輪場に自転車をとめて、さっそく中に入っていきましょう。
せんだいメディアテークは、美術や映像文化の活動拠点であると同時に、すべての人々がさまざまなメディアを通じて自由に情報のやりとりを行い、使いこなせるようにお手伝いする公共施設です。
引用元:せんだいメディアテーク
ホームページから引用させていただきました。
これだけだとイメージが湧きにくいかもしれませんが、カフェやショップが営業されていたり、図書館、会議室、ギャラリー、スタジオが入っている情報収集・発信を目的とした複合施設です。
なかなかに洗練されていて、オシャレな雰囲気を漂わせているではないか!
ショップに並んでいるものは時期や企画によって変わるのかな?とてもかわいい小物が多く販売されていて、見ているだけでも楽しい。
ひとしきり施設内を探索したら、いよいよここを訪れた目的!マンホールカードを貰いにいくとしましょう!1階の案内カウンターにて、無事にゲット!
施設の外に出て、建物と一緒に記念撮影!手に入れたカードと配布場所を一緒に撮るのがマイルールなのですが、人通りが多いところでは少し恥ずかしい。
仙台市のマンホールカードには、伊坂幸太郎原作の映画『ゴールデンスランバー』のワンシーンがデザインされています。
原作の舞台が仙台市で、映画もすべて仙台市内で撮影されているそうなんですよね。
僕は一時期、伊坂幸太郎の小説を読み漁るほど好きだったので、このカードは是が非でも手に入れたかった!さっそく大きな収穫がありました。
歴史ある西公園を楽しもう
マンホールカードもゲットしたことですし、気分よく次の目的地に向かいましょう!…と言いたいところですが、本当に無計画なので肝心の目的地がない。
「どうすっかなぁ~」
なんて呟きながら、せんだいメディアテークの前を通る『定禅寺通』を走っていると、突き当たりにあった公園に、なにやらおもしろいものが現れました。
仙台市内でもっとも歴史のある公園『西公園』に展示されている『蒸気機関車C601』です。
僕は電車や鉄道はからっきしですが、この存在感たっぷりな出で立ち、立派なフォルムを見ると、思わず感嘆の声をあげてしまいました。走っているところを見てみたいものですね。
そのまま西公園の中を進んでいくと、今度は巨大なこけしが目に飛び込んできました。
これはすごい。案内板を見てみると、宮城県の観光広報のために作られ、設置されたとのこと。こけしの高さは実に7.4mもあるそうです。
偶然立ち寄った西公園、なかなか見どころがあるじゃないか!かなり大きい公園で、国道48号を挟み、さらにその先に続いているようです。
クロスバイクと共に歩道橋を上ると、そこには雲ひとつない晴天が広がっていました。
降りた先にあったのは、三重県の伊勢神宮と同じ神様を祀っている『櫻岡大神宮』でした。
せっかくの機会なんで参拝することにします。
うっかり御朱印帳を忘れてしまったので、紙に書かれた御朱印をいただくことにしました。帰ってからていねいに貼り付けます。
昔は、御朱印帳に直に書いてもらうことを”良し”としていたのですが、最近はいい意味であまり気にしないようにしています。一期一会の出会いを逃す方がもったいない!
境内に植えられている紅葉は、その名の通りきれいな紅色に染まっていました。
僕は寒いのは苦手です。暑くても夏の方が好きです。…が、木々の紅葉を楽しめるのは寒い時期の特権。この時ばかりは、「冬も悪くないな!」なんて思いますよね。
そして、西公園にはもうひとつ素晴らしい名所があります。それがこの『源吾茶屋』です!
櫻岡大神宮のほとんど隣にあり、お店は歴史を感じるたたずまいをしていますが、それもそのはず創業は明治元年だそうです。
まったく予備知識がなかったのですが、軒先にぶら下がっていた『名物ごまもち』の垂れ幕に惹かれて、休憩がてら入店。このときの判断は大正解でした。
内装も年季の入った雰囲気ですが、清潔感があり、居心地がいい。さっそく、注文してみましょう。
名物のごまもちです。
墨のように黒いごまだれに浸るお餅が3つ。ありがたいことに、温かいお茶と漬け物も付いてきました。それでは、さっそく実食。
「ちょっと待ってくれ…!めちゃくちゃうまいぞ!?」
お餅はとても柔らかく、ごまの風味が抜群に香る甘じょっぱいたれによく絡む。おいしくて、ぺろりと平らげてしまいました。
口の中が甘くなったところに、お茶と漬け物のコンビネーションで締め。あっという間に感触。もの凄く自分好みの味で、今まで食べてきたご当地名物の中でも上位入賞レベルの満足度でした。
仙台市を訪れることがあれば、ぜひ!源吾茶屋に立ち寄ってみてください。
ごまもち以外にも、仙台市名物『ずんだもち』など各種のお餅が食べられます。ラーメンなどの食事もありますが、むしろそっちがメインなのかな?
おいしい名物に舌鼓をする、とても素敵なひと時を過ごすことができました!
仙台城跡への上り坂はけっこうキツい
時刻は11時30分。出発から約1時間半が経過しました。
次はどこを走ろうかな?なんてウロウロしていると、道端に周辺の地図が設置されていたので見てみることにしました。
なるほど!ここから近い観光スポットは『仙台城跡』だろう!
僕は歴史的なことはもの凄く苦手でチンプンカンプンなのですが、観光地としての城跡はわかりやすくて割と好きです。
現在地から約1.5kmとまったりサイクリングを楽しむにはほどよい距離。行ってみよう。
街の中心部を流れている一級河川『広瀬川』です。
仙台市のシンボルともいえる川で、市民から愛されているそうです。川面に太陽光がキラキラと反射してきれいですね。
僕が自転車旅に出かけると、結構高い確率で雨に見舞われるので、こんなに穏やかなサイクリングはなんだか久しぶりな気がします。
広瀬川に架かる橋を渡り切ると、すぐに仙台城跡のある『青葉公園』周辺にたどり着きました。
前情報がないので、どこになにがあるか把握できていません…が、とにかく進むのみ!
相変わらず車道は広く、歩道も整備された走りやすい道が続きますが、少しだけ上り坂になっています。そうかそうか、仙台城跡は高いところにあるのか。それすら初耳だぜ!
再建されたという『仙台城大手門脇櫓』まで走ると、青い案内看板に”仙台城跡”の文字が見えたので指示に従って左折します。
仙台国際センターなど、近代的で巨大な建造物が多かった表通りと比較すると、仙台城跡に続くこの道は自然豊か。道路脇に木々が生い茂る林道になっています。
雰囲気は最高なのですが、とにかく勾配がキツい!
まさかの勾配15%!長く続くわけではないでしょうが、最大瞬間火力はなかなかのもの。
ロードバイクに慣れてしまうと、クロスバイクでの上り坂が本当に過酷です。
車体重量とかコンポーネントとか、そういう部分もあるんですが、僕が感じる最大の違いはやはり”ハンドル”でしょう。
ドロップハンドルがいかに握りやすくできているのか、改めて恩恵を実感しました。手軽にできるのであれば、街乗り仕様のクロスバイクもドロップハンドルにしたいくらいです。
勾配が急になっているところの歩道ですが、歩行者が行き来しやすいように一部が階段になっていました。こういう細やかな配慮は嬉しいですね。
実際、歩いている人の数も多く、「こんなところを自転車で走っているの!?」という好奇の視線を感じながら、必死にペダルを回します。
目の前にうず高く積み上げられた石垣が現れ、どことなく城跡の雰囲気を感じるようになります。
これはゴール目前か?12月の寒空の下、汗だくになりながら坂道を上っていると大きな鳥居が目に飛び込んできました。
宮城縣護国神社の表参道大鳥居です。
鳥居の前にはバスの停留所があり、たくさんの人が参拝に訪れていましたが、駐輪場はなさそう。どこから入ればいいんだろう?
とりあえず、もう少し進んでみようかな。
宮城縣護国神社の先は、歩道がなくなり道幅も狭くなるので注意が必要です。上り坂ではあるものの勾配のピークは過ぎたようで、さほど苦労せずに走れます。
完全に坂を上り切り、「平坦になったなぁ…」なんて思っていたら、仙台城跡の有料駐車場がめいてきました。
立ち止まって案内板を見てみると、当然といえば当然なのですが、有料なのは車だけ。自転車は無料です。ここから入ってもよさそうだったので、スイーっと侵入。
標高約130m、伊達60万石の居城をこの目で拝んでみようじゃありませんか!
仙台市を一望!銀輪の馬と共に
車に紛れて駐車場にやってくると、最初に目に入ったのが巨大な宮城県の観光マップでした。
クロスバイクと対比すると、その大きさは一目瞭然ですね。
見上げながら、本州最北端を目指した自転車旅で丸っと宮城県を縦断したときのことを思い出します。こうしてみると、我ながらものすごい距離を移動したな!
当時の自分のがんばりに驚きつつ、なんのトレーニングもしていない僕のような初心者を、これだけ遠くに連れて行ってくれる自転車は本当に偉大だ。そんなことを改めて実感しました。
仙台城は過去に取り壊されており、今は文字通り”跡地”になっていますが、それでも歴史の息吹のようなものを感じとろうと、自分なりに観て回ります。
歩いていると、有名な『伊達政宗公騎馬像』を発見しました。
馬と共に駆ける政宗公。僕も”銀輪の馬”にまたがっているわけですから、なにか近しいものを勝手に感じてしまいますね。
そして、仙台城跡といえばやはりこれでしょう!
仙台市を一望できるこのロケーションは、控えめに言っても最高です。仙台城に住んでいた?仙台城で働いていた?当時の人たちも、同じように仙台の街並みを眺めていたのかな。
石碑があったので、もう1枚。
こういう景色を見ることが自転車に乗る喜び、ツラい上り坂を越えて走る楽しみですよね。
しばらく景色を眺めていると、朝早かったこともあり少し眠くなってきました。
駐車場の裏手にベンチがあったので、そこで少し休憩しよう。ゴロンと横になり、目を閉じて、仙台の風を感じながらまどろみます。
寒いのは苦手ですが、温かい太陽光が優しく降り注いでいるので、とても気持ちがいい。太陽のありがたみを実感できるのは冬の楽しみのひとつかもしれませんね。
宮城縣護国神社が運営している青葉城本丸会館の2階には『青葉城資料展示館』なるものがありました。青葉城とは仙台城の別名です。
時間の関係上、立ち寄ることはしませんでしたが、観光旅行で再び訪れる機会があったらぜひとも観てみたい!そのときの楽しみにしておこう。
最後に、宮城縣護国神社を参拝。御朱印をいただき、帰路につきました。
初めての街を走る楽しみ
来た道をそのまま戻るのも味気ないので、仙台城跡の駐車場入り口を左折して、別ルートを選択します。ここまで上ってきた分、帰り道は下りが期待できそう。
なんて甘いことを考えていたら、勾配12%の上り坂が出現。気を抜いてしまっていたこともあり、いつもより足に負担を感じるぜ。いや、足が喜んでいるぜ!
えっちらおっちら走っていると、目の前に観覧車が現れました。
なんだろうここは?
調べてみると『八木山ベニーランド』といい、仙台市を代表する遊園地のようです。
外から見るかぎりアトラクションにかなりの年季が見受けられますが、それもそのはず。開園したのは50年以上も昔、1968年だそうです。
これはすごい。仙台市民なら誰しもが一度は訪れたことのあるソウルスポットなのでしょう。
ベニーランドに沿って回り込むように左折すると、ついにお待ちかねの下り坂タイム。とはいえ、市街地を抜けるのであまりスピードは出しません。
安心安全に坂を駆け下りていきます。
地図アプリを頼らずに走っているのですが、出発地点のコインパーキングまで無事にたどり着けるかな?自らに備わった方向感覚で進んでいきます。
進む先になにがあるのかわからない!このドキドキ感も、知らない街を走る醍醐味ですよね。
快適なダウンヒル区間は終わり、T字路にぶつかります。どっちだ?多分左だろう…と、向山2丁目という信号を左折します。
しばらくすると『瑞鳳殿』と書かれた案内看板を見つけました。仙台市内の有名な観光スポットで、伊達政宗公をはじめとする伊達家3代の霊屋(たまや)。
霊屋というのは、霊魂・御霊を祀る建物のことです。立ち寄ろうかな?と思いましたが、待ち合わせの約束まで時間が迫っていたので断念。
広瀬川に架かる『霊屋橋』を渡り、なんとなくの方向感覚で走っていると見覚えのある道路にぶつかりました。国道286号です。
ここをまっすぐ進むと仙台駅にたどり着くはず。…ということは!
自転車で走った道というのは自分でも驚くくらいよく覚えていて、スイスイと迷うことなく出発地点であるコインパーキングに戻ってくることができました。
これで、仙台市サイクリング終了!お疲れ様でした。
【本日のライドデータ】
走行距離 15.43km
所要時間 2時間30分
走行時間 1時間44分(-46分)
おわりに
まったりサイクリング最高!初めて訪れる街を走るのは、刺激的で楽しかったです。仙台市内は車道の幅が広く、整備もしっかりされているので路面状態も良好でした。
場所によっては、歩行者と自転車が利用するレーンが完全に分断されている歩道もありました。もちろん”自転車は徐行”が前提でしょうが、ちょっと走るのにはとても助かる仕様です。
平坦な街中を抜けて仙台城跡に足を運べば、区間としては短いですが、なかなかの勾配の上り坂も楽しめるので、汗をかきながらペダルを回すこともできますね。
時期的にイチョウ並木が目を見張るほど美しく、この景色を楽しみながら走れたことは幸せ以外の何物でもありません!
車にクロスバイクを積載しておくと、訪れた先々で気軽にサイクリングを楽しめるのが魅力ですね。もちろん空気入れも車に常備しているので抜かりなしです。
「今度はどこを走ろうか?」
知らない街の景色を楽しみながら、走り、巡る。そんなサイクリングをまたしようと思いました。
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