ヒルクライマーたる者、めざすは高み。もっと高く、もっともっと高く。そう、天の頂きまで走るんたー!そんな気合いに満ち溢れた初心者クライマーにオススメの峠がありました!
その名を『天目指峠(あまめざすとうげ)』といいます。
どうですか?いい名前でしょう?
天を目指す!
その響きだけで、走ってみたくなる!…というわけで、別の意味で昇天しないように気をつけながら天目指峠をヒルクライムしてきました。
ひさしぶりのライドは木枯らしの中で
天目指峠は、前回走った仁田山峠と同じ埼玉県飯能市にあります。
仁田山峠と方向も一緒なので、飯能駅から埼玉県道70号をひたすら進むというルートを再び走ることになります。この道は走りやすくって気持ちいいんですよね。
前日までの大雨がウソのように、空は気持ちよく晴れ渡っています。
これは絶好のサイクリング日和か!?…と思いきや、なんとこの日は木枯らし1号が吹き荒れる強風でした。
風は自転車の天敵ともいえる存在。追い風ならまだしも、当然のように向かい風。なかなか前に進みませんが、それでも愚直にペダルを回すしかありませんよね。うりゃ~!
大雨の影響で川も増水していました。前回見たときは、穏やかな川だったのに。
入間川です。いりまがわ…ではなく”いるまがわ”と読みます。
さらにペダルを回し、飯能駅から17kmくらい走ったところに大きな壁画がありました。
ものすごい迫力!カメラにおさまりきらなかったのですが、写真の2倍くらいの長さにわたり描かれています。
調べてみると『名栗武州世直し一揆』を表した壁画だそうです。
名栗武州世直し一揆とは?
1866年、武蔵国秩父郡上名栗村(現在の埼玉県飯能市)の農民である紋次郎と豊五郎が中心となり、天候不順による農作物の不作、それによる飢饉、そして物価の高騰などにより生活に困窮した農民たちに呼びかけて、広域にわたって蜂起した一揆。上野国(現在の群馬県)まで波及して終局を迎えた。
圧政に対して果敢に立ち上がった農民たちの様子が描かれているようです。
何気なく立ち寄って撮った写真ですが、とても興味深い歴史を学ぶことができました。
おもしろいこと、気になるところを見落とさないスピード感、そしてすぐに立ち止まれるのが自転車のステキなところですね!
それでは、天目指峠まで加速していきま~す!
天目指峠にチャレンジ!
天目指峠は、仁田山峠の入口を通り越して、さらに3kmほど走った先にありました。
はじめて訪れる場合は、この『名栗の社』の看板を目印にするといいでしょう。
名栗の社は、工芸作家さんの作品が展示されているギャラリー&喫茶店です。
コーヒーはもちろん、サンドイッチやカレーのような軽食もいただけるようなので、サイクリングの休憩にもいいかもしれませんね!
調べた情報によると天目指峠は頂上までの距離2.6km、平均勾配は9.1%だそうです。
初心者なので平均勾配を聞いてもいまいちピンときませんし、他の峠と比較することもできませんが、とにかく走り出してみよう!ということだ!
民家が立ち並んでいる道、標識によると県道395号・南川上名栗線を走ります。
最初はなだらかだった上り坂も少しずつ勾配が急になってくる…が、仁田山峠のスタートに比べれば順調な滑り出し。
しばらく走ると噂の『珈琲&ギャラリー 名栗の社』が見えてきました。建物の外観もすごくオシャレな感じで興味津々なんですが今回はスルー。ヒルクライムに集中します!
ここを過ぎると、だんだんと樹木が増えていき、いよいよ本格的な峠道がはじまります。いつも目標にしているのは、足を着かないで上り切ること!
勾配が緩やかなところを狙って、走りながら写真撮影。危険なので多様な禁物ですね。
道路は整備されていてとても走りやすい。落ち葉もあまり気にならなかったし、仁田山峠のような落石もありません。普段からの利用頻度が高いのかな?
ただ、先日降った大雨の影響で山から雨水が染み出ている部分があり、路面が滑りやすくなっているところがありました。力を入れてペダルを踏み込むと、タイヤか空回りするので要注意。
高く育った木々の間を走ります。木漏れ日がきれいで、癒される!
さらに走っていくと、ちょっとしたつづら折りなんかもあり足に疲労が溜まっていきます。サイコンで距離を確認すると、まだまだ半分くらい。先は長い!
峠を走りはじめる前は風が冷たくて寒かったのにいまや汗だく。心拍と共に体温は上がり、汗が滝のように流れています。寒さを感じる余裕もない!
ガムシャラに走っても疲れるだけなのは前回のヒルクライムで経験済み…なので、今回は『自転車芸人・団長安田のヒルクライム入門』という本で勉強してきました。
2012年に発行された本なのですが、これがなかなかにおもしろい!
ヒルクライムの基本や重要テクニックが解説されていたり、団長安田さんのオススメの峠が紹介されていたり、とても勉強になります。
ちなみに、埼玉県でランクインしていたのは『白石峠』『山伏峠』『正丸峠』の3つだったので、いずれ走ってみたいと思います!
さて、本で勉強した成果は?
あまり感じることはできませんでした!当然といえば当然なんですが、ちょっと読んだくらいで劇的な変化はありませんよね。
いいんです!正しい知識を学んで実践していくうちに、テクニックは磨かれていく!これからの成長に期待しましょう。今は愚直にペダルを回すのみ。
そして、走っている最中は延々とも思えた上り坂もついに終わりがやってきました。
前方に『天目指峠』と書かれた標識を発見!無事に頂上まで足を着かずに走り切ることができた!
仁田山峠と違って、わかりやすい目印があってよかった。こういう方が、「峠を上り切ったぞ!」という実感があるのでいいですね。
サイコンに記録されたデータを見ると走行距離は2.68km、走行時間は20分25秒でした。
頂上は木々に覆われていて、遠くを見渡すことができませんでしたが、自然を感じることができるのでこれはこれでアリですね。
しばらく休憩していると、日も当たらないし、汗が冷えて寒くなってきたぞ。天目指峠を制したことだし、今日のところは帰路につきますか!
帰るまでがヒルクライムです
上ってきた道を下りると、当たり前ですが来た道とまったく同じ道を走ることになります。せっかく遠くまで来たのだから他の道から帰ってみよう。
そんなわけで、天目指峠を越えることにしました。
お帰りはあちらですね。名栗方面から上ってきて、吾野方面に下りることになります。
木々の隙間から見えるつづら折り。体感ですが、吾野方面から上った方が距離は長いけど勾配は緩やかそう。機会があったら試してみたいな。
峠を下っているときは、「よくこんな高いところまで上ってきたな…」と毎回のように達成感に浸っています。これもヒルクライムの醍醐味。
下り坂を走るときもテクニックがあるそうなのですが、未修得の僕はとにかくゆっくり走ります。
天目指峠を下り切り、走っていると、埼玉の激坂で有名な『子の権現(ねのごんげん)』の看板がありました。
最大勾配が28%もあるそうです。まったく想像がつかない世界だ。僕が子の権現に挑戦するのはだいぶ先のことになるでしょう…。
さて、子の権現を後にして県道395号を走ります。
小川のせせらぎを聴きながらサイクリング。自然豊かで本当に景色がきれいです。
一本道なので迷うこともなく、国道299号に到着。あとはこの道をひたすら真っすぐ走れば、家に帰れるでしょう。
時刻はちょうどお昼時。強く吹き荒れていた風もおさまってきました。
見上げると快晴の空はとてもきれいで…ん?なんだ?写真にゴミのようなものが写っているぞ?ズーム!ズーム!
人のように見える謎の飛行物体。もしや、フライングヒューマノイドか!?
まさか、こんなところで未確認生命体を発見することになるとは思いもしませんでした。
なんてこともありつつ、まったりとペダルを回します。
交通量もそこまで多くなく、本当に走りやすい道が続いています。埼玉県飯能市はサイクリングの聖地ですね!とても気に入りました。
思う存分、クロスバイクを堪能して、無事に家に変えることができました。お疲れさまでした~!
天目指峠を走った感想
天目指峠、初心者の僕にとってはなかなかキツい峠でした。たかだか2.6kmなのですが、走っている最中は本当に長く感じました。
心が折れそうになったり、足を着けて休みたくなったりしましたが、グッとこらえてなんとか頂上まで走り切ることができたのでよかったです。我ながらあっぱれ!
天目指峠は路面状態も非常によかったので、安心して走ることができました。
すれ違った車もわずか3台という交通量の少なさだったので、安全にヒルクライムを楽しめるのもポイントが高い。
天を目指す!という意気込みで走りに行った峠ですが、とても心に残るものになりました。
「天目指峠ってすごい名前だよな。どんな逸話や伝説が由来になっているんだろう?」
調べてみると・・・
天目指峠
天目(あまめ)は名栗周辺の方言で豆柿(という柿の一種)のことを言い、指(さす)は名栗でおこなわれている焼畑のことを言います。
ん?つまり、「豆柿を焼畑農業している峠ですよ~」ってこと?
うん。現実はこんなものだ!若干の肩透かしをくらいましたが、昔の名栗のことをまたひとつ知ることができてよかった!
それでは、また次回のライドでお会いしましょう!
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