前日の北部『やんばる』では多くのアップダウンを越えて、約150kmの道のりを走破しました。
確固たる自信と共に蓄積された全身の疲労。
サイコンに記録されていた”消費カロリー”は、なんと4,591カロリー!成人男性の1日の必要なカロリーの目安は2,200くらいなので、倍以上も使った…ということですね。
夕ご飯は、失ったカロリーを摂取して、明日に疲労を残さないように爆食い!沖縄本島一周を祝してお酒でひとり祝杯をあげます。
そして、むかえた沖縄自転車旅、最終日となる本日。
今日はどんな景色を見せてくれるのか?出発前から楽しみでなりません。
予定変更!名護市をまったり走ろう
3日目の走行計画をおさらいしていきます。
名護市からバス移動で与勝半島の近くまで行き、海中道路を渡って島々を巡る。そして、再びバスに乗り込み那覇市に戻る…という計画です。
上の地図でいうと、赤い点線が”バス移動”で、赤い実線が”自転車移動”となるわけです。
うーん、どちらも不安要素が大きい!
利用するのは、名護市まで乗ってきた『やんばる急行バス』のような高速バスではなく、街中を走る普通の路線バスです。
2日目の帰り際に『名護バスターミナル』に立ち寄り、バス会社の人に話を聞きました。
路線バスは荷物を入れる”トランク”が使えないため、必然的に車内に持ち込むことになります。他のお客さんに迷惑がかからなければ大丈夫…とのことですが、どうなんだろう?
名護市から与勝半島まではいい。朝5時台の始発便に乗れば、乗客は少ないと思います。
しかし、与勝半島から那覇市の都心部に移動するのは、厳しいのではないか。バスを利用して移動する人が多そうなのは容易に想像がつきます。万が一、乗れなかった場合は自走?
さらに、ロードバイクのコンディションにも不安はあります。
フロント変速機が壊れたまま『やんばる』を走った際、大きくアップダウンが切り替わるような場面では、チェーンを引っ張って、手動でギアチェンジをおこなっていました。
その影響か、ギアまわりに少し違和感を覚えます。スムーズではない妙な具合。
万が一、トラブルが起きて飛行機の出発時間に間に合わなかったら、目も当てられません。
海中道路、与勝半島を走れないのは心残りですが、時間に追われて慌てて走っても、いい思い出にはならないかもしれない。
ここは苦渋の決断。すべての計画を破棄しよう!
そんなわけで、まったりサイクリングをおこなうことにしました。
時刻は8時を過ぎたところ。雲ひとつない快晴は、僕のテンションを上げてくれます。
ロードバイクにまたがる前に柔軟体操。痛みや疲労がないか?体を動かしながら、チェックをおこないます。うん、問題ないですね。
今日は名護市を散策したあと、急行バスで那覇市まで戻ることにしました。
夜のうちに”行ってみたいところ”はリストアップしておいたので、さっそくペダルを踏み出していきましょう!
昨日も走った『トロピカル王国 OKINAWAフルーツらんど』の前を通ります。
パイナップルのような、ひよこのようなキャラクターがいました。
両手を広げて、道行く人を迎えてくれているようです。とても可愛らしいですね。
「いや、ちょっと待て」
おちょこ口だと思っていたところ、なにそれ?鼻なの?
出っ歯、妙にリアルな舌、赤々とした唇…正面から見ると、だいぶ印象違うな、きみ!
朝から笑わせてもらいました。
沖縄県道84号・名護本部線を駆け下ります。
ここは初日にフロントギアの変速機が壊れたところですね。僕の中では、通称『ディレイラー壊しの坂』と呼んでいます。
自転車旅ではつらかったこと、苦しかったことの方が記憶に残るものです。この坂道ものちのち振り返れば、「あのときはハラハラしたなー!」と素敵な思い出になることでしょう。
沖縄県といったら、やはり”シーサー”ですよね。
魔除けや守り神として知られているシーサーを見る機会は、本当に多い。
ちなみに、ここは『森のガラス館』という施設。伝統的な”琉球ガラス”の製作体験や販売をおこなっているようですね。
涼し気で夏にぴったりの琉球ガラス。自転車旅じゃなかったら、グラスのひとつでも買って帰りたいところです。
観光名所を見て回る
名護市サイクリング、最初の目的地をめざします。
名護市営市場のある”名護十字路”を越えて進むと、見えてきましたね。
ででん!名護市街地の入口に悠然とたたずむ樹木『ひんぷんガジュマル』です。
樹齢300年を超え、強い生命力を感じるその姿から名護市のシンボルとして愛されているようですね。沖縄県では”精霊キジムナー”が宿る樹ともいわれています。
下から見上げると、その巨大さが引き立ちます。
名前の一部になっている『ひんぷん』とは、沖縄県の伝統的な家屋で、正門と屋敷の間に建てられた魔除けの”目隠し塀”のことです。漢字では”屏風(ひんぷん)”と書くらしい。
写っていませんがガジュマルの横に『三府龍脈碑』という石碑があり、それが”屏風”に見えることから、いつしか『ひんぷんガジュマル』と呼ばれるようになったそうです。
そこから200mくらい走り、次の目的地である『名護博物館』にやってきました。
老朽化が進んだ…いや、歴史のありそうな建物ですね。
時間があれば見学してみようかな?なんて思っていたのですが、どうやら新館建設のため2021年11月現在は休館していました。
ちなみに、新名護博物館は2023年3月にプレオープンとして無料エリアの公開が開始、同年5月のグランドオープンから一般公開されるそうです。
名護・やんばるの自然と文化に貢献するために生まれ変わった博物館。いずれは訪れてみたいと強く思いました。またひとつ、楽しみができたぜ。
すぐ近くには『オリオンビール 名護工場』がありました。
沖縄県を訪れたら条件反射で飲みたくなります。
関東でも買うことはできますが、現地で飲んだ方が美味しく感じる。そもそもビールがあまり得意ではないため、僕の中で特別感があるのは”オリオンビール”だけなんですよね。
工場見学ができる『オリオンハッピーパーク』という施設。
ビール工場の見学は経験したことがないですが、できたての試飲とかありそうですよね。車はもちろん、自転車で訪れる人は要注意ですよ~。
次は『名護城公園(なんぐすくこうえん)』に行ってみることにしました。
名護丘一帯を敷地とする、とても広い公園です。さまざまなエリアに区分けされていて、水辺の植物や花木、歴史的な自然を堪能できるスポット。
「展望台から名護市を一望してみよう」
そう思ってやってきたのですが、南口の階段では造園屋さんによる草木の手入れかな?…がおこなわれており、なんだか出鼻をくじかれます。
頂上付近までけっこう距離がありそうだし、ロードバイクを担いでいくのも大変だ。ここは”訪れた”という実績だけ築いて、次に進もう。
『名護緋さくらの碑』
名護城公園は緋寒桜でも有名らしい。それを知れただけでも、来たかいあったというものです。
おいしい!ご当地グルメに舌鼓み
なんとなく、名護市は走り回れたかな!
時刻は9時ちょうど。朝ご飯も食べずにサイクリングしていたので、さすがにお腹が減ってきました。帰路に就く前に腹ごしらえをしておこう。
そんなわけで、沖縄県のローカルファーストフード店『A&W 名護店』にやってきました。
昨夜、音声配信アプリ『stand.fm』でライブ配信をしていたところ、聞いてくれている人から教えてもらったお店。今回の自転車旅ではじめて知りました。
2023年3月現在はサボり気味ですが、音声配信もしているので興味があればどうぞ。
では、沖縄県民からは”エンダー”の愛称で親しまれている『A&W』に入っていきましょう。
アメリカンな内装に気圧されながら、注文。
『A&Wバーガー スーパーフライ(S)コンボ』
初のところでは、店名を冠していたりする代表的な商品を選びたくなるタイプです。ポテトとドリンクのセットにしましたが、注文した飲み物はウーロン茶。
「こんなにも”アメリカ”らしいお店に来たのだから、コーラにすればよかった…」
若干の後悔を抱えながら、バーガーの包装を剥いでいきます。
もの凄いボリューム感!これはすごい。
具だくさんで、バンズに収まる気配がまるでありません。
大きく口を開けて頬張ってみると、口内に”おいしさ”が広がっていきます。うまい!
入っているのはなんだろう?ビーフ、ベーコン、レタス、トマト、クリームチーズ…この揚げ物はポテト?じゃないぞ。オニオンリングだ。
空腹も手伝って、あっという間に完食。とてもおいしかった!
時刻は9時50分を過ぎたところ。いい時間ですね。名残惜しいですが、那覇市に戻るとしよう。
ロードバイクにまたがり、沖縄県道71号を走ります。
道路の右側には青々として海が広がっています。海なし県で育った僕としては、少なくとも眺めるだけなら十分すぎるほど美しい。
このまま県道71号を使って、那覇市まで爆走だ!…と景気よくいきたいところですが、飛行機の出発時間があるのでそうはいきません。
来たときと同じように高速バスを利用することにしました。
その発着場となっている『道の駅 許田 やんばる物産センター』まで約3.5km。短い距離ですが、名護市でのラストライドを楽しんでいきましょう!
海岸線をひた走り、サクッと到着です。
歩道橋を使い、道路を越えて対岸に渡ります。
バス停を発見。ここから、行きでも利用した『やんばる急行バス』に乗ればオッケーですね。
時刻表を見ると1~2時間おきにバスが来るようです。次は約2時間後の12時4分か。たっぷり時間があるので道の駅を見て回ることにしよう。
【ここまでのライドデータ】
走行距離 11.12km(トータル171.16km)
所要時間 2時間7分
走行時間 1時間10分(-0時間57分)
その前に、輪行の準備をしてしまおう!身軽になった方が、なにかと便利ですからね。
バッチリです。
ロードバイクを入れた輪行袋は、ひと目につかず離れずの絶妙なポイントに置いておきます。目を離すのは怖いですが、紐をしっかりと柵に縛り付けたし大丈夫だろう。
まずは、さっき食べたばかりですが腹ごしらえ。
ご存知、ソーキそばです。
せっかく沖縄県に来たからには、食べたくなるじゃないですか?値段が安いミニサイズをチョイスして、シークワーサージュースと共にいただきます。
うん、あっさりしていておいしい!好きだな、この素朴な味。
そして、デザートに『おっぱ乳業』のミルクジェラートを食します。
これがまた、優しい味なんですよね。とてもおいしい。
沖縄県今帰仁村に本社をかまえる牛乳・乳製品メーカー。大きな4つの乳房を持つ牛さんがマスコットキャラクターで、そのインパクトは絶大です。
沖縄県でアイスといえば『ブルーシールアイスクリーム』が有名ですが、せっかくなら県外ではまずお目にかかれない『おっぱ乳業』のジェラートをいただきましょう!
食に関しては大満足。あとは、時間が来るまで適当にぶらぶらしよう。
幸いなことに『道の駅 許田』には、お土産屋さんの他に”展示室”があり、時間をつぶすには困りません。さすが人気の道の駅は違いますね。
さあ、そろそろバスの時間が近づいてきました。
沖縄県を訪れたら必ず飲む”さんぴん茶”を片手に、物思いにふけります。とても楽しい3日間だった…と締めくくるには早すぎますね。
最後の最後まで楽しんでいこう!そう決意して、バス停に向かいました。
那覇市を2本の足で練り歩く
約5分遅れで『やんばる急行バス』が到着しました。
「あれ?バスが来ない。なにか間違ってる!?」
内心ドキドキしていましたが、来てくれたよかった。電車と違い、道路の混雑が影響するバスは時間ピッタリ…というわけにはいきませんもんね。
ほぼ始発に近かった行きとは違い、結構たくさんのお客さんが乗っています。
こうなると不安なのが、「輪行袋を載せられるか?」ということです。トランクを開けてみると、案の定、キャリーケースでいっぱいでした。
申し訳ないと思いつつも避けさせてもらい、輪行袋を横置きできるスペースを確保。乗客の皆さんを待たせている感覚があり、焦りながら積み込みます。
よし、これで大丈夫。
身軽になった体でバスに乗り込み、席に座ります。車窓からの景色を眺めながら名護市に別れを告げて、約1時間半のドライブに身を投じます。
バスは楽ちんでいいですね。
時刻は13時30分。高速バスが那覇市の『県庁北口』バス停に到着しました。
さて、これからどうしよう?
飛行機の出発時間は18時00分。搭乗ゲートを17時35分までに通過してなければいけません。そう考えると、意外と時間がないもんです。
ギリギリになって焦るのも嫌なので、とりあえずロードバイク返しにいこう。
レンタルした『沖縄輪業 前島2号店』は約1.5km地点にあります。ロードバイクでスイスイ走れば、あっという間に到着です。
返却手続きをして、3日間を共にした相棒とはここで別れます。ありがとう!フロントの変速機が壊れたり、なんやかんやあったけど楽しかったよ。
【本日のライドデータ】
走行距離 1.55km(トータル172.71km)
所要時間 0時間11分
走行時間 0時間10分(-0時間1分)
さて、体ひとつになったので歩いて行ける範囲を散策しているかな。
とりあえず、那覇市のメインストリート『国際通り』に来ました。初日はほぼ素通りだったので、ウロウロしてみましょう。
大通りも見ごたえがありますが、脇道に逸れてアーケード街に入るのも楽しいです。
薄暗く、壁やシャッターにでかでかと描かれた落書き…もといグラフィティアートの数々。雑多で多国籍な雰囲気の商店が立ち並ぶさまは、「ここは日本?」と錯覚しそうになります。
商店街を抜けると、そこには見覚えのある通りが続いていました。せっかくだし立ち寄ろうか。
『那覇市立壺屋焼物博物館』
初日にマンホールカードをもらった施設ですね。時間もあることですし見学してみます。
焼物でできた陶器やシーサー、独自の発展を遂げた瓦など、さまざまな展示品と共に”壺屋”の文化に触れることができました。
堪能したところで、そろそろ那覇空港に戻ろう。
最寄りの美栄橋駅からモノレールに乗ればすぐですが、なんだか少し歩きたい気分。
那覇都市モノレール『ゆいレール』の線路に沿って、徒歩で移動してみよう。
自転車以上にゆっくりとしたペースで進む”歩き”は、町の散策において最高の交通手段。あたりを見回し、空気を感じながら進んでいきます。
2~3km歩いて、やってきたのは『壷川駅』です。
モノレールに揺られて、那覇空港まで移動しました。
時刻は16時を過ぎたところ。
早く着きすぎてしまったので、最後のお楽しみということで胃袋を満たしていきましょう!
空港内にある『琉球屋 那覇空港店』で、琉球そば定食を注文しました。
そして、昼間に工場を見てからずっと気になっていたこちら。
オリオンビール!旅の締めくくりを乾杯しましょう!
最高ですね。あとは、文明の利器である”空飛ぶ鉄塊”に乗って、関東まで戻るだけですね。
2泊3日の沖縄自転車旅、これにて完結!
完結!沖縄本島を巡る自転車旅
人生2回目となる沖縄自転車旅が、ついにおわりを迎えました。
本当に最高でした!
機材トラブルや予定変更なんかもありましたが、大事に至らなかったのでよかった。怪我や人に迷惑さえかからなければ、よい思い出となります。
2019年12月に北部エリア『やんばる』を走れなかったことが、ずっと心残りでした。
今回の自転車旅では、無事に走り切ることができました!
これで、沖縄本島一周を達成した!という”自己満足”という名の称号をゲットすることができました。本当に嬉しいし、達成感がありますね。
しかし、3日目に予定していた『与勝半島』を走れなかったのは残念。
半島と島々を繋ぐ『海中道路』も気になりますし、これはまた走りに来るしかないですね!
そんなわけで、長らくお付き合いいただきありがとうございました。
「次はどこを走ろうか?」
春先あたり、どこか遊びに行きたいなぁ!
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