本州最北端・青森県の大間崎をめざして、自宅から大宮駅まで胃の痛くなる時間制限付きのサイクリングを走り抜きました。
そして、今回の自転車旅のスタート地点に降り立つべく、新幹線に乗り込みます。
2019年のゴールデンウィークに旅をした千葉県から岩手県奥州市までの過酷な道のりを思い出しながら、今度はその続きを走れることに心底ワクワクしてきます。
これからはじまる長旅に備えて仮眠を取りつつ、新幹線は岩手県の一ノ関駅に到着。
そこには目を疑うような光景が広がっていました!
~前回のライドはこちら~

本州最北端への旅、はじまりは雨
岩手県の一ノ関駅に到着した新幹線。意気揚々とホームに降りると、なにやら窓の外から聞きたくない音、それも激し目なやつ。
雨!なんて、生易しいものではない。これはもう豪雨の部類に入るのではなかろうか?
確かに一貫して天気予報は『くもり時々雨』『くもり一時雨』だったんですが、小雨がパラつく程度の認識でいました。普通にガッツリ降るものなのね。
心のどこかで、「奇跡的に晴れるだろう!ま、最低でもくもりかな?」なんて楽観的に考えていましたが、現代の天気予報の的中率を侮っていた。奇跡は起きん!
とはいえ、まだ希望はある!
前回のリタイア地点であり今回のスタート地点である奥州市水沢駅は、一ノ関駅から電車で20分くらい北上したところにあります。
直線距離にして約25kmくらい。これだけ離れていれば、天気もまた少しは変わるはず。わずかな希望を胸に在来線に乗り込みます。
水沢駅にはJR東北本線を利用して移動しますが、関東の電車とは少し勝手が違うんですよね。
大きな違いはボタンを押さないと車両の扉が開かないこと。そして、車両に乗ったあともボタンを押さないと扉が閉まらないのです。
僕はこれを知らずに扉を開けっ放しにしてしまったんですが、他の乗客の方が親切にボタンを押してくれました。ご迷惑をおかけしました。
そして、奥州市の水沢駅に到着!
めちゃくちゃ懐かしい!あれは平成最後の日。身も心もボロボロになりながら、この広場で輪行作業してたっけな。
実に1年ぶりに戻ってきましたが、当時のことは鮮明に覚えています。
空を覆う厚い雲からはパラパラと雨が落ちてきますが、一ノ関駅のときよりも雨脚は確実に弱くなっている。流れは我にあり。
1年間の成長をこの自転車旅にぶつける!時刻は10時、本州最北端をめざしてライド開始します!
今回の自転車旅のために新しく購入した軽量のレインウェアを着込み、リュックサックにはレインカバーをかぶせます。
大型サドルバッグの中の荷物は防水インナーバッグに入れているので問題ないでしょう。
最初から雨天ライドは覚悟していたので、モバイルバッテリーや充電器などの電子機器類はもちろん、その他ほとんどの荷物をジップロックの中に収納しています。
雨対策はバッチリ。体は濡らしても荷物は濡らすな。自転車旅の格言ですね。
雨粒が顔を打ちますが、気にするほどのことでもありません。快適に走れています。
メガネに水滴がつくのは多少うっとおしいですが、こればかりはワイパー付きメガネが開発されるまで我慢するしかなさそうです。
水沢駅を出発して、まずは北上していきます。
奥州市の北大通りは路側帯が広いのでとても走りやすいぜ。
ただし、油断は禁物。雨天ライドでは白線、マンホール、グレーチングなど、雨に濡れてとても滑りやすくなっているところがあります。
それらの上はなるべく通過しないように注意します。いきなりすっ転んでリタイアなんて絶対に嫌ですからね!
とにもかくにも、国道4号に合流することを優先しよう。
少し雨が強くなってきた。路面には雨水がたまり、常に水たまりの中を走っているような感覚です。
カメラのレンズにも雨粒がついてしまう。撮影するたびにぬぐっている余裕もないので、臨場感あふれる写真をお楽しみください。
そうこう言っている間に国道4号に合流しました。これで道に迷う心配は激減した。
前回の自転車旅では、宮城県白石市周辺で国道4号を外れて蔵王エコーラインに入ったことにリタイアの一因があると思っています。
なので今回は国道4号をひたすら頼って走る!
青い案内標識には、今日の目的地である『盛岡』の文字が見えます。具体的には盛岡市つなぎ温泉にある宿がゴールです。
水沢駅からの距離は約75kmと、初日なので少し短めに設定しました。朝イチで30km走ったとはいえ新幹線での仮眠で体力満タン。どこまでも走っていけそうな気がする!
ひたすら4号を走ります。
道自体は整備されているのですが、街中では歩道を走ることを余儀なくされる場面もしばしばあります。街中ライドは気を遣うので必要以上に体力を消耗する。
雨は弱くなっていますが完全には上がっていないので、写真を撮るたびデジカメのレンズに水滴が付きます。しかし、そんなことは気にしない!
なぜなら、こんなこともあろうかとNikonの『COOLPIX W300』というデジカメを買ったのです。
このデジカメは耐水性があるのはもちろん、耐衝撃性、防塵性、おまけに防寒性も備えているまさにアウトドア向けの一品。少し重いのが欠点ですが、ラフに使っていけるので気に入っています。
出発してから1時間半が経ちました。走行距離は20kmです。
今回の自転車旅ではフロントライトを2つ装備しています。サイコンから向かって右がキャットアイの『VOLT800』、左が『VOLT200』です。
ライトのバッテリー切れで、外灯も少ない夜の田舎道をスマートフォンの灯りを頼りに走った前回の苦い経験を活かした上での対策。成長しているでしょ?
夜と雨は相性最悪。自ら光を発して存在を示していかないと交通事故を引き起こしかねないので本当に気をつけよう。
ひさしぶりのパンクに大苦戦
さらに5kmほど走ると『わんこそば』発祥の地であるは花巻市に入りました。
時刻は12時ちょうど。次第に雲が薄くなっていき、ついに雨があがりました。少しだけ空も明るさを取り戻し、俄然走りやすくなってきた。
東北地方で最大の河川『北上川』に架かる橋の上で記念撮影。
・・・をするわけにわざわざ止まったわけではありません!
走行中、急にロードバイクの挙動がおかしくなり停車。まさかと思ってタイヤを触ってみるとガッツリと空気が抜けていました。パンクです。
どうやら原因はコイツのようだ。
1mmくらいの尖ったガラス片。見事にタイヤをぶち抜き、チューブに穴をあけていました。
路上でパンクしたのはクロスバイクを含めても2回目です。はじめては日本を横断した自転車旅の最中だったな・・・なんて、懐かしんでいる場合ではない!
「ホイールに対してチューブってこんなに大きかった?余るんだけど!」
「空気が入っていかない・・・」
「ロードバイクのタイヤってこんなにキツいの?」
ひさしぶりすぎて、チューブ交換のやり方がうろ覚え。四苦八苦するもなかなかうまくいきません。
曖昧な記憶を頼りにするのはやめてにして、YouTubeの動画を見ながら路上でお勉強。間違っていた部分を発見したので再度チャレンジしてみると、すんなりと交換することができました。
正しい知識をもってすれば、こんなにも簡単なんですね。
これは未来の自分のためにも、備忘録としてパンク時のチューブ交換の手順をブログ記事にまとめようと決心しました。
実に45分も足止めを食らいましたが、なんとかライド再開の目途が立ちました。
それにしても、パンクしたのが雨上がりで本当によかった!雨が降っている中で慣れないチューブ交換をしていたらと思うと心底ぞっとするぜ。
しばらく走り、空気が漏れている様子がないのを確認して一安心。
そうそうパンクすることはないと思うけど、予備チューブが1本というのはいささか不安だな。どこかで買い足すことにしよう。
本州最北端の自転車旅、初日を完走
国道4号を北上していき、花巻空港前のセブンイレブンで小休止。
はるか前方には、雲の合間からうっすらとですが青空が見えます。その調子でどんどん晴れてくれ!
ひたすら国道4号を走っていると、いつの間にやら盛岡市に入っていたようです。
近くにある自転車屋を調べたところ進行方向6km先に『サイクルベースあさひ 盛岡南店』があったので、立ち寄ることにしました。
国道4号を外れると田んぼの稲が輝いている。米が食べたい。
僕は自転車旅の最中は食事がおろそかになりがちです。とくに走っている最中は、目的地にたどり着くことを優先してしまい基本的にはコンビニで済ませてしまいます。
国道46号沿いにあるサイクルベースあさひに到着。無事に予備チューブを購入することができた。ついでにフロアポンプを借りて、しっかりとタイヤに空気を入れます。これで安心だ。
時刻は15時30分。今日の宿までは残り約15kmなので、初日の終わりがボチボチ見えてきました。
再出発して、そのまま国道46号を道なりに走ります。
わんこそばをモチーフにしたキャラクターを発見!調べてみると『そばっち』という名前みたい。
岩手県は漆の生産量が日本一の県らしく、漆器と各エリアを代表とする食材とを組み合わせた『わんこきょうだい』というキャラクターがいるようです。
岩手県道16号に入ると建物が激減し、自然豊かな日本の原風景がお出迎え。
こういう景色も大好きなのですが、空を覆う分厚い雲がうらめしい。
昼過ぎに止んでから雨は降っていないのですが、僕の間の悪さを考えると少し心配です。そこまで逆の意味で”持っている”人間だとは思いたくない。
県道16号から県道172号に変わると、最後の試練とばかりにそこそこの上り坂。
そして、盛岡市の一大観光地『御所湖』が見えてきました!
御所湖は自然の湖ではなく、目的をもって作られたダム湖です。
計画を練っている段階では、「早く着いたら御所湖を一周してもいいかもな」なんて思っていましたが、そんな余裕はなさそう。
目的地はもう目と鼻の先!つなぎ温泉まで優雅に湖畔をサイクリングだ!
その瞬間、鼻先にポツリと水滴が触れるのを感じます。ここにきて雨か!?
午前中に濡れた衣類、荷物、自転車、すべて気持ちよく乾いたところなのに、このタイミングで雨には降られたくない!絶対に!ペダルを回す足に力が入ります。
そして、つなぎ温泉の看板を発見!
さすがは温泉郷で、道端には手湯や足湯がありましたが今は先を急ぎます。
出発から6時間40分が経過して、時刻は16時40分。
無事に本州最北端の自転車旅、初日の宿にたどり着くことができました!
【本日のライドデータ】
走行距離 84.02km(トータル116.56km)
所要時間 6時間42分
走行時間 5時間31分(-1時間11分)
宿でまったり時間を楽しむ
本日お世話になるのは岩手県つなぎ温泉の『菅旅館』です。
女将さんにロードバイクで奥州市から走ってきた旨を話すととても驚いてくれて、「自転車が雨に濡れたら大変」と建物の中に置かせていただけることになりました。本当にありがたいです。
自転車旅で宿に着いて最初にすることは?
とりあえず休む!くつろぐ!・・・といいたいところなのですが、今にも雨が降り出しそうなので先に夕ご飯の買い出しを済ませちゃおう。
来る途中にあった最寄りのコンビニまで約1.3kmなので歩いていきます。
知らない町を歩くのは新鮮でとても好き。温泉街ならなおさらです。足湯にこそ浸からなかったものの手湯で温泉の暖かさに触れました。
のほほんと歩いていると、コンビニにたどり着く直前に雨が降ってきました。それも大雨です。横着してロードバイクで来なくて大正解。
宿で借りた傘があったので濡れずに到着。お腹が減っているときの買い物って買いすぎちゃうからよくないですよね。自分へのご褒美としてお酒で乾杯しよう。
コンビニから帰ってきたら、温泉に入る前に明日の準備をしておこう!
荷物を極力減らすために着替えは一着しか持ってきていないので、今日着ていた服は洗濯する必要があります。
自転車旅をはじめていろいろな宿に泊まるようになってから、「ランドリーのある宿って意外と多いんだな」ということに気づきました。むしろない方が稀な気がする。
洗濯している間に温泉に入ります。この瞬間が最高に気持ちいい!雨の中を走ってきたので、爽快感は普段の倍以上!
つなぎ温泉は熱めのお湯ですね。体の芯まで温まり、疲れが吹き飛びます。
温泉から出ると洗濯が終わっていたので、そのまま乾燥機にイン。機械に働いてもらっている間に夕ご飯を堪能します。コンビニ飯とはいえ侮るなかれ。空腹が最高の調味料です。
そして、ひとり宴会という至福の時間が訪れる。ここまで走ってきた達成感に浸りながら飲むお酒はうまい!このために雨の中を走ってきたといっても大げさではない。
とはいえ、今朝は起きるのも早かったですし疲労もある。明日を万全な体勢で迎えるためにも、早めに寝ることにしました。
「雨、大丈夫かな?」
心配ですが、ここまで来たらなるようにしかなりません。
雨が降ろうか振るまいが、本州最北端までの道中を大いに楽しんでいこうと思います!
コメント