本州最北端・青森県大間崎をめざす自転車旅も3日目にさしかかりました。
全行程の、まだ折り返し地点にも立っていないことに一抹の不安を抱きますが、人生初の『岩手県』に胸が高鳴ります。
しかし、油断は禁物!無理をしないで、安全第一に楽しんでいこう。
宿を発つ前はそう思っていたのですが、ちょっとした好奇心で大変な状況に……。
そして、満場一致で”人生でもっとも過酷だったライド”となりました。
無事に本州最北端に……というか、本日の宿にたどり着けるのでしょうか?クライマックス!
~前回のライドはこちら~

蔵王エコーラインを越えて
今日も今日とて5時に起き、準備をして6時には出発。
走行距離と脚力の関係上、明るいうちに走れる時間を確保する必要があり、僕の自転車旅は基本的にこのサイクルではじまります。
お世話になった『パシフィックホテル白石』の駐輪場。
室内に持ち込むために取り外していた大容量サドルバッグを、ふたたび装着します。

自転車を部屋に持ちこめないときは、サイコンやフロントライトなど、すべての装備品を外さなければいけないため、出発準備の手間が増えてしまいます。
朝の気温は5℃でした。
当たり前ですが、北にいけばいくほど寒くなっていきます。これは”最北端”が近づいているということなのでむしろ歓迎すべき話ですが、どうにも寒いのは苦手。
時刻は6時を少し過ぎたところ。出発していきましょう!
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本日は”③”の黄色矢印のところ。
今いる宮城県白石市から岩手県奥州市まで、約152kmを走る予定です。走行計画では、本日がこの自転車旅の”最長距離”を走る日。
走りはじめると、とにもかくにも国道4号への合流を急ぎます。

無事に合流しました。結局、国道4号をひたすら北上するのが迷わずにラクなはず。
それにしても、天気は快晴!まさに、絶好のサイクリング日和。
しかし、このあたりは車道を走るのがとにかくこわい。
朝だから交通量はそこまで多くないものの、車道外側線の外側のスペースが狭く、道も荒れているので気をつかいます。
体調も万全ではありません。
取り返しのつかない怪我もしたくないため、危険を感じたら迷わず歩道を利用させていただこう。
そのまま5kmくらい走っていると、この自転車旅の”運命の分かれ道”がやってきました。

青い案内標識にはふた股に分かれた矢印。
国道4号を直進すると『仙台』へ。左に逸れると県道12号、その先には『蔵王エコーライン』と書かれています。
「……蔵王……エコーライン?」
調べてみると”蔵王連峰を東西に横断し、宮城県と山形県をつなぐ山岳道路”らしい。
国道4号をそのまま進めば間違いなく仙台市にたどり着きますが、山をぐるりと迂回することになります。つまり、若干の遠回り。
これ、むしろ山を突っ切った方が早く着くんじゃない?
冷静に考えれば、国道4号を走った方がいいに決まっています。しかし、ショートカットうんぬん抜きにしても『蔵王エコーライン』に魅力を感じてしまう自分がいました。
「この道を走ったら、どんな景色に出会えるんだろう?」
芽生えた好奇心から、目を背けることができなかった……!
そして、寄り道も観光もせずに、ただひたすら”目的地まで走る”ということに、「これでいいのだろうか?」と疑問を感じはじめていたこともあります。
自分は”旅”をしているんだ!きれいな景色が見られるかもしれない?じゃあ、走るべきだ。
そんな気持ちから、安泰の国道4号に別れを告げ、蔵王エコーラインに突入しました。
国道4号から県道12号に逸れて走っていくと、スタート地点が見えてきました。

看板には『ここから32km』と書いてありますが、走破を目指しているわけではありません。
あくまえ、山を越えて仙台方面に向かうことが目的です。
走りはじめて、早くもきれいな景色を眺めることができました。

流れているのは『松川』というらしい。素朴で癒される川です。
しばらくすると、少しずつ勾配が急になってきた。めちゃくちゃキツい……というわけではありませんが、そこそこペダルに負荷がかかります。
本日も両足のアキレス腱、左ひざは絶不調。痛いです。無理は禁物ですね。
それでも、一歩一歩を踏みしめながら大切に進んでいる感じがして、上り坂はきらいじゃありません。むしろ”楽しい”と改めて思いました。
ぜーぜーと息を切らしながら走ること1時間。
「楽しい……とは?」
ひたすら続く上り坂に、体力・気力ともにごっそりもっていかれます。

それでも、ひたすらに景色はきれい。
雲ひとつない快晴。目線のはるか前方には、雪のかかった山脈が見えます。
シャッターチャンスはたくさんあったんですが、坂の途中で止まるのがキツく、あまり撮影できず。その分、心の中にしっかり焼きつけておきました。
実に12km。延々と坂道を走り続け、ふと、「いつまで上ればいいんだ?」と我に返ります。
あわててGoogleマップで現在地を確認。ちょうど右折するポイントあたりでした。あぶない。
通りが少し賑やかになったところに『ファミリーマート 蔵王遠刈田店』があり、その先を右折して県道47号に入ります。
ちなみに『遠刈田』……なんて読むと思います?答えは”とおがった”です。
まるで今の僕の心境をあらわしているような地名。すばらしい。
さて、10%前後の急勾配が続く蔵王エコーラインに苦戦しましたが、なんとか上り切る!
あとは、ひたすらダウンヒル。汗をかいて熱くなった体が一気に冷える!これがめちゃくちゃ気持ちいい!
1時間30分くらいかかりましたが、なんとか山越え達成。いざ、仙台方面へ。
連続アップダウン!仙台の町を越えて往け
山を下りた先にある川崎町を抜けて、国道286号に合流。
一面に広がる超巨大な水たまり、もとい青くうつくしい『釜房湖』にやってきました。

横断するように架かる橋を渡ります。

両側に湖が広がる、とてもすばらしい見晴らし。写真だとなかなか伝わらないのがもどかしい。カメラの技術も磨きたいところです。
案内看板を発見。

読んでみると、釜房湖は釜房ダムによってせき止められた水で生まれた人造湖なんですね。
ダムといえば、管理事務所などでもらえる『ダムカード』が有名です。集めるのは好きなので、自転車×ダムカード収集の企画もやりたいな。
そして、極めつけは『ダムカレー』ですね。ご飯をダムに、カレールーを湖に見立てて盛りつけたユニークなご当地カレー。調べたところ、この釜房湖にもあるそうです。
一石三鳥!楽しいサイクリングになりそうな予感がします。
釜房湖を出発して、走るのは引き続き国道286号。
これまでいろいろな道をクリアしてきましたが、ここはトップクラスに走りにくい!
道が狭いので、すぐ真横を車が駆け抜けていきます。
少し右側にバランスを崩しただけで、車に跳ね飛ばされる距離感。おそろしい。これは、慎重にならざるをえません。
恐怖に耐えていると、歩道が出現。危険な車道区間にある一種のオアシス。
軽車両である自転車は車道を走るのが交通ルールですし、とくにロードバイクは車道をガンガン走っていくイメージがありますが、僕は少し違います。

あまりにも危険だと感じたが、ためらわず歩道に避難させてもらいます。
これもれっきとした交通ルール。冗談抜きに、生命にかかわることもありますからね!
時刻は10時15分。あっという間に出発から4時間以上が経っていました。
ガーミンには”走行距離50km”と表示されています。とりあえず、今日の行程の3分の1はクリアしたことになるのかな?
関東では見かけたことのない『薬王堂』という薬局に立ち寄ります。
自動販売機で飲み物を買い、休憩しながら何気なく店名に目をやると『仙台茂庭店』と書かれていました。いつも間にか仙台市に!なんだかうれしい。
リスタートするも道を間違えていたようで、すぐに引き返します。あぶないあぶない。
薬王堂のあった交差点まで戻り、信号『茂庭』を右折して、県道31号に入りました。
仙台市といえば名物の牛タンですよね。食べたい!……ところですが、寄り道している余裕はない。とにかく今は国道4号への復帰が最優先。
国道4号は仙台市をぐるっと回りこむように通っているので、山を越えて、街を突っ切る最短コースを進んでいこう!
県道31号を走りはじめると、すぐに結構な急勾配に見舞われます。
距離は2.5kmくらいしかなかったのですが、ここでかなりの体力を消耗。それと同時に左ひざの痛みが強くなってきました。

頂上にある『馬越石トンネル』を抜けます。
60mほどの短いトンネルですが、ヒルクライムの先にあるため、通過したときはさわやかな気分を感じることができました。
上りのうっぷんを晴らすかのごとく、下り坂を疾走します。体に受ける風が心地いい。
高速道路の出入口『仙台宮城インターチェンジ』を越えて、県道31号から県道37号に乗り継いでいきます。
このあたりも上り坂。小さい山が断続的に続いているイメージです。気合いで約3kmを上り切ると、景色は一変。仙台市青葉区の市街地に入りました。
この町越え……めちゃくちゃ大変だ!
下り基調なのはいいんですが、路面状況が悪すぎてスピードが出せない。ガタガタ道や段差の振動が体に伝わり、手のひらと腕にダメージを受けます。
疲労により体の芯で支えきれず、ハンドルに体重がのりすぎているのか?
道中、知らないおじさんに呼び止められ思わず急ブレーキ!
立ちゴケしそうになりながらも話を聞いてみると、「最寄り駅までの道を教えてくれませんか?」とのこと。
Googleマップで調べて、教えてあげました。一日一善ですね。
車に注意しながらゆっくり走ったり、道に迷ったりしたため、国道4号までの約10kmを1時間以上もかけて走る結果になってしまいました。
時間がかかりすぎている。体力と気力も相当に使ってしまったぞ。
再会の国道4号と絶望の残り距離
紆余曲折を経て、ついに国道4号に戻ってきました!
出発から、すでに6時間30分以上も過ぎています。しかし、午前中は上り坂が多かったり、市街地を抜けたり、思うように距離を稼げなかったため、進んだ距離はたったの70km。
時刻はもうすぐ13時になるところ。
いやな予感が爆発。本日の目的地である宿までの距離を改めて調べたところ、なんと”100km”という数字が出てきました。
「……はあ!?100km!?」
走行計画では約152kmと算出していましたが、相当に遠回りしていたようです。
それにしても、朝6時から走りはじめて、午前中丸々使ったのに半分にも達していないのか。
ちょっとまって、いったん落ち着こう。
これから時速20……いや、平坦道ならまだしもアップダウンがあったり、信号待ちや休憩を含めたら時速15kmが精いっぱいか。
100kmを時速15kmで走ると、6時間40分かかる。完全にナイトライド突入コースですね。
蔵王エコーラインはとてもすばらしい景色でした。
しかし、7泊8日という長期間&長距離の自転車旅を完遂するには、ときとして冷静に進むべき道を決めなければ、しっぺ返しがきますね。
いろいろと想定があまかったです。いい勉強になりました。
いやいや、それにしても今から100km走るの?すでに息も絶え絶えですよ。
それでも、ペダルを回せば自転車は前に進むもの。

約20kmを走り、たどり着いたのは宮城県大崎市に流れる『鳴瀬川』です。
名前の響きも相まって、さわやかな景色に心癒されます。
時刻は14時30分。約20kmを1時間30分かけて走ってきた。計算すると時速13.3kmか。
想定を下回っていますが、こんなものでしょう。
しかし、残り約80kmをこの速度で走ると……6時間!?まだまだかかるな!
ここまできたら、考えるのは無意味。
見たい景色のために回り道をした。そこに後悔はない!
反省はするにしても、それは今ではありません。今すべきことは一生懸命ペダルを踏み、前に前に進むことです!
ただひたすらに走ります。

ふと空を見上げると、青空を切り裂くような2本の飛行機雲。
一見するとうつくしい光景ですが、サイクリストとしては心配。飛行機雲が残るのは、上空に湿った空気が流れ込んでいる証拠。つまり、翌日は天気が崩れるサインです。
明日のことは明日考えよう。

疲労のせいもあり、どこを走っているのかよくわからなくなります。
追求する気力もない。かろうじて青い案内標識を見て、「あと146km走れば盛岡市なんだ」なんて漠然と思いながら進みます。
車道の左側を走るのがこわいところ、ちょくちょくあります。

絶対わざと寄せにきてるだろ!と思うようなドライバーにも何度か遭遇しました。
車からしたら邪魔くさいのはわかります。しかし、同じ公共の道路を利用させてもらっている仲間じゃないですか~!そんな意地悪しないでください……!
緊急避難的に歩道を利用していると、そんなときにかぎって横断歩道が設置されていない交差点に出くわすことが多々あります。
こういうところは”横断地下道”を使わないと車道を横断できません。
これが、かなりの難敵なんです。歩きにくいSPD-SLシューズ、ここまでのライドでボロボロになった足で階段を上り下りするのはとても大変。
ガリガリとクリートを削らせながら、手すりにしがみついて慎重に進みます。
車道を走っていれば1~2秒で通過できる交差点。地下道に潜ることにより1~2分もの時間を費やすことになるのです。
大きなタイムロス!この肉体的&精神的ダメージははかり知れません。
ここで、ふと思い出します。
明日が『平成』最後の日。そして、明後日から新しい時代『令和』がやってくるのか!
新元号の到来に沸きたつ世間をしり目に、知らない土地をロードバイクでひとり、駆け抜けている。我ながら、つくづくもの好きな生き物だと思う。
『前略、僕は日本のどこかにいます』

僕の好きな”青春18きっぷポスター”のキャッチコピー。なぜだか唐突に頭の中に浮かびました。
この言葉の主人公になる日が来るなんて、思いもしなかったです。
「もはや自転車旅ではない!修行……いや、苦行ですらある!」
そんな思いを胸に秘めながら走っていると、希望か?絶望か?青い案内標識が見えてきました。

奥州市まで、あと40km!
確実に進んでいる!進んではいますが、まだまだ先は長い……!

時刻は17時30分になるところ。少しずつ日が落ちていくのを感じます。
これは確実にナイトライド突入ですね。僕は視力が悪く夜目もきかないため、なるべく避けたかったのですが覚悟しておこう。
そして、残り40kmを走ったあたりから、足の調子が本格的に悪くなってきました。
アキレス腱は、例の”太ももを上げるペダリング”のおかげで、なんとか現状を保っています。しかし、本当に深刻なのは左足のひざ。尋常じゃないくらい痛い。
ビンディングの着脱時に、ものすごい激痛がはしるのです。
足首をひねり外すときはもちろんですが、はめるときがさらに地獄。痛みのせいで、足の力だけではクリートがまったくはまらない。
左足に全体重をのせて、「ぐうっ!」とうめきながらバチン。
信号待ちなどでとまるたびに、この激痛をスパイラルを繰り返すので、症状は悪化する一方です。かなり……いや、めちゃくちゃしんどい。
人生でいちばん過酷なライド
左ひざの痛みをこらえながら、少しずつ……少しずつ前に進んでいきます。

そして、ついに待望の岩手県に入りました!
宿まで残り30km。
あいかわらず国道4号を利用していますが、このあたりは走っていてとてもこわい。車幅は狭い、交通量は多い、車は猛スピードですっ飛ばしていくの3重苦です。
歩いた方が速いんじゃない?くらいのスピードしか出せず、完全に日が暮れてしまいました。

ナイトライドの幕開けです。
ちなみに、フロントライトを消すとこんな感じ。

漆黒の闇すぎるでしょう!
800ルーメンのCATEYE『VOLT800』を買っててよかった。
このくらい明るければ、かなり安心して走ることができますね!
暗闇をフロントライトの光で切り裂きながら走ること約10km。
おそれていた瞬間がついにきた。左ひざが完全におわった。
ビンディングの着脱ができなくなるどころか、ペダルを回すことさえも激痛で困難になってしまいました。脳が左足を動かすことを拒絶します。
「……限界か……?」
いや、まだだ!オレには右足が残っている!
左足をぶらぶらさせたまま、右足の力だけでペダルを踏み込みます。慣性を最大限活用して、省エネルギーで少しでも、前へ前へ。
最悪にみえたこの状況。現実はさらなる追い打ちを仕掛けてきます。
テールライトに異常発生!
ライトを”点灯”させたいのに、なぜかテンポの速い”点滅”になってしまう。なにこれ?なんのいやがらせですか!
サドルバッグに付けていた電池式の予備テールライトも、道中で落としたときに電池が外れてすっ飛んでいき、使いものにならない。
とりあえず、ここは点滅でしのごう!
予備テールライトを反射板とすれば、交通ルール違反ではないはず。
『泣きっ面にハチ』
『踏んだり蹴ったり』
『一難去ってまた一難』
さらなるアクシデントに、そんな”ことわざ”が、頭の中を駆け巡ります。
「フロントライトが……バッテリー切れ……?」
漫画『賭博黙示録カイジ』の世界だったら、視界が、脳内が”ぐにゃあ~~”ってなってるとこですよ。まさに絶望の境地。
それにしても、なぜ!?この日のために、きちんとフル充電したぞ!
考えられるとすれば、安全第一ということで日暮れ直前から電源をオンにしていたこと?連続使用時間を正確に把握していなかった自分のミスだ。
これは、次の自転車旅につながる失敗だ!
ナイトライドの可能性がある自転車旅では、フロントライトをもう1つ装備!そして、ライトを付けるタイミングもシビアに見極める。
また成長することができました。
なんて、すでに次のライドのことを考える余裕が”このときは”ありました。
その根拠は、秘密兵器・モバイルバッテリーの存在です。電力切れ?それなら、充電すればよかろう!この程度のトラブル、想定の範囲内よ!
……と思ったら、充電しながらだと電源入らないの!?
調べてみると、バッテリーへの負担軽減や防水性の維持など、いろいろな理由から”できない仕様”になっているそうです。わかるかい!そんなもーん!
日が暮れて涼しいはずなのに、汗がとまりません。
宿まで残り数kmの距離とはいえ、この暗闇の中をノーライトで走る?絶対に無理!
苦肉の策として、スマートフォンのフラッシュライトの明るさを最大にして足元を照らしながら、ゆっくり進む作戦にでました。
頼りないともし火ですが、ないよりは全然マシ。ときどき通る車のヘッドライトで照らされた道を脳裏に焼きつけながら、安全なルートを走行します。
もちろん、その間にフロントライトは充電しておきます。
散々な状況ですが、若干の下り坂になっているのが唯一の救い。少しの力をペダルに込めるだけで、自転車は地面を滑るように進んでいきます。
いける!まだ、天に見放されたわけではない!
過酷なナイト……いや、ダークネス(暗闇)ライドに耐え忍ぶ。
そして、次第にお店や街灯が増えはじめました。町に入ったんだ!ここまでくれば、本当に本当にあと少し。
フロントライトも復活!がんばれ、自分!
時刻は21時を少し回ったところ。
僕の33年間の生涯で、いちばん『満身創痍』という言葉が似合うコンディションになりながらも、なんとか……本当になんとか、岩手県奥州市の宿までたどり着くことができました!
うわー!変な笑いがこみあげてくる!
我ながら呆れるくらい走ったな。何気に”人生最長距離のライド”となりました。
【本日のライドデータ】
走行距離 173.94km(トータル481.14km)
所要時間 14時間58分
走行時間 13時間06分(-1時間52分)
苦渋の決断・本州最北端への旅路
自転車旅の3日目。
無事に……ではありませんが、完走することができました。
「疲れた」
その一言に尽きます。
今日のライド後半、左ひざの激痛によりビンディングの着脱が難しくなってきたときから、ひとつのことを考えていました。
それは”自転車旅のリタイア”です。
全身の疲労、両足のアキレス腱、お尻、手のひら、両腕。そして、現状でもっとも深刻なダメージを負っている左足のひざ。
体はボロボロです。
これ以上このコンディションで走り続けると、怪我の悪化、交通事故を引き起こすリスクの上昇など、取り返しのつかないことになりかねません。
天気予報を見ると、明日から雨模様だったこともリタイアの背中を押します。
「……ここまでだな」
めちゃくちゃ悔しいですが、2019年ゴールデンウイーク『本州最北端・大間崎をめざす自転車旅』は、岩手県奥州市にて終了とします!
自分よ、お疲れさまでした。
7泊8日の走行計画が、3日目でのリタイアという残念な結果になりました。
しかし、慣れないロードバイク、SPD-SLペダル&シューズ、初日に痛めたアキレス腱、左ひざの激痛……よくぞ、ここまで走った!
今回の自転車旅では得るものがたくさんありました。この経験を、必ず成長につなげてみせます!
「ここまで来たんだし、明日は観光でもしようか?」
一瞬、そんな考えが頭をよぎりましたが、荷物もあり、ロードバイクもある。なにより普通に歩くことさえ困難な足ではそれも難しい。
やはり、いさぎよく帰路に就くことにします。
そうと決まれば、さっそく帰る準備をしていこう!
今回、本州最北端をこの目にすることはかないませんでした。しかし、僕の自転車旅はまだ続いている。
無事に家にたどり着いて、はじめて完結するのです。
寝るまでにやることリストがこちら。
②予定していた宿泊先をキャンセル
③帰宅にむけて荷造り
最初にやるべきことは帰路の確認。
岩手県奥州市、ここからどうやって帰ればいいのか?自宅までの電車ルートを調べます。
宿泊ホテルの最寄駅『水沢駅』から『一ノ関駅』まで電車で約30分。そこから新幹線で埼玉県の大宮駅まで行き、自宅の最寄駅まで電車……という流れですね。
そうと決まれば、予約していた新青森駅からの新幹線チケットをキャンセル。そして、一ノ関駅から大宮駅までの新幹線チケットを確保します。
スマートフォンで『えきねっと』にログインして、さくっと手配することができました。便利な世の中です。自由席ですが、とりあえず空きがあってよかった。
お次は、この先の行程で泊まる予定だった宿のキャンセルです。
僕は、基本的に”日本最大級の宿ホテル予約サイト”と謳っている『じゃらん』を利用しているため、キャンセルもすべてじゃらんで完結。
キャンセル料はかかりませんでした。しかし、宿に迷惑をかける形になってしまい反省です。
最後に荷造りをします。
両足のアキレス腱、左ひざを壊した状態での輪行はとても大変そう。なるべく荷物を軽くしたい……ということで、最終手段。
最低限のものだけ残して、あとは段ボールに詰めて自宅に郵送しちゃいましょう。これ、僕の中では”禁じ手”なんですが、今回ばかりはOKとしました。
3日目の宿は、かなり規模の大きいホテルだったため、フロントで事情を説明すると、ヤマト運輸の段ボールと宅配伝票、ガムテープをいただくことができました。
これはありがたい!
スーパーかコンビニでもらうか、買うかしなければ……と考えていたので、本当に助かります。
電車で帰るのに不要なものすべてを、段ボールに詰めこみ封印。荷造り完了。
さて、とりあえずの帰り支度はすべておわりました。
ロードバイクは輪行袋に入れれば室内保管OKでした。しかし、明日の朝、かなり早くに出発すること、そして、朝から雨がぱらつく予報が出ていることもあり野外駐輪を決断。
いろいろな理由をつけましたが”輪行袋に入れる気力すらなかった”というのが最大の理由。ごめんよ。申し訳ないが、ひと晩の辛抱だ。我慢してくれ……!
ちなみに、ここ岩手県奥州市水沢は、野球の大谷翔平選手の出身地。

野球をまったく知らない僕でも、大谷選手の活躍は聞きおよんでおります。
すばらしいですね!
落ち着いたところで、夕ご飯タイムです。めちゃくちゃ腹ペコだ!
ホテル周辺は飲食店に恵まれており、よりどりみどり。目の前にあったファミレス『まつまる 水沢店』に吸い込まれるように入店。
今回の自転車旅、はじまって以来のお店飯。
ここぞとばかりに注文しまくりましたが、余裕の完食!とてもおいしかったです。
ホテルに戻り、お風呂に入る。
秘技・サロンパス乱れ貼りを繰り出してから、布団に入ります。
「明日は走らなくていいのか……」
そう思うと、悔しい、悲しい、情けない、反面少し安心している自分がいたりして、なんとも複雑な気持ちでした。
そういえば、昨日知り合ったトライアスロン部の大学生はどこまで進んだかな?
蔵王エコーラインに逸れずに、素直に国道4号を走り続けていたら、また一緒に走れていたのだろうか。一瞬だけ見かけた気がするんですけどね。結局追いつけなかった。
なんにせよ、無事に最北端までたどり着いてほしいものです。
僕は僕の自転車旅をきちんと完結させよう。
そのために、今日はしっかり寝て、休んで、明日に備えます。お疲れさまでした!
~次回のライドはこちら~




コメント
お疲れさまでした! リタイアは悔しくても、次に繋がる大事な決断だったと思います。無事に帰宅さえできれば、まだまだいつでも何度でも新しい挑戦ができますから。
青空が印象的な素敵な風景も、満身創痍では純粋に楽しめませんからね。いまはもう回復しているでしょうが、体を第一に長く自転車を楽しみましょう!
にしきさんはロングライドが好みのようですし、ロードバイクの足回りをグレードアップしてやるのも、疲労やダメージの軽減にいいと思いますよ。
自分は最近ホイールをカンパニョーロのゾンダ、タイヤをコンチネンタル grand prix5000に変えまして、乗り心地が軽トラからプリウスくらいに向上して驚きの快適さになっています。完成車のままで走っているようでしたら、タイヤだけでもぜひご一考を。
ありがとうございます!本当にその通りです。怪我したら元も子もないですしね。
目的地まで距離があるのに疲労困憊だと、なかなか景色を楽しむ余裕はありませんよね。ましてや寄り道なんて・・・。
今の自分の限界を知れたので、その範囲で楽しんでいきます!
ホイールとタイヤを交換すると走り心地がまったく違うという話は聞いていましたが、そこまで激変するものなんですね!
購入からどこもイジっていないドノーマル車なので、しばらくしたら購入を検討してみようかな?
いいお値段するものだと思うので、コツコツお金ためていきます。ああ、また財布の中身が吹き飛んでいく(笑)