2019年ゴールデンウィークの超ロングライド企画、本州最北端・青森県大間崎をめざす自転車旅の2日目。
スポーツ自転車歴もうすぐ3年の僕ですが、こんな悪コンディションでスタートするライドははじめてです。
早くも、まだ初日を完走したばかりなので本当に”早くも”なんですが、体は限界を迎えつつあります。しかし、気持ちはまったく衰えていない!
旅の2日目は、限界からの成長をテーマにライドしていきたいと思います。
~前回のライドはこちら~
アキレス腱に優しいペダリングを
旅人の朝は早い。5時に目覚ましをかけて、5時半に起床。
…って、寝坊しとるやないか~い!などという寒い小芝居をしつつも、出発に向けてコンディションをチェック。
お尻は?…痛い。
左ひざは?…痛い。
アキレス腱は?…両方痛い。
ふむ、絶不調というやつですな。
しかしそれは体の話。「大間崎まで走る!」という精神テンションに一切の乱れはなく、粛々と出発の準備を整えます。
早朝なのでフロントは無人。部屋の鍵を返して、いよいよ出発。外に出ると、昨夜は気付きませんでしたがスフィンクスの後頭部になんか書いてあるぞ?
『スフィンクスは 智恵と パワーと 富をおくります』
ピラミッド元氣温泉、最後の最後までインパクト大でした。デートで利用するかは微妙なところですが、男のひとり旅には超オススメですよ!
時刻は6時。ロードバイクにまたがり、ペダルに力を込めて走りはじめます。
今日の目的地は宮城県白石市。約150kmのロングライドですが、那須塩原まで上った分、下り基調が期待できそう。
とりあえず大きな道に出るために直進。
少し走ると、地方競馬教養センターという施設の脇を通ることになり、そこの学生さんかな?…が、「おはようございます!」と元気な挨拶をしてくれました。
ひとりで自転車旅をしていると、その一言がとても嬉しい。気持ちのいい朝になりました。ありがとう!名も知らぬ学生さんよ。
そして、県道55号に出ました。
しばらくこの道を走り、県道303号に乗り継いでいけば国道4号に合流できそうです。
那須高原の朝は寒く、ガーミンを見ると気温は6℃でした。あまりにも寒かったので、急遽レインウェアを着込みます。
アキレス腱の症状はかなり深刻で、ズキズキと痛む。さすがの僕もこの状況で、「なんとかなるだろ」と走れるほど楽観的ではありません。
昨夜いろいろと調べて、自分なりに『原因と対策』を追求したところ、「これだ!」と思う情報をゲットすることができました。
まず、アキレス腱の痛みについて思い当たる原因。
”かかとを下げない”ということを意識しすぎて、アキレス腱周辺に必要以上の負荷がかかっていた
どういうことか?詳しく解説していきましょう。
ロードバイク納車のときに、SPD-SLペダルの練習のためローラー台に設置されたバイクにまたがって、ペダルを回していました。
そのときに、店員さんから「かかとを下げないように」というアドバイスをいただいたのですが、僕はそれを意識しすぎて、『かかとを下げない=かかとを上げる』と勘違い。
『かかとを上げる』という間違った認識でペダリングをした結果、アキレス腱周辺に”いらない力”が加わり続けて、アキレス腱を痛めることになってしまったようです。
対策としては、大きく2つ。
①足首から下を意識しすぎない
②太ももを高く上げるようにペダリングをする
アキレス腱痛の元凶である”かかと位置”はとりあえず気にしない。その分、太ももを高く上げるように意識すれば、自然と正しい”かかと位置”でのペダリングができるはず。
思い返してみると、クロスバイクで日本横断したときは”太ももを高く上げる”ことを意識したペダリングができていたみたい。
そしてこれは念のための3つ目。
③お店に行き、ロードバイクのポジションについて相談する
自分の体に合ったポジションにセッティングしないと、ロードバイクの真価は発揮されません。それどころか、体に悪影響がある場合もあります。
この旅が終わったら、プロに相談しに行ってみます。
さて、『原因と対策』を究明した今日のライドはどうだ?
…おお、走れるぞ!
まったく痛まないわけではないですが、対策を意識したペダリングは驚くほどアキレス腱に優しい。治りはしないけど、悪化もしないというような感じ。
「これならいける」
そんな確信を抱きながら走っていると、あっという間に13km走破。そして、無事に国道4号に合流することができました。
国道4号をひた走る
国道4号は思った以上に走りやすくて快適です。若干上ってはいますが、しばらくすれば下り基調がやってくるはずなのでそれまでの辛抱。
出発から1時間40分が経過したところで、走行距離は25km。ちょうどいいところにセブンイレブンがあったので休憩をとりましょう。
軽めに朝ご飯を済ませて、ドリンクと補給食を買い込みます。
補給食とカッコつけて言っていますが、初心者の僕にとっては”小腹が減ったときに食べるおやつ”みたいなもの。
消費カロリーと摂取カロリー、効率のいい補給食の摂り方、ハンガーノックについて、もっと勉強する必要がありそうです。
さて、そんなことを思いながら出発。先は長いのだ!
セブンイレブンから約7km走ると、栃木県と福島県の県境が見えてきました。
今日はこの福島県を横断して宮城県まで走ろうというのだから、我ながら恐ろしい。
その後は、想定通り下り基調の快適なライド。
アキレス腱の痛みは”悪化せずとも回復もせず”といったところ。これからのライドに備えて少しでも回復させたかったので、9時オープンのドラッグストアに立ち寄りました。
サロンパスを買ったので、さっそく駐車場の片隅で貼り貼り。恰好は悪いですが、見てくれを気にしている場合ではありません。
そして、もうひとつ買ったものがドライアイ用の目薬。
僕はコンタクトが苦手で常時メガネをかけています。それは自転車に乗っているときも同じで、サングラスやアイウェアといった類いのものを持っていません。
そのため、風が強い日や長距離を走ると、目が乾燥して充血してくるんですよね。
500~600円くらいの少し高めの目薬を使ってみましたが、効果は抜群!これは、今後の自転車旅の必須アイテムですね。
それにしても、長距離を走るなら”目の保護”も真剣に考えた方がよさそう。ドライアイもそうですが、紫外線が目に与える影響も気になりますし…。要勉強です。
走っていると、僕の好きな景色。そう、川です。
阿武隈川です。海なし県で育ったせいか、昔から川が好きなんですよね。
さらに7kmほど走ると、とてつもなく大きい”だるま”が前方に出現。その大きさに驚きはしたものの、いい感じにスピードが乗っていたのでスルー。
「…いや、それはダメだ!」
先を急ぐことに囚われすぎて、見るべきものを見ないなんて自転車旅ではない!
そんなわけで引き返して写真撮影。どうです?ロードバイクと比較するとその大きさがお分かりいただけるでしょう。
白河だるまの歴史
白河だるまは寛政の改革で有名な松平定信公の「市民の生活をより元気に」という想いから幸運をもたらす縁起物として誕生しました。
白河だるまは幸運の象徴とされている「鶴亀松竹梅」が顔の中に描写されているのが最大の特徴です。
戻ってきてよかった。訪れた土地の特産品や名物なんかを肌で感じることが、旅の醍醐味のひとつですからね。
さて、出発から4時間が経ちました。約60km走ってきましたが、まだまだ本日の行程の半分にも達していません。先は長い。
国道4号をひた走り、福島県岩瀬郡鏡石町あたりでボーナスステージに突入。
どうやらこの辺、国道4号の拡張工事がおこなわれているようです。片側2車線になるのかな?その脇に、車が通らない走りやすい道を発見。
ここぞとばかりにベダルをぶん回します。しばらくこんな道が続きました。
青い空を眺めながら福島県を横断
そして、1時間後。
…いや、文字にするとたったの4文字なんですが、きれいな景色を観たり、はじめて訪れる町の空気感を楽しんだり、いろいろあったんですよ?
ただ、立ち止まってなにかをしたり、観光したりすることはありません。この旅自体が強行軍なので、あんまり呑気にしていると日が暮れちゃう。
なんて言っていたら、国道4号が二股に分かれていました。右に行くと県道17号になるようなので、左に進みます。
空は晴れていて、とても穏やかな天気。
見えるのは一面の畑。なんだかのんびりしていて気持ちがいい風景ですね。
国道4号は路側帯が広く、路面状況もいいのでとても走りやすい。しかし、国道なだけあって交通量はかなりのもの。
大きいトラックが横を通り過ぎるときなど、どうしても恐怖を感じます。
あと、これは自分の運が悪いだけなのですが、スピードに乗っているときに限って信号機が赤になる。
赤信号に引っかかる頻度があまりにも多いので、前方に信号機があったら様子を見ながらスピードを調整して、なるべく止まらないで済むようにしました。
省エネで走るのも、大切なテクニックです。
時刻は14時40分、走行距離は約108kmと大台の100km超えたところで、福島市に入ります。
ここまで下り坂が多かったので、ずいぶん体を休めることができましたが、それでも体…とくに足への疲労とダメージは確実に蓄積されています。
今日は早く寝よう。サロンパス貼りまくって寝よう。
はるか遠方、山の切れ目から福島の町を眺めることができました。
必死にペダルを回していると、次第に建物やお店が増えていき、気がつけば福島の町中を走っていました。
この、”町が現れる”感じは自転車旅ならではだと思う。
先ほど、赤信号の話をしましたが、町中は赤信号に引っかかる率が恐ろしく高い。走っては止まって、走っては止まってを繰り返すので、なかなか前に進みません。
ビンディングの着脱回数も増えるので、左膝にばかり負担がかかってる気がする。
川だー!と思って調べてみると、午前中に見た阿武隈川でした。
ここまで続いていたのか。そして、この先も流れているのか。なにか、感慨深い。
阿武隈川を渡ると、ファミリーマートがあったのでしばし休憩。
白石市はこの先か!残りの力を振り絞り、ラストスパートを駆けます。
旅人との出会い、限界を超えて
いつからだろう?
追い抜いて、追い抜かれて、また追い抜いて。そんなことを繰り返していたのは。
引き離したかな?
そう思って、道端で大福を食べながら休憩していたら、再び追い抜かれた。
あいつは一体、何者!?
意味深な話ではないんですが、長距離走っているとありません?こういうこと!
以前、甲州街道で山梨県甲府市まで走ったときにも、まったく同じ経験をしました。峠の上で意気投合し、一緒に甲府まで走ったものです。
思い出に浸っていると、背後から忍び寄る影がひとつ。
「こんにちは、どこまで行くんですか?」
なんと!抜きつ抜かれつしていた方(以下、Bさん)が、気さくにも話しかけてきてくれました!なんとフレンドリーなお方だろう。
僕「今日は白石市まで走ります!」
Bさん「同じですね!よかったら一緒に走りましょう!」
思いがけず、旅の仲間ができました。
これは、いわゆる”ドラフティング”を体験できるのか?前を走る人の後ろにいると、空気抵抗が軽減されて楽に走れるという例の奴。
…と思ったら、なんか僕が前を走る感じになっている。まぁ、細かいことはいいか!
ここまで来る間に、僕とロードバイクのシンクロ率は大幅に上がりました。ペダリングはもちろん、ギアチェンジについても多少はうまくなったと思います。
そのきっかけとなったのは、痛めた足。なるべく足に負担をかけないように、路面の状況や勾配の変化を察知して、瞬時に”もっとも楽にペダルを回せるギア”にチェンジする。
リアだけではなく、フロントも積極的に変速していきます。
旅をはじめて2日目、どうやら限界を超えてレベルアップしてしまったようだ。
極限状態での創意工夫が人を成長させる!
平坦な道を疾走。ガシガシとペダルを踏んでいきます。若者よ、ついてこれるかな?
なんて脳内で小芝居をしていましたが、Bさんは全然余裕な感じ。
このお方、ただ者じゃないな?
いろいろ話を聞いてみると、偶然にも同じ千葉県民。そして、これまた偶然にもほぼ同じルートで同じ目的地、青森県をめざしているらしい!
恰好からしてかなり走れるとは思っていましたが、なんと大学でトライアスロン部に所属しているとのこと。
スゲー!そして、若い!10個以上離れてるの?年齢を少し分けてあげたい。
素敵な偶然の出会いに感謝しつつ、ふたりで国道4号を走ります。
スポーツ自転車をはじめてからほぼひとりで走っているので、とても新鮮。ひとりじゃないってのは、なかなかいいもんですね。なんとなく心強い。
そして、「みっともない走りはできない!」という見栄っ張りが顔を出し、疲労や体の痛みを忘れてペダルがよく回ります。
しかし、気持ちよく走っていた平坦道は突然終わり、上り坂が現れました。
斜度4~6%くらいの坂道が長く続きます。ここにきて、この上り。白石市までの最後の試練と受け取りました。
足が重い。呼吸が苦しい。
だけど、後ろにはBさんがいる。カッコ悪くて、足を着けるわけにはいきません。ひとりだったら、心が折れて歩いてるな…。
それでも今は初対面とはいえ、一緒に走る仲間がいます。「キツい!」「もう少し!」などと声を掛け合いながら、約5kmの坂を足を着くことなく上り切りました。
そこからは一転して下り坂。危なくない程度にスピードを出して、駆け下ります。
あまりにきれいだったもので、止まってもらい撮影しました。傾く夕日が輝いています。
宮城県白石市の『馬牛沼』というらしい。
起源は古く、その名前の由来は諸説あるそうですが、その中には『馬の首と牛の体をもった異獣が泳ぎ回っていた』というちょっと怖い話もあるそうです。
馬牛沼からライドを再開して6kmほど走ると、白石蔵王駅に到着しました!
僕が予約しているビジネスホテルは白石駅の近くなのですが、Bさんが「今夜の宿を探すため、白石蔵王駅内にある観光協会に行く」というので、お供させてもらったのです。
しばらく待っていると、無事に宿を確保することができたみたいです。それでは、僕の自分の宿に向かうとしましょう。
「あの上り坂はキツかったですね」
「ひとりで走っていたら、こんなに早く着いていないですよ」
「国道4号を走っていたら、またどこかで会えるかもしれませんね」
そんなやり取りをしながら、Bさんとお別れしました。
いいですね、こういうの!
名前も知らない人と一期一会のサイクリング。とても旅らしい、貴重な体験をさせてもらいました。
白石駅までは約1.5km。これまで走ってきた道のりに比べたら、目と鼻の先。
あっという間に到着!写真の左側に写っているのが、今夜宿泊するビジネスホテルです。
ようやくたどり着いた~!
疲労の中にある、得も言われぬ達成感、満足感、万能感、これぞロングライドの醍醐味!
2日目も無事に完走
ビジネスホテルにチェックイン。昨日に引き続き、ここも自転車の件を伝え忘れていた。自分の愚かさがにくい。
やはり室内保管は難しいとのことなので、過度な交渉は避けて素直に案内された駐輪場に止めることにしました。フロントの目の前だし、盗まれないよね?
最低限の防御として地球ロックは必ずしましょう。スロープの手すりを使ったら邪魔になるかな?念のためホテルの人に確認したら、OKとのこと。
部屋に着くと、全身から疲れが噴き出してベッドに倒れ込みます。これは、即寝れる。
ダメだ、寝ている場合じゃない!明日の準備をしなければ。まずはホテル内のコインランドリーで洗濯を済ませよう。汗臭い服で明日走りたくない。
コインランドリーに関しては、事前に『ホテル内にあるか』、なければ『ホテル近隣のどこにあるか』を調べています。
昨日今日とホテル内になったからいいものの、明日以降は宿から少し離れたコインランドリーまで行く必要がある。うーん、それはしんどすぎるぞ…。
洗濯が終わり、お次は夕ご飯を食べましょう。腹ペコだ。
ホテルまでの道中に、白石名物の温麺(うーめん)のお店を見かけたので、そこに行こう!テクテク歩いていくと、なんとGW休業!うそでしょ!?
周囲を散策すると、ひとりで気軽に入れそうなお店がない。個人経営の居酒屋とかスナックとかそんなのばっかだ。
いや、どこかにはあるんだろう。
だけど、それを探す気力が残っていない。くそう、駅前にあるファミリーマートに駆け込みました。2日連続コンビニ飯とは、なんとまぁ…。
再三言っているけど、お腹が減っているとコンビニ飯も通常の3倍くらい美味しいですね。腹ごしらえも済ませたので、あとは寝るだけ。
いや、その前にサロンパスを貼らなければ!少しでも足の疲労と痛みを軽減して、明日を快適に走るためにできることはなんでもやろう精神です。
明日はどんな旅になるんだろう?
期待と不安で胸がいっぱいになりながら布団に入ると、秒速で夢の世界に落ちていきました。
【本日のライドデータ】
走行距離 158.79km(トータル307.20km)
所要時間 11時間47分
走行時間 10時間15分(-1時間32分)
コメント
二日目はちょっと安心して読めましたw
連日のロングライドでの全身への負担が心配ですが、これからまた過酷な展開が訪れるのだろうか…
自分はグループライドで大先輩のローディさんに、「かかとを上げないように」とアドバイスされてましたね。にしきさんの受けたアドバイスと逆のようですが、つまりは「クランク回すたびにかかとを上げ下げしない」ってことなんだろうと思います。
太ももをあげる引き足主体のペダリングだと足首から下が水平で安定するので、負担が減るってことなんですかね。自分もスムーズなペダリングを意識するようにしてからは、膝や足首が痛むことが減ってきたような気がします。
アイウェアはぜひ買いましょう。自分もメガネストで、度の入った調光サングラスを使ってます。食事に店内に入ったり、日が暮れてくるとサングラスでなく透明なレンズになってくれるのでおすすめですよ! 眼鏡市場で16000円くらいでした。
次回も楽しみに待ってます!
いつも読んでいただき、ありがとうございます(^^)/
2日目はだいぶマイルドな内容でしたね(笑)
ペダリングに関しては、おっしゃる通りのようです。この辺、正しい知識を持ちつつ実践しながら学んでいく必要がありそう。
なまこさんのように、走りながらアドバイスをしてくれる先輩がいるのは大きなアドバンテージですね!
おお、同じメガネニストでしたか!
かなり視力が悪いので、どうしようかな・・・と悩んでいたのですが、調光サングラスいいですね。なまこさんのお墨付きなら間違いなさそうですし、値段も手ごろ。
購入を検討してみます!貴重な情報ありがとうございました。
旅の思い出を振り返りながらブログ記事を書くのは結構楽しい(^O^)
次回も読んでいただけると嬉しいです~!