2021年5月におこなった千葉県一周ですが、そのときは志半ばで断念。
その約4か月後に再トライした今回の自転車旅。ついに、千葉県をきれいに一周するまであと一歩のところまできました。
体力や脚力、走れるタイミングや日数が限られている僕は、なにごとも”1回のトライ”にこだわりを持ちません。1回で無理なら、何度でもトライすればいいのです。
自転車で走った軌跡は、目に見えずとも体と心に刻まれています。2回、3回とあきらめることなく走り出し、その軌跡をつないであげる。それもまた、立派な”一周”ですよね。
さて、前置きが長くなりましたが、なにがいいたいのか?
今日で千葉県を一周できる。そのワクワク感を楽しみながら、はりきって出発していきましょう!ということです。
~前回のライドはこちら~
房総半島、太陽の中を走る
旅人の朝は早い。朝5時に起床すると、窓から美しい景色を眺めることができました。
広がる太平洋。太陽が雲の間から顔を出しています。
今日もすばらしい1日になりそうですね。抑えきれない高揚感を抱きながら、手早く準備を済ませて外に出ます。
自転車はありがたいことに、宿の裏手にある物置に入れさせてもらいました。
今回は天候に恵まれているので心配はありませんが、これなら雨でもへっちゃら。盗難防止にもなりますし最高の環境です。
さあ、出発しよう!
黄金色の朝日が輝いています。気持ちのいい早朝の風を受けながら、走りはじめました。
最初の目的地は『千歳駅』です。
リタイアした前回の自転車旅のときに輪行で利用した駅。つまり、ここにたどり着くことが僕の”チバイチ達成”なわけです。
宿から千歳駅までの約10km、じっくりと堪能していこう。
海沿いの道をスイスイと走っていると、なにやら銅像があらわれました。
逆光でわかりにくいですが、上半身は人の姿、腰から下は魚類のような尾ひれがついており、これはまさしく伝説上の生き物”人魚”ですね。
場所は『南房千倉大橋』の脇にある歩道です。
「なんでこんなところに人魚が?」
疑問に思い、後日いろいろ調べてみましたが有力な情報は得られませんでした。どうやら『しあわせの人魚像』と呼ばれているみたいですが、その理由も不明です。気になる。
道の駅の看板を発見。
『道の駅ちくら 潮風王国』
時間が早いため閉まっていました。千倉の海の幸を楽しめるレストランがあったり、ここでしか食べられないサザエやクジラのコロッケが売っているそうです。
屋外公園には、漁業で栄えた千倉を象徴とする漁船『第一千倉丸』のレプリカが展示されており、ブリッジの上から海を眺めることができます。
さらに先に進むと、これまた素晴らしい光景が目に飛び込んできました。
防波堤に描かれた無数のアート。これは、南房総市が立ち上げた『ちくらアートな海の散歩道』というプロジェクトだそうです。
地元小学生や南房総市にゆかりのあるアーティストの作品が実に140点、約1.5kmにもわたって描かれています。
僕のお気に入りはこの作品。
『クビナガリュウソウゾーズ』
独特な造形と細かい模様、なにより色彩豊かで美しい龍に目を奪われました。なんだか、ワクワクさせてくれます。
いろいろな作風の絵が描かれているので、自分のお気に入りが見つかるはず。
本当に美術館顔負けの散歩道。これは、自転車でスイスイ通り過ぎるのがもったいない。なるべくゆっくり、ゆっくり走ることにしました。
開始早々のアクシデント
海岸線、千葉県道251号がおわり、国道410号に合流します。
ここを右折すれば、目的地の『千歳駅』まで残りわずか。チバイチ達成も近い!…なんて意気込んでいると、なにやら走行に違和感を抱きます。
「これは、もしかして…」
いそいで自転車から降り、指でタイヤを教えてみます。前輪よし、後輪は?高圧の空気が入っているはずのタイヤですが、少し力を入れただけでべコリとへこんでしまいます。
完全にパンクです。あたりを見回し、チューブ交換ができそうな場所を探します。
幸いにも、目の前のスーパーマーケット『ODOYA(おどや)千倉店』の第2駐車場があったので利用させていただきます。開店前だから大丈夫でしょう。
ロードバイクをひっくり返して、後輪を外します。タイヤレバーを使ってホイールからタイヤを引っぺがし、中に入っているチューブを取り出してみました。
耳を澄ませると、シューシューと空気が抜ける音が聞こえてきます。
ここだ。わかりにくいかもしれませんが、横に並んで穴がふたつ開いています。
蛇にかまれたような穴。これはリム打ちパンク、別名『スネークバイト』と呼ばれる種類のパンクだろうか?
スネークバイト(リム打ちパンク)とは?
段差や大きなものなどを踏んだとき極端にタイヤがつぶれてしまうと、ホイール側の金属部分(リム)と踏んだものの間にチューブが挟まれて穴が開きます。
蛇にかまれたように穴が開くことから、スネークバイトと呼ばれます。
主な原因は空気圧の不足ですが、高速で走っていたり、自転車の重量が大きかったり、タイヤに局所的な負荷がかかると発生します。
身に覚えがあるような、ないような。とにかく、チューブを交換しよう。
約20分で作業が終了。ふたたび千歳駅にむけて走りはじめます。
「どうしよう、予備チューブがゼロだ」
出発前に謎のパンクに見舞われ、すでに1回チューブを交換していたのです。そんなときにスネークバイトが発生。ストックしていたチューブ2本を早くも消費してしまいました。
これから山を越えて走るのに、不安すぎる。自転車屋に立ち寄りたいところですが、どこも開店前でしょう。慎重に進むしかない。
ロードバイクで千葉県一周達成!
国道410号・房総フラワーラインを軽快に走ります。
気持ちがいい!歩道がなく、路側帯も狭いですが早朝のためか交通量がとても少ないので、ペダルをガシガシ回していけます。
このままどこまででもいけそうだ。
ふと、横を見る。先に進む。…ん?なんだか見覚えがあるぞ?
目の端にとらえた景色に妙な引っかかりを覚え、ブレーキを全開。引き返してみると、なんと目的地である千歳駅でした。
あやうく通り過ぎるところだったぜ。無事にたどり着くことができてよかった。
ででん!あらためまして、千歳駅に到着です!
ついに千葉県をぐるりと一周走り切ることができました!目標を達成できたときの喜びは、いつ味わっても気分がいいものですね。
それにしても、なんの変哲もない無人駅が”思い出の地”になるとは、思いませんでした。
自転車旅をしていると、心に残るのはなにも風光明媚な絶景スポットだけではないということを痛感します。それもサイクリングの魅力です。
【本日のライドデータ】
走行距離 10.11km(157.79km)
所要時間 1時間09分
走行時間 0時間38分(-0時間31分)
約4か月前の2021年5月に走った”1回目のチバイチ”と合わせてみていきましょう。
青色ラインが1日目、緑色ラインが2日目です。3日目の黒色ラインは千歳駅から蘇我駅まで電車輪行し、赤色ラインを走って帰路につく…といった旅です。
走行距離は399.26km。
今回は輪行ですっ飛ばした”黒色ライン”を走ったわけですね。
トータルの走行距離は557.05kmでした。走行計画を立てたときに試算した距離は552kmだったので、ほぼ予定通り。
いつもは見通しが甘くて想定よりも多く走ってしまうのですが、千葉県一周は道がわかりやすかったのと、ほとんど平坦な道だったのが誤差の少ない要因かな。
コロナ禍で他県への移動が制限される中、「それなら自分が住んでいる県を一周したい!」という気持ちから生まれた今回の自転車旅。
とても楽しく、見聞を広めることができました。
すばらしい経験を積むことで、県民として、サイクリストとしてレベルアップしたのでは?…なんて思ってしまいます。
冒頭でも話しましたが、目標を達成するのはなにも”1回のトライ”にこだわらなくてもいい。これは僕の持論でもあり、自転車を気軽に楽しむためのコツだと思っています。
ストイックな楽しみ方もアリですが、気軽にのほほんと出かけるのもいいと思うんです。
途中で体力が尽きたら…いや、いっそ走るのに飽きたらでもいいです。そしたら、近場の駅から電車輪行で帰って、また気が向いたら続き方走りはじめる。
そのくらいの心持ちでペダルを回した方が、長く自転車を楽しめる気がします。
千葉県一周、無事に達成しました。
次はどこを走ろうか?一周でもいいですし、また遠くをめざすのも悪くない。
交通機関がいくら発達しても、自転車で走るぶんには世界は相変わらず広大です。走る場所に困らない。こんな嬉しいことはありませんよね。
チバイチを終え、そして…
ベンチに座りながら、自動販売機で買った炭酸ジュースをゴクゴクと飲み干します。
なんだかおわった気になって、「次はどこを…」なんて思いを馳せていましたが、いささか早かった…早すぎました。
時刻は7時30分。今日はここからが本番なのです。
予備チューブがないという状況に、「輪行で帰っちゃおうかな」といささか弱気になっている自分もいましたが、尻をひっぱたき奮い立たせます。
めざすは、もうひとつの目的地である『鹿野山九十九展望公園』です。
平坦道に飽きていたところだ!千葉県でも有数のヒルクライムスポットに向けて、勢いよくペダルを踏み込みました。続く。
~次回のライドはこちら~
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