青い空、浮かぶ入道雲、降り注ぐ太陽の光、真夏のサイクリングの醍醐味ですよね!
しかし、夏の炎天下を走るときには『紫外線』に注意しなければいけません。
太陽光を浴びるのはとても気持ちがいいのですが、その中に含まれる紫外線を浴びすぎると人体にさまざまな悪い影響を与えるのです。
代表的な例を挙げると『肌の老化』でしょう。肌が老化する原因の80%は紫外線によるもので、加齢による影響はたったの20%だそうです。
意外と知らない事実。サイクリングで健康的な体を手に入れても、その分だけ肌が老化してしまったら元も子もないですよね。
●走りたいけど日焼けしたくない!対策を教えてほしい
●太陽光を浴びることはデメリットしかないの?
このような疑問や悩みを持っている人は、今回の記事を読んで紫外線に対する正しい知識を一緒に学んでいきましょう。
それでは、真夏のサイクリングを健康的に楽しむために『紫外線』について解説していきます!
目次
紫外線とは?
そもそも、紫外線とはいったいどのようなものなのか?国土交通省気象庁のホームページを参考にしてわかりやすく解説していきます。
太陽光に含まれる電磁波の一種。太陽の光は、波長により、目に見える可視光線と、目に見えない赤外線、紫外線の3つに分けられます。
人体に大きな影響をあたえる紫外線は、その中でも波長の長さで『UV-A』『UV-B』『UV-C』の3種類に分類されています。
3種類の紫外線のうち、UV-Cはオゾン層によってすべて吸収されるので地表には到達しません。問題なのはUV-A、UV-Bですが、種類によって特徴があり、人体にあたえる影響が異なります。
UV-A(生活紫外線)
オゾン層による吸収をあまり受けないため、地表に到達する紫外線の約90%を占めるのがこのUV-Aです。人体に与える影響はUV-Bと比較すると小さいものです。
雲やガラスを通過する性質を持つため『生活紫外線』とも呼ばれています。
UV-Aは、肌のシワやたるみを作る原因になります。
高い通過力のあるUV-Aは、肌の奥、肌組織の大部分を占めている『真皮層』にまで到達し、肌のハリや弾力を生み出す細胞に損傷をあたえることでシワやたるみができます。
UV-Aに当たっても日焼けのような急激な変化は起こりませんが、肌の奥にまで到達したUV-Aは細胞にダメージを蓄積し続けて、やがては若々しく健康な肌を維持できなくなってしまうのです。
目への影響として、UV-Aはその65%が目の中の水晶体を通過して網膜まで到達。炎症を起こし、強い目の痛みや充血といった症状があらわれます。
UV-B(レジャー紫外線)
人体に大きな悪影響をあたえるのがUV-Bです。オゾン層に大部分が吸収され、残りが地表に到達します。オゾン層の破壊にもっとも影響を受ける紫外線といわれています。
サイクリングを含むアウトドアスポーツ、海水浴やスキーなどのレジャーシーンでの日焼けの主な原因となることから『レジャー紫外線』とも呼ばれています。
UV-Bは、UV-Aのように真皮層には到達しませんが、表皮にさまざまなダメージをあたえます。夏の風物詩である日焼けは、このUV-Bが主な原因です。
日焼けにも種類があります。
発熱や痛みを伴い皮膚を赤く変化させる炎症のような日焼けを『サンバーン』といい、即時的ですぐに変化が現れます。皮膚を黒く変化させる色素沈着による日焼けを『サンタン』といいます。
健康的に捉えられがちな日焼けですが、UV-Bによる皮膚へのダメージが蓄積すると、体が表皮細胞を守るためにメラニンの生成を促し、シミ、そばかすの原因になるのです。
UV-Bは皮膚に対する刺激がUV-Aよりも強いためDNAへの損傷も大きくなり、皮膚がんの原因になると言われています。DNAが損傷すると正常な細胞分裂がおこなわれずに肌老化が進行します。
また、UV-Bを過度に浴びると免疫機能が低下します。日焼けをしたときに強い疲労を感じるのはこのためです。
目への影響として、水晶体を通過して網膜に到達するのは10%程度ですが角膜への紫外線ダメージの蓄積は深刻で、白内障の主な原因となります。
人体への影響まとめ
肌への影響
その他の影響
紫外線の多い時期、時間帯など
紫外線全体で見ると、国内では7~8月に紫外線量が年間でもっとも多くなります。
ただし、オゾン層でほとんど吸収されずに雲を通過する性質をもつUV-Aについては、全国的に日照時間が多い5月ごろから対策が必要です。
UV-Bは、その大部分がオゾン層に吸収されるという性質を持っているので、オゾン層量の多い5月にはそこまで心配しなくてもいいようです。
紫外線の量が多い時間帯は10時~14時ごろで、太陽がもっとも高い位置にある正午ごろがピークと言われています。
朝や15時以降は紫外線量が比較的少なくなりますが、それでもゼロにはなりません。
晴れている日に紫外線の量が多いのは容易に想像がつきますが、くもりや雨の日でも太陽から発する紫外線の20~30%は地表に到達します。
屋外では上空から地上に降り注ぐ直接的な紫外線のほか、地表面で反射される紫外線も浴びることになります。
紫外線反射の割合は地表面の状態によって異なり、草や土で10%以下、アスファルトやコンクリートで10%、水面で20%、砂浜で25%、新雪ではなんと80%にも達します。
サイクリングと紫外線対策
肌への対策
②日焼け止めを塗る
①肌の露出を減らす
肌への直射日光を遮ることが、もっとも効果的な紫外線対策です。
サイクリングウェアの有名メーカーである『PEARL IZIMI(パールイズミ)』からも夏の紫外線対策を目的としたアイテムがいくつも販売されています。
◆フェイスカバー
顔と首を日焼けを防ぐアイテム。ずり落ちないように耳かけが付いています。フェイスカバーをしたままドリンクが飲めるように口元が開閉する仕組みになっています。
◆アームガード
腕の日焼けを防ぐアイテム。上腕部には滑り止め、日の当たらない肘部分は風通しのいいメッシュ素材になっているなど機能性に優れています。
◆レッグガード
足の日焼けを防ぐアイテム。太もも上部には滑り止め、日の当たらない太もも裏側は風通しのいいメッシュ素材になっています。
上記3点の紫外線対策アイテムは、吸汗速乾性に優れ、ウェア内の温度上昇を抑える『コールドシェイド』という素材が使用されています。
衣類における紫外線の遮蔽効果をあらわすUPF値は、最高値の50+です。これは、露出した肌で10分間紫外線を浴びた量と同程度の紫外線を浴びる場合、その50倍の時間が必要ということです。
つまり『露出した肌の10分=UPF50+の衣類の500分』となるわけです。
②日焼け止めを塗る
衣類で日光を遮ることができない部分には、日焼け止めを塗ると効果的です。
日焼け止めには効果の高さをあらわす『SPF(UV-Bを防ぐ力)』と『PA(UV-Aを防ぐ力)』のふたつの数値があります。
SPFは『1~50+』までの数値があり、PAは『+~++++』までの4段階があります。ややこしいですが、それぞれ数字または+が増えるほど効果が高くなります。
日焼け止めは肌になじむまで15分くらいかかるといわれているので、サイクリングに出発する直前ではなく15~30分前には塗っておきましょう。
各商品に記載された使用量をきっちり守り、ムラがないように肌に塗り込みます。
日焼け止めには持続時間があるので、通常時であれば2~3時間おきに塗りなおすのが理想的といわれていますが、サイクリングなどで汗をかくと一緒に流れ落ちてしまいます。
そのため、僕はウォータープルーフの日焼け止めを使っています。
謳い文句が『汗をかいても、泳いでも、紫外線カット効果が長続き』なので、大量の汗をかく真夏のサイクリングでも活躍することでしょう。
目への対策
②帽子をかぶる
①サングラスをかける
紫外線カット機能を持つメガネやサングラスをかけることが、最も効果的な目への紫外線対策となります。目に浴びる紫外線の90%を防ぐことができます。
ちなみに、レンズの色と紫外線カットの性能はまったく関係がありません。その機能さえあれば透明なレンズでもしっかりと紫外線を防いでくれるのです。
むしろ色の濃すぎるサングラスをかけていると目の瞳孔が開き、外したときにより多くの紫外線を取り込むことになってしまうので注意が必要です。
②帽子をかぶる
つばの広い帽子をかぶることで、目に浴びる紫外線の20%を防ぐことができます。
メガネ、サングラスと比べて効果は低いように感じますが、サイクルキャップは目だけではなく頭皮も守ってくれるのでとても重要なアイテムです。
体内からの対策
飲む日焼け止めとして注目されているのが、アスタキサンチンというサプリメントです。
紫外線を浴びると体の中で、シワ、たるみ、シミの原因になる活性酸素が発生するのですが、抗酸化作用のあるアスタキサンチンを摂取することでその働きを抑制してくれます。
とはいえ、正確には日焼け止めの効果はないので、肌が老化しにくくなる補助的なものとしてとらえておいた方がよさそうですね。
サイクリング後のアフターケア
どんなに気を付けて対策をしていたとしても、太陽の下でサイクリングを楽しむ以上は日焼けをしてしまうことはあります。
そんなときのために、サイクリング後のアフターケアについて学びましょう!
大切なのは、とにかく早く冷やしてあげること。やけどと同じ炎症を起こしている状態なので、濡らしたタオルや保冷パックを使ってヒリヒリ痛む患部を冷却してあげます。
日焼けした肌は、本来必要な水分が失われている状態になっています。保湿力の高いクリームなどを使って、肌に潤いをあたえるようにケアします。
美容の世界では『日焼け後の肌ケアは72時間が勝負』なんていう格言もあるそうなので、3日間くらいは継続的に冷却と保湿をしてあげるといいですね。
有害なだけじゃない紫外線のメリット
今まで紫外線の悪いところにだけ注目して話してきましたが、紫外線には有用な面もあります。
紫外線を浴びる最大の恩恵は『ビタミンDの生成』です。詳しく見ていきましょう。
紫外線を浴びることにより、皮膚ではビタミンDが生成されます。ビタミンDには、カルシウムの吸収を促して、骨や歯などの骨格を健康に成長・維持させる働きがあります。
ビタミンDが不足すると骨粗しょう症や関節変形の原因になるともいわれていて、とても大切な栄養素なのです。
ビタミンDの摂取量の目安は1日5.5μg(マイクログラム)と設定されている一方で、ビタミンDの1日に必要な量は15μg以上とされており、足りない10μgを体内で生成する必要があります。
そのため、紫外線をまったく浴びない生活スタイルにも問題があり、紫外線を忌み嫌うのではなく適度な日光浴を取り入れることが健康で丈夫な体を作ることにつながるということです。
適度な日光浴の時間とは?
地域や日照時間、紫外線量によっても異なりますが、長袖を着ていて、顔と両手が露出した状態と仮定したときに1日10分程度で十分だそうです。
おわりに
日焼けをして痛い思いをしたことを振り返り、紫外線に興味を持ったので記事にしてみました。改めて調べてみると、知らないことばかりで自分自身とても勉強になりました。
ひとたびサイクリングに出かけたら10分では収まりません。適度な日光浴の時間を軽くオーバーしてしまうでしょう。
そのため、サイクリストは紫外線対策が必須だと言えますね。紫外線に対しての正確な知識と対策を身に付けて、心身ともに健康的なサイクリングを楽しみましょう!
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