しまなみ海道を走る自転車旅の1日目は、広島県尾道市から渡船で向島に上陸。
因島で『大山神社』と『自転車神社』を参拝してから、生口島を駆け抜け、多々羅大橋を渡って愛媛県今治市の大三島にある民宿にたどり着きました。
おいしい夜ご飯を食べて、バッチリ睡眠をとったところで体力は全回復。
今日走るのは大三島、伯方島、大島の3つの島。そして、人生で初めての四国に入ります。
2日目も楽しんでいきましょう!
~前回のライドはこちら~
しまなみ海道の朝
朝7時に起床。
窓から差し込む太陽の強い日差しは、カーテンを開けるまでもなく”快晴”であることを知らせてくれます。
今日も気持ちのいい天気。絶好のサイクリング日和だ!
僕の自転車旅では珍しく、夜に引き続き朝もご飯がついています。
とてもおいしそう。スイカがいい感じに”夏”を演出しています。
ぺろりと完食し、サイクリングに必要なエネルギーを補給します。たくさん水も飲んでおこう。
身支度を整えて、民宿をチェックアウト。一晩と二食、大変お世話になりました。
地面に寝かせたクロスバイクのそばで出発準備をしていると、同じ宿に泊まっていた関西弁のおばちゃんに声をかけていただきました。
「この自転車、速いんでしょう?今日はどこまで行くの?」
自転車旅が珍しかったのか、いろいろな質問を投げかけてくれます。こちらも答えがいがあるってものですね。
会話が落ち着くと、「ほら、あんたも見てみな!」と小さい男の子が、クロスバイクを見るように促されていました。
恥ずかしいのか近寄ってはくれませんでしたが、興味はある様子。プッシュしていたら自転車趣味に目覚めたかもしれないな。
最後に、昨日観光したという大三島の情報を教えていただき、お別れをしました。なんだかほっこりする出来事でしたね。
自転車で旅をしていると、普段よりも圧倒的に知らない人と話す機会が増えます。一期一会のめぐり逢いが増えます。
それも”自転車”というツールがもたらす魅力でしょう。
サイクリストの聖地を訪れる
時刻は8時ちょうど。クロスバイクにまたがり、民宿を出発。
昨日とは違い、時間はめいっぱいあります。それぞれの島を観光しながら巡り、楽しんでいきたいと思います!まずは、ここ『大三島(おおみしま)』からスタート。
最初の目的地である『道の駅 多々羅しまなみ公園』に向かいます!
道の駅があるのは多々羅大橋のすぐ近く。民宿からは約2kmなので、朝の準備運動といったところでしょう。
道中で、とても素晴らしい景色に出会うことができました。
昨夜も同じ道を走りましたが、日が沈んでいたため海の上には”闇夜”しか映っていませんでした。やはり、しまなみ海道の景色を楽しむなら昼間がいいですね。
海の向こうには生口島が浮かんでいて、「あの島から走ってきたんだよな…」と感慨深い気持ちになります。幻想的な風景で、朝から心を鷲づかみにされました。
クロスバイクに乗りながら、体の調子をチェック。軽いギアでペダルをクルクル回してみたり、重いギアにして強く踏み込んでみたり、立ったり、座ったり…を繰り返します。
うん、どこも痛くない!
日本横断ライドで使っていたパット付きインナーパンツ『KAPELMUUR 18 メッシュインナーパンツ プロライドパット付き』は、今回は着用していません。
1日の走行距離が100km以下だったら、なくても大丈夫だろう!という判断です。
そんなこんなで、目的地に到着しました。この『道の駅 多々羅しまなみ公園』には、サイクリストにとって”超”がつくほど有名な場所があるんです。
それがこちら!
『サイクリストの聖地』
しまなみ海道がサイクリストの聖地として、多くの人々に愛されることを願って、2014年に建てられた記念碑。
上に乗っている岩は自転車の”サドル”を、あいている2つの穴は自転車の”車輪”をイメージしているそうです。
しまなみ海道を走るにあたって、どうしても訪れたかった場所のひとつ。
大きな岩でできた記念碑の存在感はすさまじく、愛が詰まっているように感じました。無事に来れて本当によかったです。
記念碑のまわりは、銀色の未確認生物で取り囲まれていました。
「いったい、なんだ!?」
それぞれ違う異様なポージングに身構えますが、よく見ると”人型のサイクルスタンド”でした。驚いたぜ…!
おもしろい発想ですね、このスタンド。せっかくなので、僕のクロスバイクも持ってもらおう。
大型サドルバッグにはぎゅうぎゅうに荷物が詰め込まれているので、結構重いはず。それを片手で持ち上げてくれるとは、かなりの力持ちっぷり。
自転車と接触する”手の部分”はスポンジのような柔らかい素材になっています。そのため、フレームが傷つく心配はありません。
ちなみに、使い方はそれぞれの”背中”に貼ってあります。そちらを参考にしながら、心行くまで自転車を持ってもらいましょう。
サイクリストの聖地を堪能したところで、次の目的地に向かいます。
日本を守護する大山祇神社を参拝
次の目的地は、大三島を観光するなら外せないスポット『大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)』に向かいます。
多々羅しまなみ公園からの距離は約6.2km。今度は少し距離があります。
国道317号を使って来た道を戻り、民宿があった方に進んでいきます。そして、愛媛県道21号に合流したら、あとはひたすらまっすぐに走ります。
道のりは単純なので、迷いようがないでしょう。安心してサイクリングを楽しみましょう。
ちなみに、大三島には『県道51号・大三島環状線』が整備されていて、この道路を利用すればラクに島を一周することができます。
島一周は約40kmで、しまなみ海道でつながる6島の中では最大の島になります。
景色を楽しみながら快適に走っていましたが、少しずつペダルが重くなってきたぞ。気がつけば上り坂の真っただ中。
しまなみ海道で1泊するための衣類や洗面用品、トラブルに備えてパンク修理道具などをリュックサックと大型サドルバッグに詰めこんでいるので自転車がとても重い。
そのため、勾配の緩い坂道でも結構きつく感じます。
焦らずに時間をかけて上っていきます。
そして、苦労したあとには必ずご褒美があるもの。お待ちかねのダウンヒル!交通量も少なく、道路もしっかりと整備されているので安心して駆け下りることができますね。
まだまだ午前中だというのに日差しは強く、ヒルクライム中は滝のように汗が流れていました。しかし、坂を駆けることで生まれた風が皮膚を伝い、汗を一気に乾かしてくれます。
まさに爽快の一言。開始早々、とてもいい気分にさせてくれました。
下り坂の終着点に『大山祇神社』はありました。
大山祇神社の主祭神『大山積大神(おおやまづみのおおかみ)』は、地神と海神を兼ね備えるすごい神さまとして日本の国土全体を守護しているそうです。
そのため、平安時代より日本で唯一『日本総鎮守』の称号を与えられた神社。
また、大山積大神は”戦の神”としても崇敬されていて、さまざまな武将が数多くの武器や武具を奉納していることでも有名です。
日本を守ってくれている神さまが、まさか大三島にいらっしゃるとは!
気を引き締めて、参拝せねばなりませんね。
神社内にはとても立派な駐輪場があって感動。やはり自転車で参拝に来る人も多いのかな?
中央にあるのは柵なのか?それとも、サイクルラックなのか?判断がつかなかったので、安全策をとって壁に立てかけさせてもらいましょう。
境内に入ると、存在感たっぷりの大きな木が見えてきました。
大山祇神社の御神木である”大楠”です。推定樹齢2600年ともいわれている大楠からは、なにかパワーのようなものを感じます。
大楠をはじめ、背の高い木々が茂っているので太陽の光を遮ってくれます。神社特有の神聖な雰囲気も相まって、とても涼しい空間が広がっていました。
進んでいくと、開けたところに拝殿がたたずんでいました。
なんでも、国指定の重要文化財なんだそうです。
しっかりと手を合わせ、参拝させていただき、そのあとに御朱印をいただきました。
この旅で3つ目の御朱印ですね。
僕はクロスバイクを購入し、自転車で走る楽しみを覚えてから”御朱印集め”を趣味とするようになりました。この2つの趣味、単純にもの凄く相性がいいと思っているんです。
サイクリングってある程度は”目的地”があった方が、走りやすいじゃないですか?それに、ライドの結果が”御朱印”という形で残るのにも魅力を感じています。
旅慣れしてなければなおさら、御朱印を目的にしてサイクリングコースを決めるのも面白いと思います。おすすめです。
道の駅を堪能せよ!
まだまだ観光し足りないですが、次の島をめざしましょう。
地図アプリで確認したところ、来た道を戻るのが最短ルートのようですね。本当なら、もったいないので同じ道は極力走りたくありません。
しかし、今日は”おわりの時間”が決まっているので、進むべきところはサクサクいこう。
大山祇神社を出発すると、すぐに上り坂の洗礼を受けます。
そうだよな、ここまで来るのに結構な距離を駆け下りてきたんだった!気持ちよかった下り坂も、帰り道では一点して牙をむきます。
しかし、そんなに急勾配というわけでもないのに妙にペダルが重い。スピードが出ない。
昨日からの疲労が抜け切っていなかった?炎天下にやられた?
水分補給はしっかりしていたので”熱中症”ではないと思うし、そこまで体調が悪いわけでもありません。どうしたんだろう。
そんな僕を横目に見ながら、颯爽と追い抜いていくクロスバイクに乗った集団があらわれます。大学生かな?とにかく若そうな5人組。なんと、そのうち2人は女の子。
「ちょっと待って!なにそれ、めちゃくちゃ楽しそうじゃん!」
喉まで出かけた言葉をグッと飲み込みます。
遠ざかっていく背中を見つめながら、追いつけない悔しさに打ちひしがれます。
しかし、「相手は荷物がリュックサック1個とかだったもんな。自転車の重量の差でしょう」と、自分を慰め、鼓舞してペダルを回します。
言葉巧みにメンタルのコンディションを整えるのも、一流の旅人に求められる技能。あ、もしかしたら全員が”ヒルクライマーの脚質”を持っていたのかもしれないな。きっとそうだ。
それにしても、グループでおこなうサイクリングも楽しそうです。
目に映るきれいな景色、照りつける太陽、そして、上り坂のつらさ。そういう自分自身が五感で触れた”濃厚な体験”を共有する相手がいる。
それは、とても幸せなことかもしれませんね。
うらやましくもありますが、ソロライド、とくに今回のような”ひとり旅”に慣れてしまうと、それはそれでおもしろく、刺激的なのでなかなか抜け出せなそうです。
40分くらい走って、ふたたび『道の駅 多々羅しまなみ公園』にやってきました。
嬉しいことに、絶好のサイクリング日和である旅の2日目。晴天に浮かぶ太陽。降りそそぐ真夏の強い日差しにあてられて、汗がドバドバ流れてきます。
次の島に移動する前に、ここで少し休憩しよう。
果汁100%デコポンを使用した『でこたんソフトクリーム』です。
ほどよい酸味が疲れた体に染みわたります。みかんの味が強くて濃厚ですが、後味はさっぱりと爽やか。少し”シャーベットっぽさ”もあり、熱を持った体を内側から冷やしてくれる。
真夏の炎天下で食べるには、最高のソフトクリームですね!
とてもおいしく、「もうひとつ食べたいな…」なんて思いましたが、さすがに我慢。
道の駅をうろうろと散策してみると、なにやら気になる看板を発見しました。
マハタは市場にはほとんど流通していないため、知名度は低く、食通の間では”幻の高級魚”と呼ばれているそうです。
クセのない白身、コラーゲンが豊富に含まれていることが特徴みたいですね。
看板の下には生けすがあり、実際のマハタが何匹も泳いでいました。
食堂ではマハタ料理が食べられるようですが、朝ご飯を食べた直後だったので見送ります。また訪れたときには、ぜひとも食べてみたい一品ですね。
休憩ついでにあたりを散策していると、とてもきれいな景色を発見しました。
『多々羅大橋』
青い空と海を背景に伸びる大きな橋。とても立派ですね。さすが、広島県と愛媛県を結んでいるだけはあります。
次なる島をめざして
国道317号をブルーラインに沿って走ります。
道路にくっきりと浮かびあがる青色の線。今治市へと続く道。交通量が少なく道幅も広いため、ストレスなく進んでいくことができます。
『前略、僕は日本のどこかにいます』
思わず『青春18きっぷ』ポスターのキャッチコピーを思い浮かべてしまいました。あのシリーズ好きなんですよね。
時刻は10時40分。約5kmほどの道のりをのんびり走っていると、大三島と伯方島に架かる『大三島橋』が見えてきました。
しまなみ海道に架かる橋は、どれも美しくて特別な感じがします。
そして、なにやら名所案内があることに気がつきました。どれどれ、ちょっと見てみよう。
『鼻栗瀬戸(はなぐりせと)』
大三島橋の下を流れる海峡を『鼻栗瀬戸』というそうです。大三島と伯方島の間の急流で、激しい潮の流れが起きる”船乗り泣かせの難所”となっている…と書かれていました。
かわいらしい名前なのに、なんとも恐ろしい。
大三島橋を渡るために坂道を上っていると『鼻栗瀬戸を一望できる 鼻栗展望台』という案内看板を発見。しかし、看板が指し示す方は、道路の両脇に草木が生い茂る激坂のようです。
一瞬だけ迷いましたが、せっかくだし行ってみよう。
たどり着いたところには、名所案内と歌碑がありました。肝心の鼻栗瀬戸は生え放題、伸び放題の草木に邪魔されてよく見えません。
「あまり人が来ないところなのかな?」
手入れがされていないとネガティブに考えるのではなく、植物の生命力がみなぎる夏らしい景色!…と前向きにとらえておこう。
橋の入口に設置されていた看板を何気なく見てみます。
ここまで、あまり意識していませんでしたが本来は橋を渡るのにお金が必要なんですね。
2019年3月31日までは『しまなみサイクリングフリー』が実施されているため、自転車の通行料金は無料になります。これはとてもありがたい。
これで思い残すことはない。大三島橋を渡っていきましょう。
次なる島は、しまなみ海道5つ目となる『伯方島(はかたじま)』です。誰しもが知っている”伯方の塩”で有名な地ではどんなライドが待っているのか?
後半に続きます。
~次回のライドはこちら~
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