夏休みの大渋滞に阻まれて18時間半の過酷なドライブを強いられましたが、なんとか広島県尾道市にたどり着きました。
「貴重な1日の大半を車の中で過ごしたのか…」
いや、考えるまい。ここまできたら吹っ切れて、今を楽しむことに集中しましょう!
時刻は17時15分を過ぎたところ。今日の目標は『大山神社』と『自転車神社』の参拝。そして、目的地は愛媛県の『大三島』です。
しまなみ海道&淡路島を走る自転車旅がついにはじまる!
~前回のライドはこちら~
人生で一番短い船旅
広島県の尾道市を出発して、愛媛県の今治市まで続く『しまなみ海道』の自転車旅は”6つの島”を走っていくことになります。
②因島(いんのしま)
③生口島(いくちじま)※ここまで広島県
④大三島(おおみしま)※ここから愛媛県
⑤伯方島(はかたじま)
⑥大島(おおしま)
生口島と大三島に架かる『多々羅大橋』の上に県境があり、広島県と愛媛県をまたいで走るサイクリングになるのです。
それだけで、ワクワクしますよね。
6つの島それぞれに特徴や観光スポット、ご当地の美味しい食べ物があるので、ゆっくりを時間をかけて巡るのも一興でしょう。
しかし、今回は時間の都合上、基本的にはガンガンとペダルを回していきます。
最初の島である『向島(むかいしま)』までは、渡船を利用します。どこにあるんだろう?
尾道駅の周辺をウロウロと走り、「とりあえず、海沿いに出よう」と進んでいると、大きな水たまりにぶつかりました。
もしかして、目の前に見えるのが『向島』かな?
めちゃくちゃ近い。本当に”向かいにある島”という感じですね。海なし県で生まれ育ったので、こういう景色は新鮮で心が躍ります。
海岸通りを走っていると、無事に渡船の乗り場を発見しました。
右の方に映っているのが『尾道駅前渡船』です。
ここは、歩行者、自転車、原付バイクしか乗船できない上に、向島に着いてからサイクリングロードまでが近いため、サイクリストが利用するには一番いいみたい。
料金は大人100円・子供50円、自転車の運賃は10円なので、合計110円で向島まで渡れます。
渡船のりばに行くと、つい先ほど出航してしまったとのこと。
待つしかないか…と思っていたが、「あっちにある乗り場だったら間に合うかもしれないよ」と親切に教えてもらいました。
ありがたい情報!さっそく向かってみましょう。
自転車で1分くらいのところに見えてきたのが、僕が今回利用する『福本渡船』です。
尾道駅前渡船よりも古いのかな?長年にわたり利用されている雰囲気を感じます。
尾道駅周辺の地図があったので、時間つぶしに見てみました。
海上に描かれた”青いライン”は3本。渡船は3か所から出ているようですね。
調べによると、この『福本渡船』はもっとも歴史があるそうです。少し離れた場所にある『尾道渡船』は見ていないですが、なんだかそんな気はしていましたよ。
料金は大人60円・子供30円、自転車の運賃は10円なので合計70円。尾道駅前渡船より40円もお得なんですね!素晴らしい。
しばらく待っていると、向島からやってくる渡船が見えます。どんどん近づいてくる。そして、次第に車やバイク、歩行者が乗船の列を作りはじめました。
システムがよくわからない。
どうやって乗るんだ?お金はいつ払うんだ?とりあえず、列の最後尾を陣取り、様子見しよう。
渡船が到着すると、皆さん、慣れた調子で乗り込んでいきます。
向島に住んでいる人たちなのかな。シティサイクルに乗ったおじさんがいたので、真似をして僕も乗船。おお、なんだか不思議な感じだ。
とくに決まった位置はないようですね。
近くにあった柱につかまりながら景色を見ていると、いよいよ出船。2~3分で向島まで到着。本当にあっという間でした。
遠ざかる渡船を眺めながら、「本州よ、しばしお別れだ!」と心の中でつぶやき、気持ちを盛り上げていきます。
お金は渡船を降りたところにいる人に渡します。なるべくお釣りが出ないように準備しておくと、親切でしょう。
それにしても、70円で海を渡れるとは感動。人生で一番短い船旅となりました。
上陸!しまなみ海道・向島
時刻は17時30分。
遠路はるばる広島の地に訪れて、無事に『向島』にたどり着くことができました。深呼吸して島の空気を吸い込みます。
大山神社&自転車神社には、19時までに到着しなければなりません。それを過ぎると参拝できなくなる。タイムリミットは残り1時間半。急がなければ!
尾道市と今治市をむすぶサイクリングロードには、推奨ルートとして『ブルーライン』が描かれています。その通り”青い線”の目印ですね。
クロスバイクにまたがり、渡船のりばを出発するとさっそく発見しました。
これでいいのかな?
思ったより頼りなさげなブルーラインに沿って走っていると、町が見えてきました。
お店もたくさんありますし、思ったより栄えています。道路も広くて走りやすい。
今治方面への進行方向がとてもわかりやすく描かれていますね。
これなら地図をまったく見なくても、今治市まで走っていけそうです。さっきは、頼りなさげなんて言ってごめんよ。全面的に撤回します。
さすがは”サイクリストの聖地”というだけあって、優しい作りになっています。
向島で立ち寄りたかったのは『後藤鉱泉所』という清涼飲料水店。
ここでは、昔懐かしい瓶入りのラムネが有名だそうです。甘い炭酸に舌鼓を打ちたかったのですが、時間がないから素通り…というか営業時間外かな?
尾道市まで長い時間、ずっと同じ姿勢で運転していたので体が”動かすこと”を求めています。
体は疲れていましたが、クロスバイクで風を切って走るのは爽快感。大渋滞で蓄積されたフラストレーションがどんどん発散されていく。気持ちがいい!
15分くらい走っていると、なにやら前方に赤い橋が見えてきました。
「あれが、次の目的地の因島かな?それにしては近すぎる…」
調べてみると、向島と岩子島(いわしじま)をつなぐ『向島大橋』だとわかりました。
17時50分、向島大橋を通過。
朱色に塗られた橋が美しい。
川に挟まれた対岸に架かる橋のように見えますが、目の前にあるのは立派な海。なんだか川沿いをサイクリングしているような錯覚を覚えます。
途中、自動販売機でドリンクを購入したとき以外は、基本ノンストップで走行。適度に心拍数を上げながらペダルを回していると、前方に大きな橋があらわれました。
おお!あれが、向島と因島をつなぐ『因島大橋』ですね!遠目からでも存在感バツグン。
とても立派な吊り橋です。
雲は多いですが、どこか青々とした空。静かに波打つ海。そして、目の前に広がる島々。橋を中心に周囲が溶け合って、美しい景色を作り出しています。
ブルーラインを走っていると、因島大橋に入る案内標識が立っていました。
大きな標識なので、見落とす心配がないのも嬉しい配慮です。
橋は当然ですが高いところに架かっているので、そこまで上らなければいけません。
そこまで勾配はきつくないですし、距離も長くないので、坂道が苦手な人でもあまり苦労せずに上れると思います。
しかし、まったくの”サイクリング初心者”には少し厳しいのかな?
しまなみ海道を走破するためには、70kmを走り、その上で計6か所に架かる橋を渡らなければなりません。もちろん、橋の数だけ上り坂は登場します。
それも含めて、体力に自信のない人は電動自転車をレンタルしてもよさそうですね。
そして、坂道を上った先には因島大橋がお出迎え。
島と島をつなぐ吊り橋。その入口にクロスバイクと共に立っている。なんだか感動です。
それでは、海を渡っていきましょう!
これが因島大橋の内部です。
橋は二段構造になっていて、上段は車道、下段には『原付道』と『自転車歩行者道』が整備されています。車とは別のところを走るので安心ですね。
橋の長さは1,270mもあります。
自転車だったら数分ですが、徒歩だったら20分くらいかかるのかな?歩いて橋を渡ろうとする人は多いんだろうか。
金網越しに見える瀬戸内海。
海の上にいくつもの島が点在していて、その上空を飛んでいるような不思議な感覚。写真では伝えきれないのが残念です。
この感動は実際に走らないとわからない。
しまなみ海道、来てよかった!きれいで神秘的な景色を満喫しながら、ペダルを回して因島大橋を渡り切ります。
そして、本日2つ目の島である因島に入っていきましょう!
自転車神社で御朱印をもらおう
因島大橋を渡り切り、18時15分に『因島』に入りました。
真夏とはいえ少しずつ日が傾いてきましたね。
大山神社&自転車神社参拝のタイムリミットまで残り45分。距離は約8.5kmなので、寄り道せずに走り抜ければ十分に間に合うでしょう。
橋を渡ったところにある『因島大橋記念公園』のすぐそばには、有名な『はっさく屋』というお店があります。ここにだけは寄り道したかった!
因島が発祥とされている”はっさく”は、みかんの一種。
はっさくと白あんをお餅で包んだ”はっさく大福”が名物で、因島…いや、しまなみ海道全域で愛されるスイーツなのです。
「補給食がてら買いに行くか?間に合うか!?」
そんな葛藤をしながらスマートフォンで調べてみると、営業時間は17時まで。残念すぎて、立ちゴケしそうになりました。
しかし、お店がやっていないのなら仕方ない!逆に諦めがつくというものです。
「次回の楽しみにとっておく…」
呪文のように、自分に対する”決意の言葉”を吐き出し、再びペダルを回す足に力を込めます。もう僕には、神社参拝しか残されていない!
余談ですが、因島には多くの観光スポットがあります。
瀬戸内海を舞台に活躍した海賊・村上水軍の歴史がわかる『因島水軍城』や、史上最強とも名高い囲碁棋士・本因坊秀策の偉業が展示されている『本因坊秀策囲碁記念館』があります。
囲碁のことはまったくわかりませんが、週刊少年ジャンプで連載されていた『ヒカルの碁』にドハマりした僕としては、記念館を訪れてみたかった。
読んだことない人は超オススメです。
閑話休題。
走っていると、白く巨大な恐竜が出現しました。
ここは『因島アメニティ公園』という施設です。
なぜ恐竜がいるのか?公園内を散策すれば理由がはっきりするかもしれませんが、立ち止まるわけにもいきません。
突如現れた恐竜はいい刺激になった。それだけで十分。
ブルーラインは、次の橋までひたすら海沿いを進んでいくようです。
大山神社に行くためには遠回りになりそうだ。
最短をいくためにも、因島の中心部を横断するようなルートを選択します。
順調に走っていましたが、広島県道120号では”ヒルクライム”に行く手を阻まれます。
正確な勾配はわかりません。しかし、貧脚な僕からすると結構きつい上り坂。宿泊するための荷物を背負ったり、自転車に括り付けているので余計に大変です。
なんとか上り切り、一転して今度は下り坂を走ります。
勢いに乗って遅れを取り戻したいところですが、慌てて事故を起こしても仕方ありません。安全第一で駆け下りよう。
海沿いは平坦道が続いているでしょうし、素直にブルーラインを使った方がラクだった?
いや、神社の行き帰りで重複するルートがあってはもったいない。いろいろな道を走りたいので、やはり正解な判断だった。そう思っておこう。
嫌なのは、目的地を見落として素通りしてしまうこと。時間がない状況で、その手のミスは痛すぎます。小まめにスマートフォンの地図で現在地を確認。
そして、ついに大山神社を発見しました!時刻は18時50分と、本当にギリギリの到着でした。
社務所に行くと、「おお、来たぞ!」と少しどよめきが起こっていました。遅くなってしまい、大変申し訳ありませんでした。
リュックサックの中から取り出した御朱印長を、手渡します。
いくつか種類があったので『大山神社』と『自転車神社』の御朱印をいただくことにしました。
待っている間に、階段を上って境内に入ります。
本来は参拝してから御朱印をいただくものなんですが、今回は事情が事情なだけに見逃してもらいましょう。その分、気持ちを込めてお参りします。
とても立派な本殿です。大山神社は、因島で最古の神社なんだそうです。
そして、その手前にはサイクリストに愛される『自転車神社』がありました。
鳥居と同じ色をした赤い自転車の装飾が可愛らしく、なんだかワクワクしてしまいます。
正式名称は『和多志神社』といいます。
和多志神社・自転車神社 御由緒
古く和多志大神は、人や物を運び、結ぶ力の神として崇められ、交通・運送の神として、又、人と人との御縁を結ぶ力の神として信仰されて参りました。
今日、しまなみ海道は、内外のサイクリストが憧れる聖地となり、自転車神社は、その象徴として崇められています。
境内の案内板より
人や物を運び結ぶ。人と人との縁を結ぶ。
サイクリストの聖地・しまなみ海道にふさわしい神社ですね。今回の自転車旅、これからの自転車ライフの安全を祈らせていただきました。
そして、2つの御朱印を書いてもらいました!
どちらも朱印がいい感じ。
大山神社の方は、八角形の中に三本の波線。なんとなく”しまなみ”を連想させます。
自転車神社の方はハートの中に自転車!可愛らしい。全体的に丸っこい自体なのは、フレームの流線形や丸い車輪をイメージさせますね。
今回は買えませんでしたが、自転車用ステッカーやヘルメットにつける安全お守りなど、サイクリストには嬉しい”自転車神社ならではのお守り”が多数あるそうです。
また訪れたときは、ゆっくり選んで購入してみようかな。
さて、目的は果たせた!遅れに遅れた旅の初日にも、これで意味を見出せる。
これから暗くなるしまなみ海道、ナイトライドの時間です。夜はいったいどんな景色を見せてくれるのか?楽しみでなりません。
それでは、今日の寝床がある民宿まで、気持ちよく走っていきましょう!
暗闇のしまなみを往く
大山神社から海沿いの道をひた走り、次なる島に向かいます。
おお!因島と生口島(いくちじま)をつなぐ『生地橋』ですね!
時刻は19時10分にもなると、さすがに日も傾いてきました。夕日を受けた空が、すごく複雑な色合いになっています。
道路沿いには、例によって橋の入口を示す案内標識が立っていました。
これのおかげで道に迷う心配はありません…が、夜になったらどうだろう?
向島、因島と走ってきましたが、やはり街灯の数が少ないような気がします。道によっては、本当に真っ暗になりそうだぞ。
坂道を上り切り、生口橋に向かって進みます。
僕は”橋の構造”についてはまったく知識がありません。しかし、サイクリング中に眺めたり、渡ったりする橋は大好きです。
なんというか、「高度で複雑な技術が盛り込まれているんだろうな」と、素人が見てもわかるところがいいんですよね。形や構造もそれぞれ違っていて、おもしろい。
それから、テレビゲームのRPGを彷彿とさせますが、川や海を橋で渡るって”別の世界に移動する”みたいな感じがしませんか?
普通だったら足を踏み入れることのできない世界、そこに訪れるための手段。
本当にワクワクします。そんな橋をたくさん渡れるしまなみ海道は、やっぱり最高だ!
生口橋を渡り、たどり着いた新たな世界は”レモンとアートの島”と呼ばれる生口島。
レモンの生産量は日本一!
瀬戸田町で作られる『瀬戸田レモン』は、皮まで食べられることで有名です。レモンを使ったグルメやスイーツも多く、食欲を掻き立てられます。
もうひとつの特徴は、島の各地に展示されている17点の彫刻です。島に展示…そう聞くと、なんだか不思議に思いますよね。
これは『島ごと美術館』というアートプロジェクトなんだそうです。
生口島全体を”美術館”に見立てて、作家が自分の作品を展示したい場所を考える。そして、そこから受けるインスピレーションを元に制作された作品が、実際に展示されているのです。
なんともスケールの大きい企画!
島の自然、展示される彫刻。生口島が美術館であると同時に、島と17の彫刻がそれひとつで完成された作品になるとも感じました。
とてもおもしろいですし、好きなコンセプト。今回は残念ながら見ることができませんでしたが、次回は『生口島の彫刻を巡る旅』なんていうのもいいな!
そんなことを考えながら、生口島を猛ダッシュで駆け抜けます。
橋から橋までの距離がこれまでの島で一番長く、約13kmもあります。一筋縄ではいきませんね。ここが正念場です。
時刻は19時30分をまわったところ。すっかり夜になってしまいました。
基本的には街灯に照らされた道幅の広い道路が続いています。普段からなのか、時間帯的にそうなのかわかりませんが、交通量は多くないのでリラックスして走れます。
しかし、街灯のない区間もあるのでライトは必須ですね。
ブルーラインのおかげで、暗くても道に迷わなくて済みます。ペダルを回すことに専念できるって素晴らしい!
走っていると、子供たちが外で楽しそうに談笑しています。おいしそうな料理のにおい、お盆を感じさせる花火やお線香のにおいが、どこからともなく漂ってきました。
「なんだか、いいなぁ…」
自分が住んでいるところから、遠く離れた町のにおい、空気をを感じる。なかなかできない体験だと思います。
これも”五感を使って楽しむ”という自転車の魅力があってこそ。
そう思うと、ペダルを踏み込む力が抜けていきます。スローペースでのサイクリング。これも一興ではありませんか?
しまなみ海道を走りはじめて2時間以上が経過すると、さすがに疲れてきました。よく考えると、昨夜は2時間しか寝てないんだった。しかも、車中泊。
まだか、まだかと走っていると、つに大三島に架かる橋『多々羅大橋』が見えてきました!
昼間であれば立ち止まり、橋を写真におさめたいところ。しかし、今デジカメを構えても、ディスプレイに映るのは夜の闇に浮かぶ得体の知れない物体。
とりあえず、先を急ごう。
多々羅大橋までの上り坂は街灯がゼロなので、ライトがないと本当に真っ暗です。道の両脇には木々が生い茂っており、ガサガサと獣の気配を感じます。なに?なんかいるの?
そして、20時を少し過ぎたところ、橋の入口に到着しました。うはー、疲れた。
多々羅大橋を渡ると、いよいよ愛媛県今治市に入ります。県をまたぐ橋は全長1,480mもあり、これまでで一番長い橋になります。
橋の上からの眺めはどうかな?
海上には暗闇が広がるだけで、景色はほとんど見えません。昼間はさぞかしきれいな海と島々が見えるんだろうなぁ…。
この時間帯だと通行人やサイクリストは見当たらず、走っているのは自分ひとりきり。
多々羅大橋を、しまなみ海道を独占しているような気分になります。気持ちがいい。この瞬間を味わえただけでも18時間半ドライブしたかいが生まれます。
軽快に走っているところでブレーキ!
広島県と愛媛県の県境!
こういうのは、記念に写真に撮っておかなければなりませんね。多々羅大橋のちょうど中央地点が県境になっているんだ。なんだかすごい。
人生初の愛媛県に突入です。これでまた、未踏の県がひとつ減りました。
多々羅大橋を渡り切り、大三島に到着!民宿までは約2kmなので、もう目と鼻の先でしょう。このまま勢いで走り切ります。
民宿には事情を話し、遅れることを説明したところ、「遅くなっても、夕ご飯を用意して待っています」と優しい対応をしていただきました。
ほとんどを”素泊まり”で済ませる僕にとっては、1泊2食付きの貴重な体験。なにがなんでも食事にありつきたかったので感謝です。
最後の最後に足がつりそうになりながらも、夜の大三島を疾走。時刻は20時15分、ついに1日目の目的地である民宿に到着したぞー!
サイクルコンピューターを確認すると、走行距離は48.1kmの長旅になっていました。走行計画より10kmくらい多く走ったみたいです。
ヒルクライムもあったので結構疲れた。しかし、それ以上に気持ちのいいライドでした。
島の夜は冷房でキンキン
到着すると、民宿の方からねぎらいの言葉をいただきました。それと一緒に、「夜はイノシシが出るから危ないですよ」という恐ろしい情報も。
多々羅大橋に上がる坂道で感じた気配はもしや?しまなみ海道は、なるべく昼間に走ろうと心に誓いました。
さっそく通されたのは、冷房でキンキンに冷えた広間です。
畳が敷いてある長方形の大きな部屋で、真ん中くらいから襖で2部屋に区切られています。部屋の隅にはカラオケの機械もあるし、宴会場なのかな?
部屋の中心には、夕ご飯がひと組だけ用意されています。
めちゃくちゃ豪勢!このあと魚の煮つけもやってきて、100点満点の夕ご飯。
考えてみたら、昨夜から朝も昼もまともな食事をしていません。余すことなく完食し、僕のお腹も十二分に満たされました。
お腹がいっぱいになると、余裕が生まれるものです。
他の宿泊客もここで食べたのかな?僕を待っているせいで、後片付けが遅れてしまったかな?そんなことを考えながら、まったりしていると、民宿の方が食器を下げにやってきました。
「ごちそうさまでした!ところで、僕の部屋はどちらに…?」
返ってきた言葉は、「こちらで大丈夫ですよ」とのこと。え!ここで寝るの!?宴会場だと思っていたけど、ここが僕の宿泊部屋なのか!
ひとり取り残されて周囲を見回すと、確かに布団がある。とりあえず、敷いてみよう。
こんなもんか。広々と使えていいじゃないの。ただ、気になるのは部屋の入口のほうです。
引き戸なのはいいとして、一面の”すりガラス”なんですよね。
しかも、共用のお風呂に行くには、この部屋の前を必ず通らなければなりません。そのため、ちょこちょこ人が通ります。
浴衣を脱ぎ捨ててパンツ一丁でカメラを構えている僕の姿が、見られてしまうのではないか?そんな恐怖を感じましたが、まぁ、快適に過ごせそうな部屋でよかったです。
お風呂が空いていたので、滝のようにかいた汗を洗い流しにいきます。
「このために走ってきたんだー!」
そう思えるくらいの気持ちよさ。本当にお風呂は身も心も清らかにしてくれますね。明日への活力が生まれるのを早くも感じます。
湯舟で熱くなりすぎた体を引きずり宴会場…ではなく、僕の宿泊部屋に戻ると、強風を吐き出す冷房で極寒と化していました。
これはさすがにやりすぎた。リモコンを操作して、適度な温度に調整しよう。
さて、本当だったらここでお酒の1本でも飲みたいところですが、民宿の中に自動販売機はなさそうですし、コンビニまで自転車を走らせる元気もありません。
布団に横になると、急激な眠気が迫ってきたので素直に寝ることにしましょう。
電気を消してまどろんでいると、宴会場の向こう側から民宿の方々の話し声や食器を洗う音が聞こえてきました。
なんだろう、生活音って癒される。まるで実家にいるような錯覚を覚えるほど、リラックスして入眠することができました。
明日のことは明日考えよう。
自分の好きな時間に起きて、好きなものを食べて、見て、自転車を走らせる。それがひとり旅の醍醐味ですからね。
~次回のライドはこちら~
コメント
お盆に新幹線輪行を避けたのは、決して間違った判断ではないと思います。長距離フェリーも減りましたし、広島とか九州・北海道だと車での移動も大変ですから、シクロエクスプレスの利用を検討されてもいいのかもしれませんね。
ありがとうございます。
シクロエクスプレスなんて便利なサービスがあったんですね!
うまく利用すれば行動の幅が広がりそうです。是非、試してみます!