クロスバイク乗りたるもの、一度は興味を持つのがビンディングペダルの存在です。
調べてみると、装着するメリットは大いにありそう。
でも、クロスバイクにビンディングってどうなの?ペダルとシューズで2万円くらいかかるけど、価格に見合った効果はあるの?不便になることもあるんじゃないの?
いろいろと考えてしまい、「まぁ、付けなくてもいいか」と思っていたところ、知人から使っていないビンディングペダルをタダでくれるという嬉しい申し出をいただきました!
せっかくのご厚意を無駄にするのも悪いというもの。
そんなわけで、愛車・Bianchi ROMA3にビンディングペダルを取り付けてみました!
今回は装着までの流れと、約30kmを走行した感想をお話ししたいと思います。
ビンディングペダルとは?
まずは、ビンディングペダルの説明をしましょう。
専用シューズの靴底にあるクリートという金属を使って、ペダルとシューズを固定するシステムのことをビンディングといいます。
スキーやスノーボードをやっている方は、聞き馴染みのある言葉ですね。
そしてこれが、いただいた『シマノ 片面SPDペダル PD-A520』というビンディングペダルになります。
写真ではわかりにくいですが、普通のペダルより一回り小さくなっています。
金属がワチャワチャなっているところに、専用シューズのクリートをはめ込みます。
ちなみに、コンポーネントメーカーのシマノから出ているビンディングペダルは『SPD-SL』と『SPD』の2種類があります。
SPD-SL
ロードバイク向けのビンディングペダル。軽量かつシューズとの固定力が強いのでパワー伝達力が高い。ただし、対応するビンディングシューズはクリートが靴底から飛び出ているため、歩くことには向かない。
SPD
マウンテンバイク向けのビンディングペダル。クリートが小さく、靴底のヘコみに取り付けるためクリートが地面に接地せず、歩きやすい。
ザックリとした説明ですが、おおむねこんなところです。
ちなみに、先ほど紹介した『シマノ 片面SPDペダル PD-A520』は、SPDですね。クロスバイクの楽しみ方のひとつが町や観光地の散策だと思っているので、歩きやすいSPD一択です。
次はシューズを見ていきましょう。僕が購入したのは『シマノ SHーCT5』というシューズです。
どうです?
パッと見ると普通のスニーカーですよね。これは、SPDのビンディングシューズの中でも、特にカジュアルな部類のシューズになります。
私服にも合わせやすそうなので、観光地の散策にも問題なく使えるだろうということで購入を決定。ちなみに、お値段は1万円くらいでした。
靴底はこうなっています。
つま先側にある金属がクリートです。この部分がペダルに固定されるわけですね。
ペダルとシューズについて説明しましたが、それでは一体、ビンディングにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
インターネットで調べたり、知人で聞いた情報をまとめてみました。
~メリット~
①スピードが速くなる。立ち上がりの加速力が増す。
②引き足が使えるようになり、足が疲れにくくなる。
~デメリット~
①立ちゴケをする危険性がある。
②止まるたびにビンディングの着脱を繰り返すのが面倒くさい。
補足すると、『引き足』とは、ペダルを引っ張る足の力のことです。ビンディングでは、ペダルとシューズが固定されているため、踏み込むときだけではなく、ペダルを引き上げる力も推進力として使えるわけです。
そして、『立ちゴケ』とは、自転車に乗ったままバタンと倒れてしまうことです。恐ろしい。
ビンディングペダルについて知人に聞いてみると、「慣れてしまったら、もう普通のペダルには戻れない」と話していました。
ゴクリ…。そんなにも快適なのか?ワクワクしてきた。
正直なところ、ペダルをもらってからも、デメリットの方が大きいような気がしていました。
立ちゴケの危険性、ビンディング着脱の手間を考えると、クロスバイクが気軽に楽しめる乗り物ではなくなってしまうような不安を感じていたんです。
でも、まぁ、嫌だったら元のペダルに戻せばいいんだし、経験としてチャレンジしてみようと思い、取り付けることを決意しました。
それでは次に、ペダルをお店に持参して取り付けてもらったときのことを振り返ってみたいと思います~!
取り付けはお店にて
こういう装備品を自分で取り付けるのは苦手なので、今回はY’sRord(ワイズロード)新宿店に足を運ぶことにしました。
新宿店には本館の他に、ウェアを専門に取り扱ったウェア館があります。そこならきっと素敵なシューズに巡り合えることでしょう!
Y’sRord(ワイズロード)新宿店までは、もちろん自走。リュックサックにSPDペダルを入れて、約30kmの道のりをサイクリングです。
お店に着いて、早速店員さんに事情を説明。
ついでに日本横断ライドに向けてメンテナンスをお願いすると、本来は持ち込みのペダルを取り付けるときは工賃がかかってしまうのですが、オマケしてくれることに。
わーい、ありがとうございます(≧▽≦)
作業をしてもらっている間にウェア館でビンディングシューズを物色。ひとりで見ていてもわからないので、早々に店員さんに登場していただきました。
新宿店の店員さんは、皆さん親切です。わからないことを聞くと、とても丁寧に教えてくれるので本当にありがたい。
そして、先ほどご紹介した『シマノ SHーCT5』を購入。いい買い物ができた~!
30分くらいで作業が終わるということだったので、ウェア館から本館に戻ってみると、バッチリ取り付けられていました。
うわ~!なんかパワーアップした感がスゴい!
ビンディングペダルを使ったことがない旨を伝えていたので、着脱方法を指導をしてもらいました。これが結構難しく、感覚をつかむまで苦労しそう。
店員さんにクロスバイクを支えてもらい、両足のビンディングを着けてみましたが、今までに体験したことのない怖さがある(´゚ω゚`;)
自宅まで約30kmあると話したら、店員さんも少し驚いており、事故にはくれぐれも気をつけてくださいと念を押されました。
いきなり乗って帰る人って少ないのかな?後日、インターネットで調べてみると、立ちゴケの危険性もあるので、まずは安全な公園などで練習するのがセオリーだそうです。
店員さんがしきりに言っていたのは、「立ちゴケは絶対します。倒れるなら、必ず左側に倒れてください」ということ。
理由は2つあります。
①右側、つまり車道側に倒れると、それだけで車との接触事故の危険性が高まり、大怪我、最悪死につながります。
②自転車の右側から倒れると、ギアやディレイラーなどを破損してしまう恐れがあります。
うーん、そうは言ってもそんな器用に倒れられるもんなのかな?
とにかく立ちゴケしないように気をつけよう。
そして、ペダルを取り付けた後に、ひとつ勘違いしていたことが見つかりました。
僕が取り付けたペダルですが、片面がフラットになっていて通常のペダルのように使える”片面フラットタイプ”だと思っていたのですが、よく見るとフラットになっていない。
これは大誤算…(ll´Д`ll)
片面フラットであれば、普通のスニーカーでも使えるので、近距離のサイクリングにはフラット面を使おう。そうすれば、クロスバイクの気軽さを失わずに済むと思っていたのです。
そして、新宿から自宅までの道のりも、交通量の激しいところはフラット面を使って安全に走り、サイクリングロードでビンディング着脱の練習をしようと考えていましたが、その計画も見事に崩れ去りました。
もう、ビンディングペダルを使うしかない。
急に不安が襲ってきましたが、帰らなければ仕方ないので、安全運転を心がけて帰宅することにしました。
初走行の体験記
Y’sRord(ワイズロード)新宿店を出ると、交通量の多い新宿の街並みが目に入ります。
ここを走って帰るのか…。
気持ちは幼少時代までさかのぼり、はじめて補助輪を外した自転車で家の敷地外に出たときのことを思い出しました。
不安とドキドキが入り混じったような複雑な気持ちです。
ちなみに、Bianchi ROMA3に装着したSPDペダルはこんな感じ。
金属部分が重いため、クリートをはめて踏み込む側が下を向いてしまうんですよね。これをつま先でクルっとひっくり返してから、クリートをはめ込むというのが一連の流れ。
練習でも難しかったのに、車道でできるのだろうか?
うーん、何事も慣れだ!とにかく出発しましょう!
ビビりながら走り始めますが、なかなか勇気が出ずにクリートをはめる気にならない。とりあえず落ち着くまでは裏側で走ろうと思いましたが、想像以上に漕ぎにくい。
このままでは、家までたどり着けないぞ。
意を決してクリートをはめようとするも、慣れていないため、ペダルが表側なのか裏側なのかすらわからない。
少し危ないと思いながらも、目視でペダルを確認して、バチン!バチン!両足のクリートをはめ込むことに成功!
うひゃー!はじめてのビンディングペダルでの路上走行!
引き足?そんなの意識する余裕まったくなし!でも、なんだろう。少しペダリングが楽に感じるかな?わからん!
走り始めて15分。
新宿は信号が多いため、自然とビンディングの着脱が多くなります。
「これはある意味、いい練習になるぞ」
なーんて油断していたら、早速やっちゃいました!立ちゴケ(´゚Д゚`)
状況はこうです。
交差点を左折しようとする車があったので、左折を待ってから直進しようとスピードを落とそうとしていました。
しかし、予想以上に車が左折するスピードが遅く、急ブレーキをかけてスピードを落とす形になってしまいました。
咄嗟に右足を地面に着けてバランスを取ろうとした瞬間、「そうだ!ビンディングペダルだった!」と思い出しましたが、時すでに遅し。
ペダルに固定されている足はもちろん出ずに、そのまま立ちゴケ。それも、店員さんに散々注意された右側への立ちゴケ。やっちまった。
幸いなことに、後続車は来ていなかったので、すり傷と軽い打撲程度で済みました。クロスバイクもディレイラーに少し傷が付いただけで故障には至りませんでした。
頭では、”ペダルとシューズが固定されている”とわかっていても、咄嗟の状況になると足を出そうとしてしまうものですね。
これは、気を緩めないで走らないと本当に事故につながるぞ。
それにしても、新宿の交差点で立ちゴケって恥ずかしすぎる!
信号待ちをしていた人の視線が痛い。
その中でサラリーマン風のお兄さんが、「大丈夫ですか!?」と心配して駆け寄って来てくれそうになるところを、「大丈夫です!」と片手で制止する僕。
コケた後も、しばらくビンディングが外れずにジタバタしている僕はどう見ても大丈夫じゃない人です。
その後は、立ちゴケの反省を活かして、止まらなくてもスピードを落とし始めたら両足のビンディングを外すことを徹底しました。
とにかく、スピードが出ていないときはビンディングを外しておく。信号待ちのときも、左足だけ外して縁石に足を乗せて待機ということをやりがちですが、必ず両足を外す。
何事も安全第一です。
慣れないビンディングペダルでのサイクリングだったので、体も心も疲れましたが、その後は危ない場面もなく無事に家までたどり着くことができました。
30kmを走った感想
クロスバイクにビンディングペダルを取り付けて、約30kmを走った感想です。
正直なところ、30km程度走ったくらいではメリットを感じることはできませんでした。
劇的に変わる!と思っていただけに残念。
スピードは1~2km速くなったのかな?誤差の範囲という感じです。足の疲れに関しては、疲れにくくなったどころか、むしろ疲れた。
逆に、デメリットというか不安要素はたくさん生まれてしまいました。
ビンディング着脱による緊張、立ちゴケによる体への怪我、自転車の故障などのリスク、そして、なんとなくクロスバイクが気軽なものではなくなってしまった感じがします。
1番の不安要素は、近く控えている日本横断ライドに慣れないビンディングペダルで挑まなければいけなくなったことです。
片面フラットのペダルなら大丈夫だろうと思って、日本横断ライド前にペダルを取り付けましたが、片面フラットタイプではなかったという勘違いから痛恨のミス。
うーん、早まったかな?
でも、ひとつよかったこともあります。
矛盾しているかもしれませんが、取り付けたのが片面フラットタイプのビンディングペダルじゃなくてよかったということ。
なぜかというと、片面フラットだったら、絶対にそっち、楽な方に甘える。
ビンディングを使わないとまともに乗れないくらいじゃないと、ビンディングに慣れることは一生なさそうだと確信したからです。
たかだか30km走っただけビンディングペダルを判断するのは早すぎる!
きちんとペダリングも勉強しよう。
自分を鼓舞して、日本横断ライドに挑んできます!ビンディングペダルについて、また感想等を報告したいと思うのでよろしくお願いします。
コメント