”一周”
それは、サイクリスト魂を焚きつける魅惑の言葉。
勝手に魅惑の言葉にしちゃいましたが、皆さんはどうですか?僕は過去に伊豆大島を一周した経験があるように、この言葉に焚きつけられまくっています。
今回、一周の舞台に選んだのは茨城県の『霞ケ浦』です。通称・カスイチと呼ばれているサイクリストの間では定番中の定番ライド。
日本横断ライドに向けて、今の自分の体力を把握することも兼ねてチャレンジしてきました!
日本で2番目に大きい湖『霞ケ浦』
そもそも『霞ケ浦』ってなんなの?
知らない人もいると思うので、まずは簡単に説明しておきましょう。
霞ケ浦(かすみがうら)とは?
茨城県南部にある日本で2番目に大きい湖。その湖面積は茨城県全体の3分の1以上を占めています。夏には帆引き船が運航され、冬には多くの渡り鳥が飛来します。
大昔(約10万年前)の霞ケ浦は、海が陸地に深く入りこんだ入江でした。霞ケ浦が今のような形になったのは、1600年代の終わりごろ。
江戸湾(現在の東京湾)に注いでいた利根川の流れを変える大きな工事がおこなわれ、たくさんの土や砂が利根川の下流や霞ケ浦の南東部に積り新しい陸地が作られ、今のような形になったと言われています。
霞ケ浦って大昔は海だったの?!知らなかった。ちなみに、もともと海だったところが隔離されてできた湖を『海跡湖(かいせきこ)』というらしい。
利根川の流れを変える大きな工事、これは”利根川の東遷(とうせん)”のことですね。
以前、江戸川サイクリングロードを北上して関宿城まで走り、そこにあった『千葉県立関宿城博物館』を見学したときに知りました。

大工事だけあっていろいろなところに影響を与えているんですね。繋がりを感じておもしろい。
ちょっと面倒だと思っても、自分が走るところの情報や歴史を調べてみると興味深い話が見つかるものですよ!学びにもなるのでおすすめです。
そして、霞ヶ浦はこんな湖です。
どうです?広いでしょう!さすが日本で2番目に大きい湖。
霞ケ浦一周の距離は約125kmですが、湖の上部を分断するように架かっている『霞ケ浦大橋』を渡ることで30kmショートカットできるようです。
それは果たして一周なのか?ということで、今回は霞ケ浦大橋のお世話にならず、きっちりフルで一周していきたいと思います。
それにしても、125kmか。埼玉県から山梨県甲府市までのロングライドを思い出します。
震えが…いや!武者震いが止まらないぜ!気合いを入れつつも、楽しむ気持ちを忘れないように走っていこう。ワクワクしてきました。
1日の始まりはパンクから
霞ケ浦一周の計画はこうです。
まずは、土浦駅までクロスバイクを車に載せて移動し、コインパーキングに駐車します。そしてそこから霞ケ浦を周回しているサイクリングロードを反時計回りに走ります。
うむ、我ながら完璧。
そして、当日を迎えました。起床は朝4時30分。自宅から土浦駅まで車で1時間くらいかかるので、かなり余裕をもって早起きしちゃいました。
身支度を済ませて、クロスバイクをスタンドから降ろすと、ベコっと前輪に違和感。なんだ?タイヤを指で押してみると、完全に空気が抜けてます。
さっそくアクシデント発生!出発直前にパニックですよ。
パンクしていることは一目瞭然なので、意を決して”はじめての”チューブ交換に取りかかります。
それにしても、霞ケ浦を走っている最中にパンクしなくて本当によかった。自宅で落ち着いた状況の中、YouTubeでチューブ交換の動画を見ながら作業できたのは幸運でしたね。
自転車ブログをやっていると、「はじめてのチューブ交換!って内容の記事が書けるな…」と妙なプラス思考が働きます。アクシデントすら原動力に変えられるって、もう無敵ですよね!
約20分くらい格闘して、なんとかチューブ交換が完了しました。意外と簡単でしたが、これを路上でやるのは難儀だな…。できるかぎりパンクしないように注意しよう。
出だしから想定外の事態に見舞われましたが、土浦駅までのドライブは快適でした。
コインパーキングに車を止めて、クロスバイクを降ろします。前輪を触ってみても空気が抜けている様子はない。うん、チューブ交換が成功したんだな!
時刻は朝6時30分。
クロスバイクにまたがり、霞ヶ浦一周に向けてペダルを踏みだしました!
いざ、霞ケ浦一周へ
まずは、霞ケ浦に流れ込んでいる桜川に沿って、サイクリングロードを進みます。
桜並木がきれいでテンション上がる!桜川という名前は伊達じゃないですね。
ものすごい逆光ですが、目の前に広がるのは間違いなく霞ケ浦!昇る朝日が妙に大きい。ここから125kmのロングライドがはじまるんだな。
しばらく湖沿いを走っていると『霞ケ浦総合公園』が見えてきました。
霞ケ浦総合公園のシンボルであるオランダ型風車と桜のコラボレーション。とてもきれいです。風車の中段には展望台があるそうです。
先に進むと、陸上自衛隊の土浦駐屯地があり、湖沿いは走れない模様。駐屯地を避けるために一般道路に出ますが、どのタイミングで湖沿いに戻れるのかイマイチわからない。
なにやら変わった外観の建物があったので近づいてみると、そこは『予科練平和祈念館』でした。平和の大切さを知るための施設。機会があれば見学してみたいものです。
そこから、無事に湖沿いの道路に戻ることができました。
このように、霞ケ浦はきれいに湖沿いを一周できるわけではなく、ちょくちょく湖から離れて走らなければならないポイントがあります。
数か所ですけれどね。気持ち程度の案内標識と自分の方向感覚を頼りに走るのは少し不安ですが、同時にいい刺激にもなります。
まだ10kmも進んでいませんが、小さな公園があったので少し休憩。
サイクリングマップによると、ここは阿見町の『島津小公園』というらしい。
さすが、サイクリングに力を入れている茨城県。阿見町も例外ではなく、素敵なサイクリングロードが整備されていて、公園には地図も設置されている。
自転車に乗る者として、こんなに嬉しいことはないですね!テンション上がります!
ベンチに座り、飲み物を口にしながら数分だけ休憩。まだ残り115kmもあるので、小まめに体を休めて疲れを蓄積させないことが大切です。
よし、全快!先に進むことにしましょう!
自転車の宿敵にふたつも遭遇
湖沿いは遮蔽物がないため、とにかく風が強い!そして当たり前のように向かい風です。たまには追い風ってものを体験させてくれ…。
自転車の宿敵のひとつは、言わずもがな”向かい風”です。
スピードの出るスポーツ自転車は、風の影響をモロに受ける乗り物です。強い向かい風のときは本当に速度を出すのが困難。上り坂でも走っている気分になります。
こればかりは耐え忍ぶしかない。クロスバイクなりに、できるかぎり身をかがめて空気抵抗を減らすことに努めます。
風は強いですが、道路はとてもきれいで走りやすく最高です。
霞ケ浦サイクリングの特徴は、なんといってもどこまでも続くフラットな道。上り坂が一切なく、平坦道をひたすら走ることができます。
気持ちがいいですね。遠方に見えるのは、茨城県の象徴『筑波山』かな?
ちなみに、湖沿いをそれるときに現れるマークがこちら。
基本的にはこのマークの指示通りに走れば大丈夫。
ただ、僕の理解力不足のせいかもしれませんが、微妙にわかりにくいところもあるので少し注意が必要かもしれません。
そろそろ休憩したいな…と思っていたら、前方にコンビニが見えてきた!嬉しい~!
サイクルラックを完備した『セブンイレブン稲敷古渡店』です。
この先、湖畔には食料や食べ物を購入できるコンビニはありませんので、最後の補給スポットといっても過言ではない。必要なものがあれば面倒くさがらず買っておきましょう!
時刻は8時。出発してから約1時間半が経ち、走行距離は約20kmです。
うーん、向かい風のせいで少しペースが遅いかな?焦らずにサイクリングを楽しむのも大切なのですが、時間がかかりすぎるとそれはそれで疲れるので適度に急ごう。
霞ケ浦を走っていると、釣り人の多さにびっくりします。
じーっと釣り人を見ていたら、目が合いました。そのとき、「こんな朝っぱらからよくやるなぁ」という気持ちを、お互いに抱いたのは間違いないでしょう。
閑話休題。スピードアップしていきますよ~!
ここからは、ひたすらに湖沿いを走ります。たまに、思い出したように記念撮影。
霞ケ浦とひと目でわかる看板を発見。うん、カスイチに挑戦していることが伝わってくるいい写真が撮れました。
最初から思っていたけど、こう見ると、もはや湖じゃなくて海だよね。
走っていると、前方になにやら黒いモヤのようなものが見えるぞ?そして、その数秒後に新たな宿敵と遭遇しました。
その名は”小さな虫”です!
1匹や2匹なんていうレベルではなく、数百匹単位で飛び回っています。暖かくなってきたし、水辺だから仕方ないとはいえ、その大量発生ぶりに驚きを隠せません。
大量に飛び回る虫の群れに突っ込むのは非常に不快ですが、避けようもないので下を向いて走り抜けます。幸い、虫発生ゾーンは限られた場所だけだったので一安心。
ふう…2~3匹、口の中に入っちまったぜ。
カスイチ中盤戦、霞ケ浦大橋の誘惑
セブンイレブンから約35km走ったところで、ついに『霞ケ浦大橋』に到着しました。
出発してから走った距離はトータルで約70kmですが、正直言って結構疲れました。そんな僕に霞ケ浦大橋が、「こっちの水は甘いぞ~」と誘惑してきます。
地図で見るとこんな感じです。
現在地と書かれている地点から霞ケ浦大橋を渡ると、約20kmで土浦駅まで到着。
橋を渡らず、霞ケ浦の上の方まですべて走るとプラス30kmになり、土浦駅までは約50kmといったところです。
確かに、霞ケ浦大橋の誘惑は魅力的だ。しかし、めざしているのは霞ケ浦一周の完全走破!ここは歯を食いしばって、プラス30kmを甘んじて受け入れましょう!
その前に『道の駅 たまつくり』で本日2回目の休憩タイム。こんなの食べちゃいました。
行方市のご当地グルメ『行方バーガー こいパックン』です。その名の通り、霞ケ浦産の鯉を使用したバーガーです。
お茶付きでお値段400円なり!うまし、うまし。
行方バーガーは鯉の他にも『なめパックン』『ぶたパックン』『かもパックン』の計4種類があります…が、なめパックンの”なめ”ってなんだかわかりますか?
正解は霞ケ浦で養殖された”鯰(なまず)”だそうです。これは難しい。
お腹いっぱいエネルギーを補給できたところで、ラスト50km!走っていきますか!
振り返れば、遠ざかる霞ケ浦大橋が映ります。湖を渡る橋。いずれ、走ってみたいものですね。
気合いを入れてペダルを回しはじめた直後、まさかの砂利道が出現。
霞ケ浦を走る上で、避けては通れない砂利道が数か所あります。
距離は100mくらいですが、砂利にタイヤをとられて転倒したら目も当てられないので、気をつけて進みましょう。場合によっては自転車から降りて、押して歩くのも正解です。
出発から約100km地点に到達。一心不乱にペダルを漕いでいましたが、かなり疲れた!
体力の消耗も心配ですが、深刻なのは少し前から痛みはじめてきた左ひざです。ペダルを回すのがしんどく、どうしても左ひざを庇うような不自然なペダリングになってしまいます。
お尻にも鈍い痛みが蓄積されてきたぞ。キツい…けど、あと一息がんばろう。
砂利道があったりして気の抜けない30kmでしたが、なんとか霞ケ浦大橋まで戻ってきた!
ちなみに、霞ケ浦大橋の長さは約1kmです。橋を渡らないことで30倍の距離を走ることになるとは、文明の力はおそるべしだ。
霞ケ浦大橋ショートカットの誘惑に打ち勝った記念撮影。
ここまで来れば、霞ケ浦一周まで残り約20kmだー!ラストスパートかけるぞ!
左ひざを庇いながらペダルを回していたら、今度は右ひざが痛くなってきた。お尻の痛みも耐えられないほどではないですが地味にツラい。
気がつけば満身創痍になりつつあります。あと少しのゴールまで、痛みをごまかしながら進んでいくしかありませんね。
そうこうしている内に、遠方に土浦市の街が見えてきました!
疲れ果てた体に鞭を打ち、必死になりながら前に前に進みます。
そして、出発から7時間後の13時30分。無事に霞ケ浦一周を走り切ることができました!
霞ケ浦一周を完全走破した感想
お疲れさまでした!なんとか、走り切ることができました。
サイコンによると、走行距離は126.34km、走行時間は5時間58分でした。さすがに距離あったなぁ。そして、約1時間くらいしか休憩してなかったんだ。
霞ケ浦を走ってみた感想です。
サイクリングロードは整備されてて、とても走りやすかった!景色もきれいなので、癒されながら走ることができました。
後半はその景色にもちょっと飽きたけどね。
ずっと湖沿いを走れるわけではなく、建物や施設を避けるために一般道路を走らなければいけない場面もあり、そのたびに迷いそうになって不安でした。
湖沿いを外れるときは、もう少しわかりやすい標識などで案内してほしい!
まぁ、なんとなくの方向感覚で走れるレベルなので、そんなに心配しなくても大丈夫です。
日によると思いますが、僕が走ったときはとにかく風が強かった!向かい風は本当に体力を持っていかれます。気持ちを強く持つのが対策です。
あとは、湖沿いはコンビニや飲食店、自動販売機がほとんどないので、補給食やドリンクは事前に買っておくことをオススメします。
湖を少し離れるといろいろお店もあるようなのですが、僕は一周ライドをしているときはなるべく寄り道をしたくないので、ちょっと多めに持っていきました。
ひたすら平坦道が続くので、ガンガン走りたいという人にはうってつけのサイクリングコースだと感じました。
霞ケ浦大橋を渡れば約90kmで一周できる手ごろな距離感も魅力のひとつ。
そして、信号機のないフラットな道を約126km走り、現在の自分の体力やウィークポイントを把握することができたのは収穫です。
体力的にはもう少し走れそうですが、100km手前くらいで左ひざとお尻が痛くなりはじめました。最終的には両ひざ共に痛くなっていたので、改善の余地がありますね。
今回のように1日だけのライドならまだしも、数日間走り続ける『日本横断ライド』にチャレンジするときには、この痛みは無視できません。
休憩が少なかったという反省もあるので、次に活かしていこうと思います。
なんにせよ、いい経験になった!楽しかった!またひとつ、サイクリストとして成長できたかな?
次の大きな目標である日本横断に向けて、がんばっていきます~!
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