佐渡島サイクリング後編スタート!
のんびりと佐渡島でのサイクリングを堪能していましたが、ここから状況は一変します。
立ちはだかるのは『大佐渡スカイライン』という急こう配のヒルクライム。地図で調べ、「なんとなくいけるだろう!」くらいの感覚で走りはじめましたが、絶望することになりました。
日本横断からはじまり、海を渡って佐渡島を走った2018年のゴールデンウィーク。
総走行距離489km!人生で1番長かった4泊5日の自転車旅、堂々完結です!
~前回のライドはこちら~
ブログ記事をもとに、大幅な加筆修正を加えた電子書籍です。
興味のある方はご一読ください。
絶望の大佐渡スカイライン
金山茶屋から大佐渡スカイラインの最高点までは約14kmです。
地図の”グネグネ道”から見ても、厳しい道のりになると予想できましたが、決めてしまったからには後戻りはできません!
大丈夫。サイクリストとしてのレベルも上がっているはずだし、ヒルクライムで大切なのは折れない心。
うおー!佐渡島の絶景をこの目で拝んでやるぜ!
おいおい…!うそだろ?
なんじゃこりゃあ!!
今まで走ったヒルクライムの中で、断トツに…いや、別格にキツい!レベルが違いすぎる。正直甘くみていた。
「ヒルクライムでは足を着かないで上り切るのが信条だぜ」
なんて、言っている場合ではない。そんな余裕まったくなし!
勾配が何%かわかりませんが、場所によってはギアを1番軽くして立ち漕ぎしても前に進めないところがあります。
中途半端に進んでしまっていることもあり、今更引き返すわけにもいかないので、歯を食いしばって上るしかありません。
基本的にはクロスバイクを押して進みます。少し勾配が緩くなったところでは、たとえゆっくりでもペダルを回して走ります。
時速10kmにも満たないスピードで、「むしろ歩いた方が速いのでは?」なんて考えが頭をよぎりますが、そこはサイクリストとしての意地。
上っても、上っても、坂道は延々と続いています。
標高が高くなるにつれて気温は下がっていき、次第に木々は緑を落としはじめ、枯れ木が目立つようになってきました。
道端には溶けずに残った雪が積もり、もの悲しい景色が広がっています。
自転車はおろか、車すらほとんど走っていない大佐渡スカイライン。もの凄い孤独を感じ、軽く遭難したような気持ちになってきました。
たまにすれ違う車からは、「あの自転車は一体なにを?」という奇異な目で見られている気がしますが、今は”他人の存在”がありがたいぜ。
疲れると考えもネガティブになるのか、上り切れる?トキの森公園まで無事にたどり着けるの?そもそも、帰りのフェリーに間に合うか?…心配になってきました。
いや、今は余計なことを考えるまい。ただ一心に進むのみ。
金山茶屋から実に1時間45分もの戦いを繰り広げ、ようやくたどり着いたのは『大佐渡スカイライン展望台』という見晴らしのいい場所でした。
天気があまりよくないのは残念ですが、急勾配の坂道を越えて、ヘトヘトになりながら走ったきたので感動はひとしおです。
佐渡島の素晴らしい景色を、今、目の当たりにしている。この”一瞬”のために走ってきたといっても過言ではありません。
もの思いにふけっていると、駐車場に1台の車がやってきました。
車から降りてきた夫婦は、僕のとなりで10秒ほど景色を眺めると、「寒い!」と言いながら車に戻り、何事もなかったように去っていきました。
同じ景色を見ているはずなのに、そこに至るまでの過程で、心に受ける衝撃や感動に大きな差が出るんだな…と感じたエピソードです。
自分自身の目で、島の形を
そろそろライドを再開しよう。
ここまで来たら、あとは下るだけ!…と思っていたら、当たり前のように続いていく上り坂。まだ上るんかい!完全に気持ち切れてた。
そこから20分くらい走ると、ついに大佐渡スカイラインの最高点に到達しました!
標識ボロボロ!かろうじて、数字が見えるからよかった。
最高点は見晴らしがいいわけではないのですが、達成感があります。やり遂げた感がハンパありません。
「もう上らなくていいんだ…」
心の底から安堵しました。後半はリアルに泣きそうでしたからね。
それにしても、冷たい風がビュービュー吹いているのでたまったもんじゃない。レインウェアを着こんで、ダウンヒルに備えます。
しばらく走っていると、大佐渡スカイライン唯一の憩いの場『白雲台交流センター』を発見しました。
まさに、砂漠のオアシス!あったかい飲み物とお菓子を買って小休止。
孤独から解放された安堵感もあり、店員さんに用もないのに話しかけたり、トキの森公園への道のりを確認したりして、その場を後にしました。
白雲台からは佐渡島を一望することができました。右に広がる海が、午前中に走った『真野湾』ですね。
そして、左に見える海が『両津湾』です。佐渡汽船の両津港ターミナルがある場所で、本日の最終目的地ですね。
佐渡島の形を地図の上だけではなく、こうして自分の目ではっきりと見ることができた。めちゃくちゃ大変でしたが、上ってきて本当によかったです。
最高点に到達したので、ここから先はずっと下り坂。
白雲台の店員さんから、「金井までの下り坂はとても急だから気をつけてね」とアドバイスをいただきました。
話し通りの急な下り坂で、しばらくはスピードが出過ぎないようにするためにデコボコに舗装されている道路でした。
地面からの衝撃がクロスバイクを通じて体に伝わり、地味にツラい。しかし、そこさえ抜ければ、あとは快適なダウンヒルです。
12時30分に金山茶屋を出発し、約2時間かけて最高点まで走ってきた大佐渡スカイラインを、約40分で駆け下りました。ふーい、しんどかった。
時刻は15時40分。次の目的地である『トキの森公園』まで約6kmと微妙に距離がある上、入館締切の16時30分が刻々と迫っています。
疲労困憊なこのコンディションで間に合うか?どうしよう?
少しだけ考えましたが、「ここまで来たんだからいこう!」と決心。悩んでいる暇があったらペダルを回すことにしました。
トキに会いにいこう
少し道に迷いつつも、なんとか入館締切ギリギリでトキの森公園に滑り込みました。
まずは『トキ資料展示館』でトキについて学びます。名前は聞いたことありますが、どんな鳥なのかは全然知りませんからね。
そして、お次は『トキふれあいプラザ』に行きます。
ここには大きなゲージがあって、その中で自由に飛び回ったり、エサを食べているトキを観察することができます。
係員さんが親切に説明してくれたので、エサのドジョウを食べているトキを間近でみることができました!
この施設には『けものフレンズ』というアニメのキャラクターパネルが展示されていました。
係員さんの話によると、手前にある『クロトキ』は、トキの森公園でしか見られないレアキャラらしいです。そう言われると写真を撮りたくなりますよね。
トキの森公園を堪能したところで、そろそろ佐渡島の旅も終わりが近づいてきました。
もうすぐ17時になります。フェリーの出航は19時30分ですが、万が一にも乗り遅れてはいけないので、名残惜しさを感じつつ両津港に向かいましょう。
わずか8kmの道のりだし、18時には到着するかな?佐渡島の最後のライド、心から楽しんで走ります!
新潟県最大の湖である『加茂湖』にやってきました。
その周囲は約17kmです。
大佐渡スカイラインの白雲台から大きな”水たまり”が見えましたが、ここだったのか。眺めた景色の中を走っていると思うと、なんだか不思議な気持ちになりますね。
加茂湖沿いを走っていると、どこからともなくトランペットの音色が聞こえてきました。誰かが練習しているのかな?いい感じです。
さらば、日本で2番目に大きい島
無事に両津港に到着したところで、さっそくクロスバイクを輪行袋に入れましょう。
滞りなく作業をしていると、お爺さんに声をかけられました。
今までも、自転車のタイヤを外したり、袋に詰めたりしている様子に興味を持った人から話しかけられたことがあるので、今回もそうかな?と思い返事をします。
「スマートフォンの平仮名が出なくなっちまった。見てくれないか?」
まさかのお願いでしたが、設定し直してあげました。娘さんからお孫さんの写真が送られてきて、その返事を打ちたかったようです。
いいですね!こういうのも、旅ならではの一期一会です。
佐渡汽船両津港ターミナルは『シータウン佐渡』というショッピングセンターと隣接していたので、見て回ることにしました。
輪行袋を担いでいると邪魔になりそうだったため、両津港ターミナル受付窓口の近くに許可をとって置かせてもらうことにしました。
お土産を見たり、食事をしたりして、ひとしきり楽しんだところで、フェリーの出航時間がやってきました。クロスバイクを担いで乗り込みます。
係員の人にクロスバイクを固定してもらい、自分の席を確保してからデッキに出てみることにしました。
真っ暗な佐渡島が見えます。デッキで涼しい夜風にあたりながら、サイクリングの思い出を振り返ります。1泊2日の旅だったけど、いろいろなところを走れたし、素晴らしい景色を見れたな。
それにしても、島を走るのはいいですね!
言葉ではうまくいえないけど、なんというか”遠いところまできた”という特別感、非日常感がいっそう高まります。
島ライド未経験の人は、ぜひとも走ってほしい。輪行も、フェリーの方が電車や新幹線よりも気軽ですし、船によってはそのまま乗せてくれることもありますしね。
出航時間になり、少しずつ離れていく佐渡島。こんなにも大きい島だったんだなぁと改めて感じることができました。
楽しかったよ、佐渡島!ありがとう!
しばらくデッキで海を眺めていましたが、夜の海は暗くて怖かったので、早々に船内に引き上げ、席に座って爆睡です。
両津港を出航したフェリーは、約2時間30分かけて新潟港に入りました。
時刻は22時15分。適当なスペースを見つけ、疲労と眠気でくたびれた体にムチを打って、クロスバイクの輪行を解除。
輪行にもだいぶ慣れてきたな。所要時間は、輪行袋に入れるのに15分、解除に10分といったところでしょうか。
はじめて輪行の練習をしたときに、外した後輪を元に戻せなくなった思い出がよみがえってきます。我ながら成長したな!
輪行解除時の注意点のひとつは”忘れ物をしない”ということ。とくに夜だと暗いので、しっかりとライトで周囲を照らして確認します。
新潟駅近くのビジネスホテルを予約しているので、そこまで約3kmをまったり走っていきましょう。途中、雨がパラパラ降ってきて、着くころにはだいぶ濡れてしまいました。
愛車を一晩とはいえ、雨ざらしにするのは抵抗があるので、ホテル内に保管させてほしかったのですがNGとのこと。仕方ありません。外の駐輪場に止めておきましょう。
疲労もピークに達しているので、シャワーを浴びて本日はおやすみなさい。
明日はついに2018年ゴールデンウィーク自転車旅の最終日。そして、初の新幹線輪行です。緊張しますが、楽しんでいこう!
【佐渡島2日目のライドデータ】
所要時間 15時間10分
走行時間 5時間24分(-9時間46分)
走行距離 73.52km(トータル474.38km)
日本横断&佐渡島ライド、無事に完結!
翌日は8時に起床。
心配していた天気ですが、ありがたいことに雨は上がっていたので輪行の作業には支障なさそうです。
新潟駅を10時17分に発車する『上越新幹線Maxとき』に乗って大宮駅まで行き、そこから自宅まで約20kmを自走していきます。
昨日の雨は早い時間に止んだのか、クロスバイクは完全に乾いていました。
ビジネスホテルを出発し、近かったこともあり9時には新潟駅に到着したのですが、人の多さにびっくり!
考えてみたら、今日はド平日の月曜日。通勤や通学で駅を利用する人が多いわけだ。
邪魔にならない場所を探して、テキパキとクロスバイクを輪行袋に入れます。
あまり人に見られなくない反面、「ふふ、どうだいオレの輪行技術は?」というナルシズムが顔を出します。
自転車がきれいにおさまると、とても気持ちがいい。
輪行袋を担いで、新幹線のホームに向かっていると、40代くらいの男性がランドナーを輪行から解除していました。旅人感あって、ランドナーっていいですよね。
「どこまで走るんですか?」
そんな風に声をかけてみたくなりましたが、発車時刻も迫っているため諦めよう。
新幹線がホームに到着しました。今日はお世話になりますよ!
Maxときは2階建てだから輪行しにくいという話を耳にしましたが、「なるほど、こういうことか」と実際に見て理解。
通路は狭いし、1階でも2階でも階段の上り下りが必要になるので、確かに普通の新幹線より気を遣うことが多そう。
今回は最後尾の座席を確保できていたので、座席と壁の間に置くことができました。念のため、隣に座っていた人にひと声かけておきましょう。
こんな感じでピッタリ収まりました。
最悪の場合、通路の邪魔にならないところに置いて、自転車と一緒にずっと立っていようかと思っていましたが、これなら座って帰れますね。
新潟駅から大宮駅までは約2時間です。
自転車で何日もかけて走ってきた道のりを、たった2時間で行き来できてしまう新幹線は本当に速い。世界が小さくなるわけだ。
景色を眺めながら、今回の自転車旅を振り返ります。ツラいと感じるときもありましたが、とても楽しく素晴らしい経験をすることができました。
しんみりしながらも、「帰ったらゆっくり休もう」なんて考えながら、新幹線を楽しみます。そして、無事に大宮駅に到着。
この旅で最後となる輪行解除をおこない、安全運転で自宅まで走って帰りました。
これで、日本横断と佐渡島ライドを合わせた4泊5日の自転車旅は完結です。
今度はどこに行こうかな?まだ見ぬ場所をクロスバイクで走ることを想像すると、今からワクワクが止まりません!
【本日のライドデータ】
所要時間 1時間23分
走行時間 1時間23分(-0分)
走行距離 23.94km(トータル498.32km)
コメント