ロードバイクで走る本州最北端の自転車旅!岩手県から大間崎へ(3日目)

ロードバイクで本州最北端・大間崎まで走り切る 自転車ライド

3日目の朝が到来しました。

青森県上北郡東北町から下北半島を北上して、最終目的地である本州最北端・青森県大間崎まで走るという今回の自転車旅のクライマックスともいえる重要な日。

 

事前にGoogleマップで約130kmの道のりと調べはついているのですが、2日目も約145kmだ!なんて言っていて、終わってみれば20km近く多く走っていました。

この数字はまったく当てになりませんが、とにかく楽しんで走っていきましょう!

 

~前回のライドはこちら~

ロードバイクで走る本州最北端の自転車旅!岩手県から大間崎へ(2日目)
2日目は岩手県盛岡市から青森県東北町まで、今回の自転車旅で最長距離を走る日となります。そして、ついに人生初の青森県に突入。朝から大雨に見舞われたり、ラスト1kmでまさかのアクシデントが発生しましたが気合いで走ります。

 

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ライダーさんの立てた親指に助けられる

今回の自転車旅がはじまって、早くも3日目に突入です。

1日目は116km、2日目は164kmと結構な距離を走ってきましたが、今のところ体の痛みはまったくと言っていいほどありません。

前回の自転車旅では、初日からすでに両足のアキレス腱、左足の膝、お尻に激痛が走るほど負傷していましたが、それに比べたら間違いなく成長しているぞ!

本州最北端をめざして!超ロングライドの自転車旅に出かけよう(1日目)【千葉県⇒栃木県那須塩原市】
本州最北端・青森県の大間崎をめざす自転車旅。 10日以上前から天気を気にしていましたが、出発日は朝まで雨が降り続いているという予報でした。 まさかの雨ですが、昨年のゴールデンウィークでは暴風雨の中を旅立ったという経験もあるので、それに比べた...

 

朝6時に起床して、とりあえず温泉に足を運びます。朝風呂は温泉旅館の醍醐味ですよね。

この先に待ち受けているであろう過酷な旅路に思いをはせながら、至福のひと時を過ごします。

 

6時50分、お世話になった『温泉旅館 松園』を出発する時間です。

青森県上北郡東北町の温泉旅館松園

本当はもっと早い時間に旅立ちたかったのですが、野辺地町までチューブを買いに行くというミッションができてしまったので出発を遅らせたのです。

それなら、なおさら早く出た方がよかったんじゃないの?

 

そう思う人もいるかと思いますが、チューブが売っているであろう『SANDAY野辺地店』が朝7時に開店するので、電話で在庫の有無を確認してから向かおうという計画なのです。

大間崎までストレートに向かうよりも間違いなく遠回りになるので、寄り道した挙句にありませんでしたではシャレになりませんからね。

宿のすぐそばにも自転車屋はあるそうなのですが開店の9時を待つ余裕は到底ありませんし、取り扱ってなかったときのダメージは計り知れません。

 

そんなわけで、出発してえっちらおっちら走っていると開店の7時になったのでさっそく電話。問い合わせの結果やいかに?

店頭で取り扱いしていないので、お取り寄せになります

ショック!非常に残念ですが、行く前にないとわかったことは不幸中の幸い。このまま自転車屋を探して時間をロスするのも避けたいので、とりあえず恐山をめざそう。

道中に自転車屋のひとつやふたつあるだろう!

 

県道219号を北上して、下北半島に突入します。ずいぶん遠くまで来たものだと改めて感じるぜ。

青森県道219号を走る

天気は曇りですが、昨日の豪雨に比べれば天国のようなコンディション。

遠方に見える山の頭にも雲がかかっていて雨が降りそうな気配もありますが、「来るなら来い!」という強い気持ちを持ってペダルを回します。

 

霊場・恐山までは約85kmあり、さらにそこから大間崎まで約45kmあるので、途中で力尽きないように省エネで走ります。

青森県道219号を走る

雄大な自然の中を気持ちよく走ります。交通量は多くないのでのんびり走ることができます。

 

基本的には地図アプリで検索した道を走っているので、こんな道を案内されることもあります。

青森県道25号の砂利道

ロードバイクでここを走れというのか!と叫びたいところですが、地図アプリも機械的に最短ルートをはじき出しているだけなので文句を言ったらかわいそうだな。

試しに少しだけ進んでみましたが、結構長く砂利道が続いているようなので諦めよう。滑って転んだら大変ですし、予備チューブが1本しかない状況でこんなリスキーな道は走れません。

引き返して周囲を見回すと、迂廻路・・・というか、舗装された明らかに正解の道が普通にあったので一安心。むやみに突き進まなくてよかった。

 

出発して2時間10分が経過した約35km地点で、陸奥湾に面する国道279号に入りました。

青森県野辺地町の国道279号を走る

お馴染みの案内看板にはむつ市、そして恐山の文字が現れます。

恐山まで残り59km・・・もう少しだな

いや、普通に考えたら結構な距離ですよね。おかしくなっている距離感角に対して体力が追いついていないので始末が悪い。いつもの修行のようなライドになっている気がする。

 

国道279号は路面状態もいいですし、交通量もそこまで多くないので走りやすい。加えて、完全な平坦ではなく微妙にアップダウンしているのもいい刺激になります。

最高の道なのですが、唯一にして最大の難点が景色が変わらないので飽きる!ということ。

下北半島を走っているはずなのに、道路の両側に木々が生い茂っていてまったく海が見えません。同じような景色の連続はサイクリストにとっては天敵。

 

朝から休憩なく走っていて、ボトルのドリンクも底を突いた。そんな状況でこの単調な道を走り続けるのはかなりしんどい。

『長い旅行に必要なのは大きなカバンじゃなく、口ずさめる一つの歌さ』

ムーミンに出てくる旅人・スナフキンの名言を思い出します。本来の意味とは違うのでしょうが、自転車に乗っていると歌うことくらいしか他にできない!とりあえず、大声で歌おう!

 

熱唱しながら走っていると、ひさしぶりに自動販売機を発見!

はまなすドライブインの自動販売機

はまなすドライブインというお店に立ち並ぶ自動販売機は、まさに砂漠で出会うオアシス。ドリンクをがぶ飲みすると、「生き返る」という言葉がピッタリ当てはまるくらいにおいしい!

それにしても油断していた。ここからはドリンク切れを起こさないように、しっかり水分の管理をおこなっていくぞ。

さて、元気も充填されたのでサドルにまたがりライド再開!

 

気合いを入れて走りはじめたものの、元気はそんなに長くも持たず気持ちがしぼみます。

体力や体の痛みなどフィジカル面ではまだまだ余裕いっぱいなのですが、自転車旅3日目にしてどうやらメンタルをやられちまったみたいだぜ。

 

下を向きがちになる中、歯を食いしばって頭を上げると、今しがた僕を追い抜いたオートバイのライダーさんが親指を立てて檄を飛ばしてくれる姿が目に映りました。

その瞬間、全身に鳥肌が立ち、涙腺が緩みます。

ライダーさんは親指を立てる。僕はそれを見る。もちろん言葉はありません。ただそれだけなのに、なんだろう?なにかが確かに伝わってきた!

熱い気持ちが沸き上がってくる!心の中に火が入った!

 

雰囲気からしてオートバイで旅をされている人でしょう。旅先での一期一会ともいえないようなすれ違いの出会い。これがあるから自転車旅はやめられない。

とにかく!メンタル完全復活!いくらでも走れそうだ!

 

雨の中の死闘!恐山ヒルクライム

劇的な復活を遂げて、出発から3時間が経った10時ごろに横浜町に到着。菜の花が有名な町で、見ごろである5月中旬には『菜の花フェスティバル』なる催し事も開催されるそうです。

休憩しようかなと思っていた矢先に『道の駅よこはま 菜の花プラザ』を発見したので、立ち寄ることにしました。

道の駅よこはま 菜の花プラザ

オシャレな形の建物ですね。お昼には少し早いですが、エネルギー補給をしておこう。

横浜町はホタテも有名らしいので、ホタテのおこわおにぎりを購入。ベンチに座りながら優雅にパクつきます。

 

続いてはサイクリスト御用達のご当地ソフトクリーム。ここで食べれるのは当然ですが菜の花ソフトクリームでございます。

爽やかでさっぱりとした甘みがあって、とても美味しかった!

 

まったりと流れる時間を堪能していたら、思いのほか長く滞在してしまった。まだまだ先は長いので出発することにしよう。

青森県の国道279号を走る

国道279号をひたすら走る。青森県内では別名『むつはまなすライン』と呼ばれているこの道は、旅の最終目的地である大間崎まで続いています。

 

ひさしぶりに海を見た気がする。

青森県横浜町から見る海

空は相変わらず曇っていて薄暗いですが、いい刺激がもらえました。海の先に見えるのは下北半島の頭の部分かな?

 

そこから20kmほど走ると、いよいよむつ市に入った!

街中で信号待ちをしていると、ホームセンター『SANDAY むつ苫生店』があったので急遽立ち寄ることにしました。

大間崎に向かうまでの道中で、おそらくむつ市が最後の大きな町。ここでロードバイクのチューブを買っておきたいところでしたが、残念ながら取り扱いがありません。

SANDAYむつ苫生店で買ったパンク修理キット

せめてもの対策として、タイヤ修理キットを購入。使用経験はないのだけれど、これさえあれば最悪の事態は回避できると信じたい。

 

再出発。県道4号・むつ恐山公園大畑線を進むと街中を抜けると、建物はなくなり、代わりに木々と上り坂があらわれます。

恐山までのヒルクライム情報はほとんど仕入れていないので行き当たりばったり。長さや勾配なんかは、「走ればわかる!」という原始的なスタイルです。

 

勾配が徐々に上がり7%くらいにまで達すると、雰囲気もヒルクライムのそれになってきます。

県道4号・むつ恐山公園大畑線

恐山まで13kmか。結構長いじゃないの!

県道4号・むつ恐山公園大畑線

木々、生い茂りすぎ!自然の中を走るのは気持ちがいいのですが、とにかく虫が多い!

視界に入らないように飛んでくれればいいものの、やたらと顔の回りをウロチョロしている。体当たり攻撃に耐えたり、手で払ったり、四苦八苦しながら坂を上ります。

 

ゼーゼーと息を切らしながら進んでいると、案内看板が見えてきました。

県道4号・むつ恐山公園大畑線

残り9kmか!前方の上り坂は、グワっと勾配が上がっているように見える。ここからが本番ということか?すでに満身創痍なんだが・・・!

 

恐山まで残り9kmを切るとこれまで以上に勾配がキツくなる。基本的には10%オーバーで、ところにより13とか14とか、結構な急斜面が行く手を阻む。

 

そんなとき、手の甲に冷たいものが落ちるのを感じる。汗か?いや・・・これは、雨か!

県道4号・むつ恐山公園大畑線

ここにきてまさかの雨!まったく予想していなかった!

リュックサックが濡れるのはマズいので、とりあえず止まって身支度を整えよう。

県道4号・むつ恐山公園大畑線の一本松

ちょうどいいところに、記念撮影スポット発見。大きな一本松です。

 

雨が強くなる前に恐山にたどり着きたい。そんな気持ちとは裏腹に雨は強さを増していき、ロードバイク共々すっかりずぶ濡れになります。

必要最低限に絞ったつもりですが、やはりそれでも6泊7日分の荷物は重い。平地ではあまり感じませんでしたが、ヒルクライムでは重量の暴力をより強く感じます。

 

息も絶え絶え走っていると、まさに恵みの水が湧き出ていました!これは嬉しい!

恐山冷水

立て看板を読んでみると、これは『恐山冷水』と呼ばれる湧き水で、別名『不老水』とも呼ばれる霊水だそうです。

ちょうど喉も乾いていたところだ。これは飲むしかないでしょう。

 

ご丁寧にも岩の上にコップが置かれていましたが、さすがにそれを使うのは抵抗があったので自前のボトルに冷水を注ぎます。

そして、おもむろに一気飲み。めちゃくちゃ冷たくておいしい!これは生き返る。

あまりお腹が強くないことを考慮して1杯にとどめましたが、喉の渇きは完全に消し飛んだ。これで恐山まで駆け上がれるぜ!

 

雨にも負けず進めー!

県道4号・むつ恐山公園大畑線の一本松

果敢に走っていると上り坂から一転、下り坂になります。

もう上らなくてもいいことに安堵しますが、雨天でのダウンヒルは注意が必要。しっかりとブレーキをかけてスピードを抑えないと、止まるに止まれなくなります。

 

慎重かつ大胆に坂道を駆け下りていると、ふとした疑問が頭に浮かびます。

恐山ってどこにあるんだろう?てっきり、坂を上り切った先にあるもんだと思っていましたが違うの?分かれ道とかなかったよね?

不安になったのでiPhoneを取り出しますが、圏外。とりあえず先に進んでみるか。

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日本三大霊山のひとつ『霊場・恐山』を訪れる

引き返すことになったら嫌だなぁ・・・なんて考えながら山を抜けると、木々はなくなり、強烈な硫黄のにおいが立ち込めます。なんだ!?

県道4号・むつ恐山公園大畑線、霊場・恐山の入り口

そこには幻想的な景色が広がっていました。ここが霊場・恐山なのか?異世界感がハンパない。

 

その空気感に圧倒されながらも進んでいくと、なにやら石像と橋がある。

霊場・恐山の奪衣婆と懸衣翁

これは『奪衣婆(だつえばあ)と懸衣翁(けんえおう)』の石像です。

死んであの世に行くとき、生前に着ていた衣服はこの奪衣婆によって脱がされます。そして、懸衣翁により衣領樹という木に掛けられ、その枝のしなり具合で罪の重さが決まるそうです。

 

こちらが、現世と死後の世界の境目にある『三途の川』です。

霊場・恐山の三途の川

三途の川を渡るには、渡し賃として六文銭をさきほどの奪衣婆と懸衣翁に渡さなければいけないそうです。死んだあともお金が必要になるのか!

朱色の欄干が美しい立派な橋が架かっていますが、今は通行止め。とにかく、この三途の川を越えた先は死後の世界。そう考えると、なんだか身が引き締まります。

 

出発から約7時間後の13時50分、霊場・恐山に到着です。

霊場・恐山

自転車をどこに止めようかウロウロしていると、ロードバイク専用駐輪場を発見。

霊場・恐山のロードバイク専用駐輪場

ロードバイクで訪れる人が結構いるってことなのかな?なんにせよ嬉しい配慮です。

ちなみに、写真のような鍵のかけ方だと前輪を外されたら簡単に持っていかれてしまうのでオススメしません。きちんとフレームを巻き込んでロックしなければいけませんね。

 

腹ごしらえにお食事処『蓮華庵』で山菜そばをいただいてから、いざ参拝。

霊場・恐山の総門

ヒルクライムの最中に苦しめられた雨はすっかり上がり、それどころか雲が晴れて太陽が見えてきました。これはありがたい!

総門をくぐると、正面にはさらに立派な山門が待ち構えていました。

霊場・恐山の山門

順路に沿って進んでいくと、そこにはどこか現実離れした不思議な景色に出会うことができました。

霊場・恐山

持参したマリンシューズに履き替えて参拝します。ゴツゴツした石が転がっているので、靴底の薄いマリンシューズで踏んでしまうと若干痛い。

びしょ濡れになったSPD-SLシューズはリュックサックに括りつけておき、太陽の力で乾かします。

 

階段を上っていくと恐山境内を一望することができました。

霊場・恐山

いい景色です。晴れてくれて本当によかった。

霊場・恐山

境内の案内看板には『無間地獄』『血の池地獄』『金堀地獄』『重罪地獄』など、地獄の名を冠した場所も多々あり、本当に浮世離れした世界を感じることができます。

 

歩いていると、小さな石がいくつも積み重なって山を形作っている。そんな山が不自然なほどあちこちに点在する場所に出ました。有名な『賽の河原』です。

そこを過ぎると、曽利湖の『極楽浜』と呼ばれる砂丘が見えてきます。

霊場・恐山の極楽浜

白い砂浜にエメラルドグリーンの湖面の美しい風景は、まさに極楽を連想させます。

霊場・恐山の極楽浜

しかし、お供え物である風車からはどこかもの悲しさが伝わってくるようです。

 

宇曽利湖畔をぐるりと歩き、霊場・恐山の独特な雰囲気と空気感を改めて感じながら元来た道を戻りました。参拝も済ませたので、社務所に立ち寄り御朱印をいただきます。

 

そして、楽しみにしていた温泉にゴー!

霊場・恐山の温泉『薬師の湯』

そうなんですよ。恐山の境内には4つの源泉かけ流しの温泉があるんです。知ってました?

全部を制覇する時間はないので、とりあえず目立つ場所にあった『薬師の湯』に入ります。さすがに中までは撮影できませんでしたが、木造の小屋の中は歴史を感じるレトロな温泉。

ガッツリ窓が開いているので、外から裸んぼ大将が丸見えにならないようにご注意ください。汗と雨で汚れた体に熱々の温泉は気持ちよすぎた!ここがまさに現世の極楽よ!

 

熊の恐怖に怯えながらロードバイクを駆る

霊場・恐山により心を、薬師の湯により身をそれぞれ清めることができました。

時刻は15時30分なので、実に1時間40分も滞在していたのか。地図アプリによると大間崎までは残り約43kmとのこと。日が暮れるまでには到着するでしょう!

 

事前に調べたルートを走っていると、早くもイレギュラーな事態が発生しました。

霊場・恐山付近の大間崎までの落書き案内

なんじゃこりゃ…?

壁面に赤文字で、左矢印の先は『大間』、右矢印の先はかすれていて見えにくいですが『悪路、砂利道、キケン』と書かれているようです。

地図アプリがはじき出したルートはここを右折。どっちに従うのが正しいんだろうか?

 

この落書き文字がウソ情報だったらとっくに消されている。これは地元の人が親切に書いてくれたものだろう!”間”のハネ具合がどうにも怪しいのですが、そう思うことにしました。

なにより、予備チューブが1本しかない状況で砂利道を走るリスクを取りたくない。多少遠回りになろうとも安全と思えるルートを走りましょう。

 

T字路を左折した先は7%くらいの上り坂が続きます。これはかなりキツい。

県道4号・むつ恐山公園大畑線を大間方面へ走る

木々がうっそうと生い茂る道を走ります。恐山を出発してからふたたび雲が広がってきて、その時間帯にしては薄暗くなります。

これ、熊とか出ないよな?

僕は自称・用意周到な性格なので、出発前に青森県庁のホームページから熊出没マップを確認したり、観光協会に電話で問い合わせをして、「大丈夫だろう!」という安心感を得ています。

しかし、実際にこういう道を走ると非常に怖い。

 

汗だくになりながら、約6kmのヒルクライムを上り切ります。

県道4号・むつ恐山公園大畑線を大間方面へ走る

スピードの出ない上り坂で熊に遭遇するのが一番怖かったので、とりあえず安心?地味に小雨がパラついてきましたが、もはやそんなもの気にならない。

安全運転しつつもなるべく急いで坂道を下る。そして、命からがら山を抜けることができました。

県道4号・むつ恐山公園大畑線を大間方面へ走る

来た道を振り返ると、熊出没注意の看板。目の赤い熊がこちらを睨んでいる。本当に恐ろしく、精神が一気に摩耗してしまいました。

 

県道4号をひたすら走ります。

県道4号・むつ恐山公園大畑線を大間方面へ走る

出発から10時間が経とうとしていた矢先、案内看板を出現。ついに!大間崎まで残り38km地点までやってきました!

走行距離は約115kmですが恐山を越えるヒルクライムが響いており、体力は相当消耗しています。

 

とりあえず、海岸線の道路をめざそう。

車の往来がほとんどないので、マシントラブルなど起きようものなら立往生してしまいます。

結局買い足しできなかった予備チューブは残り1本。前輪と後輪が同時にパンクした時点で終わります。使ったことのないパンク修理キットなど気休めにもならない。慎重に走ろう。

 

そして、ついに国道279号・むつはまなすラインに戻ってきました!

国道279号・むつはまなすラインを大間方面へ走る

車が走っている、それだけで安心感がハンパない。

あとは海を眺めながら海岸線を走っていけば大間崎にたどり着ける!…のですが、残り距離はちょうど30km。まだそんなにあるの?というのが正直な感想です。

 

心身ともに疲れ果てていますが、走らなければ終わらない。ペダルを回すしかありません。

小高い山を一つ越えたら、あとは基本的に平坦なはず。それだけが唯一の救いです。

 

国道279号は車の交通量が結構多いので、よろよろ走っていたら危険です。ここまで来て事故にあったりしたら目も当てられない。

あぁ、疲れた。もう走りたくない。自転車から降りたい。しんどい

ネガティブになりかけていたとき、ふと道路の反対方向を見ると、午前中に親指を立てて激励してくれたライダーさんが休憩しているではないか!

特徴的な風貌と装備品だったので一発でわかった。思わず、右手を大きく振り上げてあいさつをすると、むこうも気づいてくれたらしく手を振り返してくれました。

 

こんなことってあります?絶望の窮地から二度も救ってくれた、今回の旅の恩人です。気合いが入った!下を向かず、大間崎まで楽しんで走ろう!

 

もう少し、もう少し、ペースは遅いですが車輪は回っているので確実に歩みを進めています。

国道279号・むつはまなすラインを大間方面へ走る

たくさんのウミネコが飛び交っています。写真で見る3倍くらい飛んでいて、これはこれで絶景。

国道279号・むつはまなすラインを大間方面へ走る

すてきな景色を激写できました。しかし、夕暮れ時が迫っています。なんとか日が暮れるまでには大間崎にたどり着きたい。

 

最後の試練といわんばかりに上り坂が出現。勾配自体は大したことないのですが、おびただしい数のトンボが我が物顔で飛び回っている。

虫が苦手な僕からしたら、これは地味にエグい。なんで寄ってくる!なんで顔の回りを飛ぶ!体当たり攻撃をやめなさい!

 

トンボ軍団の猛攻に耐えながら走っていると、ついにやってきました。

国道279号・むつはまなすライン、本州最北端・大間崎への案内看板

本州最北端の地はもう目と鼻の先!

 

本州の最果てにたどり着いた日

国道279号を外れ、大間崎への道を行きます。

本州最北端・青森県大間崎までの海岸線

右手には夕日で色づく空と海が見えます。

本州最北端・青森県大間崎までの海岸線

ものすごく穏やかな気分です。速く走ればいいものの、なぜかペダルを回すスピードがゆっくりになってしまう。

ずっと目標のひとつとして掲げていた『本州最北端・青森県大間崎への自転車旅』を達成したいような、達成するのが惜しいような、寂しいような、そんな不思議な気持ちです。

 

とはいえ、ゆっくりでもなんでもペダルを回す限り先に進むのが自転車というもの。干渉に浸りながらも、ついに本州最北端・大間崎に到着しました!

ロードバイクで本州最北端・大間崎まで走り切る

この感動をどう言葉にしたらいいんだろう?

 

すごいと褒めてほしいわけではないし、無意味だと嘲笑されてもかまわないのだけど、自分で考えて、自分で計画して、ロードバイクと自分の体ひとつで本州最北端の地まで走ってきた。

この経験は僕の人生の中でとても大きな価値があり、たとえ100億円積まれたって代えられない、かけがえのない唯一無二。そんな経験をできて、本当に幸せだと思った。

 

旅の終わりは詩的な気持ちになるものである。

ロードバイクで本州最北端・大間崎まで走り切る

大間といえばマグロですよね。石像からすらもおいしそうな雰囲気が伝わってくるぜ。

ロードバイクで本州最北端・大間崎まで走り切る

逆光で見えにくいですが『こゝ本州最北端の地』と書いてある石碑です。石碑の上に鎮座するウミネコも、「お疲れさま」と声をかけてくれているに違いない。

 

朝7時に出発して、到着したのが18時40分。ほとんど丸一日、ロードバイクで走っていました。我ながらよくぞここまで来たものだと、本州最北端の海を眺めながら物思いにふけります。

極上の達成感を味わいながら考えるのは明日以降のこと。さて、どうすっかなー。

 

【本日のライドデータ】
走行距離 149.90km(トータル430.91km)
所要時間 11時間44分

走行時間 9時間52分(-1時間52分)

 

本日は大間崎で有名な『海峡荘』という宿に泊まります。

夕食付で1泊7,700円!まずはお風呂に入って体をきれいにしてから夕ご飯をいただきます。大間の名物をふんだんに使った料理はとてもおいしく、疲れた体に染みわたります。

思い返せば、今回の旅ではじめて食べるまともな食事かもしれん。

 

夜風に当たりに大間の町に繰り出しますが、ちらほらある飲食店やお土産屋さんは軒並み閉店しており、個人経営のこじんまりした居酒屋の灯りだけが灯っています。

観光しに来たわけではないのですが、本当に訪れるだけになってしまった。

 

海峡荘の裏手には本州最北端のキャンプ場『大間崎テントサイト』があり、夜の広場にたくさんのテントが張られています。

おお、ここがうわさの!主にオートバイで旅をしている人が集まっているのかな?すごくいい雰囲気なので、遠目から観察させていただきました。

いずれば自転車にキャリアとパニアバックを取り付けて、テントに宿泊しながらの自転車旅もしてみたいなぁ。キャンプ場にひとりテントで寝る…怖そうだけど慣れるかな?

 

ひとしきり散歩したところで、海峡荘に戻り就寝とします。

明日は朝イチで津軽海峡フェリーに乗り、北海道へと渡ります。そこからは3日間かけて苫小牧市まで走る予定ですが、正直迷っていました。

体の痛みはほとんどないのですが、大雨の中を走ったり、熊の恐怖に怯えながら走ったり、これまでの過酷な旅で若干メンタルをやられていたのです。

 

そして、最大の目的地である大間崎に着いたことで気持ちが一区切りついてしまい、エネルギー切れといいますか、気が抜けてしまったというのも事実です。

北海道に台風も接近しているみたいでコンディションもよくありません。今回の旅はつくづく雨雲と共にあるなぁ…なんて、考えていました。

 

疲れた体で考えてもネガティブになるだけだ。とりあえず今日は寝よう。

明日は明日の風が吹くというし、明日以降どうするかは起きてから決めることにしましょう!

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