ついに、7日間にわたる北海道自転車旅の”最終日”がやってきました。
今日は本当に帰るだけ。寂しい気持ちはありますが、もの思いにふけるのは家にたどり着いてからにしよう!
人生初の”飛行機輪行”もありますし、無事に帰宅するまでが遠足……ではなく、自転車旅。
そんなわけで、北海道を最後の最後まで楽しんでいきますよ~!
~前回のライドはこちら~

7日目の朝は北の果てで
旅人の朝は早い……といいたいところですが、今日はそんなにでもありません。
6時30分ごろに起床。身支度を整えたら、階段を下りて共有スペースまで移動します。
とくに予定をしていなかったのですが、昨日ゲストハウスのスタッフさんに名物の『蝦夷鹿朝カレー』をおすすめされ、せっかくなのでいただくことにしたのです。
まったりとした朝の雰囲気が流れるフロア。なんだか癒されますね。
コーヒーを飲みながら、待ち時間を利用して今回の旅で得たものをチェックしてみよう。
ででん!
増毛町でいただいた『とほ本』をはじめ、道中で手に入れた冊子や観光パンフレット、マンホールカード、買ったりもらったりしたステッカー、そして、宗谷岬の到達証明書。
これらすべて大切な思い出の品です。
ちなみに、僕は自転車旅をするときには必ず”トラベルノート”を持参しています。
旅先での出来事を備忘録として書き記したり、道の駅にあるスタンプを押したり、施設や乗り物のチケット、ステッカーなんかを貼るのに使っています。
こういうのをマメに残しておくと、振り返ったときに思い出&感動が鮮明によみがえるので、荷物にはなりますが1冊あると楽しい。おすすめですよ。

昨日のことをさっそくノートに書きこんでいると、やってきましたカレー!
稚内市に来てからちょくちょくシカを見かけるので複雑な心境もありますが、味は抜群!鹿肉はあっさりしていて、とてもおいしい。
900円というリーズナブルな値段もあいまって、大満足の一品です。
朝からいい思いをさせていただきました!
腹ごしらえも済んだので、旅立ちの準備をして8時前に外へ出ます。
アイヌ文様のようなデザインで描かれたフクロウが、モシリパのロゴ。オシャレですよね。
ちなみに外観はこんな感じです。
広くて清潔感があり、スタッフさんも親切でとてもいいゲストハウスでした。
とくに共有スペースにあるフリードリンクの充実は、目を見張るものがあります。なかなかないですよ?コーヒー豆とミルが置いてあるところ。思わずガリガリ挽いてしまいましたもん。
ふと道路脇を見ると、またしてもシカを発見。
若干の”見慣れた感”はありますが、目と鼻の先にいるのでさすがに少しビビる。
人生で体験した”野生動物との遭遇”で、過去イチ大きな生き物ですからね。無理もない。
さて、名残惜しいですが、最果ての宿を出発しましょう!
めざすは『稚内空港』です。
飛行機は13時15分に飛び立ち、15時15分には羽田空港に到着予定。所要時間、わずか2時間!まさに、あっという間です。
新幹線やフェリーでの輪行経験はあるのですが、飛行機でははじめて。乗り遅れるなどのトラブルがないよう、念には念を入れて早めにむかうことにします。
ハクチョウの飛来地・大沼
雲は多めですが、風は落ち着いています。なかなかのサイクリング日和。
楽しんでいきましょう。
気持ちよく走っていると、小高い丘の上にそびえる塔が目に入りました。
『開基百年記念塔』
稚内市の誕生100年を記念して、1978年(昭和53年)に建設された建物。
1階と2階には『北方記念館』があり、稚内市や樺太の歴史がわかる資料などが展示されているそうです。そして、360度を見渡せる展望台からは利尻島・礼文島などを望むことができるとのこと。
夜間、暗闇の中にライトアップされている姿を見て、立ち寄ってみたい!と思っていたのですが、今の今まで完全に忘れていました。
昨日訪れた稚内公園からすぐ近くのところにあるようで、なおさらショック。
「今から行こうか?」
そんな葛藤もありましたが、ここは泣く泣くスルー。
飛行機に関してかなりナーバスになっているため、突発的な寄り道は精神衛生上よろしくない。塔を目に焼きつけ、改めて訪れることを誓い、先に進むことにしました。
案内標識には稚内空港の文字。わずか12kmなので、本当に”すぐそこ”という感覚です。
じっくり見てみると、日本語、英語の次に”ロシア語”で文字が書かれています。
稚内市がロシアに近いから?交流が深いのでしょうか。こういうさり気ないところでも、北海道に来た気分を盛り上げてくれます。
宗谷岬に行くまでの道中と同じなので、迷う心配は皆無です。
左折して国道238号に入ります。残り8km!
走っていると『大沼』と書かれた案内看板。
矢印にしたがい、颯爽と進路を変更します。
昨日、宗谷岬への行き帰りで目にしたときから気になっており、立ち寄ることを予定に組み込んでいました。そのため宿を出発する時間を早めにしたというわけです。
わずか1.4kmの道のり。
途中、声問川(こえといがわ)に架かる橋を渡り、サクっと到着。
うおー!沼だー!
ちなみに似たような水たまりである”湖”との違いは、厳密な定義はないものの、一般的には水深5m以下が沼、5m以上が湖とされているそうです。
ここ大沼は、渡り鳥である白鳥が飛来することで有名です。
ロシアのシベリアで繁殖する白鳥は、冬は厳しい寒さをやりすごす越冬地への、2月ごろになると涼しい夏を求めてシベリアに帰るための、それぞれ”中継地点”として休憩に利用されるのです。
寒さに弱い僕が、冬は沖縄県の島々を巡るのと同じ理由ですね。いや、違うか。
エリアマップがありました。
いろいろな種類のカモ、その他にも四季折々の野鳥を観察できる大沼。
この地図でも存在を確認できるくらい、すぐ近くに稚内空港があるようです。自然を堪能したところで、先に進むとしましょう。
歩道には、白鳥が飛び立つさまを描いたタイル……ではなく、丸石を敷いたアート。
年季が入っているようですが、躍動感が見事に表現されています。すばらしい。
おお!ここにも白鳥!
声問川に架かるこの橋の名前は、見てのとおりの『白鳥橋』でした。
大沼が日本有数の白鳥飛来地であることを、こういうところからも感じることができます。
空旅の入口!稚内空港に到着
橋を渡り、突きあたったT字路を右折。北海道道121号・稚内幌延線を一瞬だけ走ります。
すぐに『稚内空港』と書かれた青い案内標識があらわれたので、左折して道道1059号。
北海道特有の4桁台道路もこれで見納めかな。
それにしても、道民の方は何て読んでいるんだろう?普通に、「せんごじゅうきゅう号」なのか、地元で通じる略称があるのか?気になるところです。
このオブジェを見た瞬間、急速に”旅のおわり”を実感しはじめました。
『またどうぞ わっかない』
心底、「帰りたくないなぁ……」という想いが高まります。
このまま利尻島・礼文島にわたり旅を続けたいですが、そうもいかない。こういうのは無理せず”日常の合間”に挟み込むからこそ楽しめる部分もありますよね。
時刻は9時ちょうど、稚内空港に到着!
あたり前のようにロシア語表記があるのがいいですね。
入口付近にあったオブジェの前でも記念撮影。
それにしても、これはなにあらわしているんだろう?イルカやクジラの尾ひれのようにも見えますが、ゴツゴツと角ばった形から”飛行機の尾翼”を連想しました。
調べてもわからず、答えは不明。気になる。
サイクルラックがあったので、とりあえず自転車をかけておきます。
寄り道をしたのにもかかわらず、1時間で着いてしまった。
さすがに待ち時間がありすぎるぞ。とりあえず、輪行作業をする場所はここでいいとして、飛行機に乗り込む動線を確認しておこう。
空港内をうろうろしていると、稚内の観光イメージキャラクターを発見。
『出汁之介(だしのすけ)』
ほほう、かわいらしい見た目の割に尖った名前。そして、紹介文もなかなか楽しい。
正体は稚内の冬の名物観光地「抜海(ばっかい)港」に現れる野生のゴマフアザラシであるが、名産の利尻昆布を興味本位で食べてみたら、あまりのおいしさに食べすぎてしまい、下半身が昆布になってしまったらしい。
引用元:宗谷総合振興局HP
抜海って……たしか、5日目に訪れたところだ。港には立ち寄りませんでしたが、走ってきたところが話題に出るとなんだかうれしい。
下半身が昆布になるくらい美味な利尻昆布、ぜひ食べてみたいものです。
こじんまりした空港なので、容易にひと回りできました。
これで飛行機輪行もバッチリ!
それでもまだまだ時間があるので、再びロードバイクにまたがり、空港の周辺を走り回ってみることにしました。
【ここまでのライドデータ】
走行距離 14.98km(トータル712.90km)
所要時間 1時間02分
走行時間 0時間57分(-0時間05分)
映画のロケ地を訪れる
あてもなくペダルを回します。
自然豊かな草原が広がっていますね。
道中に『メグマ沼自然公園 散策路入口』があったので、とりあえず立ち寄ってみました。
見渡すかぎりの湿原に木製の遊歩道が1本、遠くまで続いています。
なんだか幻想的な風景。
んなるほど。木道を進んだ先に『メグマ沼』があるんですね。
約800m……行くか、行くまいか。
この目で見たい気持ちもありますが、ロードバイクに乗っていくわけにも置いていくわけにもいかないので、とりあえずいいかな。
沼は先ほどの『大沼』を見て堪能したし、またの機会にしときましょう。
さらに進んでみると、なにかの施設を発見しました。
なんだろう?おもしろそうなので、入ってみることにします。
サイクルラックがあったのでロードバイクをひっかけ、施設内を散策すると、空のように青い屋根が目を引く建物がありました。
正面に回ってみます。
置いてある看板には『北の桜守パーク』と書かれていました。
自分は知らなかったのですが、女優・吉永小百合さんの120作目の出演映画らしい。
太平洋戦争末期の1945年5月、樺太で家族と暮らしていた日本人女性がソ連軍の侵攻によって土地を追われ、移り住んだ北海道で賢明に生き抜く……というヒューマンドラマ。
ここは、そのロケ地のようですね。
稚内公園の慰霊碑で学んだことが、ここにきて映画と結びつくとは思いませんでした。
せっかく訪れたので見学させていただき、北海道の歴史についてさらに理解を深めよう。
パーク内には係員の方も駐在しており、親切に招き入れていただきます。
建物自体はそこまで大きなものではありませんが、実際の撮影に使われていた和室のセットや小道具、吉永小百合さんが着ていたであろう衣装、パネルなどがたくさん展示されています。
もちろん映画を観ていた方がいいのでしょうが、自転車で旅をした”北海道”のことなので、興味津々に楽しむことができました。
ここで、気になるポスターが貼られているのを見つけました。
『サイクリスト応援カーはじめます!』
おお、なんだこれは!?
どうやら”稚内市・豊富町・猿払村・幌延町内の国道”で、サイクリング中にパンクなどの機材トラブルがあった場合、応援カーが駆けつけて工具などを貸してくれるサービスみたいです。
修理自体はあくまで自身でおこなうようですが、それでも広大な北海道で万が一のときに頼れる存在がいるというのは、精神的にも安心感がありますよね。
今は限定されたエリアでのみの利用となっていますが、サイクリストにはとてもありがたい取り組みなので、ぜひとも広がりをみせてほしい!応援カーを応援したくなりました。
時刻は10時15分をすぎたところ。
なにも考えずノープランで走り出しましたが、2か所も観光スポットをまわることができてとても満足です。
さて、ぼちぼち稚内空港まで戻るとしよう。
【ここまでのライドデータ】
走行距離 3.19km(トータル716.09km)
所要時間 0時間54分
走行時間 0時間16分(-0時間38分)
初・飛行機輪行!空の旅へ
時刻は11時になるところ。
ふたたび稚内空港に戻ってきたので、帰り支度をはじめるとします。
無事に輪行準備完了!
航空会社によってはペダルを取り外す必要があるようですが、今回は大丈夫みたい。
タイヤの空気はセオリーどおり少し抜いておきましょう。
機内に持ち込んだお菓子の袋やペットボトルが膨らむのと同じように、気圧の影響でタイヤチューブ内の空気も膨張し、最悪パンクにつながる可能性があるためです。
到着先で空気を入れなおす必要はありますが、ルールはルール。そのための携帯ポンプです。
時間があったので、北海道での最後の食事をいただくことにしましょう。
やはり、ここまで来たら『宗谷の塩ラーメン』一択でしょう。
ベタ?いや、王道です。
普段は醤油味を好んで食べますが、たまには塩も悪くない。とてもおいしくて、一気に完食してしまいました。ごちそうさまです。
食後の運動もかねて、展望デッキを訪れてみました。
お、プロペラ機だ!
ああいうタイプの飛行機には今まで乗ったことがないはず。どこまで行くんだろう?
豆粒のように小さいですが、ここからでも『ユーラス宗谷岬ウインドファーム』の風車群を見ることができますね。
それだけ巨大であるということ。すばらしい。
北海道の景色もこれで見納めか。
最後に、利尻富士を見ることができてよかったです。利尻島・礼文島を巡る。あえて”いつ”とは名言しませんが、自分の中で絶対の目標になりました。
最後に『ANA FESTA』と呼ばれるショップで、北海道名物を購入。
ようかんパンと、肝心な名前が親指で隠れていますが北海道とうきび茶。小腹がすいたので、ベンチに座ってまったり食していきます。
北海道名物と書いてありますが、ようかんパン、はじめてその存在を知りました。右下の図解どおり、表面にコーティングされたようかん、金時豆、白あんがコラボレーションした奇妙なパン。
もともとは静岡県富士市で誕生。大手メーカーによる全国展開も空しく、根強い人気とともに定着したのが北海道だけだったとかなんとか。
そして、とうきび……つまり”とうもろこし”ですが、沖縄県で栽培がさかんな”サトウキビ”と語感がとてもよく似ています。
日本の北と南、真逆のところでなんだかシンパシーを感じてしまいました。
どちらもおいしかったです!
さて、そろそろ出発時間が迫ってきたので移動することにします。
保安検査場を問題なく通過。
輪行袋に入れたロードバイクは当然ですが機内には持ち込めないので、空港内を散策する前に手荷物として預けています。
そのときに、万が一の破損時は保証できかねる旨の誓約、横に置いたときの上下などの確認がありました。輪行袋は天地無用。リスクを避けるために、きちんと伝える必要があります。
しばらくの待機後、搭乗時間となりました。
おお、あの飛行機が羽田空港まで連れていってくれるのか!フライトは約2時間。しばし空の旅を楽しむとしましょう!
飛行機の中ではうつらうつらとしてしまい、気がついたらあっという間に到着時間。
無事、羽田空港にたどり着きました。
輪行袋は、他の乗客の手荷物と一緒に受取場のベルトコンベアで流れてくるのかな?
周囲を見渡しながら待機していると、空港係員の方が台車に載せて運んできてくれました。
スーツケースのような手荷物とは違い、破損の可能性があるため、空港側としてもていねいな対応をこころがけているのでしょうか?そうだと嬉しいです……が楽観は禁物。
僕は、空輸で使うようなハードタイプの輪行ケースではなく、普通のペラペラな布製輪行袋にロードバイクを入れました。当然ですが、外からの衝撃にはめっぽう弱い。
飛行機輪行は”運”ともいいますし、これから帰路を自走しなければいけない身なので、早く輪行解除してコンディションを確認しよう。
建物の外に出て、邪魔にならなそうなところに荷物を置きます。
輪行袋にはシールが貼られていました。
『お願い 横にする場合はこちらの面を上にして下さい』
これは親切ですし、安心感がありますね。今後も活用できそうなので剥がさないでおこう。
そして、赤い『FRAGILE(壊れもの)』の札に”自転車”と明記されているのも嬉しい。
輪行解除!
携帯ポンプで空気を入れたので圧は甘いですが、帰るだけなら大丈夫でしょう。万が一なにかあっても、都内だったら自転車屋もたくさんありそうですしね。
さて、準備完了です。
羽田空港から自宅まで約50kmの旅路。都内を抜けることもあり、割と時間がかかりそうなので、あまりゆっくりもしていられません。
現在の時刻は16時15分。日が暮れる前、暗くならないうちの到着が目標。
そうはいったものの、羽田空港からって……どうやって外に出るんだ?大体が電車で訪れる場所なので、自転車というか徒歩でのルートがまったくわからない。
とりあえず、道なりに進んでみようかな。
高速バスに乗り込む人に注意しながら、自転車を押してしばらく歩きます。
人気がなくなったので、ぼちぼちペダルを回していきましょう。
こちらに向かって歩いてくる人がいるので、行き止まりということはないと思いますが、こればかりはなんともいえません。
Googleマップに進路を教えてもらいながら、手探り状態で進んでいきます。
こわいのは、気がつかないうちに自転車走行禁止の道路に入ってしまうこと。
歩道があるかぎり、交通ルールを順守したうえで利用させていただきます。多分、それがもっとも効果的な回避方法だと思います。
それでも、やはりなんとなく不安。
悩んでいると、タイミングよく歩行者に遭遇。空港関係者の方かな?声をかけてたずねてみると、親切に行くべき道を教えてくれました。
助かった。これで、空港敷地内を延々さまようことは避けられそう。ありがとうございます!
北海道を横断する自転車旅、完結!
進路に自信をもてると、足どりも軽くなるというもの。
すいすい進んでいきます。
ぎゅいんと曲がった180度カーブの先には環八通り!おお、出口の予感がしてきました。
300mを左折か。
間違えて直進すると、また羽田空港のターミナルに戻ってしまうんですね。
なんというか、僕の中では”外の世界と隔絶している”という感覚を持つ羽田空港。地続きになっていることに妙な違和感を覚えます。
はじめて園外から東京ディズニーランドを見たときも、似たようなことを思ったな。
曲がるとすぐに、トンネルにぶつかりました。
このトンネルは『自転車走行禁止』のようですが、それと一緒に、いわゆる”大八車”のイラストにも赤い斜線が引かれています。
「こんなところを、リヤカーで抜ける人がいるんだろうか?」
調べてみると、大八車に赤斜線マークは『自転車以外の軽車両通行止め』という意味らしい。つまり、この規制標識は、すべての軽車両を通行禁止にしている……ということですね。
そして、トンネルを抜けた先には?
東京都道311号・環状八号線、通称『環八通り』にやってきました!
普通の道に出れただけで、こんなに嬉しいものなのか。羽田空港からここまで、本当にひとつの冒険でした。
とても貴重な体験ができて、テンションも上がりますね。
外から空港内の飛行機を眺めるのも新鮮。
あとは、青い案内標識を見ながらルートを考えて走るのみ!
もちろんGoogleマップも活用しますが、最短距離を走らせようとするナビの指示に困惑し、逆に道に迷う事態が発生。
入り組んだ路地、住宅街なんかはルートがわかりにくくスピードも出せないので、なるべく大きな道路を使います。
結局はそれが、最短”距離”でなくても最短”時間”につながる最良の道。
道中、ネジが緩んでガタガタしていたフロントライトのマウントが、完全に使えなくなりました。手でおさえてないと落ちる!
時間的に、ナイトライドは避けられなさそう。
仕方がないので、輪行時に使っていた100均のゴムバンドを使ってフロントライトをぐるぐる巻きに固定します。これで、どうにか家までもつかな?
なんとか大通りに出ることができたので、東京都内を快走します。
1週間も北海道にいたため、大都会の景色を見ながら走るのはギャップが激しい!車も人も多いので注意が必要ですが、慣れれば極端に走りにくいということはありません。
路面もきれいだし、アップダウンもないので、信号機につかまらなければスイスイ進みます。
なんとなく目についたので撮ってみた品川駅近くの工事現場。
都会の”ツル”たち。
クレーン車って、名前の由来が鳥の”ツル”からきているそうです。どちらも英語で『crane』なんですね。
原田マハさんの『さいはての彼女』という小説の中に『冬空のクレーン』という短編があって、そこで知りました。いい本なので、旅好きには読んでほしい一冊。
ちなみに、僕がよく”最果て”というワードを使うのはこの小説の影響だったりします。
こうしてみると、その巨大さから僕の目には恐竜にも映ります。しかし、ツルの方が優雅な雰囲気があるのでナイスチョイスですね。
国道15号をひたすら進みます。
基本的に都内は走りたくない人ですが、今はなんだか楽しいぞ。
車や人、建物が多いからか、自転車に乗っているとたくさんの景色が後ろに流れていき、とにかく疾走感を感じます。いいね、めちゃくちゃ気持ちがいい。
しかし、信号機が多いのだけはいただけない!これがなければ、もっと早く着くのにな。
そんなこんなで、東京都中央区の『日本橋』までやってきました。
江戸時代に整備された『五街道』の起点。すなわち、日本の中心だった場所。道にお世話になるサイクリストとしては、外せないスポットですね。
「いつかは五街道制覇にチャレンジしたい!」
結構前から思っていますが実現のめどは立っていません。部分的には走っているのですが、やはり”端から端まで”というとなかなかにハードルが高い。
でも、絶対に楽しい!
江戸時代の人たちが、どんな気持ちで街道を行き来したのか?そんなことを考えながら走るのも、いいもんでしょう!
日本橋を過ぎてすぐに右折して、国道14号、浅草橋や両国あたりで国道6号に乗り継ぎます。
ここらへん、はじめてのスポーツ自転車を今はなき『Y’sRord(ワイズロード)渋谷店』で購入・納車した際に走って帰った道だ。
懐かしいですね。おっかなびっくりクロスバイクに乗っていた自分を思い出します。
青い看板には『柏』という文字。千葉県の地名が、ついにあらわれました。
ゴールは近いぞ!
荒川を渡ります。
夕日が川面に反射して、とてもうつくしい。
しかし、悠長なこともいってられません。もうじき日が暮れます。暗い中はできるだけ走りたくないので、太陽の恩恵があるうちに少しでも先に進むことにしよう。
ひたすら道なりに進み、いよいよ江戸川にぶつかりました。
川沿いのサイクリングロードへ上がるのに、道が入り組んでいて右往左往。それでも、なんとか目的の道にのることができました。
江戸川をしばらく北上。見慣れた風景と空気を感じながら、ついに!ついに!ゴールである自宅にたどり着くことができました!
長旅をやり遂げましたよ!無事に走り切ったことに感動をおぼえます。
人生でもっとも長い期間である”7日間”を使って横断した北海道は、とても……とても、すばらしいところでした。
景色がきれいだったり、食べ物がおいしいのはもちろんですが、とにかく感じたのは”旅人へのウェルカム感”とでもいいましょうか。
道路を走っていて、こんなにも手を振ってもらったり、声援をもらったりしたのは、本当にはじめての経験ですし、「北海道以外では絶対に体験できない!」と思っています。
北海道自転車旅は終了となります。
これで千葉県から日本最北端・北海道の宗谷岬まで自転車で1本の線、僕の走った”轍(わだち)”をつなげることができました。
ひとつの目標が達成されました。完全に自己満足の世界ですが、純粋にうれしい。
「次はどこを走ろうか?」
まだまだ、旅欲は尽きないので楽しんでいこうと思います!
【本日のライドデータ】
走行距離 53.05km(トータル769.14km)
所要時間 3時間43分
走行時間 3時間27分(-0時間16分)
コメント
ついに北海道自転車旅完結ですね。お疲れ様でした。旅行記を読ませていただきました自分自身も旅の終わりの寂寥感の様なものを感じています(笑)。
それにしても自転車での北海道ほぼ縦断。「素晴らしい」の一言に尽きます。自身も憧れはありますがやっぱりハードルは高いです。にしきさんの旅行記に自分を同化させ行った気にさせていただきます。
当方もようやく雪解けが進みましたので、ぼちぼちライドの準備を始めようかと思います。にしきさんの旅行記を読み「自転車に乗りたい!」気持ちの導火線に着火しました。冬季は専らスキーですが気持ちの切り替え準備が整って来ました。
昨年はカスイチショートを走りましたので、今年は真のカスイチ達成を先ず目標にしたいと思います。そういえば茨城にはセコマがあり、北海道ご当地の様々な食品類も並んでいました。羊羹パンやカステラも見ました(買いませんでしたが‥)。
次の旅行記も期待させていただきます。
ありがとうございます!
我ながらよくやったものだと思います。北海道を走る機会を次に作れるかわからなかったので、気合いで乗り切りました。道中は結構ドキドキでした。
自転車乗りたい欲を刺激できて、とてもうれしいです!ブログを書いている甲斐があったというものです。
冬もスキーで運動されているのはすばらしい。自分など、暖かくならないと乗らないので……。
カスイチがんばってください!
茨城にもセコマがあるんですね!ようかんパンが食べたくなったら、訪れることにします。
ありがとうございます。遅筆で申し訳ありませんが、次回は太平洋岸自転車道制覇に向けたライド紀行を書いていきますね。ぜひ読んでいただければ嬉しいです!
北海道旅行記完結!おめでとうございます
久しぶりの更新で嬉しいです
私の友人が稚内に住んでいて知っている風景が出てきたのですごく親近感が湧きました。
私事なのですが、実は最近Cervélo S5 2014年式を中古納車しまして…まだ装備を揃えている段階なんですがどこに行くか毎日考えてます
Edge 530いいですね笑
私は学生なので飛行機輪行の敷居が高く感じていたんですが意外と行けるのでは…!と思いました
これからもブログの更新楽しみにしております
ありがとうございます!
書くのが本当に遅くて、完結までに1年以上経っていました……。その点は反省です。更新頻度上げていきます!
稚内市いいところですよね!とても気に入りました。
おお、納車おめでとうございます!Cervéloかっこいいですよね。どこに行くか考えているときの楽しさは、何物にも代えがたいです。
Edge530いいですか?笑 僕が買ったときがちょうどボタン式とタッチパネル式の切り替えのときで、ボタンの方が操作しやすいだろうと選びました。最近は古くなったのか、10時間以上のライドをすると走っている最中に充電が必要になり若干不便です笑
飛行機輪行は思ったより手軽でした。ただし、航空会社によってはペダルを外す必要があるのと、やはり自転車へのダメージが心配ですね。
いずれ、飛行機輪行についてまとめた……といっても、自分も北海道と沖縄県の2回しか経験がないのですが、記事を書いていきたいと思います。
学生さんということなので、ぜひいろいろなところを走ってほしいと思います。背中を押せるような記事を書いていきますので、これからもよろしくお願いします!