北海道自転車旅!ついに、6日目に突入!
当初は、5日目にあたる昨日、天塩町から日本最北端『宗谷岬(そうやみさき)』までの完走を果たし、今日は稚内市街や周辺を観光しながらサイクリングする予定でした。
しかし、暴風雨のサロベツ原野で心身ともに消耗したため走行計画を変更し、宗谷岬到達を1日先送りにしたのです。
そんなわけで、今日が本当に本当のメインイベント開催日。
楽しんで走っていきましょう!
~前回のライドはこちら~

日本最北端に向けて出発!
昨日の荒れた風雨はうそのように消え去り、空には青空が広がっていました。
まさにサイクリング日和。これは、美しい景色が堪能できそうな予感!
愛車『Bianchi OltreRX3』も、心なしか生き生きとしているように見えます。
昨日の汚れは、乾いたタオルで拭いただけできれいになりました。
雨天ライド後は”サビ防止”のためにも、なるべく汚れや水気をとってあげるといいですね。
最終日は飛行機に積みますから、あまりにも汚いと輪行袋に入れるとはいえ恥ずかしい。
ゲストハウス『モシリパ』に連泊するため、不要な荷物は置きっぱなしです。
普段の半分くらいになったため、重量はあきらかに軽くなっています。これは快適だ。
リュックサックは背負っていますが、パンク修理道具やモバイルバッテリーなど重いものは大型サドルバッグに入れて、負担を自転車に肩代わりしてもらいましょう。
時刻は朝6時。
早すぎるかな?とも思いましたが、かぎられた時間を有効活用したいので出発します!
まっすぐ宗谷岬にはむかわず、まずは『ノシャップ岬』をめざします。
ここも有名な観光スポットですね。
昨日走ってきた道を引き返すように進みます。
北海道道106号と交わる十字路。
昨日はすき家の方から走ってきて、左折せずにまっすぐ進んでしまい稚内港に行きついてしまったんですね。
そんなわけで右に曲がろうとしますが、前方に青空を飛ぶ赤い……ではなく白抜きの鳥を発見したので立ち寄っていきます。
北海道ではおなじみのコンビニ『セイコーマート』です。
ロゴマークの鳥は、何度でもよみがえり生き続ける神話の生物・フェニックス。日本では不死鳥と呼ばれています。
ときには不撓不屈の精神が必要になる自転車旅。セイコーマートのフェニックスにあきらめない心を授かりながら、補給食&ドリンクを購入しましょう!
無事に買い出しもおわり再スタート。
予定どおり道道106号にのると、少しばかりの上り坂。えっちらおっちら進んでいきます。
そこで、道路脇に動くものを発見。なんだろう、猫かな?
よく見ると野生のキツネでした!生まれてはじめて遭遇した。
エサにありつけていないのか、どうにも痩せているようで心配になります。いや、時期的に”夏毛”だからそう見えるだけかもしれません。
どちらにしろ、かわいらしい。北海道では本当に野生動物を身近に感じることができます。
坂道を上り切ったところに『夕日が丘パーキング』という展望駐車場がありました。
『ようこそ日本のてっぺんへ!』
てっぺん……つまり、いちばん上の”最北端”ということ。いいキャッチコピーじゃありませんか!テンション上がりますね。
ありがたいことに公衆トイレもあったので、このあとの長旅に備えておこう。
いい眺めです。しかし、少し雲が出てきたな。
正面には利尻富士が見えるはずなのですが、残念ながら隠れてよくわからない。とことん縁がありません。この目にすることができるのは、いつになるのだろうか。
天気予報を見てみると、雨の心配はなさそうです。気象予報士の方を信じましょう!
勾配4%の坂道を駆け下ります。
昨日、最後の最後にあらわれた上り坂、その入口まで戻ってきました。
ここをぐいんと右折して、道道254号を進めばノシャップ岬にたどり着くようです。
ほんの数分前に『夕日が丘パーキング』から見下ろした道路を走ります。一本道なので迷う心配はありません。思い切り北海道の最北を楽しむことにしよう。
野生動物とノシャップ岬
あっという間に残り9km!
案内標識によると『ノシャップ寒流水族館』もあるようです。
もしかして……!と思って調べると、予想通り”日本最北の水族館”でした。見学することはできませんが、いつか再訪するときのために覚えておこう。
それにしても、ここまで来ると、なんでもかんでも”日本最北”ですね。すばらしい!
あ、道路に見慣れない鳥がいるぞ。
なかなかに大きな2羽の鳥が、道路の反対車線を闊歩しています。
カモメかな?ウミネコかな?
この2種類の鳥の名前を聞くと、僕はどうしても人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の第5部を思い出してしまいます。
「ありゃカモメじゃあねーーぜ。ウミネコだ」
「どうやって見分けるか?ニャアニャア鳴くのはウミネコだ」
長くなるので割愛しますが、とある登場人物のこのセリフが妙に頭に残っているんですよね。
閑話休題。
軽快に飛ばしていましたが、おどろきのあまりとっさにブレーキ!
今度はシカのおでましだ!昨日、街中でも見かけたので2度目の遭遇です。
人間に慣れているのか、こちらには目もくれず草をむしゃむしゃと食べていました。草原には同じように食事を楽しんだり、くつろいだりしているシカが数頭います。
さすが北海道。野生動物が日常に溶け込んでいるようですね。
しかし、逆に考えれば、都市開発などにより本来生息している居住地を追われ、仕方なく人間の生活圏にあらわれている……とも考えられるのかな?
シカの無垢でつぶらな瞳を見ながら、もの思いにふけます。憂いていても仕方ない。僕は僕で走り出そう。
どうやら、そろそろ到着するみたいですね!
道道254号をそのまま道なりに進んでいくと、ふたたび稚内市街に戻るようです。
稚内駅周辺のゲストハウスを出発して、小さな半島をぐるりと一周するイメージ。
左折して道なりに進んでいくと、うわさの『ノシャップ寒流水族館』が見えてきました。
朝早いため営業はしていませんが、なかなかいい雰囲気です。1968年(昭和43年)7月に開館され、日本で100番目に誕生した水族館。
現在では『わっかりうむ』の愛称で親しまれているようです。
そして、最初の目的地である『ノシャップ岬』にやってきました!
どこまでも広がる青い海。うつくしい眺め。
古びた看板、地面に置いてある錆びた錨(いかり)が、またいい味を出していますね。
語源は、アイヌ語で『岬がアゴのように突き出したところ』や『波の砕けるところ』という意味をもつ”ノッ・シャム”だそうです。
広場にはイルカのオブジェもありました。
これは、北海道とサハリン(樺太)の間にある宗谷海峡を渡ったイルカがいたという昔ばなしがもとになっているそうです。
ロードバイクとに記念撮影。いい感じ。
時刻は、時計の針が示すとおり……あれ、5分進んでいるみたいだな。こちらの時計では7時5分。朝早いためか観光客もおらず、ノシャップ岬を独占状態。これは贅沢。
少し戻ると、広場の入口に『稚内恵山泊漁港公園』と書かれた周辺地図がありました。
稚内港から出ている船の航路、その先にある利尻島、礼文島の位置関係がよくわかります。
島を見るとサイクリストとしては、「一周何キロなんだろう?」とワクワクしてしまうもの。調べによると、利尻島は約63km、礼文島は約60kmでした。
この地図でみるともっと大きさに差がありそうですが、そこまで変わらないんですね。
過去の経験でいうと、なんやかんや53km走った伊豆大島がいちばん近そう。

しっかりノシャップ岬を堪能したので、次の目的地にむけて出発しよう。
行きは見落としていましたが、水族館の壁面に気になるものを発見。
『本日の日の入りはPM6時40分です』
おお、夕日か!
稚内市まで来る道中、日没、サンセットをアピールしている町をいくつも通りすぎてきました。きっと、このノシャップ岬でもすばらしい夕日が眺められるのでしょう。
よし、決めた。今日の夕方、またここに戻ってこよう!
ノシャップ岬から水平線に沈む太陽を眺めて、6日目を締めくくることにしました。
楽しみがひとつ増えたぜ。
青空の稚内を走る
道道254号に戻り、ふたたび稚内駅方面をめざして走ります。
その途中、気になるところを見つけたので立ち寄ることにしました。
『稚内港北防波堤ドーム』
北埠頭が旧樺太航路の発着場として使われていたとき、ここに通じる道路や鉄道へ波の飛沫がかかるのを防ぐ目的で、昭和6年(1931)から昭和11年(1936)にかけ建設された防波堤です。
引用元:稚内観光情報
とてもユニークな形の防波堤。ひと目見て、「神殿のようだ!」という感想を抱きました。
他の部分に比べて柱が白いのは、造りなおしたのか、塗りなおしたのか、経年に対応すべく補修工事が入ったのかもしれませんね。
側面からも見てみよう。
古代ローマの建築様式を彷彿させます。
途中から色味がガラリと変わる柱。
やはり補修して、きれいな白色になっていたようです。元の古びた感じも雰囲気としては好きですが、安全面などを考慮してのメンテナンスなのかな。
総計74件ある『北海道遺産』のひとつでもあり、稚内市のランドマーク的な建造物。近くを訪れたら、ぜひ立ち寄ってください。
すぐ近くの稚内港には、一隻の船が停泊していました。
『巡視船 りしり』
海上保安庁の船。巡視船は海上での警察・消防の役割があり、りしりは道北地区で唯一の”ヘリコプター甲板付き”なんだそうです。
昔、流行った漫画原作のテレビドラマ『海猿』も、この巡視船に乗った潜水士が活躍するストーリーでしたよね。
あれ、放送されたのって……2002年!20年前!?時の流れが速すぎてこわくなる。
宿を出発して2か所……いや、港も入れれば3か所の観光スポットを巡ったあと、いよいよ北海道自転車旅の”最終目的地”をめざして走り出します。
稚内市街を抜けて、ふたたびやってきた国道40号を進んでいきましょう。
そして、左折して国道238号にのりかえます。
さっそく、青い案内標識に『宗谷岬』の文字があらわれました。27km先のようです。
「息も絶え絶え……なんとか、走り切った!たどり着いたぞ!」
走行計画の甘さから、このような”到着体験”が多い僕にとって、かなりゆるい距離での目的地到着になりそうですが、まぁ、いいでしょう!
それにしても27kmか。毎日長距離を走っていたので、感覚としては”近所”になっています。
ゆっくりむかってもいいのですが、あまり時間が遅くなると観光客が増えてしまい、思う描くような”感動の瞬間”をメイクできなくなりそうなので、ぼちぼちスピードを出していきます。
となりの看板には、稚内空港までの距離も書いてありました。
明日は飛行機輪行で帰路につくため、ルートの下見にもなり一石二鳥。
道に迷うことはないと思いますが、運悪くパンクなどのアクシデントに見舞われる可能性はあります。離陸に間に合わなかったら……なんて考えると、慎重なくらいがちょうどいい。
そして、標識のいちばん上には『網走(あばしり)』の文字。
網走監獄くらいしか知識としては持っていませんが、高速道路ではない一般道で300km以上先の地名が案内されていることに、北海道の広大さをあらためて感じます。
すいすいと車道を走っていきます。
交通量もさほど多くないため走りやすい。
しばらくすると視界が開け、穏やかな海が広がっていました。
さざ波が音を立て、水面は太陽光が反射してキラキラと輝いています。
最北端への到達を1日伸ばしたという判断は間違っていなかった!
朝は雲が多かったですが、ようやく晴れ間も見えてきて今後の空模様回復に期待。やはり快晴の中でたどり着きたいものです。
海岸線を走るのは本当に気持ちがいい。
風もほとんどなく、絶好のサイクリング日和。
海のむこうに見える陸地。あの突き出たところが、宗谷岬なのかな?
この景色を見ていると、あんまりガンガン進んでいくのも申し訳ない。前言撤回。やはりあわてず、楽しみながらマイペースに走っていくことにしよう。
道の先に続く、空と海の”青”に吸い込まれそうになります。
ああ、まさに北海道!
風が落ち着いているためか、あまり波はたっていません。
まるで鏡面のような海に空と雲が映りこみ、神秘的な風景を演出しています。
看板を発見。なんだろう?
ここを右に曲がるとわずか200mで『白い道』のゴール地点があり、進行方向に15km走るとスタート地点があるようですね。
「聞いたことあるような、ないような」
よくわかりませんが、この先に”なにかがある”ことだけ把握できれば十分。余裕があればこの目で拝むことにしましょう。
祝!日本の最北端・宗谷岬に到着!
時刻は8時30分を過ぎたところ。
残り5kmまでやってきました。気持ちがたかぶる!
ようやくたどり着くという喜びと、旅がおわってしまう寂しさが6畳ワンルームに同居したような複雑な心境です。
宗谷岬の看板がありました!
これは、地名としての看板ですね。
僕が目的としているところは、もう少し先になります。それにしても、進行方向に灰色の雲が浮かんでいるのが心配。もちこたえてくれ!
そして、ついに!夢にまで見たモニュメントが見えてきました!
うおー!到着だ!!
2022年8月17日、8時50分。日本の最北端・宗谷岬にたどり着くことができました!
思う存分にこの感動を味わっていたいですが、見回すと観光客が少ない絶好のタイミング。今を逃してはいけない。
記念撮影をしておこう!
『日本最北端の地の碑』
モニュメントの背景となる海の方角は雲のない青空が広がっており、すばらしいロケーション。最高の瞬間です!
この日のために、何日も……いや、何年もかけてチャレンジし、走ってきた。その苦労に見合うだけの感動体験ができていると自信をもっていえます!
記念撮影の余韻にひたっていると、近くにいたオートバイのライダーさんが、「写真撮ってあげるよ!」と声をかけていただきました。
基本的に自撮りをしない僕にとって、自分が写っているのは激レア写真。
この宗谷岬で撮れて、撮っていただいて、本当によかった!とてもいい記念になりました。
お礼をいい、選手交代。今度は僕がライダーさんを撮ります。
こういう”ひとり旅”をしている者同士の一期一会の交流って、とてもいいですよね。今度から観光地の撮影スポットを訪れたときは、積極的に話しかけてみようかな?
僕たちが写真を撮りおえたのを見計らったように、モニュメント周辺は観光客で賑わいを見せはじめました。
本当にいいタイミングで到着したものです。
しばらく、もの思いにふけりながら、ただ漠然と最果ての海を眺めていました。
最高の思い出をありがとう、宗谷岬!
うろうろしていると、稚内市周辺のガイドマップを発見しました。
宿を出発しノシャップ岬と北防波堤ドームに立ち寄り、宗谷岬まで走ったルートが一目瞭然。
さらに、宗谷岬周辺をクローズアップしたガイドマップもありました。
ほうほう、こうなっているんですね。
新鮮な感動をあじわうために”ネタバレ”を避け、あまり情報を仕入れずに来た甲斐もあり、マップを見ているだけで楽しい。
大きく取り上げられたマップに注目。
道中に見かけた『白い道』までのルートが載っていました。
小さな写真には、草原を突っ切る真っ白な一本道が写っています。これはおもしろそうだ。まったく同じ道で帰っても面白みに欠けるので、このルートを走ってみよう。
まだまだ楽しみは続きそうですね!
さて、その前に買いたいものがあるのでお土産屋にむかいます。
日本最北端のお店『柏屋』です。
宗谷海峡のような青色の壁、モニュメントを模したかのような特徴的な外観をしています。
入口の上部には『宗谷岬』と『日本最北端』の文字、アナログ時計による時刻、北緯、そして日付、僕のような旅人が求める情報のすべてが表示されています。
さて、なかに入り、さっそく目当てのものを購入しましょう!
『日本最北端到達証明』
稚内観光協会が発行している到達証明カード!これが欲しかったんだ!
日付と時刻が印字されているので、まさに証明。稚内市カントリーサインのステッカーも一緒に購入しちゃいました。これは、思い出深い一品になりますよ!
落ち着いたところで、再度入店。今度はお土産を買うわけではありません。
柏屋の中にある『流氷館』という施設。
宗谷岬に流れ着いた、おそらく本物であろう流氷と北の地に生息している動物たちのはく製がかざされている展示館です。
あたりまえですが、とてもリアル。
氷が溶けないよう室内は冷凍庫のように冷えており、真夏でもマイナス10℃の世界を体験することができます。
最奥の壁には、冬期の宗谷岬が描かれたイラストがありました。
寒い時期は、この絵のとおり流氷が宗谷海峡に溢れかえるのかな?
長居すると風邪をひきそうなくらい寒いので、そこそこのところで退出しましょう。外に出た瞬間、かけていたメガネのレンズが温度差でくもるくもる。なにも見えん。
満喫することができましたので、そろそろ日本の最北端から出発しましょう。
さらば、宗谷岬!
また来ることは、少なくとも自転車で走ってくることはない……と思います。一度きりの人生で、自転車の聖地・北海道、あこがれの場所まで走ることができて本当によかったです。
【ここまでのライドデータ】
走行距離 53.83km(トータル640.39km)
所要時間 2時間46分
走行時間 2時間40分(-0時間06分)
北海道の絶景!真骨頂を見る
ふと振りかえると、壁面に力強く書かれた文字が目を引くお店がありました。
『日本で一番北の食べ処 食堂 最北端』
おいおいおいおい、うそだろ?
小腹の減ったこのタイミングで、こんなすてきな謳い文句のお店を見つけたら入らないわけにはいかないでしょう!
時刻は9時15分。遅めの朝食ということで、腹ごしらえをしていこう。
メニュー表には各種ラーメンとカレーライスが載っていました。
僕は、オススメされていた『もずくラーメン』をいただきます。
醤油ベースのスープに宗谷名物のもずくが加わり、より味わい深いものになっています。
午前中からでも全然いける。おいしい!
時間が早かったためお客さんもおらず、店長と少しお話をさせていただきました。
宗谷岬に店を構える前は関東に住んでおられたということで、「自分も千葉から来たんですよ!」というと、とても喜んでくれました。
どんなところに偶然の出会いが転がっているか、わからないものです。
店内には、これからむかう『白い道』への道順が載った地図がありました。
写真付きでかなり詳しく書かれています。ありがたい!写真を撮らせてもらい、これを頼りに走っていこう。
すっかりお腹も満たされたので、そろそろ出発することにします。
店長にお礼をいい、日本最北の食べ処をあとにしました。
道順マップに従い、走っていきます。
上り坂には『宗谷岬展望台』がありました。
看板には”宗谷丘陵白い道ツアー”と書かれており、このあたりの有名観光スポットとしてプッシュされていることがわかります。
坂道を上り切ると、いろいろなモニュメントが並ぶ広場に出ました。案内看板があったので、足を止めて覗いてみましょう。
日本最北端の地の碑があるところも含めて、一帯を『宗谷岬公園』というらしい。
また、通称『宗谷岬平和公園』とも呼ばれているらしく、名前から”平和”を連想させるモニュメントや碑が多数ありました。
目についたところだけ、ふらりと立ち寄ってみようか。
『旧海軍望楼』
1902年に旧日本海軍が建設したもので、当時最強といわれていたロシアのバルチック艦隊を監視するという重要任務が課せられていた望楼(物見やぐら)。
稚内市内で唯一現存する明治時代の建築物で、市の有形文化財に指定されています。
望楼にのぼってみましょう。
おお!めちゃくちゃきれいに海が見渡せます。
この青い海の約43km先に、ロシアのサハリンがあるんですね。もっと空気が澄んでいたら、きっと水平線のむこうにその姿を見ることができるのでしょう。
景色を眺めていると、屋根に『最北の宿』と書かれている建物を発見しました。
スマートフォンで検索したら、そのままの名前の民宿がヒット。なんという宣伝効果!
振り返ると、遠方に大きな風車。進行方向はあちらかな?
望楼の眺めにも満足したので、先に進もう。
ありがたいことに、白い道への案内が出ていました。7.5kmとぼちぼちな距離ですね。
めちゃくちゃいい風景!
このあたりは、高原など涼しいところに花を咲かせる『クロユリ(黒百合)』の群生地。
すべて私有地で、「そっと鑑賞するだけなら」と所有者の方から許可を得て、解放されているそうです。なんとも寛大なお心。
咲く時期は”5月から6月のうち2週間前後”ということで、8月現在ではクロユリを見るには遅すぎたようですね。
えっちらおっちら上ってきましたよ。
宗谷岬がもうあんな遠くに。後ろ髪を引かれる思いはありますが、振り返らず進もう。
そして、風車のところまでやってきました。
『ゲストハウス アルメリア(宗谷丘陵展望休憩施設)』
風車型の休憩施設で、2階は展望台になっているそうです。
しかし、稼働している様子がありません。
今は使われていないのかな?時期なのか、時間帯なのか、たまたまタイミングが悪かったのでしょうか。
2階からの眺めを見てみたかっただけに残念ですが、仕方ない!切り替えていこう。
突きあたったT字路に、次の案内看板を発見。
残り6.7kmという情報よりも先に目に入ってきたのは、強面の熊のイラスト。
『熊 出没注意!!』
やっぱり出るんですね。確認日が空欄になっていることに一瞬だけ安堵しますが、ここに”今日の日付”が入らないともかぎらない。
見晴らしがいいのでばったり遭遇……することはないと思いますが、十分に注意しよう。
ちなみに、ここからの道は『宗谷周氷河ロード』と呼ばれています。
宗谷岬の後方に広がるモコモコした丘陵は、地中の水分が凍っては溶け、凍っては溶けを繰り返すことによって作られた『周氷河地形』というそうです。
宗谷周氷河ロードは、北海道の中でも景観のよさに定評のあるすてきな道。楽しんで走ろう!
宗谷周氷河ロード、絶景の中をゆく
道なりに進んでいきます。
宗谷岬にたどり着く直前は、「少し雲が出てきたかな?」と心配しましたが、まったくの杞憂でした。気持ちのいい天気です。
見渡すかぎりの宗谷丘陵は、北海道の宝『北海道遺産』に選ばれています。
美しい緑が、まるでカーペットのように一面に広がる光景はとても癒されますね。
すばらしいの一言。
周囲には人も車もおりません。
自分ひとりだけが、宗谷周氷河ロードの絶景の中を自転車で走っている。それだけで、最高に気分が上がる!
今回の北海道自転車旅では、いろいろなところを走りました。どこもすてきで魅力的でした。
しかし、大自然……というか思い描いていた”広大な北海道の地”を体感できているのは、まさに今かもしれません。
目を凝らして見ると、黒い牛が放牧されていまいた。ズームアップしてみましょう。
近くに『宗谷岬牧場』があるので、おそらくそこで飼育されている牛だと思います。
広がる丘陵で、のびのびと草を食べています。なんだか気持ちがなごみますね。
ふたたびT字路に突きあたりました。今度は左折します。
同じ道道889号ですが、右に曲がると宗谷周氷河ロードが続き、左は『上猿払清浜線』と呼ばれる道が続いている……と地図上では表示されています。
名前のとおり『猿払村(さるふつむら)』から宗谷市清浜を結ぶ約36kmの道路。ちなみに猿払村は日本最北の村で、北海道最大の村でもあります。
天然ほたての水揚げ量が日本一だそうです。
しかし、この道路を使うのも一瞬で、すぐに右折して細めの道に入っていきます。
青空へと続く上り坂。
サイクルコンピューターを見てみると勾配9%前後。結構な上り坂じゃないですか。
山の上にある白い建造物がひときわ目を引きますが、なにかはわかりません。地図にも載っていない。
形からして電波塔か、なにかの観測施設かな?
上り切った先の景色は、まさに絶景。水平線がきれいに見えます。
草原に点在している無数の白い塊は、牛の餌である牧草を丸めたもの。
正式名称を『ロールベールラップサイロ』といい、白いフィルムで牧草を密閉し発酵させているのだそうです。
先に進むと、有名な観光スポットに到着!
宗谷丘陵にそびえ立つ57機の風車群。
ここは『ユーラス宗谷岬ウインドファーム』と呼ばれる風力発電所です。
ここは本当に日本か?今までに体験したことのないスケールを感じます。
どこか現実ばなれした圧倒的な風車の存在感は、神秘的ですらある。天気がよいのも相まって、最高の景色を見ることができました。
風車群といえば、サロベツ原野の『オトンルイ風力発電所』も見ごたえありましたが、インパクトはこちらの方が勝っているかもしれない。
いや、僕が走ったときは悪天候だったし、そう簡単には甲乙をつけることはできない!

この先は砂利道になっていて、関係者以外立入禁止。
名残惜しい。しっかりと目に……いや、脳みそに焼きつけておきましょう。
とにかく感動しっぱなしのサイクリングとなりました。
そして、いよいよ白い道まで残り200m!目と鼻の先です。
なんて油断していたら、結構な勾配の上り坂。
勾配12%!個人的な体感として、10%を超えるとサドルに座っているのがつらくなります。
ここは素直に立ち漕ぎ。短い距離なのをいいことに、力に任せて上っていきます。
道路が石灰をまいたように白くなってきたぞ。
これはもしや?
アスファルトの灰色から、きれいな白に変わっている。
ここが『白い道』の入口かー!
とりあえず、自転車をとめて足元をまじまじと観察してみよう。
2011年、当時の稚内市職員と観光関係者のアイデアで誕生した白い道。
稚内市の名産でもあり、当時その廃棄方法に苦慮していた”ほたての貝殻”を細かく砕き、敷き詰められて道になっているそうです。
ズームアップ!おお、よく見ると本当に貝殻だ。
リサイクルも兼ねているようなので、色合い的にも環境的にも優しい道といえますね。
青い空と海、緑色の牧草、そして、一直線に続く白い道のコントラストがとても映える。
美しい……って、あれ?前方にいるのは?
そう思って近寄ってみると、宗谷岬で出会ったライダーのおっちゃんでした。定番ルートとはいえ、再会を果たせるとは思わなかった!
ふたたたび写真を撮り合います。
こんな風に景色を独占できたのはうれしい。
写真に慣れているのか、少し上から撮るアングルもすばらしいし、なにより水平がとれている。
思い出深いすてきな写真となりました。ありがとうございます!
白い道は観光客も多く、大半は車やバイクで訪れていました。
砕かれた貝殻の上をロードバイクで走るのは、タイヤに突き刺さりそうで少しこわかったですが、景色を楽しむならこのくらいのスピード感がちょうどいい。
無事に3kmの道のりをクリアすることができました!
このあたりで6日目の自転車旅、前半終了です。
まだまだ行きたいところ、見たい景色はたくさんある!ペダルひと踏みを大切にして走っていきましょう!
後編に続く。
~次回のライドはこちら~

コメント
毎回楽しく読ませていただいております。更新を心待ちにしておりました。宗谷岬やその周辺の景色をこのブログで堪能させていただきました。
自分は23年の夏に北海道を車と公共交通機関を使い旅行しましたが、あの広い北海道をロードバイクで制覇したにしきさんのバイタリティには敬服するばかりです。
当地は積雪期のため現在ロードバイクはお休み中ですが、にしきさんの旅行記を拝読しながら、次のシーズンへ思いを馳せております。自分はなかなかにしきさんのように自転車旅行は難しいですが、その分この旅行記で楽しませていただきます。
次の更新を楽しみに待ちたいと思います。
大変お待たせしてしまい申し訳ございませんでした。そして、ありがとうございます。
Elmoさんも北海道を旅されたのですね。確かに広かったですが、本当に走りやすい道も多いですし、なにより人々が温かいためとても楽しかったです。
自分のブログがサイクリングの活力になれば嬉しいです。Elmoさんに自転車旅が難しければ、自分が代わりに走ってきましょう!旅先にリクエストがあれば、可能なかぎり検討しますのでお気軽におっしゃってくださいね。
次回の更新、とりあえず後編はすぐに出ます。そこから先の自転車旅も早く記事に起こさないと、溜まっていく一方。がんばります!
最終日好天に恵まれ最高のサイクリング日和でしたね。ノシャップ岬からの夕陽は特にも素晴らしいです。きっと実際の場ではそこから立ち去りたくないくらいの感動だったのではないでしょうか。自分の脚でたどり着いた最北の地だったでしょうからその感動は尚更素晴らしいものだったことと思います。
自分もロードバイクで旅をしたような臨場感ある旅行記をどうもありがとうございました。文中にもありましたが自分の中では指宿の開聞岳を「実際にこの目で見たい」とういう憧れもあります。自分が行くことができれば一番なのですが、ぜひにしきさんにチャレンジしていただきたいです。